続いてはポピュラー部門の贈呈式。「録音・録画部門 最優秀作品賞 外国人アーティスト」は、マイケル・ジャクソン『This Is It』に贈られ、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの堀内啓氏が壇上へ。
「私ども映画会社がこういった音楽賞をいただくということは、非常に珍しいことなのですが、大変光栄に思っております。この映画は、昨年10月28日に公開されてから、日本だけでおよそ430万人のお客様に観ていただくことができました。6月25日にマイケル・ジャクソンは他界してしまいましたが、それまでマイケル・ジャクソンに対していくらか誤解を抱いていた方もいたかと思います。ただこの映画で彼の音楽の素晴らしさ、音楽に取り組む真摯な姿勢をあらためてお客様に感じ取っていただき、その結果このように素晴らしい賞に結び付いたということは非常に喜ばしいことだと思います。本当にありがとうございました」(堀内啓氏)
「録音・録画部門 最優秀作品賞 日本人アーティスト」を受賞したのは、昨年11月に『ソフトリー・アズ・アイ・リーヴ・ユー』をリリースしたジャズ・シンガー、マーサ三宅氏。ティートックレコーズ代表取締役・金野貴明氏とともに壇上へ上がり、受賞の言葉を述べられました。
「実は私、今日はお祝いに駆けつけたつもりだったんです。録音なさったのは、ティートックレコーズの金野さんでして、とてもいい雰囲気にしてくださって、私は好きなように歌っただけなのに、私が賞をいただくなんて・・・ここに着いて狼狽しております(笑)。でも、嬉しい狼狽でございます(笑)。私としては、金野さんに<おめでとう>と申し上げたいです。あと何年歌えるか分かりませんけれど、できるだけ自然体で臨んで、<これが最後か?>、<もしかしたらあと一回ぐらいあるかしら?>なんて、適当な想像をしながらこれから生きていくと思いますが(笑)、心ある方々のために、おかげさまでこのレコーディングは成り立ったわけでして、多くの方々に感謝をしたいと思います。どうもありがとうございました」(マーサ三宅氏)
「最優秀コンサート・パフォーマンス賞 外国人アーティスト」には、「SIMON & GARFUNKEL OLD FRIENDS TOUR 2009」が選ばれ、ウドー音楽事務所興行部部長・長澤通孝氏が、昨年のザ・フー「THE WHO MAXIMUM R&B JAPAN TOUR」に引き続く受賞の言葉を述べられました。
「今回はTBSテレビさんとの共同事業だったのですが、昨年のザ・フーに続き、サイモン&ガーファンクルを名誉ある賞に選んでいただきまして誠にありがとうございます。2003年にアメリカで話題となりました《OLD FRIENDS TOUR》の流れで、今回オーストラリア、ニュージランド、そして16年ぶり3回目となる日本での公演が実現することとなりました。あの2人もコンビをしばらく解消していたので、当初は心配でもあったのですが、実際始まってみると、それはもう素晴らしい歌と演奏でした。今回のツアーの最後は札幌ドームだったのですが、その楽屋でポール・サイモンが、<アート・ガーファンクルとのツアーは今回で最後だ>と洩らしていたことが、少し気がかりではありますが・・・。 今後も皆様の記憶に残るようなコンサートを主催していきたいと思っておりますので宜しくお願いいたします」(長澤通孝氏)
そして、アート・ガーファンクルからミュージック・ペンクラブ・ジャパン宛てに届けられたというダイレクト・メッセージが読み上げられました。
「サイモン&ガーファンクルの2009年日本公演は、実り多いものでした。僕のライヴに受賞だなんて勿体なさすぎる話です。僕はただのシンガーで、それを生業でやっているだけなのですから。でも、お気持ちは嬉しいです。ありがとうございます」。
また、「最優秀コンサート・パフォーマンス賞 日本人アーティスト」には、2009年11月1日 五反田・ゆうぽうとホールで行われた「富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル」。オールアート・プロモーション代表取締役・石塚孝夫氏、富士通(株)の松本豊氏が揃って壇上へ上がられました。
「私の会社、オールアート・プロモーションは今年でちょうど50周年を迎えます。その記念にこの賞をいただいたということは、非常に意義があり、また、素晴らしい思い出になるかと思います。本来ならば、このコンサートを成功させてくれた日本人のアーティストたちに贈られるのが喜ばしいと、私は心から思っております。」(石塚孝夫氏)
「最優秀著作出版物賞」は、「知ってるようで知らない映画音楽おもしろ雑学事典」大日方俊子・著 (ヤマハミュージックメディア)に贈られ、著者の大日方俊子氏から受賞の言葉が述べられました。
「私が初めて芸能的な賞を獲ったのが、最初に作詞を手掛けた作品<グッド・ナイト・ベイビー>でした。そして今日いただいた賞も、私が初めて執筆した本で、とても運が強いという感じがいたします(笑)。映画音楽の世界というのは、一見華やかなようでいて、実はなかなか陽が当たらないジャンルで、評論家の方々がむしろ避けるところでもあります(笑)。ただ、この賞によって映画音楽に大きな光を当てていただいたこと、そして、ライバルのような評論家の皆様が私に貴重な評論を投じてくださったことに感謝いたします。どうもありがとうございました」(大日方俊子氏)
新設の「ベスト・ニュー・アーティスト」には、昨年、デビュー・アルバム『Bible Belt』が各方面で絶賛されたダイアン・バーチが選ばれ、EMIミュージック・ジャパンの永野陽三氏が壇上へ。
「昨年6月に、彼女の母国であるアメリカでダイアン・バーチはデビューしまして、それに次いで日本がアルバム『Bible Belt』を8月にリリースし、昨年末にはウドーさんの招聘で来日公演も果たし、そしてこの賞を受賞させていただいたということで、おかげさまで日本国内においてダイアン・バーチが大変盛り上がることができました。こうした盛り上がりを受けて、ヨーロッパでも今年3月にアルバム・デビューを果たし、ダイアン・バーチは、さらに世界的な活動に移っていきます。今年いっぱいはこのアルバムをプッシュしていく予定でございますので、引き続きのご支援を宜しくお願いいたします」(永野ようぞう氏)
