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TOP > My page > Review List of 一人のクラシックオールドファン
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1 people agree with this review 2012/06/05
以前2009/9に別盤・・・1968年SKDOを振ってのモーツァルト交響曲第35番「ハフナー」(タイム@4’56A4’30B3’31C3’58)、第36番「リンツ」(同@10’25A7’44B4’03C7’52)、第38番「プラハ」(同@11’56A8’47B5’53)の収録盤・・・に書き込みましたが交響曲についてデータ的なものを追加させていただきます。スイトナーと言えば1970年代初めから日本では顔なじみになった指揮者ですがそれまで東独活動であった為かどうも地味な存在で少し特異・個性的なルックスに似合わず重くも軽くもならない演奏姿勢がその人柄と共に受け入れられた様です。モーツァルト交響曲関係はまだ日本では知名度が上がっていない頃の1960年代から1970年代半ばに比較的長期間(計画だったのか結果的になったのかは不明ですが・・・)にわたって収録されたものでモーツァルトはスイトナーの重要なレパートリーだけにSKDOの円やかさに加えるに中々「芯」のある真面目な演奏仕上げになっております。少し冗長ですが演奏交響曲のタイムデータを以下にメモしておきます・・・第28番(1974年録音、タイム@5’17A5’51B4’11C3’48)、第29番(1960年、同@8’46A7’24B3’58C5’46)、第30番(1974年、同@6’19A4’12B4’03C3’42)、第31番(1968年、同@7’03A5’56B3’52)、第32番(1974年、同8’31)、第33番(1974年、同@7’24A4’59B2’58C7’03)、第34番(1974年、同@7’11A7’05B4’19)、第39番(1975年、同@8’24A8’03B4’01C4’02)、第40番(1975年、同@8’08A7’33B4’46C4’55)、第41番(1973年、同@7’41A8’11B4’14C8’10)。サンプリングなのですが先の別盤書き込みで触れなかった第38番では第1楽章出だしはベッタリしてSKDOのファッーとしつつ分厚い音色がテンポの速い展開部に入った時弾き切れていない錯覚を催しましたが後半しっかり高揚過程でその辺りは全くの危惧に過ぎない事が分りました。中間楽章・・・珍しくこの交響曲は三楽章形式であります・・・は明確な各声部をベースに陰影が深く美しいですね。そして最終楽章では速いテンポで快調に進み中程では先の各声部の動きが面白い様に捉えられます。スイトナーは日本での演奏記録もあり交響曲ではNHKSOを指揮した1979年第36番(同@10’05A6’42B3’45C7’39)、第38番(同@12’29A8’33B5’45)及び1982年の第39番(同@8’36A8’06B4’07C4’16)、第40番(同@5’49A7’33B4’28C4’56)、第41番(同@8’00A7’46B4’33C6’14)の収録CD盤が別にあります。TVで日本での演奏会模様がオンエアーされた時に見た最終楽章を終えて聴衆拍手を背に楽員連中に人懐っこい笑顔で見渡しているスイトナーの姿が目に焼きついています。東西ドイツを演奏活動で行き来している内に西側で親しくなった女性との間でもうけた息子が後年父親であるスイトナーをドキュメンタリータッチの映画に描いたのですが晩年のスイトナーの人生がその人柄を含めて良い悪いは別にして必ずしも私たちが思い描いた様ではなかった事が誰にも心当たりある処なのかも知れません。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
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0 people agree with this review 2012/06/04
