エリカ・バドゥが歌う「アフロ・ブルー」が永く閉ざされていたジャズの扉をこじ開けた。クリス・デイヴのドラムがジャズとヒップホップ歴史を塗り替える、21世紀ジャズの最重要作。2011年作品。

ジャズの革新は既に始まっていたのだ。ループ感のあるビートがモーダルなアコースティックのジャズの中に込められ、ゴスペルの響きと共存している。あまりに鮮烈なブルーノート・デビュー作。2005年作品。

コモン〜J・ディラ〜スラムヴィレッジ〜デ・ラ・ソウルをサンプリングするように奏でる「J・ディラルード」だけでなく、レディオヘッドとハービー・ハンコックをも繋いだ挑戦的なピアノトリオ。グラスパーの出世作。2007年作品。

天才ドラマー、クリス・デイヴが前半でアコースティックのピアノ・トリオ・ジャズ、後半をヒップホップ・テイストのエレクトリック・カルテットを叩き分けた問題作。エクスペリメントはここから始まった。2009年作品。

ウェイン・ショーターが愛する天才ドラマー率いるバンドのデビュー作。カントリーやフォーク、ゴスペルが揺らめきながら混じり合う、懐かしくも新しいジャズの進化系。トータスのジェフ・パーカー参加。1998年作品。

ジャズ・ギターの皇帝カート・ローゼンウィンケルが加入し、フェロウシップの浮遊感のあるサウンドに、カートの独特のフレーズが溶け合ったサウンドが、アメリカーナとジャズの関係を更なる高みへと引き上げる！ 2000年作品。

「ドント・ノー・ホワイ」を含む大名盤の影には、ジェシー・ハリスの作曲のみならず、ブライアン・ブレイドやジェニー・シェインマンなどのジャズとフォーク／カントリーを繋ぐキーマンの巧みな仕事があったのだ。2002年作品。

ヒップホップ側から、偉大なるジャズへのオマージュ。ヒップホップの奇才マッドリブが、ブルーノート・レーベルが所有する音源を自由に使い、解体・再構築した21世紀ブルーノートを象徴する問題作。2003年作品。

カート・ローゼンウィンケルが信頼する若き名ピアニストがブルーノート在籍時にマイク・モレーノ、エリック・ハーランドと生み出したアコースティック・ジャズによる美しきサウンドスケープの理想系。2008年作品。

ビバップ以前を含むジャズの伝統から、ヒップホップに至るブラック・ミュージックまでをもアコースティックなモダン・ジャズとして解体再構築してしまうジェイソン・モランが見せるジャズの現在、そして未来。2010年作品。

ロバート・グラスパー・プロデュース！ アフリカが生んだギタリストが新世代ドラマーのマーク・ジュリアナ、デリック・ホッジと共にグルーヴする。グレッチェン・パーラトとのメロウなデュエットも極上！ 2012年作品。

スピリチュアルジャズの力強さ、ニュー・ソウルのメロウネス、ゴスペルの包容力、その全てをスウィングさせてしまうジャズが長年待ち望んでいた“声”！ 更に作詞作曲編曲をもこなす圧倒的才能のブルーノート・デビュー作。2013年作品。

多彩なリズムとフレキシブルな即興演奏による極上のメロウ・グルーヴ。天才ベーシスト、エスペランサ・スポルディングの名を一躍知らしめた傑作。エスペランサの可憐なスキャットが軽やかに舞う。

作編曲家エスペランサの才能がはじけまくった名盤。室内楽とブラジル音楽が入り混じる隙のない楽曲に、ジャズの即興や彼女の歌声が活き活きと躍動する。ミルトン・ナシメント、ベッカ・スティーヴンス参加。2010年作品。

ヒップホップやビート・ミュージックまで様々なジャンルを横断してきたホセが、ジャズ・ヴォーカリストとしての原点に立ち戻った極上のスタンダード集。コルトレーン由来のバラッドをドライに、ビターに歌い上げる。2010年作品。

現代最高のジャズ・ギタリストがマーク・ターナーを含む最強のカルテットで生み出したストレート・アヘッドな傑作。名曲「ジバゴ」のイントロのソロ・ギターから立ち上る圧倒的な存在感。00年代ジャズの幕開け。2000年作品。

