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AV女優を扱った2つの映画についての考察

2011年1月24日 (月)


ハピネットからAV女優を作品のテーマに扱った2つの映画がリリースされる。1つは『nude』(1/7)、もう1つは『名前のない女たち』(2/4)。偶然のこのタイミングに「AV女優を扱った2つの映画についての考察」をしてみようと思う。

みひろの自伝が映画化! 『nude』
ピンク四天王が撮った 『名前のない女たち』


最近はAV女優のことを「セクシー女優」なんて呼んでいたりして、彼女達の多くがTVや映画、バラエティーの世界にも進出している。彼女達は「ハダカ」になることに規制があまりないので、それがたとえTVであっても深夜枠であればSEXシーンやおっぱいを出す・・・といった、直接的ないい意味での「11PM」的 OR 山本晋也的要素をお茶の間でも堂々と担い、男性諸氏を、またはAVやピンク映画、性風俗に敏感な女の子達を悦ばせ、挑発している。そんなAV女優=セクシー女優の中にも種類があり、破格のギャラでメーカーと契約し、一人で出演する「単体女優」や単体で名前が出ながらも複数のメーカーで過激な仕事をこなす「企画単体女優」、そして、名前と顔を出さない、もしくは名前を出さずにAVに出演する女優を「企画女優」と言う。

その中で「単体女優」として人気を集め、NHK大河ドラマ「龍馬伝」にまで出演という快挙に加え、「おねだりマスカット」をはじめとするバラエティーや彼女の代表作にもなっている映画、入江悠監督の『SR サイタマノラッパー』でも活躍したみひろがAV女優の道に踏み込んだ不安と葛藤、赤裸々な告白を綴った自伝「nude」を小沼雄一監督(『童貞放浪記』他)が渡辺奈緒子主演で映画化したものが『nude』。そして、「企画女優」と呼ばれる彼女達の性と生をインタビューで綴った同名ベストセラー・ノンフィクション(宝島社文庫/1〜4巻累計25万部)を「ピンク四天王」の1人、佐藤寿保監督が新井浩文渡辺真起子鳥肌実木口亜矢河合龍之介など個性的な実力俳優に加え、新人・安井紀絵と園子温監督の『エクステ』などに出演している佐久間麻由を起用し、映画的な演出でダイナミックに描いたのが『名前のない女たち』。


nude


nude』で主演を演じた渡辺奈緒子は、同じ事務所の先輩にあたる窪塚洋介がカメラマンを務めた「月刊渡辺奈緒子」が話題になり、北野武監督最新作『アウトレイジ』などにも出演しているが、本作の彼女は本当に美しい。扱ったテーマがテーマゆえの大変さよりも、それを凌駕した存在感があった。AVに出演することで友情や恋愛が壊れながらも、「AVは次のステップのため。有名になりたい、芸能人になりたい」と割り切りながら頑張り続けるところにはあまり共感が持てないが、努力し続けた結果が自分がなりたい理想形の今、「みひろ」という一人の女の子の成功例は、「そうなりたい」と希望を見出している女の子達の憧れであり、目標になっているのだと思う。


名前のない女たち


名前のない女たち』は全くの新人、安井紀絵が主演でとにかくがむしゃらに頑張っている姿がとてもかわいい。新井浩文演じるスカウトマンに「君さぁ、人生楽しい?自分でない誰かになれたら面白いって思わない!?」と声をかけられ、OLをしながらAVの世界に入っていく。また、所属したAV会社の社長が鳥肌実というのがまたさらに怪しくB級感たっぷりなのだが笑、ウィッグを付け、オタク少女の衣装を身に纏うことで、対する佐久間麻由は、元ヤンキーでキレると手がつけられなくなる自分を押し殺す代わりに男に貢ぐという選択で「違う誰かになれたら・・・」とその状況を受け入れていく。彼女達は次のステップに行くためでも、有名になりたいわけでもなく、ただ日常生活にすっとAVが歩み寄ってきたというイメージで、その日常感覚が誰にでも起こりそうな要素を孕んでいるように思えた。ある時から2人の全くタイプの違う女の子の心が通じ合い、全裸になってビールをかけ合ったり、海ではしゃいだり、川をボートで流れてくるシーンなどからは、湿度をおびた甘酸っぱい潮の匂いがした。ストーリーはありきたりだけど、何かが残る印象なのは「映画でしか出来ない表現」をカメラに焼付けようとした監督の執念からもきているのかもしれない。物語が終わった後、エンディングテーマに戸川純の「バージンブルース」が流れるというところからも何となく、作品の質感が伝わってくるのではないだろうか。

元AV女優の森下くるみがAV女優(晶エリー、滝沢優奈、長谷川瞳、みづなれい、川上ゆう、大塚咲、彩花ゆめ、小澤マリア)にインタビューした「らふ」(表紙もかわいい!)という著書を最近読んだのだが、ここには彼女達がそれぞれに潔く、過去も現在も全てを肯定して生きている様子で溢れていて、読んでいてとても気持ちよかった。たぶん・・・今はAV女優に対して、世の中の視線もだいぶ明るくポップに変わってきている。自分の選択した人生はそこに責任さえ持てれば何に打ち込み、一生懸命になったっていい。「人はそれぞれ違う」ということを前提とした上で差異を排除していくのではなく、お互いの個性や性質を受け入れ、共存していく世の中の価値観(これこそが平和ではないかと・・・)の中に、彼女達のようなAV女優という生き方を選んだ選択肢も、わたしは誇らしいと思う。

この2つの作品を見比べてどう思い感じるかは・・・あなた個人に託したい。

TEXT: 長澤玲美



© 2010 「nude」 製作委員会/© 2010 「名前のない女たち」製作委員会



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