有名なヴァイオリン協奏曲の大半をあのカラヤン/BPOバックで若い頃から録り済ませていたムターが34歳になった1995年に初収録するシベリウスの協奏曲でバックはプレヴィン/DSKOであります(プレヴィンはこの録音当時で66歳だったのですが割りと若い頃からシベリウスのこの協奏曲バック録音が有り1970年LSOを振って名盤と言われるチョン・キョンファ演奏や1972年ピッツバーグSOでパールマン演奏とかが残っておりますね)。さて、本盤・・・第1楽章(タイム15’45)冒頭さざ波立っての滑り出しはややビブラートを制御しかすれ気味と意外な感じで前半山場はオーケストラも到って薄味であります。一段落してのV独奏は沈着基調を維持しつつ冷徹に北欧カラーを出して行きます。バックオーケストラでは管楽器扱いに独特なものがありちょつとしたティンバニーにもプレヴィンの存在感を私は感じました。中間楽章(同8’23)は繊細な中に熱気を孕んだウネリを旋律線に載せての進み具合はムターそのものでその華やかさが懐かしいです。最終楽章(同7’14)に入るとVは更にウェイトを増してチャレンジングに挑みます・・・この辺りでやや彼女の持って回った気負いに若干反発感も過ぎりましたがマァ凡な言い方ではスリリングな楽章に仕上がっています。バックも拍車がかかってメリハリ、輪郭を明らかにしつつこの曲を〆ます。珍しい2曲の「セレナーデ」(タイム6’28+6’57)及び「ユーモレスク」(同3’33)は未聴であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)
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0 people agree with this review 2012/06/03
大変懐かしいこの指揮者/ザールCO演奏のバロックLP盤を聴いた時代を思い出しました。アルビノーニ、バッハ、モーツァルト等々様々な曲でありましたが本盤関係では1960年収録のバッハ管弦楽組曲全曲が該当しました。リステンパルト60歳の時の演奏で演奏タイムは管弦楽組曲第1番BWV1066(タイム@6’20A1’56B2’55C1’28D3’25)、第2番BWV1067(同@7’22A1’43B3’30C2’08D3’10E1’15F1’18)、第3番BWV1068(同@7’40A5’25B4’30C1’15D2’05)、第4番BWV1069(同@8’30A3’10B2’05C3’45D2’55)と夫々LPでは表記されており聴いていてもテンポ的には私には適度な感じがします。演奏自体、基本はドイツ的ではありますが決して堅固、重厚な印象は受けず・・・そう言う観点では先のアルビノーニの様なイタリアバロック物にもフィットした感触で全体よく歌わせた仕上がりとなっております。第2番でのフルート担当のロジェ・ブルダン(録音当時37歳)、第3番トランペット受持ちのモーリス・アンドレ(同27歳)等各独奏者もまだ若い頃の出演ですがしっかり分責を果たしております。リステンパルト自身は後続のレーデル、ミュンヒンガー、パイヤール、リヒター等に若干押され気味でマーケット上では地味な存在に余儀なくなってしまった観もありますが演奏上では他のバッハ作品(フーガの技法、ブランデンブルグ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ハープシコード協奏曲)にも一つのメルクマールも示したのではないでしょうか。聴き飽きしない演奏スタイルは各曲に共通しているものと推察いたします。本盤は現在販売されていませんが素晴らしいランク盤であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)
1 people agree with this review 2012/06/02
交響曲と歌曲が大きな柱となっているマーラー作品群の中で「大地の歌」はこの両者が融合された傑作で、周知の通りその歌詞は、李白らによる唐詩に基づき独語訳されたやや東洋的な無常観・厭世観が当時のマーラー自身の転機と合致しその生涯や人間像を、決定的に印象づけるものとなっている様です。さて、その「大地の歌」のジュリーニCDは本盤(ジュリーニ70歳の1984年収録)BPOを振っての演奏分(タイム@8’34A9’47B3’17C7’36D4’15E30’30)と1987年にはVPOを振ってのライブ演奏盤(同@8’34A9’24B3’22C7’35D4’35E30’10)があり独唱者は両盤共同じなのが注目処ではありましょう。本盤収録時アルトのB.ファスベンダーは45歳、テノールのF.アライサ(メキシコ出身)は34歳でありました。第1楽章「地上の苦悩をうたう酒宴の歌」での出だしテノールは少し「苦悩」から外れた?明るめなトーンで歌います。しかし第2楽章「秋の寂しい人」でアルトは流石に諦観というか晩秋の哀しさをきっちり表現します。こうしてテノール、アルトが交互に独唱楽章を進め最終楽章はこの曲の半分を時間的に占める孟浩然、王維による詩を原典とする「告別」では実にアルトの沈痛な歌唱が印象的で最後繰り返してFwig・・・ewig・・・「永遠に・・・永遠に」と続け静かに閉じられるのですが振り返って見渡すと冒頭交響曲と歌曲との融合とはしたもののジュリーニの遅めの運びがジュリーニ「泣き」の上手さがオーケストラBPOにちゃんと反映されている事がポイントになっている様に思えました。そして特記しなければならない事は本盤と同一演奏メンバーで同年ほぼ同時期でのライブ録音盤(タイムの違いに注目!@8’28A8’53B3’25C7’06D4’35E28’50)も別に出ており、この辺りVPOとの盤も合わせて比較もしてみたい衝動に駆られました。又、ワルター、クレンペラー、バーンスタイン等ユダヤ系指揮者演奏盤とは趣きが異なった演奏でも要チェックです。本盤は現在廃盤ですがレビューを入れさせていただきました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/06/01
