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0 people agree with this review 2021/03/21
三島由紀夫がライフワークかつ作家人生の集大成として書き上げた四部作『豊饒の海』の第1巻。 今さらながら簡単に説明すると、本多という男が、十代の頃から七十を越して老人になるまでに、二十歳で夭折しては生まれ変わってゆく魂を傍観し続ける話です。 三島のデコラティブな文体が好きではない人に向けて声を大にして言いたいのですが、読みにくいなと思ったところはガンガンとばして読み進めて全く問題ないので、まずはストーリーを追っていくことだけに集中して読んでみてください。 とにかくストーリーが面白すぎて、「何か面白い話、ガンガン話が展開していく面白い小説を読みたい」と思っているのにこれをまだ読んでいない、というのはもったいなさすぎると思うからです。 主人公はあくまで生まれ変わってゆく魂(『春の雪』では、本多の同級生の親友・松枝清顕)なのですが、本多もまた傍観者でありつつ主人公に限りなく近いというか、その辺の傍観っぷり(変な言葉ですみません)や微妙な立場もまた面白いです。 で、『春の雪』ですが、時は大正時代、侯爵家の若き嫡子・松枝清顕は超イケメンで方々で噂になるほど。しかし本人は何事にもやる気がなく、ただぼんやりと学校に通っています。 そんな清顕には、幼馴染の綾倉聡子がいます。聡子は伯爵家の令嬢で、美しくおっとりとした、見目麗しく心清い女性。 聡子は清顕のことを一途に想っており、清顕もまた聡子のことが好きなのですが、とにかく覇気がなくプライドばかり高い清顕はいつまでも行動を起こせません。 そんな中、聡子に宮家との縁談が持ち上がります。相手が相手だけに、縁談が進んでからは引き返せないため、清顕の両親も、話が進む前に、お前はもしかして聡子のことを好きだったりしないか?正直に言ってほしい、とあらかじめ清顕に確認をとるほど。それに対し、全然そんなことないから!と突っぱねる清顕。進む縁談。 そしてとうとう勅許(縁組に対する天皇の許可)が下りてしまった時に、「僕は聡子に恋している」と心の中で叫ぶ清顕。 読んでるこっちは、清顕ィ〜お・ま・え・という奴はぁ〜!!ですよ。 許されない恋が成立する状況になるまで行動に出ないっていうね。 そして二人の燃えるような秘密の恋が始まります。 以上があらすじですが、とにかく本当に面白い話なんですよ。伝わりますかね。伝われ〜!って佐久間一行みたいに叫びたくなるほど面白い話なんです。 私が推奨したい楽しみ方は、映画化するとしたらキャストは?と考えることです。 『春の雪』は2000年代に既に映画化されています。清顕は妻夫木聡、聡子は竹内結子が演じました。 当時劇場まで観に行きましたが、う〜んやっぱりイメージ違うなあーと思ってしまいました(※ただの個人の感想です)。 その頃私が勝手にイメージしていたのは、清顕がタッキー、聡子が宮沢りえだったのですが、当時ですら宮沢りえは聡子を演るには少し歳が行き過ぎていました。 (キャストを勝手に想像する遊び、イメージは合うのに年齢が合わない問題、ありますよね。) ここで勝手に、今私が考える『春の雪』キャストを書きたいと思います。 まず清顕は菅田将暉。菅田将暉も三十の坂が見えてきて、今十代を演じるのはちょっときつくなってきましたが、『問題のあるレストラン』とか『帝一の國』のあたりのビジュアルを想像してみてください。白くてきれいな肌、凛々しい眉、通った鼻筋、ぴったりじゃないでしょうか。時空を飛び越えて少し若返って、清顕を演ってみてほしいです。 聡子は、有村架純とかどうでしょうか。おしとやかでかわいく、それでいて芯の強い感じが聡子のイメージによく合います。 本多は柄本佑。本多はハンサムすぎる人では似合わないんですが、醜男でもダメなんですよね。柄本佑はキリッとしていて丁度良いと思います。 清顕の父には榎木孝明。もしくは吉田鋼太郎。 清顕の祖母には夏木マリ。 聡子の世話役老女・蓼科には、田中裕子にもっと太ってもらってネットリと演じてもらったら似合いそう。 …などなど、楽しい想像は尽きません。 あなたも是非どうぞ。