また、ダイアン・バーチから届いたメッセージも読み上げられました。 「私に投票してくれた皆様、アルバムのリリースにご尽力いただいた皆様、そして、このたった数年でファンになってくださった皆様、素晴らしい賞を本当にありがとうございます。昨年12月に初めて日本を訪れましたが、今まで訪れた中でも最もエキサイティングな国のひとつでした。すっかり恋してしまったこの国で、自分の音楽が受け入れられているなんて、とんでもなくありがたいことです。私の音楽を応援してくれて、そして温かく迎えていただけて感謝の気持ちでいっぱいです。皆様また近いうちにお会いしましょう」。
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(c)2009 The Michael Jackson Company, LLC. All Rights Reserved. |
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(c)2009 The Michael Jackson Company, LLC. All Rights Reserved. |
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映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」
(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) |
稀代のエンタテイナー、マイケル・ジャクソが2009年7月からロンドンで行う予定だった『ディス・イズ・イット』ツアー。マイケルの2009年6月25日の急死によって、幻のツアーとなったが、そのリハーサル模様を収録した記録映像を映画化した。この映画によって、マイケルがツアーで伝えたかったメッセージ≪地球を癒そう、治そう≫がより多くの人々に伝えられるようになったのは実に皮肉であり、運命的でもある。 |
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マーサ三宅 『ソフトリー・アズ・アイ・リーヴ・ユー』 (ティートックレコーズ/XQDN-1021) |
これが「ラスト・アルバム」というつもりで吹き込んだという作品。歌に気持ちが入っていて、一曲一曲の内容が、聞き手の目に浮かんでくるような見事な表現力で歌われる。特に、自動車事故のため夭折したトランペッッター、クリフォード・ブラウンの死を悼んでベニー・ゴルソンが書いた「アイ・リメンバー・クリフォード」は、その不慮の事故を聞いた時の悲しみが伝わって来て胸を打つ名唱。北島直樹(p)のトリオに増尾好秋(g)、伊勢秀一郎(tp、flh)が加わる伴奏陣も好演。
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Photo:ジャズワールド/内田晃一 |
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Photo: ジャズワールド/内田晃一 |
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「富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル」
2009年11月1日 五反田・ゆうぽうとホール |
「富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル」関連作品一覧はこちら
24回目を迎えたジャズ・フェスティバル、これまで外国人アーティストによるものだったが、今回初めて≪ポール・ウィナーズ〜ヒストリー・オブ・ニッポン・ジャズ≫と題し北村英治、日野皓正らスイングジャーナル誌の読者投票1位経験者を中心に日本のトップ・ジャズメンを集めたステージが第一部で展開。アーティストが固有の魅力が十分に発揮され、聴衆が音楽を堪能できる構成・演出が見事だった。大ホールでのジャズ・コンサートが少なくなってきた昨今だけに、とても貴重なフェスティバルでもあった。(高田敬三) |
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「知ってるようで知らない映画音楽おもしろ雑学事典」
大日方俊子・著 (ヤマハミュージックメディア) |
大型本ではないが、中味はぎっしりつまっているし、映画音楽に関するほとんどすべてのことを正確なデータをふまえて教えてくれる。雑学事典とあるが、雑学だけでなく、映画音楽の歴史や本流について歴史と中味を教えてくれる。また巻末の米、英、日のアカデミー音楽賞の受賞作などに関する一覧表も大いに役立つ。著者は元TBS-TVディレクターで、映画音楽、ミュージカルに詳しく、流行歌の作詞家としてヒット曲賞も受賞している。 |
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ダイアン・バーチ |
ダイアン・バーチはアルバム『バイブル・ベルト』でデビューを飾った、ニューヨーク出身の女性シンガー/ソングライター。恵まれたルックスと、キャロル・キングやローラ・ニーロを思わせる作風、歌声で大きな話題を呼んだ。日本ツアーも成功させている。サザン・ソウル、ゴスペル、ブルースなど、米ルーツ・ミュージックを継承し、それを新たな形で発展させる可能性を秘めた、稀有な新人である。 |
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