バーンスタインにはこの曲収録盤が二種ありまして一度目は1959年勿論NYPOを振っての演奏(タイム@18’05A10’24B10’22)であり二度目が本盤フランス国立Oを指揮しての1981年ライブ録音・・・@19’21A11’27B11’41・・・でバーンスタインが63歳の時の演奏であります。フランス・ベルギー系のフランクの作品を今度はフランスのオーケストラを起用して循環方式のこの曲のスタート、第1楽章はやや甘い高め?のサウンドで少し「暗い」イメージとは異なった感じで進み濃厚な感情移入でゆっくり「溜め」を醸成しつつ粘り腰で進めます。そして凝縮したマグマが爆発します。管楽器が素晴らしいもののオーケストラの音色はやや乾いた感じに私は捉えました。とにかくこの曲の第一印象を決める楽章ですからバーンスタインのある「意気込み」も伝わって来る程粘着力の強い楽章に仕上げています。中間楽章は静かに弦ピチカートに乗って先の管が美しく移ろって行きます。各内声部が割りと明瞭に表出している事が途中焦点ボケ寸前でかなりスローダウンする「業・技」を引き立てる様です。最終楽章は前二楽章で挙げられた三つの主題が代わるがわり再巡し最後の方は堂々とこの曲のゲルマン的要素を強調します、心なしかバーンスタインだからかマーラー演奏的な厚塗り雰囲気を漂わせている感じもしました。ただ「ライブ演奏でのバーンスタイン」ならではのあの興奮度が低く思ったのは素人の私だけかも知れません。とにかく超一流のプロのバーンスタインがフランス物を扱うだけの魂胆というか設計故あとは聴く側の個人の好み次第である事は仕方ありませんね。なお、余録のサン=サーンス「オンファールの糸車」(タイム9’23)は未聴であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/31
1945〜1989年の長きに渡って弦の国チェコを代表する弦楽四重奏団として活躍したこのスメタナQは我々の世代のクラシック・ファンには正統派アンサンブルとしてその評価は定着したものでありました。このQが活動後半期である1976〜1985年に録音したベートーヴェン弦楽四重奏曲集から本盤は中期作曲グループのラスト第11番(1981年録音、タイム@4’38A6’25B4’05C4’33)と後期作曲グループのスタート曲第12番(同年録音、同@6’08A15’19B8’28C6’14)とをカップリング分売したものです。第11番「セリオーソ」(「セリオーソ」とは「真面目な」という意)は短調である事もあって第1楽章からセカセカした押しの強い切り込みからスメタナQの緊密感が素晴らしいですね。何気なく終わるこの楽章からこれも何となく始まる第2楽章でのゆっくりしたメンバーの掛け合いは平凡な言い方かもしれませんが「渋い」の一言です。なお、スメタナQにとっては本演奏盤は二度目の収録で一度目は1962年(タイム@4’51A6’37B4’11C4’40)でありました。次に第12番ですが中期グループとこの第12番の属する後期グループとは期間的には十数年のブランクがあり本後期にベートーヴェンは聴覚を失った時期だけに中々内省的な作品でありスメタナQの演奏はその老境感?にピッタリ寄り添う独自の進み方で特に第2楽章での15分間の長丁場では変奏に乗ってじっくり落ち着いた取り組みが本録音でも例の暗譜でなされたかどうかは別にして聴く方も繰り返して聴き深めこの晦渋な世界に触れる価値があろうかと思います。なお、本演奏は三度目の収録であり参考までに前二回の演奏タイムをメモしておきましょう・・・1961年録音分@6’09A13’57B7’21C6’11そして1971年録音分@6’04A14’48B6’32C6’01・・・こうして見ますと本盤は流石老境に入った演奏なのか更にゆったり目になった第12番です。本盤の解説書も読み応えあり、代表的ベートーヴェン四重奏曲全集の一環を感じ取りました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/30