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リリーフランキー主演でドラマ化されたり、その後本人が『激レアさん』に出演されたりしたので、ご存じの方も多いかと思います。 中学生の時、親の虐待に耐えかねて家出し、おじさんになるまで洞窟などで暮らしていた人のノンフィクションです。 美化することもなく、朴訥な一馬さんの人柄が伝わってきます。 一番心に響いたのは、一馬さんが最も強い絆で結ばれたのは、人間ではなく愛犬のシロだというところです。 その後の人生で、施設の職員さんなど信頼できる素晴らしい人との出会いもあった中、それでもシロとの絆は特別なものなのです。 家出した一馬さんを追ってきたシロ、シロに食べさせるために自分は空腹を我慢してでも食料を確保する一馬さん。 とても胸に迫りました。 是非読んでみてほしいです。
山川方夫の有名な短・中編が9編収められています。 山川方夫は割と好きで、同じく集英社文庫の『安南の王子』、講談社文芸文庫の『愛のごとく』、そして近年「没後50年記念出版」と銘打たれて創元推理文庫から出た『親しい友人たち』というミステリ傑作選も買いましたが、本書に収められている作品が最も出来の良いものと言えます。 山川方夫を一冊だけまず読んでみるなら間違いなく本書がベストでしょう。 本書は解説も充実しているのがまた良いですね。 山川方夫は、作品も面白いのですが、それと同じくらい、人生が興味深いです。 どこがかと言うと、もう絵に描いたような「ザ・日本の(明治以降近代の)作家」と評したくなるような人生なんですよ。 姉と妹が二人ずついる五人きょうだいの中のただ一人の男の子であり長男。日本画家の山川秀峰のお坊ちゃんとして育っていたが、十四歳の時に父を亡くし、一家を背負って立たねばならなくなる。太平洋戦争。終戦。体が弱い。のしかかる「家」と家族の重圧。 日本の作家にありがちなキーワード満載の人生なんですよ。ここまで揃うかなって突っ込みたくなります。 そんな暗さを抱えた山川はしかし結婚して、人生に光が差し、作風も変わったりするのかと思われたときに突然の交通事故で亡くなりました。 ものすごく惜しいのですがそんな幕切れも山川らしいなと思わせられます。 口絵の写真、巻末の年譜や解説も、合わせて是非読んでみてください。
永遠の名作、パンク精神の金字塔です。 面従腹背ってやつですね。かっこよく、かつ効果的に反抗するためにはこうすればいいんだということを教えてくれる、最高にパンクな小説です。 主人公はイギリスの労働者階級出身の男の子で、感化院にぶち込まれた後、俊足を見込まれてクロスカントリーの選手にさせられます。 院長の顔を立てるために大会に出されるのですが…どうなる?というのが筋書きです。 もちろん筋書きとパンク精神も最高に素晴らしいのですが、私がこの小説を好きなもう一つの大きな理由は、長距離を走るときのあの息遣い、他者ではなく自分ととことん向き合っているあの感じが見事に描写されているからです。 「おれにもクロスカントリー長距離走者の孤独がどんなものかわかってきた。おれに関するかぎり、時にどう感じまた他人が何と言って聞かせようが、この孤独感こそ世の中で唯一の誠実さであり現実であり、けっして変わることがないという時間とともに。」 この一節はいつまでも色あせることのない名文です。 『長距離走者の孤独』以外にも良い作品が収められていますが、表題作だけでも読む価値あります。いつまでも読み継がれてほしい短編集です。
その名の通り、水村美苗の私小説です。 誰?という人のために簡単に説明すると、水村美苗は、1950年代初頭に東京に生まれ、12歳の時に父の仕事の都合でニューヨーク郊外に移住し、紆余曲折を経て(三十歳をすぎてから?)作家になった人です。 内向的で、性格から趣味嗜好に至るまで、もうとにかくアメリカ向きでなく、本人も何回も言及・自覚しているように、日本のしがないサラリーマンの娘でしかないのにひどくスノッブで…そういう人がアメリカに生活して二十年経った。 そしてこの小説の中の「現在」では彼女は三十も過ぎたというのに東部の大学でフランス文学なんて流行りもしていなければ食えもせず競争だけ厳しい世界で大学院生を続けている。 日夜引きこもっていて、論文は全く書けず、人とまともに口をきくのは、離れて暮らす姉との長電話だけ。 その長電話の合間に、記憶は遠い昔近い昔を行ったり来たりし、主人公の一人称でアメリカでの生活が語られます。 女が一人で生きていくということ、アジア人が自国の外で生きていくということ、そういうシビアな現実のあれこれが包み隠さず語られるのですが、容赦なく描かれているからこそ読んでいて「そうそう」と不思議な安心感があります。 厳しい状況に置かれているときって、フィクションの中で同じような状況が手加減して描いてあると余計に嫌な気持ちになったりするんですよね。