インタビュー:鬼

2011年5月23日 (月)

interview
--- 鬼君は、ヒップホップと出会う前はロック〜パンクのバンドもやってたんだよね?

「そうですね。元々、家に歌謡曲とかジャズのレコードとか沢山あって、色んなものを聴いて育ったんですよ。体を動かすのが好きで、サッカーも8年くらいやってたんですけど。バンドに関しては、まあ・・・ってことでいいですか(笑)」

--- 中でも影響を受けたのは?

「色々あるんですけど・・・・ジャニス・イアンが好きでしたね。「Stars」の歌詞とか深いな〜と。歌詞カードとかライナーノーツを見るのとか好きでしたね」

--- じゃあ、小説や映画だと?

「小説は五木寛之の『青年は荒野を目指す』とか、ですね。中学の時に読んだんですけど、音楽により興味を持つキッカケになったと思います。あと、放浪癖とか・・・影響を受けてますね。映画だと、武田鉄矢の『幕末青春グラフィティ Ronin』がいいですね」

--- じゃあヒップホップと出会ったキッカケは?

「MTV でアップタウン(・レーベル)のライヴを観たのが最初だったような・・・。へヴィ・Dとか、メアリー・J、ジョデシィ、ファーザーMCらが出てたヤツで・・・。そこから色々と聴くようになって。DJやってたので、同じレコード2枚買ったり、クラブで酒呑んだりする日々でした。でも、まあキッカケはモテたかったんで(笑)。その頃は音楽に対してマジメじゃなかったんでしょうね。あと、鬼というMCネームは自分で付けたわけじゃないんですけど・・・そこは説明しないようにしてます(笑)」

--- これまでにリリースした、赤落プロダクションとしてのアルバム『赤落』から、ソロでの1stフル・アルバム『獄窓』、ピンゾロでの『P.P.P』といったこれまでの作品について順を追ってコメントして。

「まあ『赤落』の頃は・・・若かったですよね、色んな意味で(笑)。で、ソロの『獄窓』はコンセプト・アルバムっぽいと言うか、“中”で書いたリリックも多かったりして、自分をまとめたものが中心でした。ピンゾロのアルバムは音楽性という点でも新しいものへの挑戦、でしたね。(新宿)ゴールデン街で感じたこととかがコンセプトになっていて」

--- その、元犬式のメンバーらと組んだピンゾロで打ち出した音楽性は、今作『湊』にも繋がってる?

「そうですね。ピンゾロは俺とバックバンドとかいう感じじゃなくて、3人それぞれがフロントマンみたいな・・・。それぞれが歩み寄る形でやってましたね。やっぱり、日本語ラップ好きの人は、ラップしか見なかったり・・・ってあるじゃないですか?それがピンゾロではジャズとか畑違いの人たちから人伝いに「いい!」とか聞いて。嬉しかったですね。今回のミニ・アルバムだと、「言葉に出来ない」と「またね・・・」には、生のグランド・ピアノを入れていて、そのピアノと、トラック、そしてラップの温度を合わせるのが難し かったと言えば難しかったんですけど、それもピンゾロでやってきたことに繋がってますし」

--- あとテーマでもある“湊”というのは、色んな人が出入りする場所であって、鬼君にとってそれはは(アートワークにも写っている)新宿ゴールデン街なんでしょ?

「自分にとってはそうですね・・・。そこで愛を知った部分もありますし。今回はより(リスナーに)伝わるように、ということは意識しました。リリックはあくまでも主観ですけど、その場面を説明し過ぎないように、ということも考えたり・・・。曲には、やっぱりその時々の環境が大きく反映されると思うので、周りを見渡して、今伝えたいことを形にしてます」

--- 『湊』では、そうした音楽性のバックグラウンドも見えるし、ラップそのものが音楽性がある、と感じたんだけど・・・

「ありがとうございます!ただ、色んな音楽聴いてるんでしょ?とか言われたりするんですけど、基本は自分が作るものを聴いてるというか、聴きたいものを作ってるので。ピンゾロもそんな感じですけど・・・。あと、恐らく“人間臭さ”や“昭和っぽさ”は、自然と出てるかな、と思います。(般若、SHINGO★西成参加の)酔どれ横町」とかもそうですが」

--- トラックメイカーは、鬼一家のD- EARTHを中心に、PSGのPUNPEE、SUGARCRACK、BEAT奉行、LIBROなど、クレジットを見る限りバラバラなんだけど、通して聴いたら違和感がないと言うか・・・。鬼君からのリクエストも実際多かった?