フェラスは30歳を少し過ぎた頃、磐石体制を築きつつあったカラヤン/BPOをバックに有名なヴァイオリン協奏曲を次々収録して行き個人的には学生時代にブラームスのVCをラジオから聴き出しその新鮮さが気に入ってLPをすぐ買い求めました。そしてチャイコフスキーや本盤演奏曲目シベリウス(1964年録音、同@16’11A9’00B8’04)と順次曲組み合わせは異なっても別盤で聴き続けたわけです。そのシベリウスはフェラスの実に美しい情念っぽい高音が終始印象的で第1楽章ではカラヤン支配の下で真摯に対している向きも感じられました。中間楽章ではVのゆっくりした官能性はフェラスの先行き50歳手前で夭折する人生の儚さすら漂わせ最終楽章では支配力が覆いかぶさる強いバックにVが必死に付いて行っている感じもしました。しかしカラヤンリードはそれなりに効果的でこの曲を北欧の冷たさのみに終わらせていないのは流石というべきでしょう。カラヤンにはこの曲の別演奏盤は正式にはない様でカラヤン56歳の時の本演奏が唯一らしいです。一方フェラスには翌年1965年収録のメータ/ORTFバックのDVD盤(タイム@14’51A8’32B7’14)がある様です。さて、カラヤンっていう指揮者は何とシベリウスの上手い指揮者なのだろう! 底冷えする響きの第5番(タイム@14’10A8’20B8’57)は各楽章の終結直後の無音という音楽、終楽章は弦のイラつかせるような執拗な繰り返しの後の弦を主・金管楽器音をサンドイッチに最後は圧倒的金管楽器の咆哮、終結分断パッセージとどこをサンプリングしてもカラヤンの上手さ、聞かせ上手満杯、といった処。本盤1965年カラヤン(57歳)のBPOを振ってのシベリウス録音盤は以前PHOを振っての演奏での壮年期の素直さこそ薄れややカラヤン節の厚化粧が聴く方にすれば好き嫌いの分かれ目かもしれませんが北欧への想いを託した名盤には違いありません。カラヤンの十八番とも言うべき交響曲だけにこの第5交響曲演奏盤が多く1952年PHO(モノラル、タイム@13’51A8’59B9’35)、1957年BPO(モノラルライブ、同@12’25A7’46B10’16)、1960年PHO(同@13’33A8’13B9’08)そしてBPOとはステレオで本盤以外に1976年に再録(同@14’16A9’01B9’10)して更にバブリーな感じになっているそうですが私は未聴です。もう一つの大曲、交響曲第2番はシベリウスと同郷のフィンランドの指揮者であるカムが24歳の頃、1970年BPOを率いた演奏でタイムは@9’33A15’38B6’32C15’25とややゆったり目第2楽章が劇的場面にも充分耐えた格好だし、最終楽章はBPOのたっぷりさを振り回しつつ堂々の〆に導き、全体として透明な抒情と深い憂愁や北欧の雄大な自然をの描き出しに説得性を持った演奏となった様に感じます。なお、この演奏録音は第一回カラヤンコンクール優勝記念でもあります。カムはこの第2交響曲を後年1982年にヘルシンキPOを振って再録しタイムを@9’23A13’58B6’07C14’02として旧録音と趣きを変じております。その他の管弦楽は同じくカム指揮ヘルシンキPO「カレリア組曲」(1972年、3曲トータルタイム15’36)そして御大カラヤン/BPOで「フィンランディア」(1964年、タイム9’33)、「トゥオネラの白鳥」(1965年、同7’45)、「悲しきワルツ」(1967年、同6’15)は夫々シベリウス世界をたっぷり堪能出来特にカラヤンの語り上手は小難しい事抜きにすればこういった類いの曲へもドイツ色からは抜ききれなくても汎用的な適性を示せた指揮者であった事をつくづく思いました。シベリウスの代表的名曲に相応しい各演奏であり最高ランク盤にさせて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/29
アマデウスQは殆どのメンバーがポーランドからイギリスに亡命した演奏家で1948年結成された我々世代には馴染み深い弦楽四重奏団でありましたが1970年代半ば位から他の新生Qのヤヤ鋭角的な演奏トレンドに後塵を拝す形になって行ったのが正直な処でしょう。そして一人のメンバーの死により1987年解散してしまったのですが結成来長期に渡ってメンバーチェンジが無かったQとしてそのチームワークは特にロマン派独墺物に手腕が発揮され激しい高揚感や、アダージョにおける深い表現に独特の・・・ちょっと今の感覚では響きが重厚過ぎてオールドファッションなのかも?・・・味わいがありました。このQは1959〜1963年にベートーヴェン弦楽四重奏曲集を録音しておりますが本盤は再録分としてその内第9番(ラズモフスキー第3番)、第10番という中期を代表する曲を解散の年1987年にラスト収録したものでそれだけ感慨深いものがあります。特に第10番「ハープ」(タイム@10’08A9’28B5’12C7’28)での第1楽章ゆったりスタートから暫く思索的に続きいよいよ各弦での掛け合いピッチカートが交替々正に「ハープ」的な聴かせ処では音色は必ずしも冴えきったものではありませんがその色合いは今日のQでは聴かれない年配向きなのかも知れません。