please enable JavaScript on this site.
Guest
Platinum Stage
Gold Stage
Bronze Stage
Regular Stage
Buy Books, CDs, DVDs, Blu-ray and Goods at HMV&BOOKS online
Advanced Search
TOP > My page > Review List of 一人のクラシックオールドファン
Previous Page
Next Page
Showing 571 - 585 of 2357 items
%%header%%
%%message%%
0 people agree with this review 2012/05/10
ポルトガル出身のM.J.ピリスはもう少し若い・・・ボーイッシュなルックスが懐かしいです・・・と思っていたのですが私とほぼ同世代のピアニストで本盤と同じ作曲家モーツァルトのピアノ・ソナタ等で聴き始めておりました。ピアノ協奏曲については1970年代と1990年代と二回代表曲をいろいろ指揮者・オーケストラを替えて録っており本盤は1974年収録の第26番「戴冠式」(タイム@13’40A6’16B10’30)と1973年録音演奏の第21番(同@13’29A6’38B6’25)で彼女が30歳位の時の演奏であります。バックはグシュルバウアー(当時35歳位)がリスボン・グルベンキアン財団COという楽団・・・正確に言えばこの二つの協奏曲でのバック編成規模は多少異なった様で第26番「戴冠式」の方を大きくして響き易く?してあります・・・を振っての珍しいものです。グシュルバウアーも指揮者としてはまだ行ける年齢であったのにドイツ系指揮者にしてはやや線が細い印象を持たれいつの間にか消えてしまった感があります(決して活動休止したわけではなく地方オーケストラの首席指揮者等を務めている様であくまで地道な人なのでしょう)。しかし本盤協奏曲伴奏ではそうしたセンスを活かしつつ結構溌剌な運び具合でピリスの簡潔ながら色彩感豊かなタッチと良く呼応して特に「戴冠式」協奏曲はピリスの基本的には大層に構えない端正な中にもちょっとした「歌いまわし」が聴き処となっている様です。なお、前述した様に彼女はこの「戴冠式」協奏曲を1990年再録しておりその時のバックはアバド/VPO、演奏タイムは@14’10A5’37B10’35となっており、更に第21番協奏曲も1993年アバド/COEバックで再録(同@14’04A6’10B6’48)しており夫々前二楽章に新旧同傾向の若干の違いが見られ興味ある処ではありましょう。本盤は曲組み合わせ、ピリスの新鮮さで最高ランクとします。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review
Agree with this review
0 people agree with this review 2012/05/09
本盤はセルがクリーヴランドO(CLO)を指揮してのベートーヴェン交響曲全集の二回目録音の一枚です。二回目録音の全てを聴いたわけではありませんが第5番「運命」をキーに感じた事を書き込みさせていただきます。第5番は1963年セル66歳の時の収録で演奏タイムとしては@7’31A10’01B5’30C8’32と後述の他のセル指揮演奏と基本的には軸足は狂ってはおりません(軸足が余り変わらないのはセルを尊敬していたカラヤンもでしたね)。彼の演奏は例の如く明確な造型バランスに基づいた見通しの良い運びが特徴となっておりそういう先入観だとサプライズはありません。しかしテキパキとした第1楽章での厚みある弦の安定感ある響きと反転しての第2楽章の変奏主題の歌わせ様での室内楽的味わいは聴き処であります。力み無く第3楽章を経て最終楽章に入ります。その最終楽章では替わって管楽器の活躍が素晴らしいですね。そして追い込みのアンサンブルは「乱れ」による醍醐味は無いとは言えそれだけ曖昧さを残さず見事であります。その他セル指揮の「運命」交響曲の代表盤をあげておきましょう。1955年CLO(モノラル、タイム@7’35A10’06B5’26C8’20)、1964年ARCO(同@7’36A10’13B5’35C8’52)、1969年VPO(ライブ@7’40A10’09B5’35C8’35)と言った具合であります。第2番(1964年録音、タイム@10’09A11’30B3’37C6’16)もややテンポ速く彼らしい緻密な進め具合で最終楽章後段でのちょっとした煽り立ても「だからこそ」活きて来るのでしょうか。繰り返しますがセルのベートーヴェン交響曲にはサプライズとは別のベートーヴェンの「ギリシャ彫刻的」フォーマットが求められた様に思います。素晴らしいです。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/08
