HMVインタビュー: G.Peterson

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2011年10月5日 (水)

interview

GILLES PETERSON

自身が運営するレーベル<Brownswood>の名物コンピレーション・シリーズ「Brownswood Bubblers」第7弾のリリース記念インタビュー。
今回の作品についてはもちろん、オススメ盤もたくさん教えてくれましたのでそちらも是非チェックしてみてください。(ちなみに前回のHMVインタビュー時(2010年10月)のオススメは、ジェイムス・ブレイクでした)

自分が楽しめる、刺激になる、モチベーションに繋がるものを選んでいるよ。自己中心的な答えかもしれないけど、周りが欲しがっているものを意識し始めると自分が好きな音楽を見失ってしまうから。


--- 『Brownswood Bubblers』シリーズを知らない人のために、このシリーズのコンセプトを紹介して頂けますか?

Gilles Peterson: 『Brownswood Bubblers』のシリーズはここ6年間自分が手がけてきたんだ。僕がナビゲーターを務めるBBCの番組でオンエアした曲の中から選曲しているんだけど、収録されている曲の中にはとてもレアなトラックもあったりするよ。素晴らしいけどまだ皆に知られていない曲や、これから人気がでる新人アーティスト達の曲を中心に集めている。ソウルフルな曲を集めたシリーズともいえるね。

--- このシリーズも今回で第7作目となりますが、2006年にシリーズ第1弾をリリースしてからの6年間で何か変わったと思う事はありますか?

Gilles Peterson: ここ6年間で変わったことは、昔と比べてレコード会社の数が減り、それに反比例して様々なタイプの素晴らしい音楽が増えてきたから、曲を選ぶ時の選択範囲がずっと広がったことだね。

--- 今回はヴォーカルもののトラックが多いですよね?

Gilles Peterson: 『Brownswood Bubblers』では第1弾からヴォーカルもののトラックを取り入れてきた。ジャンルもフォーク、エレクトロニック、ソウルなど幅広く選曲してきたよ。その流れで今回のアルバムにも多くの歌物が収録されているんだ。このシリーズはダンス・ミュージックのコンピレーションではなくて昔<Talk’n Loud>で扱っていたような、ソウルフルで落ち着いた感じの音楽を好む人達の為に作っているんだ。オールドスクールな僕の選曲を楽しめると思うよ。

--- 今回収録された中で特にオススメの一曲はなんでしょうか。

Gilles Peterson: どれが一番お薦めかという質問は難しいね、、、好きな曲は気分によって変わるんだ。 でも、特にオススメなのはNtjam Rosieの「In Need」というトラックかな。彼女のルーツは南米のスリナムという国なんだ。今はオランダのロッテルダムに住んでいる、とても素晴らしいアーティストだよ。

--- 今後注目すべきシーンやアーティストがいれば教えてください。

Gilles Peterson: 今後注目すべきシーン、アーティストと聞かれるととても悩むね、、、僕が特に注目しているのはNew World Music、つまり世界各国のワールド・ミュージックを新しい解釈で捉えたものに特に興味があるね。レーベルでいうならあたりかな。それとDamon Albarnの新プロジェクトDRC Musicもオススメしたいね。それからトロピカル・ムーブメントという新しいジャンルがイギリスを始め海外で出てきているんだ。僕のレーベルからリリースしたOwiney Sigoma Bandなんかがこのムーブメントに近い音だね。 他にもダブステップの背景から広範囲に広がっているポスト・ダブステップのDJやプロデューサー達に注目しているよ。

--- 今後クラブ(音楽)シーンはどのような方向に向かって行くと思いますか?

Gilles Peterson: ここ20〜30年間でクラブは多様性を持つようになったと思う。例えばマクドナルドもあれば高級レストランもあるといった感じで、クラブもスーパークラブと呼ばれる商業的な大型クラブもあれば、質の高いモードなジャズを聴きながら音楽を楽しむ人達が行くクラブも増えてきているよ。 イギリスの場合だけど、僕が1番楽しそうだと思うのがホームパーティの延長線上にあるイベントだね。そういったイベントはオーガニックで自然な流れで音楽や体験を楽しめる環境だと思う。その方が商業的な感じがなくて、ソウルのこもったイベントだと思うんだ。

--- あなたが音楽を選ぶ時に最も重要視している事はなんでしょうか。

Gilles Peterson: 自分自身。自分が楽しめる、刺激になる、モチベーションに繋がるものを選んでいるよ。自己中心的な答えかもしれないけど、周りが欲しがっているものを意識し始めると自分が好きな音楽を見失ってしまうから。

--- あなたほどの存在になると周りの人間やリスナーからプレッシャーを受ける機会も多いと思いますが、そのような時はどのように対処されていますか?