弦楽四重奏というのが最も「聞き手」を意識しないベートーヴェンの創作意欲を表現する舞台であったとすればこの楽章での本ピッチカートを噛ましつつあれこれ仕掛けて〆へ持って行く過程は当時画期的なものであったのではないでしょうか。第2楽章はやや粘っこくメロディアスなテーマを変調しつつ推移し中々情緒的滋味溢れる楽章で静かなエンディングでのメンバーの目配せが目に浮かびます。激しいテンポで求心的なスタートの第3楽章から第4楽章へは殆ど切れ目なく続き分かり易いテーマが緩急リズムをつけて変奏されて行きます。アンサンブルの詰めきれていない分はともかくとにかく解放的な演奏かと思いました。なお1960年録音分はタイム@8’38A10’08B5’24C6’57と本盤と少し様子が違う様ですが未確認です。なお、ラズモフスキー第3番での印象的な第2楽章(9’45)もメランコリーな高音ヴァイオリンが低音弦ピチカートに支えられて歌謡的に移ろって行く入念とも言える美しさはアマデウスQの象徴的な処となっています(1959年盤はタイム9’27)。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/28
今月、名歌手D.フッイッャーディスカーウさんの死についてコメントしていた我国声楽界重鎮の畑中良輔さんの訃報に続いて音楽評論界での草分け的な吉田秀和さんが亡くなった事を知りました。三人とも我々クラシックファンには要的存在で殊に吉田氏の執筆は雑誌「レコード芸術」で毎号「之を楽しむ者に如かず」で馴染み深いものがありました。皆さんのご冥福をお祈りいたします。さて、2011年に99歳を目前にして亡くなったザンデルリングの追悼盤で1985年彼が73歳の時のライブ録音です。73歳なのでまだ若い頃なのですが、ケルン放送SOを振っての演奏は早スケール感を伴って風格すら漂わせております。田園交響曲(タイム@11’20A14’04B〜D21’53)は実に悠然と流れているといった感じで清々しさこそ一歩譲りますがそのスケール感が素晴らしいですね。第1楽章「田舎に到着したときの晴れやかな気分」、スタートからゆったりとした運びは円やかで時折底からモタモタ気味というかいぶし銀的な音色が説得力を増しつつ進みます。第2楽章「小川のほとりの情景」が前楽章に続いてすぐ始まるのはちょっと余裕がない様に思いました(実演は不明ですが・・・)。演奏自体は悠然としたもので鳥の囀りの丁寧なフルートが特に美しいですね。勿論管弦のブレンド具合も素敵でこの楽章をしっとりと終えます。途中間断なく演奏が続く第3楽章「農民達の楽しい集い」、第4楽章「雷雨、嵐」、第5楽章「牧人の歌−嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」では第3楽章の農民踊りのどっしりとした感じが「土」の匂いすら感じさせ懐かしくロマン的ですね。第4楽章では分厚い音色が怒涛嵐に拍車をかけますが決してヒステリーにはなっておりません。最終楽章の安らぎは如何ばかりなもので、やや引きずり気味に大きく波を繰り返しつつ弦が掬い上げて行きます。そして最後は本当に感謝と安らぎ感の内に落ち着いてバトンが下ろされます。実に温もりのある「田園」交響曲演奏に仕上がっております。なお、ザンデルリンクには1981年PHOを指揮しての「田園」演奏録音(タイム@11’12A13’20B5’57C3’53D10’37)もあります。次にブラームスの二重協奏曲はT.ツェートマイヤー(当時24歳、ヴァイオリン)、A.メネセス(28歳、チェロ)という若い演奏家を従えてのザンデルリンクは貫禄を見せつつ彼らの若さを上手く引き出して昇華して行きます。演奏タイムは@17’57A7’40B9’11とこちらもゆっくり目で特に第1楽章の熱っぽさが素晴らしいです。個人的にはこの曲の最終楽章にはどの演奏にも安易さを感じてはいるのが正直な処です。(私は未聴の)ボーナストラックのリヒテルがピアノを受け持った「合唱幻想曲」(モノラル1952年録音、タイム19’15)はオーケストラ、合唱団もソヴィエト陣なので歌詞もロシア語という事らしいです。周知の様にザンデルリンクは一時ソ連に亡命しており、1940〜1950年代旧LPSOの指揮を担当しあのムラビンスキーの下で研鑽も積んだ頃の演奏なのでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