カラヤン何度かのベートーヴェン交響曲全集録音はモノラル時代PHOを指揮したものを除きあとは全てBPOを振ったステレオであります。本盤はエフエム東京から出た1977年東京ライブ盤でそれらBPO演奏分の内でも特に評価が高く他の全集アルバムと違い何と言ってもライブである点が「取り柄」となっている様です。最高の状態にあったカラヤン(69歳)/BPOによるオーケストラ演奏史上でも空前絶後の高水準を誇っていた頃の来日公演分で本盤は第4番(拍手タイム除く@10’05A9’23B5’40C5’29)と第7番(同@11’10A7’59B7’11C6’21)のセット物でライブ故のちょっとしたミス、アンサンブルの甘さはあってもBPO機能を充分発揮させ若干早いテンポによる力感漲る進め方は実演の生々しさ・醍醐味を伝えるカラヤンのベートーヴェン解釈境地の典型でもある様です。マァ、ベートーヴェンを聴くというよりカラヤンを聴くという感じでもありましょう。セッション録音での鳴りの重厚サウンドより両曲ともやや切れと流暢さが「ない交ぜ」になった運びの中に管楽器の強奏を上手く取り込んでの音色が会場及び録音技術にもよるのでしょうか特徴として現れた演奏です。本盤解説メモもいろいろ興味深い事が載っており、加えるにエフエム東京側スタッフメンバーのプロ意識も窺えました。先の全集からの各第4番のタイムは1953年PHO(モノラル@10’50A11’07B5’57C5’56)、1962年BPO(@9’53A9’56B5’43C5’31)、1975年BPO(@10’26A9’58B5’51C5’37)、1983年BPO(@10’18A9’36B5’58C5’53)、そして各第7番は1951年PHO(モノラル@12’46A9’08B8’40C7’05)、1962年BPO(@11’26A7’59B7’48C6’38)、1977年BPO(@11’24A7’57B7’17C6’24)、1983年BPO(@11’19A7’45B7’30C6’29)となっておりました。全集ではないですがカラヤンのベートーヴェン交響曲第7番には私はDECCA1959年録音のVPOを振ったLPステレオ盤(タイム@11’44A8’39B7’42C6’43)でよく親しんだものです。その他この両曲、全集ではない単品扱いのものが数点CDとしては出ておりますが省略します。演奏家が年齢を重ねると一つの曲に対してその演奏の変化が顕著な場合とそうでない場合があり、カラヤンは後者タイプとは言えこの二つの交響曲に限って見ると1950年代PHOモノラル盤はほんの少しタイム長と思われます・・・・、一方聴く側での加齢に伴う聴くアンテナというかセンス・・・所謂演奏への「好み」や曲そのものへの「好み」が変化する程度との多くの組み合わせが特にクラシックでは楽しみの一つ・・・そしてこうした中で自分自身を知る事にもなる様であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review
0 people agree with this review 2012/05/07
バッハ・トランスクライブド(2008年録音)で閃きある演奏が私には印象深かったグリモーがまだ28歳の1997年、当時はもう指揮界の御大であったザンデルリング(当時85歳)の振るSKBをバックに演奏したブラームスP協奏曲第1番のライブ録音でこの青年の屈託的な音楽を若いグリモーが女性としてどこまで聴く側の私にフィットしてくれるかが注目の盤でありました。結果的にはライブ故もあって若干のタイミングミスも手伝って中々リアルでこの曲にフィットしたある「野蛮な」面を見せた出来上がりになっており好感を持ちました。要は女性だからといって決してなよっとしたものではなく、しかし細部まで立体的に高い精神的高揚感と恍惚感を伴いつつ丁寧に運んでおり彼女自身がブラームスとの相性を是としている事が肯けます。