「いえ、そこは無いんですよね、実は(笑)。上がってきたものの中から選んで・・・。全部で20曲分くらいあったんですけど、多分、クセと言うか、好みのものを自然にチョイスしてるのだと思います。よくトラックが“ジャジーですよね?”って言われるんですけど、自分ではよく解らないですね(笑)。ピンゾロならまだ分かりますけど。あとは、やっぱりラップという表現だと言葉数が多くなるので、物を書くことで自然と自分自身と向き合うようになるので、そこはやっぱり好きですね」

--- 今作はテーマとして、様々な形の“愛”を感じる

「そうですね・・・・友人だったり、家族であったり、日本という国であったり。過去を振り返ってる曲もあるんですけど、今までとは視点も違いますし。あと、発売日の4月20日は子供の誕生予定日ということもあって・・・。ラッパーである以前に人間なので、そうした変化、成長が反映されたとは思います。良い部分も悪い部分も含めて。責任感がより出てきたと言うか。実際、制作の予算とか大きくなるに従って、考えなきゃならないので。それだけに物事がシンプルに見えるように、自分自身を俯瞰視できるようになりました。何をやるべきか?震災があったからじゃないですけど、とにかく前を向いて、しっかり地に足付けて生きてかないと、と思うので」

--- 「感想文〜阿片戦争〜」では、アメリカ人ラッパーのCRAZY-Tを迎えて、日本人としてのアイデンティティについて触れてるよね?

「実はこの作品の制作期間は結構短くて、そこまでテーマについて深く考えて突き詰めてはなかったんですけど、やっぱり自分のいるこの国が好きだし、それだけに日本だけじゃなく外から見た視点も欲しくて。人を見て自分を知る・・・じゃないですけど。中国との関係、という部分で時事ネタの要素もありますし、こういった曲をやりたいとは前から思っていたので。よくありたい、と思うには、やっぱりそれなりの勉強が必要だし、探究心は失いたくないですよね」

--- そう言えば、ド頭の「自由への疾走」では“Keep It Right”ってフレーズも出てくる・・・

「まあ、大人になると悪いことは出来ないし、社会的制裁受けるだけなので(笑)。リリックから俺の過去を知った人は多いと思いますけど、そこで示していけることもあるかな、と。同じ境遇にあった奴は励みになるだろうし、反面教師として物言えることもあるので。まあ、自分自身、過去からして良い人ではないですけど(笑)、よくありたい、ですよね。そう言いながらも、“性教育”のスキットがあったり・・・(笑)。これは、さすがに子供には聴かせらんないですよね(笑)。俺の仕事は音楽なので、子供から見て“音楽の仕事は楽しそうだな〜。仕事にしたいな〜、と思われるように、自分自身、楽しくやっていきたいです。前はそういうことまで正直考えなかったですけど、それも変化だと思います。音楽で飯を喰ってく以上、ブレたら駄目だし」

--- 10曲入りでミニ・アルバムとうたう割にはボリュームもしっかりあって、アルバムらしいと感じたんだけど(笑)

「よく言われます(笑)。ただ、前作『獄窓』が21曲入りということもあって・・・、それだけに自分的には10曲だとフル・アルバムというのは正直、抵抗があって。なので、今回はこのまとめ方で良かったとは思うんですけど、次はフル・アルバムにしたいですね。とかいいつつ、まだ何も決めてないですけど(笑)、いずれにせよ力一杯やりたいですね」

--- 最後に、ファンに一言

「よく聴いてくれてありがとう!って感じですかね。励みになります。感謝してます、本当に」

新譜『湊』 鬼
09年発売した赤落「小名浜」で一躍注目を浴びたリリシスト “ 鬼”が問題のミニアルバム「湊」を発売!客演陣には、自身のクルーBLOM、K.E.I、D-EARTH と輪入道を迎え、ゲスト陣には、般若、SHINGO★西成、 CRAZY-T が参加。

[追悼] 二木崇さん

5月20日にブラストやリディム、各種ライナーノーツ、その他多数のレビューで活躍していた音楽ライター/プロデューサーの二木崇氏が急逝されました。
音楽ファンであれば、一度は二木さんの文章を目にすることがあったと思います。このHMVオンラインでも国内外のアーティストのインタビューを数多く手がけていただき、インタビュー以外でも交流のあるMURO氏の連載(Radio King 〜King Of Diggin' Mixx Show〜)の橋渡しをしてくださったりと、大変お世話になっておりました。 この場をお借りして御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
二木さんの明るく楽しいお人柄と、音楽愛溢れる文章はいつまでも私たちの心に残っております。
謹んでお悔やみを申し上げるとともに、心からご冥福をお祈りいたします。

 Interview by Takashi Futatsugi

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    『湊』

    発売中

    09年発売した赤落「小名浜」で一躍注目を浴びたリリシスト “ 鬼”が問題のミニアルバム「湊」を発売!客演陣には、自身のクルーBLOM、K.E.I、D-EARTH と輪入道を迎え、ゲスト陣には、般若、SHINGO★西成、 CRAZY-T が参加。