ブルッフと言えばヴァイオリン協奏曲くらいしか思い浮かばない作曲家なのですがロマン派として本盤収録曲はヴィオラ、クラリネットをキーにしてちょっとクラシック通になれる様な曲ばかりで「儲けもの」でした。「通」と言っても決して小難しい曲ではなく、さりとてイージーなものでもなくいずれも構成・技法は正統的なもので抒情的な味わいはブラームス領域であっても甘さの濃い旋律線重視の処はブルッフ独自の世界を繰り広げています。ヴィオラ/オーケストラの為のロマンス(演奏タイム7’39)はヴィオラ担当のコセが40歳。リヨンのバックオーケストラを指揮する日系指揮者K.ナガノが37歳の1988年に演奏録音されたものでシネマで外国映画のラスト、キャスト・スタッフ他がBGMに乗ってスクロール・アップされていくシーン雰囲気が味わえ大変題名通りロマンチックな曲でありますし演奏も素晴らしいです。同年収録のクラリネット、ヴィオラとオーケストラの為の協奏曲(タイム@7’18A6’18B5’45)では共演者では一番若い23歳クラリネット担当メイエが結構しみじみとした味を出してクラリネットの控えめに憂いあるメロディが聴く者に物思いにふけさせます。第1楽章カデンツァ風にヴィオラがスタートしすぐクラリネットも感傷的テーマで参加して行くのですが二つの楽器の渋く絡み合う甘さはロマン一色。比較的穏やかな両端に比し中程は舞曲風トリオを抱えた中間楽章そして管楽器中心に勇ましいファンファーレ的で曲としてはやや散漫であってもより一層三者の見事な掛け合いが聴き処の最終楽章はケントの生きいきした処理が活きます。なお、この協奏曲はヴァイオリン、ヴィオラ、オーケストラの為のドッペルト・コンチェルトとして演奏される事もあるそうですが(私は未聴)、クラリネットの音色が欠かせない様に思われます。八曲のクラリネット、ヴィオラ、ピアノの為の小品集(8曲トータルタイム37’37)は中でも長めの曲が短調でその曲想が印象的であったり小品と言いながら割と大仕掛けな歌謡風であったりして聴き応えありました。これは1989年の録音でピアノは37歳のフランソワ=ルネ・デュシャーブルと言う人が担当しております。何れも心に沁みる聴き易いロマン曲でありました。「儲けもの」で素晴らしいランクにさせていただきます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/27
アーノンクールは本盤演奏以前1984年に古巣VSOを振ってシューベルト「未完成」交響曲を録音(演奏タイム@15’56A11’48)していますのでこの曲に関しては再録ということです。1992年RCOとの再録はタイム@14’53A11’25と若干第1楽章は短めにはなってそして演奏ムードでのアーノンクール「臭さ」はトーンダウンした様に私には思えました。第1楽章からRCOサウンドがたっぷり引き出されるもののちょっとした音の切り方、進め方に所謂ロマン派たるシューベルトの「未完成」に私たちが抱いている「甘さ」が無く分かり易く言えば愛想が無いとも・・・。反復演奏を経て入って行くピークも目粗く向かえ決して引き摺りません。第2楽章も傾向は同じでコーダは早くその間に見通しをつけて普段他の演奏では聴き取れない音色が強調されアクセントでメリハリがつけられます。マァ面白い演奏ではありますが凡な私には余韻性を求めたくなる演奏ではありました。片や第5番(タイム@7’19A8’44B4’42C5’57)は古典的要素が濃いだけに今述べた様なアーノンクールのアプローチが比較的ちゃんとはまった感じで随所の古楽器奏法によりこの曲の鮮明な簡潔性を鋭角的に運んで行くのにある快感を伴った次第です・・・彼の個性でこの第5番に貫禄?が付いた感じです。どちらの曲にもRCOという大編成オーケストラに対する引き締まったコントロールは本盤演奏時アーノンクール63歳ならばまだマンネリではなく健在です。アーノンクール指揮盤数は本レビュー書き込み時点で私のカウント間違いがあるかもしれませんがHMV「指揮者」検索から見ますとカラヤン(約1020件)、バーンスタイン(約620件)、フルトヴェングラー(約570件)、アバド(約480件)に続く約470件の多さで「斬新」性を旗頭にしているだけにそのワーンパターンさが気になって来てはおります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/26
ヘブラーはクラウス、ハスキルとともにモーツァルト弾きとして私たちの年代では聴き親しんだピアニストでその穏やかな演奏というか大体容姿からしてセカセカしない感じがして演奏そのものにも反映している様な気にさせてくれたものです。モーツァルトの曲自体に深さを求める向きには彼女の演奏にそこまで接点を見出せるかは別として、彼女は1952年のジュネーブ国際音楽コンクールで田中希代子と賞を分かち合ったとかで・・・概ねそんな世代の演奏家だということです。本盤シェリングとのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ヘブラー52歳、シェリング60歳頃、1978〜1979年に収録したもので品格高く落ち着いた演奏でこの二人の見事なマッチングが聴けます。