バックの特に第1楽章前奏のゆったりとした少し粘り気と凄みを宿した演奏が指揮者とこの悲劇的曲想について充分調整された彼女のアプローチを際立たせた様にも思います。本楽章終わりのコーダもゆっくりと攻めて行きます。第2楽章は内省的な美しい「祈り」的な感じです、この楽章が終わると通例的に即最終楽章に突入します。テンポとしては速めで前楽章とのコントラストを強調。感情的に前のめり気味にはなっていますが次第に透明感を増して冒頭の前奏からの推移が手に取る様に分かります。演奏タイムとしては@23’48A13’27B11’50と第3楽章の速さが特徴となつています。D.ジンマン/BDSOバックによる1995年録音のR.シュトラウス「ブルレスケ」(4曲トータルタイム21’49)は未聴でありますので★一つ保留します。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/06
1968年ギレリスが56歳、CLOを指揮したセルが71歳の時のベートーヴェンピアノ協奏曲第2番(タイム@13’59A9’04B6’21)は一連の彼らのベートーヴェン、ピアノ協奏曲の一曲でギレリスと聞くと何かと筋肉質的鋼鉄のピアニストイメージがあってこの協奏曲集でも第3番とか第5番「皇帝」が指揮と共にマッチしているかなという先入観がありましたが決してそうではなくベートーヴェンのモーツァルト等の影響も受けた若い頃の作品でもあって割りと力技でつき進むのではなく第1楽章3分近くの前奏からピアノは軽め、ソフトに入ります。中程、歌う様なオーケストラに続いてピアノも粒を円やかに転がす感じで明るいベートーヴェンの何もかも取り入れたい若い曲想を穏やかに運びます。カデンツァも初期ピアノ・ソナタみたいでね。第2楽章、セルの整理されたオーケストラは情緒的な楽章でのオーケストラがインターバルある短いカデンツァ後ゆっくり下降線を描く様に〆に向かいます。最終楽章は明確な輪郭ですが演奏は別にして、やや曲としては個人的には単調だとは思いました。併録の第4番協奏曲(タイム@18’50A5’48B9’56)は残念ながら聴いておりません。なお、ギレリスの弾く第2ピアノ協奏曲は詳細は確認しておりませんが結構演奏盤が過去を含めてあり、1947年コンドラシン指揮MRSO、1957年ヴァンデルノート指揮パリ音楽院O、同じく1957年ザンデルリンク指揮LGRPO、1958年同じくザンデルリンク指揮チェコPO(ライブ)、1976年マズア指揮ソヴィエト国立SO等があります。未聴な曲があり現在販売されておりませんので本盤当面OKランクとさせて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/05
本盤はワルターが第一線を退いてのち、特に彼の為に編成されたコロンビアSOを振って代表曲をステレオ録音していった一環のものでブラームス交響曲第1番は1959年、ワルター何と83歳の時の演奏でタイムは@14’04A8’28B4’45C16’50となってこの演奏盤の前の録音(モノラル)である1953年NYPOを指揮したタイム@12’30A8’11B4’26C15’04の忙しさからすればちょっと落ち着いた感じ・・・そうワルター独特の歌い要素が前面となった演奏となっています。ただ、私はワルターのブラームス交響曲第1番が彼の資質からピッタリフイットしているかを再度自問する場合があります。確かに第1楽章出だし、同楽章中程へのピークの運び、終楽章のやヽ金管が勝ったクライマックス等堂々たる見せ場は充分踏まえており、又第2楽章も甘く美しいワルター節を見せつつキリッと締めてはいるのですが先述の彼の資質(あくまで私が感じているだけです・・)、コロムビアSOの音色が比較的根っからアメリカ的に明るいのも作用してどうしても我々凡人はブラームスに内省的なものを探るのに対して何かアメリカ映画のハリウッド・サウンドトラック的色彩(録音音質オリジナル的なものかも知れません・・・)になっているようにも感じる時等ありました。とは言えやはり又取り出して聴きたくなる素晴らしい演奏には違いありません。なお、ワルターのブラームス交響曲第1番録音には上記二つの演奏の他に1937年VPO、1947年LASOとのライブ?もあるそうでやはり若い?だけに足早な演奏らしいのですが詳細は未確認です。1960年録音の「大学祝典序曲」(タイム9’58)、「悲劇的序曲」(同13’20)も夫々ワルターならではの演奏で私は特に「悲劇的序曲」が気に入っております。なお、本盤は平林氏の例によっての板起こしで多分ワルターのこの演奏の生々しい処がより鮮明に伝えられ再現されているのではないでしょうか。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/04
