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Review List of つよしくん 

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  • 8 people agree with this review
     2010/07/15

    シューベルトの即興曲集は、名旋律の宝庫である。透明感溢れる清澄さをいささかも失うことなく、親しみやすい旋律が随所に散りばめられており、数々の傑作を遺したシューベルトの名作群の中でも、上位にランクされる傑作であると考える。ルプーは、並みいる有名ピアニストの中でも、リリシストとも評される美音家を自認しているだけに、このような即興曲集は、最も得意とする作品と言えるだろう。我々聴き手が、ゆったりとした気持ちで安心して即興曲集を満喫することができるという意味では、オーソドックスな名演であると高く評価したい。音質は、従来盤でも、英デッカの録音だけに十分に満足し得る音質であったと言えるが、SHM−CD化によって、若干であるが、音質にやや透明感を増したのではないかと考える。ネット配信が大きな広がりを見せる中で、CDがますます売れなくなってきており、そのような中で、SACDはもちろんのこと、本盤のようなSHM−CDなど、何らかの付加価値をつけないと、ネット配信との差別化を図れないということだと思われる。ただ、SHM−CDで2800円というのはいささか高いと言えるのではないか。SACDならばともかく、価格においても今一歩勉強しないと、とてもネット配信には太刀打ちできないと考えるのは、果たして私だけであろうか。

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  • 5 people agree with this review
     2010/07/13

    バルトークの6曲の弦楽四重奏曲は、ベートーヴェンが作曲した16曲の弦楽四重奏曲にも匹敵する殊玉の傑作である。必ずしも親しみやすい作品とは言えないが、自ら足を運んで採取したハンガリーの民謡などを高い次元で昇華させて効果的に活用するとともに、前衛的な作風をも盛り込んでおり、弦楽四重奏曲という形式の可能性を最大限に発揮させた、非常に充実した内容を誇る音楽であると言える。作曲年代が、バルトークの初期から後期へと多岐に渡っている点も、ベートーヴェンのそれと同様である。これだけの傑作だけに、これまで様々な弦楽四重奏団によって数多くの録音がなされてきたが、本盤のフェルメール四重奏団による演奏も素晴らしい名演であると高く評価したい。演奏の特徴を一言で言えば、非常にわかりやすい明快な演奏と言えるのではなかろうか。もちろん、だからと言って明快さ一辺倒ではなく、緩徐楽章などにおける悲劇的な表情にもいささかの不足も感じられないが、どこをとっても曖昧模糊な感じがしないのが素晴らしい。正に、バルトークがスコアに記した複雑な音型を完璧に表現している点が見事だ。録音も非常に鮮明であり、ナクソスならではの低価格を考慮すれば、費用対効果の観点からも、本盤の価値は相当に高いものと言える。

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  • 4 people agree with this review
     2010/07/11

    ブラームスが作曲した4つの協奏曲は、いずれも超一流の名作であると考えるが、その中でも最も後年に作曲された二重協奏曲の録音は、他の3つの協奏曲と比較すると格段に少ない。ブラームスの最後の管弦楽作品であり、円熟の境地にあったブラームスによるいぶし銀の曲想が魅力の傑作であるにもかかわらず、それは大変残念なことであると言わざるを得ない。ヴァイオリニストとチェリストに一流を揃えるということが、なかなか難しいといった点もその理由の一つと言えるのかもしれない。そのような中で、フランスの名ヴァイオリニストと名チェリスト、更に巨匠ワルターという役者が3人も揃った本盤は、何と言う贅沢であろうか。フランチェスカッティとフルニエの息はぴったりであり、これ以上は求められないような気品と情感に満ち溢れた名演奏を繰り広げている。この両者をしっかりとサポートしつつ、巨匠ワルターも両者に負けないくらい情感溢れる指揮を行っており、間違いなく本演奏は、同曲の中でもトップの座を争う至高・至純の超名演と高く評価したい。悲劇的序曲は、ワルターならではのロマン溢れる情感豊かな名演。DSDリマスタリングも、オーケストラの音はややきつめであるが、ヴァイオリンやチェロの独奏は非常に鮮明に捉えられており、まずは合格点と言える。

