『薔薇の名前』+『ダヴィンチコード』+007=『Q』

1555年、欧州ではないどこかの街。主人公が密偵Qの遺した日記を読む。
「ローマの支配を覆してユートピアを建国する」という主人公と同志たちの夢を、陰で操り崩壊させた宿敵Qの手記を読みながら、主人公は血塗られた闘いの日々と死んでいった仲間を回想する。宗教改革の、主人公の、Qの時代の幕開け……。

全世界で百万部を突破。『薔薇の名前』+『ダヴィンチコード』+007。


刊行当初本国イタリアでは著者の正体はエーコではないかと話題を呼んだ歴史超大作。


『Q』あとがき / さとうななこ(『Q』翻訳者)

  一九九九年三月。本国イタリアでこの小説が世に出た時、巷にはたくさんの「?」が飛び交った。著者のルーサー・ブリセットって誰? 英語名だけど翻訳モノなの? アンチ・コピーライト小説って何? 好奇心が人々に本を買わせ、その内容のおもしろさが話題になって読書好きが飛びつき、果ては「これぞイタリア文芸の新しいスタイルだ!」と、この小説で卒論を書く大学生まで現れて、国内での販売部数は二十四万部を突破。ヨーロッパ各国民の読書量の番付ではいつも最下位近くに甘んじるイタリアで、それは異例のことだった。

 というわけで、このたびこの作品をご紹介するにあたって、まずは著者名の解説から始めたい。  小説刊行から遡って一九九四年、イタリアのアーティストや活動家や悪戯好きが集まり、ひとつのプロジェクトを起動させた。誰でも自由に参加できて、決まりごとはたったひとつだけ。各人が作ったものをルーサー・ブリセットの名前で発表すること、だ。ルーサー・ブリセットは、一九八十年代に英国にいたまったく無名のサッカー選手で、その名を使うことで彼らは、作者名によって作品の価値が決まるという昨今の商業主義的な傾向や、うわべばかりで実のないマス・メディアのありようを笑い飛ばしつつ批判したのだった。やがて主旨に賛同する人々の輪は各国へ広がって参加者は百名を超え、そして当初の予定通り、五年後にプロジェクトは幕を閉じる。その締めくくりとして発表されたのがこの小説だ。刊行当時、著者の実名が明かされなかったのはもちろんだが、実は本著にはもうひとつ、反商業主義という主旨から生まれた特徴がある。これは大手出版社からの出版物では初のアンチ・コピーライト小説で、公式ウェブサイト上で原書の全編を無料で読めてしまうのだ。また本作品は、イタリア最高の文芸賞であるストレーガ賞にノミネートされたが、最終選考まで残った時点で著者側が辞退を表明した。このエピソードからも、徹底して権威的なものに抗おうという著者の姿勢が窺える。

 さて、そんな著者の正体は? 答えは後に公表された。ボローニャ在住の……続きを読む
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