Gilles Peterson: 確かにこの仕事を長年やっていればプレッシャーを感じることもあるよ。テンションが上がっている日もあれば、下がっている日もあるし、そりゃ本当に疲れると仕事を辞めたいと思う時だってあるけど、でも自分のやりたいことをしているから大丈夫だよ。それにプレッシャーを感じない方がおかしいんじゃないかな?対処法といえば、ここ10年間ずっと続けていることだけど、ジョギングをしてる。村上春樹を見習ってね。彼はジョギングをして救われたと言っていたんだけど、僕もジョギングをする事によってとても救われた気がするんだ。仕事でどこに行ってもジョギングをしているよ。時差ぼけ対策にもなるしね!(笑)

--- 今後のご予定は?

Gilles Peterson: スケジュールを見てみないと分からないなぁ。今見てみるよ。待ってて!(ノートパソコンを開けてチェックするジャイルス)
東京と仙台でイベントがあって、その後イギリスに戻ってから3ヶ月くらいはヨーロッパ各国のイベント出演する予定だよ。あとリミックスの仕事もあるね、The Beesのリミックスやる予定だ。11月には僕のプロジェクトHavana Culturaバンドとイベントをやる予定だよ。それから来年2月の東京マラソン参加したいんだ!その為にも今からトレーニングを始めなきゃね。もし東京マラソンで走れたら、自分が運営しているチャリティ募金とPlay for Japanのために走りたいと思っているよ。

--- 最後に日本のファンへ向けてメッセージをお願いします。

Gilles Peterson: この半年間日本のファンや友人たちにとって激しい変化のある感情的な期間だったと思うんだ。そんな不安な時期こそクリエイティブな力が発揮できると思っている。アメリカ、イギリスの歴史をみると社会が不安定な時こそ素晴らしい文化が生まれている、だからこんな時だからこそ、ギターをとるなり、歌詞を書くなり、絵を描くなり、どんな形でも良いからクリエイティブな力を発揮して欲しいんだ。

新譜Various / Brownswood Bubblers Seven
Flying Lotus、Mayer Hawthorne、Ghostpoet、Floating Points、Dam Funk、Jamie Woonなど、今シーンを騒がせている重要アーティストたちのブレイクのきっかけともなってきた<Brownswood>の名物コンピレーション・シリーズに第7弾が登場!今回は目玉としてBasement Jaxxのサイモン・ラトクリフによるソロ音源のほか、今後大注目のシンガー/ビート・メーカーを先取り収録したナイス・コンピ!!
    • Brownswood Bubblers Seven
    • 2011年9月24日発売
    • 【収録曲】

    • 01. Jon Phonics / The One
      02. Tanya Auclair / Thrum
      03. The Stepkids / La La
      04. Stealing Sheep / Shoot The Ducks To Win
      05. Zara McFarlane / Waking Sleep(Thoughts)
      06. Ntjam Rosie / In Need
      07. Cleveland & Ahmed - Sensitive
      08. Obenewa / Make It Better
      09. Ivy Chanel / Wind Blows (Samba/Soul Remix)
      10. Tall Black Guy / Water No Enemy
      11. Chris Turner / Liquid Love
      12. KING / Hey
      13. Jesse Boykins / B4 The Night Is Thru
      14. Cubic Zirconia / Night Or Day feat. Bilal
      15. The Park / Belleville
      16. Ratcliffe / Mindseth

      ジャイルス一押し曲をチェック!
      試聴できます♪
      Ntjam Rosie / In Need(Youtube)
      Bubblersアルバムティーザー(Soundcloud)

【こちらも注目】
    • Masterpiece
    • Gilles Peterson
    • 2011年8月25日発売


    • UKミニストリー・オブ・サウンド発の人気シリーズ「Masterpeace」最新作にジャイルス・ピーターソンが登場!各テーマの元に新旧様々なトラックを選曲&ミックスした超充実の3CD!


【ジャイルスご推薦ディスク】
    • Until Tomorrow
    • Zara Mcfarlane
    • 2011年10月8日発売予定


    • <ジャイルスからのコメント>
      Zara McFarlaneはとてもエキサイティングな新人で、Adeleのジャズ・ヴァージョンのような存在だ。僕がプロデュースしたJose Jamesの女性版とも言えるね。これから彼女の成長を見守ってサポートするのがとても楽しみだよ。

    • Kinshasa One Two
    • Drc Music
    • 2011年10月29日発売予定


    • ブラー、 ゴリラズのデーモン・アルバーンが発起人となったプロジェクト"DRC MUSIC"が<Warp>より緊急リリース!

    • Owiny Sigoma Band
    • Owiny Sigoma Band
    • 2011年5月7日発売


    • これぞ真のカルチャー・クラッシュ!
      ジャイルス・ピーターソン“ハバナ・カルチュラ”のアフリカ版とも言える最高に活気に満ちたプロジェクト、オウニー・シゴマ・バンド!!
      輝かしく、開放感あるアフ ロ・グルーヴ・コレクション!!

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