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  • 2 people agree with this review
     2010/07/11

    ラフマニノフの交響曲第2番は、今や最もポピュラーな交響曲の一つだろう。有名な指揮者の殆どが、同曲の録音を遺している。その演奏の傾向は、私見ではあるが、大きく2つに分かれると考えている。一つは、ロシア音楽であることを重視し、ロシア風のあくの強い民族色豊かな演奏。もう一つは、20世紀初頭の音楽であることを意識した洗練された演奏。前者については、スヴェトラーノフやゲルギエフの新盤などに名演があり、後者には、デュトワの名演がある。そして、これらの中間に位置する折衷型の名演が、この交響曲を一躍有名にすることに大きく貢献したプレヴィンということになるのではなかろうか。本盤のフィッシャーの演奏は、この折衷型のプレヴィンの演奏の系統に連なる名演であると考える。第1楽章など、実に洗練した表情で開始されるが、ここぞという時の力強い迫力は、ロシアの悠久の大地を思わせる。第2楽章の終結部の金管楽器の響かせ方も初めて聴くような新鮮なものであるし、第3楽章の中間部のゲネラルパウゼも実に個性的だ。併録のヴォカリーズは、ラフマニノフならではの美しい旋律を更に磨き抜いた極上の美演。SACDマルチチャンネルによる極上の高音質は、本盤の名演の価値をより一層高めることに大きく貢献している。

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  • 3 people agree with this review
     2010/07/11

    ピアニストで、交響曲などの名作もあるものの、主にピアノを扱った作品で数々の名作を作曲してきたラフマニノフにとっては、宗教曲はきわめて珍しい作品と言える。しかしながら、本盤におさめられた「聖ヨハネス・クリュソストムスの典礼」は名曲であると思う。オーケストラを使用しない純然たる合唱曲であるが、恩師チャイコフスキーと同格のメロディメーカーであるラフマニノフの面目躍如たる親しみやすい旋律を駆使した至高・至純の美しさに満ち溢れた傑作と高く評価したい。こうした傑作にもかかわらず、録音は殆どなされていないが、そのような中で、録音、演奏ともに優れた本盤の登場は何という幸せであろうか。先ずは、リガ大聖堂の豊かな残響を活かしたSACDマルチチャンネルによる極上の高音質の名録音を高く評価したい。あたかも教会の中で聴いているような錯覚を覚えるほど、リスニングルームが豊かな音場に包まれた。やはり、このような宗教音楽とSACDマルチチャンネルの相性は抜群であると考える。そして、クリャーヴァ&ラトヴィア放送合唱団も最高の名演を行っており、これほど恣意的でない自然体の演奏は、宗教曲の演奏として理想的なものと言えるだろう。テノールとバスの独唱者も最高のパフォーマンスを示していると言える。

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  • 4 people agree with this review
     2010/07/10

    素晴らしい名演の登場だ。ドヴォルザークの交響曲第7番は、その後に作曲された第8番や第9番と比較すると、録音の点数が非常に少ない。楽曲の内容からすれば、第8番や第9番に勝るとも劣らぬような充実した名作であるだけに、大変残念なことであると考える。ただ、ドヴォルザークにはめずらしい心の内面に踏み込んでいく、いわば精神的な深みを感じさせる作品だけに、第8番や第9番とは異なり、演奏するに当たって一筋縄ではいかないという点もあるのかもしれない。私見であるが、これまでの第7番の最高の名演は、クーベリック&ベルリン・フィルであると考えているが、なかなかこのレベルの名演にお目にかかることはなかった。その渇きを漸く癒すCDこそ、本盤のフィッシャー盤であると考えたい。演奏の性格は、既に録音した第8番や第9番と同様に、その豊かな音楽性と言えるだろう。どこをとっても、情感豊かな美しい音楽が鳴っており、そうしたアプローチが、ドヴォルザークの音楽との相性抜群なのである。SACDマルチチャンネルによる極上の高音質が、この名演のグレードを更にアップするのに貢献している点も見過ごしてはならないだろう。併録のアメリカ組曲も、親しみやすい作品であり、フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団も肩の力を抜いて、演奏を楽しんでいるかのような趣きがあり、それが見事に功を奏していると言える。