本盤は聖トーマス教会合唱団と肩を並べる13世紀以来の歴史を誇るドレスデン十字架合唱団の演奏録音集で幾分資料的な位置づけもあると思いました。ドレスデン十字架合唱団と言えばH・シュッツの演奏で殊に名匠R・マウエルスベルガーの後を継いだM・フレーミヒの指揮したものが有名であり本盤にも含まれております。私はこのシュッツの演奏分は聴いてはおりませんが本盤に同じくファイリングされたバッハの小ミサ曲をLPベースで愛聴しており、もう今ではその名も忘れかけられているフレーミヒの演奏芸術の感触を本盤レビュー欄においてお伝えしておきたいと思います。本盤では曲としては私たちに比較的身近なものとして代表的な曲と思われるこれら四曲のミサ曲は何れも合唱「キリエ」と五楽章(前後合唱)の「グローリア」から各々成り立ち曲自体は殆どがいろんなカンタータ曲からの巧みな転用となっております。本演奏は1972年、フレーミヒ59歳の時オーケストラDPOを指揮した録音で独唱者でドレスデン十字架合唱団出身のP.シュライヤー(T)37歳、T.アタ゜ム(B)が46歳それに女性陣はL..クラーマー(S)35歳、A.ブルマイスター(A)が44歳とベテラン揃いです。どのミサ曲も合唱「キリエ」から入るのですが先ず気負いがなく美しい旋律線に沿っての大変ソフトなしっとり感が印象的です。マァ、自分達に染込んだ素朴さが自然に発露しその瑞々しく透明感溢れる演奏はじっくり聴く者を引き付けます。曲の性格上も有りリヒターの様な緊張した世界とは別の次元を極めた演奏です。どうしてもミサ曲というとカトリック音楽絡みなのでカンタータの様に合間に「語り」が入らず次々曲が展開され息詰まりを感じる場合があるのですが本演奏はそうした事は皆無・・・私自身クリスチャンでも何でもありません。なお、各曲演奏トータルタイムをメモしておきますね。BWV233(27’55)、BWV234(32’45)、BWV235(30’30)、BWV236(28’05)。評価としてはフレーミヒ演奏のバッハ「小ミサ曲」しか聴いておりませんが本盤代表選手として素晴らしいランクにしておきましょう。。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/03
昨年の大病後必ずしも順調な回復を見せていない小澤征爾さん(以下敬称略)が日本人指揮者として本格的にメジャーレーベルレコードに初めて吹き込んだのが確か1960年代のシカゴSOを振っての諸盤でありました。そのレーベルとしてRCAの他に本アルバムにあたるEMIだったのですが私はその初期での1969年録音(小澤34歳)のリムスキー=コルサコフ「シェエラザード」(タイム@9’43A11’55B9’48C12’04)&ボロディン「だったん人の踊り」(同13’35)のLP盤を発売後即買い求めて聴いたものです。2002〜2010年かのウィーン国立歌劇場音楽監督を務め上げその間色々無理もしただろう結果の大病とも思われるので、もう小澤には余り無理、いい格好せず、周囲からもそれなりの理解・サポートを望みます。小澤はこの「シェエラザード」を後年録り直ししておりCDでは1977年ボストンSOを指揮した演奏(同@10’18A12’12B10’02C12’18)の物や1993年VPOとの演奏録音(同@9’52A11’35B9’22C12’33)のものがあります。そこで私が時折思うのは演奏者の年齢の事で本盤「シェエラザード」ではHMVレビューにもあります様に当時の若々しい意欲に満ちたフレッシュな演奏が魅力で以降いろいろキャリアを重ね2002年ニュー・イヤー・コンサートでのほぼ絶頂期を経ての今日・・・誰しも避けられぬ老齢化・・・。私が2008年に当該シカゴSO演奏盤にレビュー書き込みしたメモを転記させていただきます。『小澤の若かりし頃30才台前半での「シェヘラザード」のシカゴSOとの収録は後のBSOよりはあっさりしている・・茶漬けみたいな味わい(大人しい演奏だと言われればそうかもしれません・・)があり彼が意図した方向と私の感じ方が異なるかもしれませんが、弱音も綺麗だし好きな盤となっています。