【インタビュー】Akira Kosemura ダンス&ソウル・インタビューへ戻る

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2010年2月10日 (水)

interview

自身のレーベル・scholeから2枚のアルバム、そしてHaruka Nakamuraとのコラボアルバムをリリース、昨年はピアノによる完全即興アルバム『Polaroid Piano』を発表したAkira Kosemuraが送る待望の3rdアルバム『Grassland』 。 このアルバムの発売を記念し、Akira Kosemura氏にインタビューを敢行。 Newアルバム『Grassland』や『Polaroid Piano』について、また気になる今後のお話などを伺いました! そして、独自の視点でアンビエント・ミュージックを紹介する連載企画 [未来派野郎Aチーム] の面々による 『Grassland』全曲レビュー&scholeカタログ全タイトルレビューも掲載!
今回のインタビュー&レビューは、「schole」×「HMV」のエクスクルーシヴ企画として、scholeのフリーペーパー『little letter pt.2』との合同企画となっております。

(HMV銀座INZ店 / 古屋 雄裕)


grasslandについて



-- 新作『grassland』のジャケットを拝見させていただいたのですが…綺麗ですね。前作に近いイメージがあって。

Kosemura(以下 K)  そうですね。割と似ちゃったんですよね。ジャケット制作をお願いするときに伝えてた事はそんなに多くなくて、アルバムタイトル『grassland』の草原という一つのキーワードと、主人公がいる画がよくて。 というのも今回の作品は、なによりも一曲一曲の独立した世界観を大切にしていたんです。どの曲も主人公になれるような。それが集合した時に『grassland』という一つのキーワードの上で成り立っていればそれで良かったというか。 これまでは一つのコトとかモノとかにフォーカスして作品を作る事が多かったんです。そういう限定した設定のなかで必要な音楽を整えていくというか。 でも今回のアルバムに関してはもっと広い視野で音楽を作りたくて。そういう意味では『grassland』というのもひとつのキーワードであって、特に草原というモノに固執していた訳ではないんですね。草原っていうキーワードに対して僕が持っている感覚的な印象を比喩的にとらえているというか。 だから例えば、worldっていう言葉でもよかったのかもしれない。だけどそれだと漠然としすぎて想像力がとても必要になってしまう。僕が今回想定していた範囲の印象には、とても感覚的に、草原というキーワードがしっくりきたんです。

-- 連作短編集みたいな感じですね。

K そうですね。一曲一曲で成り立つ世界と、それが集まることで見えてくる大きな世界。

-- 今作ではヴォーカル曲も収録されていますが、歌詞は小瀬村さん自身が書かれたんですか?

K  今回僕は書いていません。というのも今回歌って頂いたボーカリストの皆さんは、それぞれが固有の世界を表現できるアーティストだったので、できるだけやり易い形で取り組んでもらいたかったんです。 だからまずキーワードとして名前をつけたトラックを渡して、そのキーワードを元にしてボーカリストの皆さんに歌い易いようにお願いしました。

-- ヴォーカルものは今回が初めてですよね?

K  初めてになるんですが、ヴォーカルものを作ったという印象ではなくて、ヴォーカリストと一緒に仕事をしたっていう印象が強いですね。 少し哲学的な話になるんですが、誰かと一緒に音楽を作ろうと思ったときに、すべてを自分で作って、こういう風に歌ってくださいとか弾いてくださいって決めてしまうのはあまり好きではないんです。それだとその人とやる意味があまり見出せない。その人とやるって決めた事が僕の判断であって、その先は僕自身、その人とやることによって初めて生まれてくるなにかに驚きたい。誰かと音楽をする時に期待するのはそういう良い意味での裏切りだったり驚きなんですね。

-- ヴォーカリスト以外にもゲストミュージシャンとコラボレーションされていますよね?その作業はどう行っていたんですか?

K  それもヴォーカリストの方と同じで、ある程度トラックを作り終えた後で、例えばここからここまでギターソロを入れたいと思ったら、それをお願いしたいミュージシャンの方と話し合って決めていきました。でもやっぱり決め込んでしまうのはあまり面白くないので、譜面を渡してこのように弾いて下さいというのではなくて、どういう印象のフレーズを入れてほしいという話をして、そこから先は自由に弾いてもらっています。最終的にどのテイクを使うかというような判断は僕がするんですが、それでも大抵はすんなり決まりました。





ゲストミュージシャン



-- 今回おなじみのharuka nakamura やpaniyolo、me:mo、aspidistraflyが参加されていますが、当真伊都子さんは初めてのコラボですよね?