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  • 8 people agree with this review
     2010/07/10

    極上の高音質だ。合唱付きの管弦楽曲の録音は非常に難しいが、そのようなハンディをいささかも感じさせないような名録音であったことが、本盤を聴くとよく理解できる。ユニバーサルが満を持して発売を開始したSACDであるが、期待を全く裏切らないような素晴らしい高音質に仕上がっていると言える。シングルレイヤー、そしてSHM−CD仕様というのも、SACDのスペックを最大限に活かすものとして、大いに歓迎したい。カラヤン全盛時代のドイツ・レクイエムは、これまでも通常CD、SACDハイブリッド、そしてSHM−CD盤などが既に発売されているが、本盤と聴き比べると、まるで次元が異なると感じた。合唱とオーケストラの分離は見事であり、繊細な弦楽による弱奏から、力強いフォルテシモに至るまで、ダイナミックレンジの幅広さを完璧に捉えきっている。合唱の各パートや、独唱なども鮮明に再現されており、ガラスCD方式などを除けば、現在望み得る最高の音質を誇る至高のCDと高く評価したい。カラヤンは、ドイツレクイエムを何度も録音しているが、前述のように、60年代というカラヤン全盛時代に録音した本盤こそ、カラヤンのドイツ・レクイエムの最高峰に君臨する超名演と考える。

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  • 11 people agree with this review
     2010/07/10

    驚天動地の素晴らしい高音質だ。ユニバーサルがSACDから撤退して久しいし、最近ではSACDの提唱者であったソニーまでが、Blu-spec-CDでお茶を濁そうという悲しい状況にあり、ネット配信が急速に普及する中で、このままではCDは絶滅に向かって只管突き進んでいくのではないかという危惧を抱いていた。このような中で、ユニバーサルがSACDの発売を再開したというのは、非常にインパクトのある快挙であると言える。ハイブリッドではなく、シングルレイヤーによる発売であるというのも、CDをできるだけ鮮明な音質で鑑賞したい心ある真摯な聴き手を大事にするという、メーカーの姿勢がうかがえて大変うれしいことだと思う。本盤のメインのサン・サーンスの交響曲第3番は、オルガンやピアノが導入される大編成の楽曲だけに、SACD&SHM−CD化による威力は目覚ましい。第1楽章の第2部や第2楽章第1部のオルガンやピアノとオーケストラの各楽器の分離の良さは、これまでのCDでは聴けなかったような鮮明さだ。第2楽章第2部のオルガンのド迫力は、音が割れることなく、ずしりとした重心の低い重量感溢れる音が鳴り切っており、終結部の大編成のオーケストラによる最強奏の箇所も、各楽器が見事に分離しているのには正直驚いた。その他の併録作品も見事な音質であるが、特に、死の舞踏のソロヴァイオリンの艶やかな響き方には唖然とした。演奏内容は、若き日のバレンボイムならではの渾身の名演。

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  • 1 people agree with this review
     2010/07/08

    シューマンのピアノ協奏曲は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」に対して、ピアノ協奏曲の女王と呼ばれているが、そうした呼び名に相応しいワルターならではの名演だ。第1楽章は決然とした力強さで開始されるが、主部のヒューマニティ溢れる情感豊かさは、抒情的で実に感動的だ。第2楽章も、気品の高いロマン的抒情が溢れ出ている。そして、終楽章は、これまでの楽章とは一転して、重量感溢れる力強い迫力で全曲を締めくくっている。決して有名とは言えない米国出身のピアニストであるイストミンも、ワルターの巨匠の棒に見事についていっており、コロンビア交響楽団も最高のパフォーマンスを示していると言える。ショパンのピアノ協奏曲第2番も名演。こちらは、オーマンディの指揮であるが、ショパンの抒情溢れる詩情を全面に打ち出すというよりは、シンフォニックな重厚さを全面に打ち出した演奏と言える。若書きで必ずしも成熟した作品とは言い切れない同曲を、スケール雄大な一大交響曲作品のように仕立て上げた点は、正に巨匠ならではの円熟の至芸と言えよう。イストミンもオーマンディの指揮に見事にあわせている。DSDリマスタリングは、ややきつめの硬い音質で、全体的にイマイチの音質の感じがした。