先ず「聴き飽き」がしないところが長所で彼が欧米楽壇に本格的に進出していく過程としても一応のレベルに達している盤と言えるでしょう』。確かに今聴いてみてもタイム的にはどちらかと言えばあっさり気味で音色上も欧米指揮者とはちょっと違った日本人にしか出せない特徴を聴きとれるのではないでしょうか。「だったん人の踊り」は小澤が大陸生まれのせいなのか、特に力むこともなくこれも比較的ツボに合った演奏で草原のそよ風を想起させてくれます。全く脈絡はないのですが彼の大陸物を聴いていると何故か横綱「白鵬」を連想してしまいます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/02
既に皆さんが書き込まれている諸レビューに各々肯けるものが多々あり私もやや繰り返し気味とは思いますが・・・・。フランス系とは縁のないクレンペラーが何と78歳の時の1963年にPHOを振っての「幻想」交響曲は、実に各楽章・楽章をクレンペラーらしくゆっくりしたテンポの内にこの曲のオドロ・オドロした処を余すことなく運んで行きます。演奏タイムは@16’11A6’36B18’04C5’00D10’41といった感じでテンポは遅いものの何かこの指揮者は「突き放した」様な姿勢で独墺系指揮者による演奏盤で独特の存在感を示しています。なお、第1楽章がタイム的に長いのは反復演奏がされているからでしょう、第2楽章はHMVレビューにもあります様にコルネットが入った版を使っての演奏で続く色彩感豊かな第3楽章を経て、後半に至るともう人間の「暗部」をクレンペラーが本領を発揮した如く「抑制された」迫力感をもって幻想交響曲の狂気を捻出して曲全体の構成感を明瞭にして行きます。ただこの辺り楽章標題ほど劇的な表現ではなく、前半・後半をあらためて通して聴くと音楽そのものへのアプローチがなされている様で勿論洒落た表現でもありませんが一度聴くと癖になりそうな演奏で、音質も比較的古い・・・そう、もう50年前の録音ながらマァ聴けるレベルでありますし何より先ずオーケストラPHOの適応力の高さに素晴らしいものがあります。当時PHOプロデューサーはあのW.レッグが担当していましたがオーケストラの設立者でもあったレッグは、本演奏録音の翌年1964年に突然この楽団解散を宣言し、以降は仕切り直しの自主運営のNPHOとしてレッグの手を完全に離れ、クレンペラーが会長となって継続の形をとります。そういう経緯があるので、クレンペラー、レッグ、PHOの3者共同のレコードとしては末期の作品になったそうですね。又、クレンペラー「幻想」には1966年NYPOとのライブ録音も以前あった様ですが詳細把握しておりません。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/01
D.オイストラフと同郷のL.コーガンと言えば私などはその容貌からもあって澄んだ音色で攻撃的に冷たい演奏を行うヴァイオリニストという印象面と日本の佐藤陽子や天満敦子らの師匠であったという面が何かチグハグ感を持っておりました(特に佐藤との師弟関係の記事が時折新聞に掲載されていたのをよーく覚えております)。企画の意図がどうあれ、そのコーガンがこれまた意表をつく様に当時バッハ演奏の中核でもあったリヒターのチェンバロで1972年録音したバッハVソナタ集が本盤でありコーガン48歳、リヒター46歳の時でありました。ほぼ同年輩の二人による演奏は予測した事なのですがやや硬い厳しい仕上がりになっており先述したコーガンの引き締まった冷たいタッチと荘厳なリヒターのチェンバロは微妙なセンスの異なりがあるものの双方の持ち味を活かした楷書体?的結果となりました。時折曲によってはチェンパロが奥まった感じもしないではありませんが各曲での緩徐樂章での美しさは絶品ですね。兎に角この曲集には本盤演奏を含め名ヴァイオリニストによる優れた演奏が多い中で個人的にはもうちょっとソフトな当たりのグリュミオー/ジャコッテ盤も気に入っておりその時の気分次第で聴き分ける様になりました。なお、このコーガン/リヒターの演奏の各曲演奏トータルタイムは次の様になっておりやや全般的にはどちらかと言えば速い印象を持ちました・・・第1番BWV1014(4楽章トータル14’51)、第2番BWV1015(同15’06)、第3番BWV1016(同19’09)、第4番BWV1017(同17’00)、第5番BWV1018(同17’59)、第6番BWV1019(5楽章トータル17’41)。なお、リヒターには既に1966年録音でシュナイダーハンと組んだ演奏もありましたが私は未聴であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)