ベートーヴェンらしいギリシャ的要素よりはもっと大きな包み込む暖かさ・・・多分にヘブラーの円やかな伴奏に因っていると思います・・・が感じられます。全曲を聴いたわけではありませんがとにかく明るく端正なバランスのとれた演奏で特にベートーヴェン初期の進取気概に満ちた作品へのアプローチにおいてシェリングの実力は勿論ヘブラーの単にモーッアルト弾きではない事が分かった次第です。シェリングとはその前1969〜1972年にモーツァルトのVソナタを収録しておりますが私は事Vソナタだとベートーヴェンの方がシェリングには合っていたように思います。演奏タイムをメモしておきましょう・・・第1番(@9’33A7’07B4’54)、第2番(@7’00A5’17B5’10)、第3番(@9’06A7’11B4’22)、第4番(@5’29A8’00B6’01)、第5番(@9’37A5’21B1’09C6’58)、第6番(@7’49A6’14B8’21)、第7番(@8’20A8’50B3’20C5’53)、第8番(@6’46A7’31B3’45)、第9番(@12’11A15’33B7’24)、第10番(@10’10A5’40B1’54C9’30)。なお、シェリングは1958年、1960年にこのベートーヴェンVソナタを一部ルービンシュタインと収録(第5番(@7’11A5’25B1’09C6’27)、第8番(@4’30A8’08B3’28)、第9番(@10’49A15’01B6’41))しており更に1970年頃のG.グラフマンがピアノを受け持ったライブ録音(第1番(@8’28A7’55B4’28)、第3番(@8’31A5’47B4’14)、第9番(@11’34A13’01B6’54)他)がありHMVカタログには加えるに1979年第7番ライブ(ピアノ→J.トッコ)がありますがタイムだけ見ても微妙な違いがある様ですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/25
ヘブラーはクラウス、ハスキルとともにモーツァルト弾きとして私たちの年代では聴き親しんだピアニストでその穏やかな演奏というか大体容姿からしてセカセカしない感じがして演奏そのものにも反映している様な気にさせてくれたものです。モーツァルトの曲自体に深さを求める向きには彼女の演奏にそこまで接点を見出せるかは別として、彼女は1952年のジュネーブ国際音楽コンクールで田中希代子と賞を分かち合ったとかで・・・概ねそんな世代の演奏家だということです。本盤シェリングとのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ヘブラー52歳、シェリング60歳頃、1978〜1979年に収録したもので品格高く落ち着いた演奏でこの二人の見事なマッチングが聴けます。ベートーヴェンらしいギリシャ的要素よりはもっと大きな包み込む暖かさ・・・多分にヘブラーの円やかな伴奏に因っていると思います・・・が感じられます。全曲を聴いたわけではありませんがとにかく明るく端正なバランスのとれた演奏で特にベートーヴェン初期の進取気概に満ちた作品へのアプローチにおいてシェリングの実力は勿論ヘブラーの単にモーッアルト弾きではない事が分かった次第です。シェリングとはその前1969〜1972年にモーツァルトのVソナタを収録しておりますが私は事Vソナタだとベートーヴェンの方がシェリングには合っていたように思います。演奏タイムをメモしておきましょう・・・第1番(@9’33A7’07B4’54)、第2番(@7’00A5’17B5’10)、第3番(@9’06A7’11B4’22)、第4番(@5’29A8’00B6’01)、第5番(@9’37A5’21B1’09C6’58)、第6番(@7’49A6’14B8’21)、第7番(@8’20A8’50B3’20C5’53)、第8番(@6’46A7’31B3’45)、第9番(@12’11A15’33B7’24)、第10番(@10’10A5’40B1’54C9’30)。なお、シェリングは1958年、1960年にこのベートーヴェンVソナタを一部ルービンシュタインと収録(第5番(@7’11A5’25B1’09C6’27)、第8番(@4’30A8’08B3’28)、第9番(@10’49A15’01B6’41))しており更に1970年頃のG.グラフマンがピアノを受け持ったライブ録音(第1番(@8’28A7’55B4’28)、第3番(@8’31A5’47B4’14)、第9番(@11’34A13’01B6’54)他)がありHMVカタログには加えるに1979年第7番ライブ(ピアノ→J.トッコ)がありますがタイムだけ見ても微妙な違いがある様ですね。余白にハイティンク/ACOのバックで「ロマンス」二曲(1970年録音、第1番タイム8’04、第2番同9’24)が入っております。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/05/24