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     2010/07/07

    いわゆるボヘミアの民族的な抒情性を全面に打ち出した演奏ではなく、ワルターが得意としたドイツロマン派的なアプローチによる演奏ということが言える。同時代の巨匠クレンペラーも、「新世界より」の名演を遺したが、同じドイツ風の演奏でありながら、クレンペラーの名演は、インテンポによる荘重さを旨とした演奏であった。それに対して、ワルターの演奏は荘重といったイメージはなく、いつものワルターならではのヒューマニティ溢れる情感豊かな演奏である。例えば、第1楽章冒頭の導入部など、テンポや強弱において絶妙な変化を加えており、第2楽章の中間部のスローテンポと、その後主部に戻る際のテンポや、第3楽章のリズムの刻み方も大変ユニークだ。したがって、ドイツ風の演奏でありながら、野暮ったさは皆無であり、そうした点は巨匠ワルターならではの老獪な至芸と言うべきであろう。ただ、楽曲の性格にかんがみると、第8の方がワルターのアプローチに符合すると言えるところであり、第8と比較すると、もちろん高い次元での比較であるが、名演のレベルが一段下のような気がした。他方、DSDリマスタリングによる高音質化は第8よりもはるかに成功しており、録音なども加味したトータルとしては、本盤を名盤と評価するのにいささかも躊躇しない。

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     2010/07/06

    ドヴォルザークの交響曲は、ドイツ音楽を得意とした巨匠ワルターとしてはめずらしいレパートリーである。同時代の巨匠フルトヴェングラーにとってのチャイコフスキーの交響曲のような存在と言えるかもしれない。しかしながら、そのようなことは感じさせないような老獪な名演に仕上がっていると言える。同曲に特有のボヘミア風の自然を彷彿とさせるような抒情的な演奏ではなく、むしろ、ドイツ風の厳しい造型を基本とした交響的なアプローチだ。それでいて、いわゆるドイツ的な野暮ったさは皆無。ワルター特有のヒューマニティ溢れる情感の豊かさが、造型を意識するあまり、とかく四角四面になりがちな演奏傾向を緩和するのに大きく貢献していると言える。とりわけ感心したのは終楽章。たいていの指揮者は、この変奏曲をハイスピードで疾風のように駆け抜けていくが、ワルターは、誰よりもゆったりとした踏みしめるような重い足取りで演奏。そのコクのある深みは尋常ではなく、この曲をはじめて聴くような新鮮さを感じさせる。正に、老巨匠ならではの老獪な至芸と言えるだろう。DSDリマスタリングについては、弦楽については鮮明さを維持しているものの、金管楽器がややきつめに響くところがあり、一長一短というところかもしれない。

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  • 3 people agree with this review
     2010/07/05

    モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、若書き故に、ピアノ協奏曲と比較すると作品の質が格段に落ちる。それ故に、相当に優れた演奏でないと、その魅力を表現することはできないのではないかと思う。最近では、クレーメルが二度にわたって全集を録音したが、ヴァイオリンを敢えて歌わせず、古楽器奏法的な現代的アプローチで、前衛とも言うべき優れた名演を成し遂げたが、その他の演奏では、なかなかクレーメルのレベルには達していないように思われる。今回、オーパスからティボーの歴史的な名演が復刻されたが、クレーメルとは何と言う違いであろうか。ヴァイオリンをヴィブラートやポルタメントを駆使して、これ以上は求められないような情感豊かに歌い抜いている。ティボーの凄さは、どんなにヴィブラートやポルタメントを駆使しても、やりすぎの感じがせず、フランス風のエスプリとも言うべき芸術性をいささかも失わうことがないという点にあると考える。正にセンスの塊とも称すべきであり、これぞ、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の古典的名演の最高峰と高く評価したい。オーパスによる名復刻を持ってしても、音の古さはどうしてもぬぐい去ることはできないが、ティボーのヴァイオリンについてはかなり鮮明に再現されており、音質においても、かなり満足できるレベルに仕上がっていると言える。

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  • 4 people agree with this review
     2010/07/04

