これは大変珍しい作品集。アルトゥール・ヴァンサン・ルリエ[1892-1966]はロシア未来派の作曲家で、シェーンベルクとは異なる独自の12音技法による作曲を試みたり、世界初の図形楽譜による作品を発表したりと時代を超越した前衛作曲家。ここに収められた弦楽四重奏曲はまだそこまでの前衛性には到達していないものの、スクリャービンの影響を受けつつ自由な無調による濃厚なロマンティシズムの芳香を放つ傑作。
アレクサンドル・スクリャービン[1872-1915]自身は弦楽四重奏曲を一切残していませんが、ここでは彼のピアノ・ソナタ『黒ミサ』の弦楽四重奏版を収録。最初から弦楽四重奏として作曲されたかのような自然な編曲で、この編曲により、スクリャービンがシェーンベルクの『浄夜』やベルクの『抒情組曲』に近い世界を築いていたことが分かります。
イワン・ヴィシネグラツキー[1893-1979]は微分音音楽の先駆者として知られますが、この第2弦楽四重奏曲でも後期ロマン派、民族主義的、表現主義的な語法の中で微分音が使われています。いずれも他では入手困難な作品なので現代音楽ファンは必携です!(輸入元情報)
【収録情報】
● ルリエ:弦楽四重奏曲第1番 (1915)
● シュタウデ:弦楽四重奏曲第1番 (1986)
● スクリャービン:黒ミサ(ピアノ・ソナタ第9番)(G.ペッソン編、弦楽四重奏版)
● ヴィシネグラツキー:弦楽四重奏曲第2番 Op.18〜四分音による (1930/31)
アサセッロ四重奏団
ロスティスラフ・コジェフニコフ(ヴァイオリン)
バルバラ・シュトライル(ヴァイオリン)
ユスティナ・シュリワ(ヴィオラ)
テーム・ミョハネン(チェロ)
録音時期:2021年7月7-9日
録音場所:ライプツィヒ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)