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モレーノ・ヴェローゾ インタビュー

2011年10月4日 (火)

interview


ブラジル音楽界のリーダー、カエターノ・ヴェローゾの長男であり、カシン、ドメニコとのユニット “+2” の活動を通じても知られているシンガー / ソングライター、モレーノ・ヴェローゾが10月後半に来日し、ソロツアーを行なう。また来日に合わせて、2008年に日本で行なったソロ・コンサートのライヴCDも発売される。6度目の来日を前に、メールで最新のインタビューを行なった。
(インタビュー、構成 / 花田勝暁)


「日本でのライヴが実は人生初のソロライヴだった」


--- 2008年に日本で行ったソロライヴは、あなたの人生ではじめてのソロライヴでした。この経験は、その後のあなたのキャリアに影響を与えましたか?

友人がいないステージでたった1人で演奏するという、その新たな経験は、ぼくのその後の自己形成に、すごく強い影響があった。この経験を通じて恐らく、ステージにぼく1人だけしかいない状況でも、お客さんといくらかの幸福を分かち合えるということを信じられるようになった。このことは間違いなく、自分が今やっていることは正しいんだという希望を持って、仕事を続けていくための力をぼくに与えてくれた。



モレーノ・ヴェローゾ ソロ・イン・トーキョー Moreno Veloso Solo in Tokyo

2011年の来日ソロツアー (10月15日〜30日) を記念して発売される、2008年8月に日本で行なったキャリア史上初のソロ・コンサートのライヴ盤。
アコースティック・ギターの弾き語りを中心に、曲によりパンデイロも演奏。父カエターノとの共作を含むオリジナル曲をはじめ、モレーノの来日中に94歳で大往生したバイーアの音楽文化のシンボル、ドリヴァル・カイミの作品、バイーアのサンバ・ヂ・ホーダ、オロドゥンやイレ・アイェといったバイーアのブロコ・アフロの名曲、さらに友人・高野寛の作品 (歌詞は日本語!) など15曲を収録。2チャンネルのダイレクト録音で、加工や修正はいっさい行なっていない、ピュア・アコースティック・ライヴです。
モレーノ+2名義で発表した『タイプライター・ミュージック』以来、10年ぶりとなるセカンド・アルバムです。 (2011年10月05日発売)




「スタジオ録音の新作も完成間近」


--- ソロアルバムを録音している写真を見ました。新作はどんなものになりますか?

ほぼ完成していて、今のところ10曲ある。全部がとてもシンプルで、いくつかの曲は子供向けのアレンジになった。ぼくの子供たちのためにね。プロデュースはペドロ・サーと僕自身で、僕の友人がみんな演奏したり、何かしら参加している。もちろん、絶対に欠かせないドメニコとカシンも参加しているよ。



「日本が大好き」


--- あなたはもう何度も日本へ来ていますが、日本についての印象は変わりましたか?

日本について様々な印象を持っているけれど、日本に行く度に日本を好きな気持ちは大きくなっていくよ。人々や、芸術や、美意識や、実行能力に感心する。初めて日本に行ってからもう15年以上経って、たくさんの事が変わった。今では、外国人が電車に乗るのも随分分かり安くなって、乗り間違えて居場所がわからなくなるってこともなくなったよね (※ 初来日の時に、電車に乗って自分がどこにいるのかわからなくなって言葉も通じず、自分が何もできない赤ちゃんのようだと感じたという経験から、一時期日本語を勉強していた。その成果はライヴ盤に収録の高野寛作「おさるのナターシャ」でも聞くことができる) 。



「ライヴ内容は?」


--- 前回のあなたのソロライヴは 「(バイーア出身の大作曲家の) ドリヴァルの思い出に捧げる…」 という言葉と共に始まった、とてもバイーア色の強いライヴでしたが、もうどんな曲を演奏するかを考えはじめましたか? どんなライヴになりますか?

