Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.10

Quiet Corner クワイエット・コーナー

穏やかなる音楽のキャッチボール。

ブラジルのインストゥルメンタル・ミュージックが再び面白くなってきた。それは近隣のアルゼンチンや欧米等で、国境を越え交流する優れた演奏家たちの手によって得られた経験が、作曲や編曲のなかに巧みに取り入れられ、新しい風にのって届いてきているようだ。ブラジルの注目のピアニスト/作曲家であるアンドレ・メマーリがプロデュースを手掛けたタウフィッキ兄弟によるデュオ・アルバムは、イタリアで活動経験をもつギタリストのホベルトと、自国でTVや映画音楽等多岐にわたり活動するピアニストのエドゥアルドによって、洗練され純度を高めた、瑞々しくも美しいデュオを奏でている。またカルロス・アギーレもゲスト参加し、おおらかなアルゼンチン的空気感さえ感じるブラジルのベーシスト、ホジェリオ・ボッテールマイオや、アイリッシュやマヌーシュ系の旋律がきこえるヴァイオリニスト、リカルド・ヘルス等のトリオ・アルバムも欧米の活動経験が活かされた好例だ。そしてこれまでもレーベル「ヌクレオ・コンテンポラネオ」で優れた作品を発表してきたピアニスト、ベンジャミン・タウブキンの関わる諸作は、新しい世代感覚を巧みにとりいれ、またブラジルのみならずニューヨークやロンドンで録音する等最近一皮剥けた印象がある。思えばそれはなにも今始まったわけではなく、国境や海を越え、幾年月も経て繰り返される、音楽の穏やかな交流から生まれてきたのだった。
文●岡本方和(moderado music)

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