    [収録曲]
    01. 自由への疾走
    02. シノギ feat. BLOM、K.E.I、D-EARTH と輪入道
    03. ひとつ
    04. 感想文〜阿片戦争〜 feat. CRAZY-T
    05. SKIT〜性教育〜
    06. なんとなく
    07. 酔いどれ横町 feat. 般若、SHINGO★西成
    08. つばめ
    09. 言葉に出来ない
    10. またね
profile

福島県いわき市出身。スカーズのプロデューサー "SAC" のデビューアルバム "Feel or Beef" や"SEEDA & DJ ISSO"の"CONCRETE GREEN" の客演により、圧倒的な存在感でオーディエンスを魅了し、その後、250 枚限定(アナログ)でリリースされた問題作" 見えない子供、見てない大人" が即売れ切れる等、マニアの間でブームを起こす。直球勝負のリリックと、気合いの入ったフロー、パンチライン続出の超重要人物! 今後の動きに目を離せない要注目ラッパー。SEEDA, DJ ISSO といったSCARS の面々や漢、JUSWANNA といったLIBRA クルーとも共演し、その歯に衣を着せぬハードコアなスタイルが各方面で話題をかっさらっている。


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    『獄窓 +1』

    2011年05月25日発売

    暫く入手困難だった鬼名盤2タイトルが未発表曲を追加して再発決定!!「糸」「ブランコ」「いきがり」等ライブでも人気の名曲多数の1STフルアルバムに「精神病室 REMIX」を新たに加えてリリース!!

    [収録曲]
    01. いきがり
    02. 死ぬまでの暇潰し
    03. ブランコ
    04. シャンパンコール
    05. skit in to the 直腸
    06. どっちもどっち
    07. おもちゃ
    08. 冷たい涙 feat.104,鬼っ娘
    09. 題無しですkit
    10. 宴〜ちゃらんぽらん〜
    11. 文化<芸能
    12. うざい
    13. ばちこい
    14. skit on the う○ち
    15. 嘘か馬鹿か
    16. 雑居房
    17. skit on the 日常
    18. skit go to the G街
    19. 精神病質
    20. 消化不良
    21. 糸 feat.BES
    22. outlaw
    23. 精神病質 REMIX (Bonus Track)

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     鬼一家
    『赤落 +3』

    2011年05月25日発売

    暫く入手困難だった鬼名盤2タイトルが未発表曲を追加して再発決定!!代表曲「小名浜」収録の名盤!!加えてMoNa aka Sadgirlとの「合鍵」、「カラス」等未発表曲を3曲加え、更にジャケは新装盤!!

    [収録曲]
    01. 小名浜 / 鬼 track by I-DeA
    02. 甘い思い出 / 鬼 track by DAWNTOWN
    03. スタア募集 / 鬼 客演D-EARTH track by D-EARTH
    04. 見えない子供見てない大人 / 鬼 track by oldfachion
    05. スキット
    06. ontime07 / 鬼 客演 BES track by EISHIN
    07. 鬼節 / 鬼 客演 GOUKI track by punpee for PSG additional guitar byアゴ藤崎
    08. 我道 / 鬼一家 track by D-EARTH
    09. 我道 鬼がらmix / 鬼 客演 NORIKIYO,Guinesse
    10. スキット
    11. 都心 / BLOM track by DJ TAGAYA
    12. BOIDY SNATCHER/D-EARTH track by D-EARTH
    13. 都貘 / K.E. I track by DS
    14. シェケバデ/鬼三家 track by D-EARTH
    15. アウトロ
    -Bonus Track-
    16. カラス
    17. 合鍵 feat.MoNa aka Sadgirl
    18. 未定 track by LIBRO

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     ピンゾロ
    『P.P.P.』

    発売中

    ラッパーの鬼、犬式のDr,Kakinuma、The FUNKY PERMANENTSのBassTOMの3ピースバンド、ピンゾロによるアルバム!!「小名浜」「糸」等名曲を連発している日本語HIPHOP界きってのリリシスト鬼と、惜しくも解散してしまったレベルミュージックの雄、犬式 aka DOGGYSTYLEのドラマー柿沼、新宿を中心に活動する突然変異のオール・インスト・プロジェクトThe FUNKY PERMANENTSのベーシスト佐々木”TOM”孝浩、の新宿ゴールデン街を根城にする3人のチンピラ達が集結しバンドを結成。その名をピンゾロ・・・

    [収録曲]
    01. イントロ
    02. 青二才の疾走
    03. 手の鳴る方へ
    04. ブランコ 〜ピンゾロ風味ix〜
    05. 埋め合わせ
    06. ホステス feat.鎮座DOPENESS
    07. 唇をかみしても
    08. P.P.P.
    09. ばくち feat. K.E.I
    10. ホステス 〜閉店業務ix〜 tracked by D-EARTH