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Review List of うーちゃん 

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     2021/06/15

    麻薬に対する常識がひっくり返る衝撃の本だ。麻薬と言えば、ごく少量の医療用を除けば合法的に入手することは不可能だ。日本だったら暴力団、欧米だったらマフィアに代表される反社会的集団が流通を握り、彼らの資金源になっている。そもそも体を蝕み、常習性も強いので、絶対やってはいけない−ーというのが、まあ常識的な見方だろう。ところが、この本を読むと、麻薬を欲していれば、医師による処方というコントロール下で与えてやればいい。むしろその方が、安価でかつ不純物を含まない「安全な」麻薬となるし、実はそれほど常習性もないし、体にも悪くない。そう言ったことが具体的な事実をもとに縷々語られていく。南米では、麻薬の製造・密売が反社会的勢力による一大産業となり、「麻薬戦争」で多くの人が死んでいる。これは当局側が規制をしたのが悪いので、規制をしなければ反社会的勢力をのさばらせることもなかったのだそうだ。最初は面食らったが、なるほど言われてみればそうだと思えて来た。

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     2021/04/20

    私にとって130冊目のスティーヴン・キング作品。米国での発表当時(2016年)、キングは69歳だったはずだが、筆の衰えなど全く感じさせないレベルの高さ。むしろ、定年退職した主人公ビル・ホッジズの描写に、年老いた者だけが書ける具体性があるし、謎を小出しにしつつ「次はどうなるの」と読者の気を引き続けるテクニックはさらに凄みを増している。びっくりしたのは、ビル・ホッジズの前2作「ミスターメルセデス」「ファインダーズ・キーパーズ」では、得意のホラーや超常現象を封印していたのに、このシリーズ最終作では超能力が重要なキーワードになっていることだ。キングファンにはなんてことないが、純粋な警察小説ないしハードボイルドだと思って前2作を読んだ読者には違和感があるかもしれない。なお、上巻の終わりの方には、日本で起きた有名な事件(といっても殺人ではない)が取り上げられている。

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     2021/04/15

    NHK大河ドラマの第1作「花の生涯」(主人公は井伊直弼)から第29作「太平記」(主人公は足利尊氏)までの解説本。400ページを超える新書としては異例の長さだが、長さを気にせず楽しく読めた。これは、各作に携わったNHKのプロデューサやディレクターのインタビューをもとにしていて、話が具体的で、かつ、語り口が平易なことが大きい。びっくりする裏話が満載だが、一例を挙げると、加藤剛が平将門を演じた「風と雲と虹と」は、当初、池波正太郎の「火の国の城」を原作とし加藤清正を主人公にする予定だった。ところが、NHKの上層部が「加藤清正はマイナー過ぎる」と却下して予定が狂い、加藤剛が「では、将門をやりたい」と言ったので決まったのだそうだ。大河ドラマの主人公は、その後、架空の人物だったり、吉田松陰の妹というほとんど誰も知らない人物だったりするので、清正で全然かまわないじゃないかと今となっては思うが、まあ最初のうちはいろいろ大変だったことがよく分かる。

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     2021/04/15

    度肝を抜くタイトルだが、内容は極めてまじめで、かつ分かりやすい。「多数派なのに思い悩み、医学的には不要な手術を選ぶ男たち。仮性包茎はなぜ恥ずかしいのか」というPR文が内容を端的に表している。現在50代後半の私が10〜20代だったころ、雑誌で頻繁に目をしていたのが、包茎手術と筋力を付ける運動器具「ブルーワーカー」の広告だった。包茎だったり、ムキムキの体格でなかったりすると、女の子に嫌われるよと若者の焦りを誘っていた。とりわけ、包茎はやっかいだった。どの程度いるのか外見では分からず、手術以外に努力のしようもないのだから。本書を読むと、気に病んで自殺した例さえあったという。戦前の徴兵検査では素っ裸になって下半身をチェックされる項目があり、客観的な割合として露茎より包茎の方が多かったというのも「へーっ、そうだったんだ」と目からうろこ。それがなぜ劣等感を抱く存在になったのかを、いろんな文献を探し出して紐解いていく。非常にスリリングな読書体験だった。

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     2021/04/14

    ずっと読みたいと思っていたが絶版で、古本もほとんど出回っていなかった。ところが、再映画化を機に再販された。スティーヴン・キングは文庫版で100冊以上読んでいるが、ここまで救いのない小説は初めて。正直、「うわー、読まなきゃよかった」と思った。ただし、あくびが出るほどつまらないからではない。それとは真逆で、ストーリー展開はスリリングで、初期の作品とは言え、さすがはキングだ。ただ、主人公たちが良かれと思ってやる行動が次々に裏目に出てしまうのだ。近年はやりの言葉で言えば、「イヤミス」だ。

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     2021/04/13

    ベックストレーム警部が登場する前作「見習い警官殺し」(上下、創元推理文庫)を読んだ時は大いにとまどった。ベックストレーム警部は自信満々で捜査方針も理にかなったもので、まさか後半であんなダメダメぶりを発揮するとは思いもよらなかったからだ。本作では、ベックストレーム警部の「威張っているだけで本当は無能」というキャラが分かっていたので、どこで失敗するかなあと思いつつ、安心して読み始めたのだが……。後はネタバレになるので書かないが、思わぬどんでん返しが待っている。ベックストレームの特異なキャラ設定は別にしても、警察小説として十分水準に達している。必読とは言わないが、読んで損はない。

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     2021/04/13

    東京電力福島第一原発事故が起きた後、転勤で3年ほど福島市内に住んでいた。それで原発事故に関する本はいろいろ読んだが、本書ほど具体的で読みやすい本は稀だ。第一原発が立地していた大熊町と、目と鼻の先にある浪江町。その両町の副町長が体験を赤裸々に語っている。自らも間違いなく被災者であるが、思わぬ事故に巻き込まれた町民を助けることを優先しなければならない。そのつらさや悩みが、行間からにじみ出ている。一番びっくりしたのは、原発事故後、被災した自治体の幹部が東京電力の幹部に会う場面。恨み骨髄で激しく文句を言うと思いきや、立地町(第一頑発だけでなく、事故を免れた第二原発の立地町も含む)の幹部は東電側となあなあの関係で、さほど抗議をしない。近隣の町の抗議が浮いてしまっているというくだりだ。私が今住む静岡県には浜岡原発がある。福島の事故後に当時の菅直人首相の指示で止まってしまったが、中部電力は再稼働を目指している。徹底的な安全対策が再稼働の前提であることを、本書を読んで改めて感じた。

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