【インタビュー】百景

2010年4月27日 (火)

interview

百景

インストバンドでありながら歌心を感じさせる。その完成されたサウンドは日本人によるポストロックの完成形とまでも称された。3ピースの完璧なアンサンブルとどこか懐かしさを感じさせるサウンドを奏でる百景の新作ミニアルバムが登場!

--- 百景の皆様、このたびはインタビューにご協力いただき、ありがとうございます!今回HMV ONLINEに初登場ということで、簡単に自己紹介をお願いします。

タナカケン(以下タナカ):キヤブナツコ(Bass)、タナカケン(Drums)、ナカモトシュウヘイ(Guitar)からなる、3ピース、インストゥルメンタル・バンドです。大阪出身、いまは東京に拠点を移して活動しています。

--- ミニアルバム『とおくを つなぐもの』のリリースおめでとうございます!まずは率直な感想を聞かせてください。

タナカ:すごく嬉しいです。リリースの度に思うんですが、たくさんの人に聴いてほしいです。

--- アルバムタイトルがとても素敵で、百景の人柄がとてもよく出ていると思ったのですが、このタイトルの由来などを教えてください。

タナカ:「とおくをつなぐもの」というタイトルは、室生犀星さんの『ふるさとは遠きにありて思ふもの』っていう詩の一節からの連想もあったんです。イメージとしては、大阪から東京に出てきて1年が経って、故郷のありがたさも思うし、それに、ツアーでいろんな地方に仲間が出来て、その人たちのおかげでツアーやいろんな活動が出来ている、という気持ちがあります。そういう人と人の繋がりに感謝したいし、たとえ遠くからでもちゃんと繋がっている、というか。ほかにも、このタイトルには今と未来をつなぐっていうイメージもあって、今の活動を自分たちの目標に向かって繋げていきたいという思いもあります。

--- 前作より一年ぶりのリリースとなりますが、レコーディングはいつぐらいから始めていたのですか?

タナカ:レコーディング自体は、昨年の11月から始めました。今回、レコーディング・エンジニアを森川裕之くん(euphoria,organic stereo)にやってもらいました。森川くんとは、自分たちが大阪にいた頃から一緒にツアーをまわったりしてお互い親交があったので、百景のことをよく知っててくれる人だし、「こういう音を録りたい」って言ったときにすぐに理解してくれて。せーので呼吸を合わせた「一発録り」でレコーディングしたいって言ったときも、「それじゃあ、例えば、こうやってこういう方法がありますね…」とか具体的に提案してくれて、そうやって具体的にどういうふうに作業をすすめていったらいいのかを最初に話し合ってレコーディングの全体像が見えたので、これはすごくいい感じでできそうだと。

--- 完成した作品を聴かせていただくと、レコーディングも楽しそうに進んだのでは?と思ってしまうぐらい、やさしげな空気に包まれています。何かレコーディングで苦労した点などあったりしましたか?

タナカ:苦労した点というか、これまでレコーディングを大阪でやってきたので、東京へ出てきて、じゃあ、誰にやってもらうのか、どうやってレコーディングするかっていうことをまず考えましたね。で、さっきの話と少しかぶってしまうんですが、僕らの音源もライブも聴いてくれていてイメージが伝えやすく、かつエンジニアとしても素晴らしい森川くんにやってもらうことに決めて。で、実際やり始めて、やっぱりというか、すごく楽しかったです。イメージが共有できているので、安心してできましたね。もちろん僕たちもやってて楽しかったんですけど、作業中、森川くんが「百景のレコーディング、すごく楽しいです」と言ってくれて、それが本当嬉しかったですね。 す。

--- インストバンドでありながら、歌心を感じさせてくれます。そして作品から感じられるやさしい雰囲気にだまされがちですが(?)。強靭で複雑なリズムなど、聴けば聴くほどに新たな発見もあり、ミニアルバムながらも内容が盛りだくさんで、奥の深い作品になっていると思います。作品を制作する上で気をつけた点、またはここを聴いて欲しいといった点があったら教えてください。

タナカ:インストバンドは他にもいろいろありますけど、自分たちの強みっていうのは、「フレーズの美しさ」だったり、「ギター、ベース、ドラム、それぞれが歌って演奏してる」っていう所だと思うんですよね。自分たちの中では、曲というものをいわゆる「トラック」ではなく、「ソング」「歌」として捉えてる感覚があるので、その曲をどういうふうに聴かせていこうかっていうところが、3人共通して持っている意識でもあるんですね。「3人がつくるアンサンブル」というか、そういう部分を作品をつくる上でいつも気をつけているし、と同時に、聴いてほしいところでもあります。

--- 活動拠点を地元の大阪から、東京へ移してからしばらくたちますが、東京での生活はどうでしょう?環境の変化が、作品へと反映されてることなどあったりしますか?

タナカ:そうですね。東京へ来てからライブの本数も増えてるし、レーベル業務もやったりと、バンドに関わる時間は確実に増えています。3人で一軒家をシェアして住んでいるので、活動の方向性とか決断とかすぐにミーティングできるようになって、時間を有効的に使えるようにもなりましたね。あと、今回のミニアルバムに入っている曲は東京に出てきて完成した曲がほとんどなので、これまでの作品と聴き比べて、いろいろ感じていただけたら嬉しいです。

--- リリースツアーとして7月までたくさんの場所をまわりますが、ツアーの意気込みを聞かせてください。

タナカ:今回のツアーは、前回の「おくりもの」ツアーよりも、たくさんの場所をまわります。初めて訪れる場所もそうですが、これまで以上にたくさんの人と良い出会いができればいいなと思います。これまでライブを観たことがある人も、現在進行形の、いまの百景を観に来てほしいです。それと、このツアーは本当に多くの人のサポートがあって成り立っているんです。感謝の気持ちでいっぱいです。

--- では最後にHMV ONLINEをごらんの方にメッセージをお願い します。

タナカ:これは自信を持って言えます。『とおくを つなぐもの』、すごく良い作品になったので、ぜひ聴いてください。一回聴くと、ずっと聴いていたくなりますよ(笑)。あと、ライブにはライブの良さがあるので、もっとライブを見に来てほしいです。最後まで読んでくれて、ありがとうございました!

--- ご協力ありがとうございました!
 

 

 

 



百景 LtoR

ナカモト シュウヘイ Guitar
キヤブ ナツコ Bass
タナカ ケン Drum

百景のサウンドは、ギター・ベース・ドラムの最小限の編成、 あくまでシンプルに楽器の響きを活かしたアンサンブルで、 聴けば聴くほど味が出るような奥深さ、叙情的なサウンドスケープを 描くところにその持ち味がある。 大阪出身、現在は東京に拠点を移して活動する百景。 2003年、3人で、楽器だけで自分たちの音楽を表現しようとスタート。 2006年にファーストアルバム『Standing Still in a Moving Scene』(HECJ1003) をリリース。その楽曲のクオリティの高さから、耳の良い多くの音楽ファンを獲得する。 また、ライブバンドとしての評価も高く、2007年から2008年にかけては、 アメリカ・テキサス州でのSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)や 台湾の野外音楽フェスティバルFormoz Festivalに出演するなど、 国内外で数々のステージに立ち、多彩なジャンルのアーティスト達と共演。 09年6月、『おくりもの』リリース全国ツアーでは各地盛況のまま、 ファイナル公演を自身初のキャリアとなる心斎橋クラブクアトロでおこなう。 7月には4度目の台湾公演を果たす。 2010年4月28日、ミニアルバム『とおくをつなぐもの』リリース。