0 people agree with this review 2012/04/30
先ず本盤のジャケット・デザインが中々凝ったもので洒落ていることに注目しました。そして私のこのレビューでお断りしておきたいのは1997年収録のやはりストラヴィンスキー作曲のでギリシャ神話に題材を得たアンドレ・ジードの詩文による新古典主義的メロドラマ「ペルセフォーヌ」(三部構成トータルタイム47’46)は正直な処ちょっと馴染めなかったので対象外としました。さて、そうなると「春の祭典」(1913年にモントゥー指揮でパリにて初演)ですね・・・永い冬を経て春が訪れて来る自然の兆候と太古からの人間の営みそして部族入り乱れての祭典で老祭司が大地に祈りを奉げて乙女の生贄を通して大地と結びつく・・・「春の祭典」抜きではマイケル・ティルソン・トーマス(以下MTT)を語れないくらい彼にとってはこの曲は重要なレパートリーであり本盤以前1971年二台のピアノ版での録音(タイム第一部14’57、第二部18’08)盤と翌1972年ボストンSOを振っての演奏盤(同第一部16’08、第二部17’52)はどちらも大変話題になったそうです。本盤はそれから四半世紀後の1996年MTTが52歳の時に手兵SFSOを指揮した演奏(同第一部15’41、第二部18’17)でやや音色が明るいというかSFSOの響きのドライさと相まって切れの良いシャープな運びになっております。MTTはロシア系移民の流れを汲み祖母からロシア民謡を聞かされたりロスアンゼルスでストラヴィンスキーの演奏に接したり又更に演奏の阿吽の呼吸を直伝で継いだりした強みがストラヴィンスキー作品を積極的に採り上げる事にも繋がっているわけですが、流石この頃五十歳を超えた頃になるとかねてのリズムの切れ、スピード感に円熟味も加わり単純にロシアン・バーバリズムが取り仕切るのではない仕上がり感になっております。オーケストラコントロールが行き届いて繰り返される楽器咆哮も土着泥臭さとは一線を隔し高揚感を楽しみつつ聴き易く思われました。「火の鳥」はMTT初録音(1998年、トータルタイム47’33)だそうでこのロシアン・バーバーリズムスタート曲を実に明快にシェープアップして提示してくれている演奏かと思われます。王子イワンが火の鳥の力を借りて凶悪魔王城に閉じ込められた王女を救うというストーリーのこのバレエ音楽を「春の祭典」以上にパワフルにしかもスッキリと進め「決まるべき処にちゃんと決まった」色彩感溢れた演奏で輪にかけて録音の良さも素晴らしいですね。将来に渡って残るべき名盤とは思いますが誰しも思うのはやはり「ペトルーシュカ」も入れて欲しかったのが正直な感想で冒頭メロドラマを個人的に考慮して★一つ保留しておきましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/04/29
2008/7にレビューを入れた者ですが演奏タイムデータ他を追加してご参考に供したいと思います。本盤はパイヤール34歳の若き頃手兵パイヤールCOを指揮して1962年に収録されたバッハ管弦楽組曲全集で第5番BWV1070・・・序曲が他の四曲と異なりフランス風ではなかったりするのですが結構滋味ある作品・・・というのが入っているのが特徴です。今ではこのBWV1070はバッハの長男フリーデマンの作とされており、BWV番号までついた第5番としてポジションを得て?録音されたLP時代が懐かしいです(私もLPベースであり簡単なボックスに添付全曲楽譜と共に入っていました)。第5番収録についてパイヤールは「バッハか否かでなく曲自体をレコードで評価する事が出来る様一般に提供する事とした」といった趣意を述べています。確かにこの第5番は他の四曲とは関連性が薄く曲全体がイタリア形式的で特に第1楽章ラルゲット〜ウン・ポコ〜アレグロにてそれがよく分かります。又、この曲でそのラテン的な処が皮肉にもパイヤールに合っている印象(結果論?)