トップ > 音楽CD・DVD > ニュース > クラシック > 「ベルリン・フィル・ラウンジ」第53号:ゲルギエフ、カラヤンとムラヴィンスキーを語る

「ベルリン・フィル・ラウンジ」第53号:ゲルギエフ、カラヤンとムラヴィンスキーを語る

2011年12月16日 (金)

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ベルリン・フィル、ジルベスター・コンサート2011
 今年のジルベスター・コンサートは、サー・サイモン・ラトルの指揮の指揮で12月29〜31日の3日間開催されます。ソリストには、エフゲニー・キーシンが登場。キーシンがベルリン・フィルの演奏会に出演するのは、ほぼ20年ぶりになると思われます。今回は、グリーグのコンチェルトを演奏。またプログラム全体は、ダンス音楽を散りばめたものとなっています。
 ドイツでは、ARDドイツ第1放送が午後6時30分より生中継する予定です。日本では、NHKの発表によると2012年1月21日午後11時30分より、BSプレミアムで放送される見込みです。

ベルリン・フィル ジルベスターコンサート2011

【演奏曲目】
ドヴォルザーク:スラブ舞曲第1番
グリーグ:交響的舞曲第2番
ピアノ協奏曲 イ短調
ラヴェル:道化師の朝の歌
R・シュトラウス:楽劇《サロメ》から〈7つのヴェールの踊り〉
ストラヴィンスキー:《火の鳥》より抜粋
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

ピアノ:エフゲニー・キーシン
指揮:サー・サイモン・ラトル


 デジタル・コンサートホール クリスマス・キャンペーン

12ヵ月チケットを買うと、特典DVD(ラトル指揮マーラー「交響曲第3番」・非売品)を先着500名様にもれなくプレゼント!

 ラトルのマーラー交響曲全曲ツィクルスは、この1年ほどのベルリン・フィルのプロジェクトのなかでも、最も重要な位置を占めるものでした。とりわけ「交響曲第3番」の演奏は、このコンビの新次元を示すものとして、ベルリンの各紙より絶賛されています。クリスマスを前に、この演奏がスペシャルDVDとして特別制作されることになりました。デジタル・コンサートホールの12ヵ月チケットをお求めの方に、特典DVDとしてもれなくプレゼントされます。市販の予定はなく、今回限りの極めて貴重な1枚。この機会に、ぜひ12ヵ月チケットをお求めください。
 デジタル・コンサートホールの12ヵ月チケットは、ライブからアーカイブ、スペシャルに至る全ての映像を12ヵ月間自由にご覧になれるパスです。年間約30回の定期ライブ放送、現時点で130本を越えるアーカイブ映像を、存分にお楽しみいただけます。

価格:149.00ユーロ(送料込み)

ご注意:このキャンペーンは先着500名様限定で、2012年1月3日に終了いたします。お申し込みは、通常のチケット購入画面ではなく、下記の「12ヵ月チケット(特典DVD付き)を購入する」からお願いいたします。発送は12月13日より開始。また、学生割引は無効です。

【演奏曲目】
ヴォルフ:《妖精の歌》
ブラームス:《ハープが豊かに鳴り響く》
マーラー:交響曲第3番
(スペシャル映像:サイモン・ハルシーによる作品解説)

ソプラノ:アンケ・ヘルマン
アルト:ナタリー・シュトゥッツマン
合唱:ベルリン放送合唱団女声合唱・ベルリン国立大聖堂少年合唱団
指揮:サー・サイモン・ラトル
(2011年2月5日収録)

12ヵ月チケット(特典DVD付き)を購入する

 最新のDCHアーカイブ映像

無料映像です!12人のチェリストたちによる「チェロ・クリスマス」
(12月4日)

【演奏曲目】
エリントン:キャラヴァン
カイザー=リンデマン:12人のボサノヴァ(ブラジル風変奏曲)
ブールテイル:パリの花
ベン:マシュ・ケ・ナダ
ショスタコーヴィチ:ヴァラエティー・オーケストラのための組曲よりワルツ第2番
黒人霊歌:レット・マイ・ピープル・ゴー
アンネガルン:皆楽しく元気にやろう
マンシーニ:ピンク・パンサーのテーマ
ギルキーソン:『ジャングル・ブック』よりベア・ネセシティーズ