K  そうですね。当真さんは岡山に住んでらして、ピアノの弾き語りアルバムをFelicityというレーベルからリリースされるのですが、そのアルバムを聴かせていただいたら、それがすごくよくて。当真さんに歌ってもらいたい曲がでてきたのでお願いしました。

-- 3曲目の「light」ですね。この曲、裏のトラックと当真さんの声が、本当に絶妙に絡み合ってますよね?

K  もともとはインストゥルメンタルの曲だったんです。当真さんと知り合って、このトラックはすごく当真さんの声にあってるなぁと思って。それで当真さんと話をして、ヴォーカルが乗せられるようなトラックに変えていきました。

-- そうなんですか。

K  もともとのインストゥルメンタルのトラックはDVDのミュージックビデオの方で使用しています。ミュージックビデオを作ってくれたロンドンのマリオ・カヴァリが自分のビデオにはインストゥルメンタルの方を使いたいといっていたので。

-- レモンジェリーの映像を作っているアーティストですよね?

K  はい、その映像すごくよかったんですよ。

-- 熱烈なラヴコールがあったと聞いていますが (笑)。

K  熱烈なラブコールというか(笑)、前に「It's on Everything」という曲を気に入って、映像を作って送ってきてくれたんですよ。その時僕はまだマリオさんの事あまりよく知らなくて。それでいつか機会があったらオフィシャルで仕事したいねと前々から話をしていたので、今回プラス2曲作って頂いて。

-- それが「light」と「xiao ge er」ですね。

K  はい。わざわざ東京まで来られて、一週間みっちり撮影して作ってもらって。東京のアーティストと仕事をするなら、東京で撮りたいっておっしゃっていて。代々木公園で撮ったり、銀座で撮ったり、渋谷の109の前で撮ったり。

-- 109は小瀬村さんと似つかわしくないですね (笑)。

K  土曜の夜にゲリラ的に撮影して、ものすごく大変でしたよ。

-- これは見るのが楽しみですね。 2曲目にもthe misfortunes of geraldというアーティストがヴォーカルで参加していますね。しかも四つ打ちの曲で。四つ打ちって初めてですよね?

K 初めてですね。

-- 軽く衝撃だったのですが。「キター!!!」と思いました (笑)。

K  四つ打ちにしたことに特にこだわりがあるっていう訳ではなくて。それにもともとは四つ打ちではなかったんです。デモで作っていた時にアパレルブランドのメイキングフィルムの音楽の仕事があって、それで使われることになって。友人に小早川さんという音楽プロデューサーがいるんですが、その方とプロデュースしたトラックで。だから元々は、また少しアレンジの違うインストゥルメンタルの曲だったんですね。 だけどそのトラックのイメージにthe misfortunes of geraldの声がすごく合っていたので歌ってもらえないかなという事で、声を掛けさせてもらったんです。

-- 日本の方なんですか?

K  いや、ロンドンで音楽をやっている女性アーティストです。

--  9曲目の「just a few minutes」は『Tiny Musical』にも入っていますよね?

K  はい。『Tiny Musical』の「just a few minutes」は、タイトル通りjust a few minutesで、伊藤に行った時に朝の海辺の音を録っていて、そのフィールドレコーディングの音を元にシンセとループしたギターを鳴らしていただけの音楽で。ちょっとした瞬間のちょっとした音楽だったんですが、今回はme:moさんが入ってくれたおかげでまた全然違う曲になりました。

-- すごく展開がありますよね。

K  そうですね。すごく面白いアレンジになっているので、聴き比べてもらえたら楽しいと思います。









※ 『Grassland』全曲レビュー&scholeカタログレビューはコチラから


profile



小瀬村晶 Akira Kosemura
[producer / composer / schole records A&R]

1985 年生まれ、東京都在住。 国内外の音楽レーベルから作品を発表する傍ら、CM音楽の制作、映画やダンス公演、アパレルブランドへの楽曲提供など、多方面で活動を展開するアーティスト。 schole recordsを主宰し、多くのアーティストを輩出、複合メディア「Clarity x Leaf disc」クリエイティブディレクターを努める。 2008年「Tiny Musical」を発表後、ヨコヤマアヤノ(舞踊)千葉祐吾(映像)と共に、全国各所でライブパフォーマンスを展開。 2009年には、ポラロイド写真をテーマにしたピアノアルバム「POLAROID PIANO」をリリース。その他、ライブミニアルバムや、サウンドトラックも発表。 2010年2月にこれまでの集大成となる作品「grassland」を限定生産盤(CD+DVD)と通常盤(CD)にて発表。





schole Free paper 『little letter pt.2』


1920年代前後のアメリカで特に盛んになった“リトルマガジン”。そのピンポイントかつ新しい切り口の雑誌をモチーフに、親近感溢れる“schole リトルレター”送ります。

※ HMV 渋谷店/銀座INZ店ほかHMV各店舗、その他全国のCDショップなどで配布中