も持ちました・・・。本盤全体としては独奏演奏者もM・ラリュー(fl、当時28歳)、M・アンドレ(tp、同29歳)等まだまだ若い頃の当時フランスを代表する管楽器奏者を揃えてのある意味意気込みある制作盤でありました。当時においては重厚なドイツ演奏、今日においては古楽器演奏とは異なり軽やかなテンポで反復も一部採り入れながらの「運び」はそれなりの存在価値もありました。ただ録音がやや乾いた感じで管楽器音色にそれが気になった処もありましたがCDではちょっと改善されている様です。なお、パイヤール自身は1958年J.M.ルクレール器楽アンサンブルを振ってモノラルで第1番〜第4番(第1番@6’07A1’36B3’07C1’11D3’23E2’43F2’22及び第3番@7’12A3’11B3’18C1’04D1’43以外はタイム未確認です)を録音しており同年ADF大賞を受賞しております。本レビュー主眼の演奏タイムに入りましょう。第1番(タイム@7’38A2’09B2’52C1’36D3’21E2’40F2’21)、第2番(同@9’22A1’37B3’38C2’00D3’08E1’19F1’23)、第3番(同@6’38A5’15B3’14C1’18D2’42)、第4番(同@7’19A2’46B1’59C3’48D2’38)、第5番(@4’57A1’39B2’42C3’33D4’05)となっております。なお、パイヤール/パイヤールCOは1976年に第5番を除いて再録しており夫々のタイムは次の様になっております・・・第1番(@7’16A2’23B3’32C1’36D3’34E2’36F2’35)、第2番(@8’38A1’34B3’27C1’58D3’09E1’19F1’23)、第3番(@8’25A5’37B4’07C1’20D2’42)、第4番(@9’16A2’52B2’02C3’50D2’34)。両演奏各楽章で微妙にタイムに差があるのは自分で書き込みながら「タイム」という一つの「演奏定量データ」の重要性も今更の様に痛感しております。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/04/28
ビゼーがまだ十代の時に書いた彼の唯一?の交響曲は何と1930年代半ばあの大指揮者ワインガルトナーによって初演されたもので青春時代の作品そのものというか各楽章分かり易い楽想でメロディ・メーカーであるビゼーの芽が聴かれます。従ってこの演奏にはそれなりの「活き活きさ」「瑞々しさ」が求められるわけでその点では小澤/FNOの本演奏(小澤47歳の1982年録音、タイム@10’20A10’09B5’55C8’56)は比較的満足度の高いものとなっていると思いました。第1楽章は歯切れよくスタートし覇気感も充分です。日本人の茶漬け感覚とフランスオーケストラのお洒落れ感覚が程よくブレンドした雰囲気ではありますがちょっと弦の生々しさがザラツキ感に結びつく処もあります。第2楽章はオーケストラバックでオーボエが哀愁あるテーマが流れる楽章でやはりオーボエが決め手となりました。途中場が変わっての弦はよく歌いやがて入る弦掛け合いはゆっくり目に進めるところも実に印象的です。そして又初めの楽想に戻って行く過程も充分足どりをとって先ほどの「弦掛け合い」の面影を残しつつ余韻を持ってこの楽章を終えます。第3楽章は私がまだ小中学生の頃、TVでのニュースでよくBGMに使われたもので、クラシック音楽とは無縁の頃ではあっても記憶に残った曲です。小澤のこの演奏は反復してじっくり腰を据えたもので弦の美しさがこの楽章では活きています。最終楽章も通常得てして先を急ぐ様な或いは軽々しく扱われ勝ちなところを精妙に軸足しっかりとした運びに好感を持ちました。とにかく全体片手間的な演奏にはなっておらず透明感ある仕上がりになりこの曲では最高ランクにしたいです。小澤には後年1995年水戸COと録られたこの交響曲演奏盤(タイム@9’49A10’55B6’02C8’55)もありますね。本盤併録分・・・劇的序曲「祖国」(13’07)は私は初めて聴いた曲でマァ愛国心高揚の為の音楽でもあるのでしょう・・・賑やかなものです。組曲「子供の遊び」(10’49)は洒落た小品で正しく「遊び」的な処が余裕が感じられました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/04/27