ベルリン・フィルの12人のチェリストたち
司会:サラ・ウィリス(ベルリン・フィル ホルン奏者)


 12月初頭に行なわれた青少年向けの演奏会「ファミリー・コンサート」が、DCHで中継されました。ゲストは、かの「ベルリン・フィルの12人のチェリストたち」。チェロだけで構成されるこのアンサンブルは、ベルリン・フィルの室内楽グループのなかでも最も人気のあるものでしょう。子供たちとのインターアクションを加えつつ、ライブで見せる彼らの「技」にご注目ください。
 ベルリン・フィルの「ファミリー・コンサート」は、青少年プログラム「未来@ベルリン・フィル」の一環で、ベルリンの子供たちにクラシック音楽の楽しみを肌で体験してもらうために行なわれています。昨年は《くるみ割り人形》がテーマとなり、チャイコフスキーのバレエ音楽の編曲版が演奏されましたが、今回は親しみやすいスタンダード・ナンバーや、映画『ピンク・パンサー』のテーマ音楽が取り上げられています。もちろん大人が観ても、楽しいこと請け合いです。

この演奏会をDCHで聴く!


イヴァン・フィッシャーの東欧プロ。コンチェルトのソロはスタブラヴァ
(12月5日)

【演奏曲目】
フォン・ドホナーニ:交響的小品集
フーバイ:ヴァイオリン協奏曲第3番ト短調
シューベルト:5つのドイツ舞曲と7つのトリオおよびコーダ
交響曲第5番変ロ長調
ヴァイオリン:ダニエル・スタブラヴァ
指揮:イヴァン・フィッシャー


 イヴァン・フィッシャーは、ベルリン・フィルではお国もののハンガリー音楽を頻?に指揮していますが、今回の演奏会でも、あまり演奏されないドホナーニとフーバイの作品を取り上げています。ソリストは、ベルリン・フィル第1コンサートマスターのダニエル・スタブラヴァ。今シーズンは協奏曲のソリストに楽団内の首席奏者が登場しますが、この演奏会はその第1弾です。
 エルンスト・フォン・ドホナーニの「交響的小品集」(1933年)とイェネー・フーバイ「ヴァイオリン協奏曲第3番」(1907年)は、ロマン派の伝統を強く感じさせる作品で、スラヴ的な郷土性とブラームスを連想させる情熱的なスタイルを特徴とします。ソリストのスタブラヴァは、1983年よりベルリン・フィルに所属し、86年からは第1コンサートマスターとして活躍しています。

この演奏会をDCHで聴く!


ラニクルズのシュトラウスとエルガー
(12月11日)

【演奏曲目】
リヒャルト・シュトラウス:交響詩《ドン・キホーテ》
エルガー:交響曲第1番変イ長調

ヴィオラ:アミハイ・グロシュ
チェロ:ルートヴィヒ・クヴァント
指揮:ドナルド・ラニクルズ

 ベルリン・フィルに頻?に招かれているドナルド・ラニクルズが担当するこの定期では、R・シュトラウスの《ドン・キホーテ》が注目です。今シーズンは、ベルリン・フィルの首席奏者がコンチェルトのソロを務めていますが、ここでもチェロのルートヴィヒ・クヴァントとヴィオラのアミハイ・グロシュが登場しています。グロシュは、2010年に入団した新顔。タベア・ツィンマーマンに師事し、ヴィオラ界では既に広く名を知られる実力者です。室内楽ではイェルサレム四重奏団を設立し、ダニエル・バレンボイムや内田光子等とも頻?に共演しています。

この演奏界をDCHで聴く!