東京Qは1969年桐朋学園メンバー中心にジュリアード音楽院において結成され以降数度のメンバー交替を経つつその拠点をアメリカに置いて演奏活動をしていましたが現メンバーの内二名の日本人の意向により来年2013年に解散する方向が決められている様でそうなるとその活動期間は今から丁度あと僅か一年ということになってしまい世界的評価を獲得している唯一日本人系の弦楽四重奏団が無くなるのは少し残念であります。さて、本盤は1989〜1990年このQが録音したベートーヴェン弦楽四重奏曲集からの分売である第7番・・・ラズモフスキー第1番と呼ばれるベートーヴェン中期の傑作・・・であり(タイム@11’00A9’23B12’12C8’08)、当Qは2005年にも他のラズモフスキー曲を含めた所謂中期ベートーヴェン弦楽四重奏曲として再録(同@11’05A9’13B12’19C7’59)しています。タイムでは双方比較してマァ曲の性格上ブレは少ない方ですが他のQ演奏とくらべると独断ですがちょっとゆったり目かな・・・という感じです。周知の様にこれらラズモフスキー名称の三曲はベートーヴェンがウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー(自らヴァイオリンも弾く人だったらしいですよ)に献呈した事からのネーミングであり第7番(ラズモフスキー第1番)と第8番(ラズモフスキー第2番)の一部の楽章に夫々ロシア民謡的テーマを導入している処から厳粛さを求め勝ちなベートーヴェン弦楽四重奏曲に意外と親近感を帯びたものとなっており東京Qは自然なさりげなさでゆったりと聴かせてくれています。本盤録音で使用している楽器は「アマティ・セット」と言われるもので後年再録で弾いている「パガニーニ・クヮルテット」と呼ばれるセットとの音色違いまで私などには明記出来ません。ただこの様に楽器が変わりメンバーも替わっても彼らの演奏アイデンティティは軸を失ってはいないわけです。さて、第1楽章大らかなスタートで続くテーマはベートーヴェンの他の作品に心当たりないわけでもありませんがそのテーマの後段での締め切り方、ちょっと突飛なイメージではホルスト「惑星」出だしを連想させる第2楽章では切れ切れにメロディを噛ましつつ様相が移ろい〆でのきっちりした集中力は聴き処。第2楽章と第4楽章の中にあってやや引き立て役の第3楽章は沈みがち思考的な処へメロディが挿入されロマン性を帯びそして最終楽章では先述のロシア民謡を主題にしつつ次第にテンポアップして明転し盛り上がって行きワンクッション置いて堂々と終わるのはまるでこの時期作曲の交響曲の様で刻々と変化する陰影をさりげなく表現する柔軟な対応は流石東京Qならではです。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲への取っ掛かりとしてこの代表曲の一つだけを収録したものから東京Qで聴くのもいいのではないかと思った次第であります。現在販売されていませんがただ1曲のみ収録されていた本盤の「贅沢さ」をどう思うかにかかって来るでしょうね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/05/23
本盤は今年2012年に以前退いたチェコPOの首席指揮者に復帰したビエロフラーヴェクが若い頃?1988年42歳の頃にプラハSOを振って録音したチャイコフスキーの管弦楽組曲集再販版で各タイムは次の様になっております・・・第1番6曲トータル36’39、第2番5曲同34’42、第3番4曲同38’33、第4番4曲同25’53。チャイコフスキーの管弦組曲は交響曲ほど重くなくボンヤリ聴いている分結構好きな曲です。曲によってメランコリックな楽章もあれば昔の女学校の音楽教室から聞こえて来るセンチメンタルな楽章もありいろいろ楽しめます。私は本盤演奏のピエロフラーヴェク/プラハSOの盤とドラティ盤を聴いており各々特徴がありますがピエロフラーヴェクがやヽ大人しい仕上げなのは例えば第4番「モーツアルティーナ」の様に少人数でも対応出来ることを意識したのではないかと思ってしまいます。彼は以前日本でベートーヴェン第9番でNHKSOを振っているのをTVで見た記憶がありその時の印象ではスケールはともかく結構正統派という感じでそのあたりからマルチヌー専門家から独墺物そして勿論ボヘミヤ物等も収録しておりもうそろそろ巨匠たるポジションを確固にしてもらいたい指揮者と私は常々思っております。いずれにしてもこのチャイコフスキー管弦楽組曲はブラーと聴くには向いている曲で素晴らしい本盤はお薦め物ものですヨ。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)
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