    トスカニーニの類まれなる指揮芸術を味わうことができる名CDだ。メインのシューマンの第3は、表題の「ライン」を意識した演奏ではなく、いわゆる音のドラマとしての交響曲を念頭に置いた演奏であるが、オーパスによる見事な復刻によって、スコア一辺倒の冷たい音楽ではなく、血も涙もある名演に仕上がっている。全体の印象は、あたかも南国イタリアの青空の下にあるようで、随所にトスカニーニ一流のカンタービレが、いささかも品性を失うことなく効果的にちりばめられている。テンポも随所において、変化をさせており、トスカニーニ=インテンポという見解を覆すのに十分な卓抜さだ。ダフニスとクロエは、更に名演。シューマンと同様に、情景描写よりも音のドラマを意識した演奏を行っているが、にもかかわらず、ラヴェルの巧みなオーケストレーションを余すことなく完璧に描き出し、結果として、同曲に込められた情景が眼前に浮かび上がってくるという離れ業を成し遂げている。これは、巨匠トスカニーニだけが成し得た至高の指揮芸術と言えるだろう。そして、超名演として知られるローマの祭り。これについては、数年前にXRCD化され、当該盤こそが決定盤と考えていたが、オーパスによる復刻は、特に重低音の再現において著しい成果をあげており、これだけでも一聴の価値があると言える。

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  • 11 people agree with this review
     2010/07/04

    驚異的な高音質SACDの登場だ。SACDから既に撤退していたユニバーサルが、再びSACDのプレスを開始したというのは、ネット配信に押されつつある現状の中で、大朗報とも言うべきであるが、単なるプレス再開に過ぎないのがさすがはユニバーサル。SACDを発売するに当たって、一般的となっていたハイブリッドではなく、シングルレイヤーを採用したということ、更には、数年前から好評なSHM−CD仕様としたということで、これによって、SACDの性能を余すことなく発揮することになったことが何よりも素晴らしい。かつて発売されたSACDハイブリッド盤と聴き比べてみたが、その音質の違いは明白。例えば、本盤の場合、管弦楽のための協奏曲の第1楽章冒頭のヴァイオリンやヴィオラによる最弱音がいささかも曖昧模糊に聴こえない。また、各楽器が見事に分離して、あたかも眼前で演奏しているかのような実在感に満ち溢れているのも、本盤だけに許された優位性と言えるだろう。舞踏組曲や中国の不思議な役人組曲に特有のダイナミックレンジの広い雄大なスケールも、本盤に大きく軍配が上がるといえる。演奏は、定評ある名演。ショルティは、後年にシカゴ交響楽団と再録音しているが、後年の演奏は、シカゴ交響楽団の名技に任せた角のとれた面もあり、個性的という意味においては、本盤の方をより高く評価したい。

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  • 8 people agree with this review
     2010/07/04

    ガラスCDは別として、コストパフォーマンスを考慮すれば、おそらくは現在望み得る最高の音質のCDであると高く評価したい。ネット配信が普及し、少なくとも従来CDは廃れていく傾向にある中で、ネット配信に対抗し得るのはSACD以外にはないと考えていたが、ユニバーサルをはじめ、ほとんどのレコード会社がSACDから撤退している状況は、大変嘆かわしいものと考えていた。そうした厳しい中で、ユニバーサルが再びSACDの発売を再開したのは何と言う素晴らしいことであろうか。しかも、ユニバーサルが推奨してきたSHM−CDとの組み合わせ、SACDの能力を最大限に発揮させるシングルレイヤーであることも、快挙であるということができよう。本盤を、かつて発売されたSACDハイブリッド盤やSHM−CD盤などと比較して聴いてみたが、その音質の違いは明らか。ニコレの息遣いまでが聴こえてくるようなフルートの美音や、分離が見事なオーケストラの極上の高音質。重低音のずしんとした重厚な響きも迫力満点であり、まるで別次元の演奏を聴いているような錯覚を覚えた。ユニバーサルには、今後ともこのシリーズを続けていただくとともに、可能ならば、第3番、第4番のSACD&SHM−CD化もお願いしたい。演奏は、既に定評のある超名演。

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