「レイト・ナイト」シリーズの第2回演奏会が中継
(12月11日)

【演奏曲目】
リゲティ:3人の歌手と7つの楽器のための《アヴァンチュール》
ベリオ:《セクエンツァVIII》
ウンスク・チン:ソプラノとアンサンブルのための言葉遊び《アクロスティヒョン》
リゲティ:3人の歌手と7つの楽器のための《ヌーヴェル・アヴァンチュール》

ソプラノ:サラ・サン
メゾソプラノ:トルイケ・ファン・デア・ペール
バリトン:ギエルモ・アンソレナ(以上ノイエ・ヴォカールゾリステン・シュトゥットガルト)
ヴァイオリン:アンドレアス・ブーシャッツ
ベルリン・フィル団員
指揮:サー・サイモン・ラトル

 この10月にスタートした今シーズンの新機軸「レイト・ナイト」が、第2回目を迎えます。ベルリン・フィルの定期演奏会の後に、さらに室内楽を中心としたコンサートを行なうという当シリーズは、すでにベルリンで大きな反響を呼んでいます。現地フィルハーモニーでは、定期演奏会の観客はそのままホールに残ることができ(追加料金なし)、またこのコンサートだけを聴きに入場することも可能です。
 第2回では、サー・サイモン・ラトルの指揮のもと、リゲティ、ベリオ、ウンスク・チンの作品が演奏されています。これらの作品に共通するのは、ささやき声や擬音、叫び声などを取り入れた様式。ノイエ・ヴォカリステン・シュトゥットガルトのメンバーが参加して、特殊な声楽表現を行なっています。一方、ベリオの《セクエンツァVIII》は、ヴァイオリン・ソロのための作品。ベルリン・フィルのコンサートマスター、アンドレアス・ブーシャッツが演奏しています。

この演奏界をDCHで聴く!

 これからのDCH演奏会

マーラー・ツィクルス完結編!ラトルの《大地の歌》
(日本時間12月18日午前4時)

【演奏曲目】
ヤナーチェク:歌劇《利口な雌狐の物語》から最終場面
マーラー:《大地の歌》
バス・バリトン:ジェラルド・フィンリー
メゾソプラノ:アンネ・ソフィー・フォン・オッター
テノール:ステュアート・スケルトン
指揮:サー・サイモン・ラトル

 昨シーズンより進められてきたサー・サイモン・ラトルとベルリンフィルのマーラー・ツィクルスは、今回の《大地の歌》で完結します。この演奏会では、ジェラルド・フィンリー、ステュアート・スケルトン、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターの有名ソリストが参加し、極めて豪華なフィナーレとなります。
 スウェーデン出身のメゾ、フォン・オッターは、1983年のデビュー以来、オペラ、宗教曲、歌曲のすべてで高い評価を受けてきました。マーラーの歌曲では、アバドやブーレーズとも共演を重ねていますが、《大地の歌》のCD録音はまだ存在しません。その意味でも、貴重な機会となるでしょう。またラトルは、これまでこの作品はバリトン版で演奏することが多く、メゾによる上演は、ベルリンでも初めてとなります。この側面からも、期待させられるコンサートです。

放送日時:12月18日(日)午前4時(日本時間・生中継)

この演奏会をDCHで聴く!


ルイゾッティが2度目のベルリン・フィル客演。ソロはパユ
(日本時間12月24日午前4時)

【演奏曲目】
ドビュッシー:フルート・ソロのための《シランクス》
プーランク:グロリア
ベリオ:《セクエンツァT》
プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調

フルート:エマニュエル・パユ
指揮:ニコラ・ルイゾッティ

 2011年最後の定期演奏会には、東京交響楽団の首席客演指揮者として日本でもおなじみのニコラ・ルイゾッティが登場します。ルイゾッティは、2007年12月にドヴォルザークのレクイエムでベルリン・フィルにデビュー。今回が、2回目の客演となります。また当コンサートでは、エマニュエル・パユが20世紀を代表する無伴奏フルート作品を演奏します。

放送日時:12月24日(土)午前4時(日本時間・生中継)

この演奏会をDCHで聴く!

 アーティスト・インタビュー

ヴァレリー・ゲルギエフ
「指揮をする上でジェスチャーや手の動きは、最重要ではありません」
聞き手:ヴィルフリート・シュトレーレ
(ベルリン・フィル ソロ・ヴィオラ奏者)
(2010年12月22日)

【演奏曲目】
シチェドリン:交響的ディプティク
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):《展覧会の絵》