00年代的ジャズとヒップホップの蜜月の序章。Qティップをプロデュースに迎え、ジャズの即興と多彩なエフェクト、ポスト・プロダクション(再編集)が絡み合う生み出すドープ過ぎるサイケデリア。2003年作品。

21世紀最強のオールスター・セッション。現代ジャズ・ギターの皇帝カートを中心にブラッド・メルドー、ジョシュア・レッドマンが繰り広げる至上のインタープレイ。名曲「ユース・オブ・ライト」を再演。2005年作品。

天才ドラマー、ブライアン・ブレイドのダイナミクスと、皇帝カート・ローゼンウィンケルのギターの高揚感のあるフレーズが、淡く浮遊する世界観の中で融合した最高傑作。ここには現代ジャズの魅力が凝縮されている。

天才ドラマーが自らギターを弾き歌った異色作。フェロウシップの雰囲気そのままのフォークやカントリーのテイストの中にミルトン・ナシメントを忍ばせる、あまりに心地良い極上の歌モノ・アルバム。2009年作品。

ディアンジェロ、コモン、エリカ・バドゥと共にネオ・ソウルを創造したジャズ・トランペッター ロイ・ハーグローヴによる傑作。グラスパー以前のジャズとネオ・ソウルの関係を示す重要作。2003年作品。

クリス・デイヴ、レイラ・ハサウェイ、ケニー・ギャレット参加。R&B／ネオ・ソウル側から、幾度と無くジャズに接近した彼女がリリースしたジャズアルバムは、「ブラック・レディオ」のルーツの一つ！ 2003年作品。

ホセ・ジェイムズのバンドのドラマー、ネイト・スミス、デトロイト・テクノからECMまでをカヴァーする奇才クレイグ・テイボーンが、最強のサックス奏者と組んだ変拍子ジャズ・ファンク・バンドの超絶ライヴ！ 2007年作品。

こんな現代的なウェルン・アーヴィン「ミスター・クリーン」のカヴァーは、ロイ・ハーグローヴにしか出来ないだろう。ストレートアヘッド・ジャズの中に込めるヒップホップの魂。若き日のジェラルド・クレイトンが輝きを放つ。2008年作品。

ミシェル・ンデゲオチェロがプロデュース。ビョーク、スティーヴィー・ワンダー、ヴィラ・ロボスを歌うネオ・ソウル経由のジャズ・ヴォーカル。その鍵はケンドリック・スコット、マーク・ケリー（ザ・ルーツ）のリズムだ！ 2011年作品。

アルメニアが生んだ若き天才ピアニスト！ モンク・コンペティション優勝のテクニックを駆使したソロ・ピアノを軸に、清らかなヴォイス、繊細なポスト・プロダクションやアルメニアのフレーズを取り入れた斬新過ぎる傑作。2011年作品。

アルメニアの天才ティグランが覚醒！ 21世紀の名盤！ ジャズとアルメニア音楽とエレクトロニカと変拍子メタルが次々に立ち上りながらも、透明感さえ感じさせるサウンドスケープ。世界中でもここにしかない音だ！ 2012年作品。

トム・ヨーク「ジ・イレイサー」のカヴァー収録！ 新世代トランペッターの筆頭クリスチャン・スコットがジャマイア・ウィリアムス、マシュー・スティーヴンスと描くオルタナティヴ・ロック・ジャズ！ 2010年作品。

ニック・ドレイク〜エリオット・スミス〜ファイスト〜フェデリコ・モンポウが連なるテイラー流「ホワイト・レディオ」。ベッカ・スティーヴンス、ジュリアン・レイジ参加のメロウなフォーキー・ジャズの名盤。2010年作品。

JB〜スティーヴィー・ワンダー〜マイケル・ジャクソンのカヴァーからリー・モーガンへの尊敬をラップに込めた佳曲までを、ジャマイア・ウィリアムス、ジェラルド・クレイトンと奏でた新世代ベーシストのデビュー作。2011年作品。

21世紀以降のシーンを網羅した世界初のジャズ本「Jazz The New Chapter」 による初の公式コンピ。
ジャズの入門編書籍であるシンコーミュージック刊「Jazz The New Chapter」とのタイアップ企画盤。誌面に登場する作品から特に重要なナンバーを、監修者である柳楽光隆が選曲したコンピレーション・アルバム。監修・選曲・解説: 柳樂光隆