アバドは1972年にブラームス交響曲第1番をVPOを振って録音(タイム@16’59A9’25B4’55C16’28)していますが本盤はBPOを指揮して1990年(アバド57歳)に収録したもので仕上がりはグッと重厚なものになっている様です。演奏タイムは@14’16A9’37B5’06C16’29と第1楽章での反復は省略されています。最終楽章は偶々同タイムなのは別にして本盤演奏での冒頭の「うねり」後の宣言ティンパニーに続くホルンのなだらかな歌謡性はアバドそのものです。その最終楽章、例の歓喜テーマは少し早目の表情を見せつつ後続は前のめりに詰めて行きます。フィナーレへの管楽器は堂々の引っ張り具合で最後のクライマックスが崩れない処も彼らしいです。ちょっと戻って第1楽章のスタートは実にゆつたり堂々としたものでカラヤン時代の名残りとも思える程重戦車走行的サウンドはそれまでのアバドとはニュアンスの異なる面構えです。とにかくよーく鳴って伸びやかなBPOがバランスを取りながらカラヤン亡き後の新リーダーであるアバドの意図を再現しようとしています。時折アバドの優しさも垣間見られますがあのピークへの足取りはテンポを落として劇的にかつメリハリつけて登って行きます。第1楽章の〆は比較的やはり優しいですね。第2楽章では各管楽器の独奏的な部分が穏やかです。ヴァイオリン・ソロ(この頃BPOコンサートマスターは安永徹39歳?)も余りきつく目立たせずこの楽章演奏の性格を特徴づけました。第3楽章も実に配慮の行き届いた運びです。録音の良さも追加メモしておくべきでしょう。全体トーンとしては「好み」が若干左右する部分もあるのですがマァ長持ちする方の演奏ではないでしょうか。1990年録音の「悲劇的序曲」(12’58)も緊張感に満ちた演奏と申せましょう。仕様向上での再登場盤です。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/04/26
「流れ出でよ我が涙 泉から溢れるごとく生涯追放のこの身を深く嘆かせておくれ漆黒の翼を広げ 不名誉を歌う鳥の夜に孤独の淵に生きさせておくれ・・・」「涙のパヴァーヌ」と言えばブリュッヘン演奏をすぐ持ち出したくなりますが私はLP時代テイチク発売のオーバーシーズ・レーベル廉価盤で本盤ハンス・マリア・クナイス(以下クナイス)の演奏するエイク「涙のパヴァーヌ」(1960年代末録音?タイム8’11)に接して当時彼の名は全く知らなかったのですがその音色の素朴さに聴き入りました(そのLPではルネッサンス〜バロック時代の諸作品が収録されておりました)。本盤クナイス演奏のエイク「涙のパヴァーヌ」は同じJ.ダウランド「笛の楽園」原曲分を二通りか編曲したものの内テーマ&三変奏の版でタイムは14’43と先のバージョンとは別のものです。ただ小中学生の音楽教材と同種の楽器による演奏とはとても信じられない味わい深く密度の濃い演奏であることは同様ですがクナイスが38歳、1981年録音で年を重ねている事、使用ブロック・フレーテ=リコーダー自体の機種変動が微妙な彼自身の変化に影響を及ぼしているのではないでしょうか。何れにせよ今述べた新旧録音(これら以外に勿論何度か1976年、1985年?録り直ししております)を聴いてやはりブリュッヘンと比べて「遊び」や「華やかさ」は一歩譲るものの落ち着いたそのひたむきで真摯な演奏には飽きが来ないのではと思いました。本盤他の曲については他の演奏との比較は出来ませんでしたが彼の演奏の基調というか諧調は同じなのでしょう・・・例によって各曲のタイムだけ参考までにメモしておきましょう。エイク「天使のナイチンゲール」 (5’13)、オットテール「エコー変ロ長調」(3’08) 、テレマン「幻想曲ニ短調」 (3’51)、「幻想曲ト短調」(3’47)、「幻想曲ハ長調」(3’15)、 野田 「こきりこ」による変奏曲(4’41) 、モーツァルト「キラキラ星の主題による変奏曲」(6’24)。オットテールの曲も初めて聴いたのですが2本の笛が作り出す穏やかな響き合いはルネサンス頃の風情を心にしみ入るほど伝えています。とにかく他の演奏においては下手すればリコーダー楽器は前述ではありませんが学生演奏の延長にも聞こえる場合もあって、本盤、日本人にも絡み中々商売上手な処も・・・。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
Back to Top