ピアノ:デニス・マツーエフ
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ


 今号から2回にわたって、ヴァレリー・ゲルギエフのインタビューをご紹介します。昨年末に10年ぶりに登場したゲルギエフですが、カラヤンとの出会い、ムラヴィンスキーの指揮スタイルなどについて、興味深い話を展開しています。
 とりわけ印象的なのは、指揮において手の動きが最重要ではない、と言っている点です。そうではなく、オーケストラに対する「眼力」が重要であると、論を展開しています。ゲルギエフと言えば、打点の分かりにくい独特の指揮スタイルが有名ですが、この言葉からは、彼のテクニックに対する考え方が読み取れます。

シュトレーレ 「前回のベルリンフィルでの演奏会から、久しぶりの登場になりますね」

ゲルギエフ 「ええ。久々に戻って来て、嬉しいです」

シュトレーレ 「個人的にも興味あるのですが、ベルリンフィルを初めて振られたのはいつのことですか」

ゲルギエフ 「人生で忘れられない瞬間が、誰にでもあると思います。1977年、24歳の時に、カラヤンが若手指揮者に指導する、という機会がありました。そこで、ベルリンフィルを振らせてもらえたのです。条件は、カラヤンの指揮コンクールに入賞することでした。私は賞を得て、チャイコフスキーの交響曲6番を指揮しました。そのリハーサルの1時間前に、カラヤンと話をする機会を得たのです。テンポについて話したり、ムラヴィンスキーのことを話したりしました。カラヤンがムラヴィンスキーのことを知っていたのは、驚きでした。私が《悲愴》のスコアに記した書き込みについて、議論したりもしました。当時は、偉大なロシア人指揮者を聴いたり、彼らに接することはありました。しかしドイツの巨匠に会って話をし、間近で体験するのは、初めてでした。オーケストラも演奏も、すばらしかった。同時に、非常に興奮していました。コンサート前に、2時間、ピアノで曲をずっと弾いていました。テンポを決めたり、フレージングの確認をしたりして、自分を落ち着かせたのです。私の今までの人生のうちでも、極めて重要なコンサートでした。その後10年間、西欧諸国にはまったく足を踏み入れませんでした」

シュトレーレ 「そのコンサートの後ですか」

ゲルギエフ 「そうです。当時、ソビエト連邦では、有名芸術家が西側に亡命するといったことがありました。しかし私の場合、残ったことは結局、ラッキーでした。というのもこの期間に、指揮を徹底的に研究できたからです。合唱、弦楽器、管楽器、打楽器の操り方、オペラ上演を作り上げるプロセス、歌手との稽古等を、現場で学ぶことができた。国際的キャリアという点では、何も起こらなかった時期でしょう。でも今思えば、それが功を奏したと思います」

シュトレーレ 「それは、今日の指揮者にとっても重要なことですね」

ゲルギエフ 「もちろんです。指揮者というのは、華やかな成功を求めるものでしょう。私もそうでした。でも現在の視点から考えると、大きな歌劇場で集中的に活動したのが良かった。10年後にキーロフ劇場、今のマリインスキー劇場の芸術監督に抜擢されました。でもベルリンフィルのサウンドは、ずっと私の耳に残っていました。あなた方のオーケストラを指揮したことや、カラヤンとテンポのことで議論したことは、強い印象を残したのです。特に鮮烈だったのは、カラヤンがテンポを重視していたこと。テンポを決めること、それを維持すること、そしてそれを変化させることですが、とても大切にしていました」

シュトレーレ 「カラヤンは、テンポに関しては極端なまでに注意を払っていました。彼の弱みといってもいいくらいです」

ゲルギエフ 「カラヤンは、テンポを“維持する”ことにこだわっていました。今日の私は、むしろ反対ですね。テンポを変えることを楽しむ、とでも言うのでしょうか。もちろん必要に応じてですが…。それに対してフルトヴェングラーは、古典派のシンフォニーで、頻繁にテンポを変えていました。ベートーヴェンの5番とか3番とか、かなり自由でした」

シュトレーレ 「彼の場合、テンポは有機的でしたね」

ゲルギエフ 「その意味でも、ベルリンフィルを指揮できることは、光栄です。フルトヴェングラーとカラヤンの両方の伝統がありますから。彼らのスタイルは、世界の音楽家に大きな影響を与えました」