ぼくの人生ではじめてのソロライヴの日は、ドリヴァル・カイミが亡くなった日だった。すごく泣いた。ライヴの最中にも...。音楽を通して、自分をバイーアの近くに置くことをでしか、自分を落ち着かせることができなかった。今現在、バイーア州のサルヴァドールに住んでいる。ぼくが生まれた街で、子供の頃に離れた街だ。おそらく今ぼくは、以前よりもバイーア気質に溢れているけれども、まだ10月の日本のライヴでどんなセットリストにするかは、まだ決めていないんだ。



「祈りを込めて」


--- 日本のファンにメッセージはありますか?

ここ数ヶ月、3月に日本を襲った巨大な自然災害から、街と人々が回復し、放射能の問題に対して技術者たちがなるべく早く解決策を見つけられることを願って過ごしてきました。日本の再建に対して、主体的に何かする機会が今まで作れなかったですが、全てが良い方向に向かうように心の底から祈ってきました。
ようやく日本でライヴができます。あなた方が思っているよりも、ぼくはあなた方のことが好きなんですからね。そう思って待っていてよ!
ありがとう。


モレーノ・ヴェローゾ ソロツアー

10月15日 (土) @ 東京 プラッサオンゼ
10月16日 (日) @ 鎌倉 カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ
10月18日 (火) @ 那覇 桜坂劇場ホールB (ゲスト: 比屋定篤子)
10月20日 (木) @ 福岡 カフェガレリア
10月21日 (金) @ 岡山 城下公会堂
10月22日 (土) @ 大阪 シャングリラ (オープニングアクト: ノボス・ナニワーノス)
10月23日 (日) @ 名古屋 オキナワAサインバーKOZA (オープニングアクト: ARCO)
10月25日 (火) @ 横浜 モーション・ブルー・ヨコハマ (ゲスト: Saigenji)
10月29日 (土) @ 山形 山寺風雅の国 「馳走舎」
10月30日 (日) @ 東京 CAY (ソロ&サンバ・ヂ・ホーダ・セッション)



profile

モレーノ・ヴェローゾ Moreno Veloso
1972年11月生まれ、カエターノ・ヴェローゾの長男。96年、アート・リンゼイのバンドのパーカッション奏者として初来日。2000年、ドメニコ、カシンとのトリオ、モレーノ+2名義でファースト・アルバム 『マキナ・ヂ・エスクレヴェール・ムジカ(タイプライター・ミュージック)』 を発表。ブラジル・ネオ新世代の旗手として注目を集め、2001年にモレーノ+2で来日。2006年にモレーノ=ドメニコ=カシン+2で、2007年にはアドリアーナ・カルカニョット=モレーノ=ドメニコ=カシンのユニットで来日。2008年、ブラジル現代美術展 「Blooming:ブラジル - 日本 きみのいるところ」 (豊田市美術館) に島袋道浩 (Shimabuku) のコラボレーションで参加。同年8月に来日し、美術館講堂および東京にて生涯初のソロライヴを行なった。

近年はアドリアーナ・カルカニョットとの共作、共演をはじめ、コンポーザーとしてガル・コスタ、ホベルタ・サー、ニーナ・ベッカーなどの女性歌手に曲を提供。父カエターノのアルバム 『セー』 (2006年) 、 『セー・ライヴ』 (2007年) 、 『ジー・イ・ジー』 (2009年) のプロデューサーもつとめている。

日本の音楽家との交流も深く、高野寛、小山田圭吾 (コーネリアス) 、嶺川貴子、Saigenji、akiko、安田寿之らとレコーディングやライヴで共演、2007年には 「Fuji Rock」 にも出演した。

ギター、チェロ、パンデイロなどのパーカッションを演奏するマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤー、繊細な歌声のヴォーカリスト、そしてコンポーザー、プロデューサーとして活躍しているが、その音楽性と脱力のたたずまいは、あくまでも自然体。故郷バイーアの風土に根ざしたサンバの歌 / 演奏 / ダンスも見もの、聴きものである。