シュトレーレ 「ゲルギエフさんは、どちらのスタイルがお好きでしょうか」

ゲルギエフ 「どちらが優れている、ということではないのです。両方とも極めて重要であり、必要だと思います。指揮は、工場で物を生産するように画一的に行なうものではありません。それぞれが違った性格、人格を持つべきです。自分自身の考えを出してゆくことが、オーケストラに対しても、観客に対しても必要なのです。ベルリンにいると、それを強く感じます。1977年以来、ドイツ全体へは約100回、ベルリンへは約20回来ていますが、ベルリン・フィル、マリインスキー劇場、ロンドン響などの演奏会で指揮できたことを、とても幸せに感じています」

シュトレーレ 「今の若い指揮者にアドヴァイスはありますか」

ゲルギエフ 「私自身が一番興味があるのは、次のことです。どうしてムラヴィンスキーのような偉大な指揮者は、ほとんど身動きせずに、すばらしいサウンドを作れるのか。同じオーケストラでも、他の指揮者が振ると、ムラヴィンスキーのような響きにはなりません。ものすごく動いているのにです。どうして指揮者が変わると、響きが変わるのでしょうか。私は、そのことをずっと考えてきました。そこで気づいたのは、指揮をする上でジェスチャーや手の動きは、最重要ではないということです。まったくそうではありません。大事なのは、思っていることを目で表現できるかです。表現するだけでなく、オケをコントロールできるか。音量、緊張感、リラックスした状態、集中した状態。これらの全ては、手の動きではなく、目から来るべきなのです。若い指揮者は、この“眼力”の秘密、秘儀を身につける必要があります。できるだけ早い時期に体得できればいいでしょう。私の場合、ムラヴィンスキーがレニングラード・フィルを指揮するのを40〜45回ほど聴く機会がありました。このことは、幸運だったと思います。もちろん、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルやシカゴ響もすばらしいオーケストラですが…(後半に続く)」

この演奏会をDCHで聴く!

 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

シャイーが心臓の病気により2ヵ月間休養
 これまでにも心臓病でコンサートをキャンセルしたことのあるリッカルド・シャイーが、同様の症状により2ヵ月間休養を余儀なくされる。この事態より、12月から1月の間に予定されていたバイエルン放送響、ボストン響、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の演奏会がキャンセル。ゲヴァントハウスの演奏会は、年末恒例のベートーヴェン「第9」だが、こちらは同オーケストラの名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットが代役に入ることとなった。ちなみにシャイーは、11月のバイエルン放送響との演奏会もキャンセルしており、同楽団の2つのプログラムは、エリアフ・インバルとデイヴィッド・ロバートソンが代演している(写真:ゲヴァントハウス管を指揮するシャイー© Gewandhausorchester Leipzig)。

レヴァインが2013年まで活動休止
 度重なる背中の手術によりキャンセルが続いていたジェームズ・レヴァインが、2013年まで活動休止をする宣言をした。レヴァインは、これまで何度もカムバックが予告したが実現せず、今年秋のメットの公演(《ドン・ジョヴァンニ》、《ジークフリート》)も、9月末の転倒が原因で欠場となっている。「完全に回復して、指揮が可能になってから復帰する」というのが、12月に入ってからの発表である。
 これにより、メットの首席指揮者に任命されたファビオ・ルイージにレヴァインの公演が振り当てられることに。ルイージは、来年春の《ニーベルングの指環》のツィクルスも指揮するという。

エクサン・プロヴァンス音楽祭がイースター期間にも開催
 夏の南フランスの風物詩エクサン・プロヴァンス音楽祭が、2013年よりイースター期間にも開催されることになった。初年度は、2013年3月26日から4月7日で、約15回の演奏会が開かれるという。これを機に芸術監督も設けられ、ヴァイオリンのルノー・カピュソンが就任す。イースター時期の音楽祭の開催は、ザルツブルク・イースター音楽祭を手本としたものだという。

レオンハルトが公式に引退を発表
グスタフ・レオンハルトが、12月12日にパリのブッフ・デュ・ノール劇場で行なったリサイタルを最後に、公式に引退を発表した。2012年 に予定されていた演奏会は、すべてキャンセルされたという。上記のリサイタルでは、バッハやパーセルなどの作品が演奏され、詰め掛けた聴衆は 大喝采を送ったという。

©2011 Berlin Phil Media GmbH, all rights reserved.


DCHアーカイヴ検索