いやいやそんなもんじゃないんだよ!って、イライラが募ったり。 本書はオブラートなしで描いてあるので、そういう嫌悪感がないんです。 この小説が世に出た頃はSNSどころかブログもなく、引きこもりもしくはそれに準ずるほど人との交流が少ない人は、こんな生活自分一人だけなんじゃないか、と不安にかられることも多々あったと思うんです。 私も昔学生の頃、人との交流がすごく少ない時期があり、そういう時にこの小説を何度も手に取り、ホッと息をつくことができました。 めちゃくちゃな家族がいる人、英米での生活でしんどい思いをしている人、女が一人で生きていくと疲れがたまるときあるよなと思っている人、引きこもっている人などにおすすめです。
0 people agree with this review 2021/03/13
これが出た当時すぐに買いました。 女の子を主人公としたいわゆるビルドゥングスロマンでもあり家族小説でもあり、 両親の離婚や父親の愛人との交流、弟がおかしな女の子につきまとわれるなど、それなりにドラマチックな出来事が次々に起こるのに、 どういうストーリーなの?と訊かれても筋書きを説明するのは意外と難しい、そんな小説です。 舞城王太郎は女性の喋る言葉がものすごく自然でうまいですね。 いまだに女性が「何々かしら」とか「何々なのよ」と喋る、違和感満載の小説がわんさかある中で、舞城王太郎を読むと落ち着きます。 読み終わった後、んー?だから何?と言いたくなるようなフワフワした小説なのですが、妙に心に残り、何年かに一度読み返しています。 高校生くらいから大学生を経て社会に出るあたりまでって、確かにこんな感じで自己形成をしていくよな、と共感できるリアルさがあるからでしょう。 舞城作品はほとんど読んでいますが、その中でも好きな作品です。
これは西村しのぶにとって大きなターニングポイントになるはずだった作品である。 はずだった、というのはつまりは、ならなかったということで、実に惜しい。 キリエはフーテンのライター業。生活はカツカツだけど、男の子たちにおごらせて、お洒落も楽しみながら、いとこの絵衣子と一緒に楽しく暮らしている。 そんな中、確定申告に行った税務署で、職員のマキオと出会う。背が低くて眼鏡(決してオシャレメガネではない)をかけていて野暮ったい。 そんなマキオだけれど、真剣にキリエのことを考えて忠告してくる姿にキリエは惚れてしまい、めでたく仲良しカップルになる。 普通じゃん?野暮ったいけどそんな彼氏が私にとっては誰よりもかっこいいの!って話なんてさ、女性向けのマンガのむしろ王道じゃん?と思うだろうか。 西村しのぶの作品を多数読んできた人ならわかるだろうが、『一緒に遭難したい人』以前、この人の作品にはビッチ(失礼)しか出てこなかったのである。 野暮ったいけど自分を一途に大事にしてくれる公務員なんかに惚れるような女は出てきたためしがなかったのだ。 そして男性キャラのほうも、お洒落で遊び人で背の高い奴しか出てこなかったのである。 これは作者の私生活が大きなインスピレーションを与えたからだと私は思っている。 『下山手ドレス』などのエッセイマンガからチラチラうかがい知れるように、彼女はおそらくカタイ職業の男性と結婚した。 それも多分、(ダサくはないかもしれないが)特段オシャレではない男性と。 このことがマキオというキャラクターを生み出す大きなきっかけになったのではないかと勝手に推察している。 まさか西村しのぶのマンガにこんなキャラクターと設定が出てくるなんて!新境地!と思っていたのだが、 のろのろと巻を重ねるごとに、ただ単純にディテールを楽しむだけのマンガになり、ふっつりと中断している。 西村しのぶ作品は、『サードガール』にしろ『RUSH』にしろ、未完の作品だらけなのでそのこと自体はまあいいのだが、せっかく彼女にとって新境地を開く作品だったのに、 「野暮ったいけれど素敵な男」との恋愛という一つの柱を適当に放置して描かれてしまったのが何とも惜しいのだ。 惜しいけれども、それでも1巻だけ読んで、西村しのぶが切り開けたかもしれない新しい世界に触れてみるのもいいと思う。
0 people agree with this review 2021/03/11
子どもにとって、誕生日って本当に特別の日ですよね。大人にとっての誕生日とは比べ物にならないくらい特別。 そして、ケーキも特別な食べ物。そんな、子どもにとって特別なものが二つも出てくる絵本です。 いたちさんのお菓子屋さんは、「自分にそっくりなかたちのケーキ」を作ってくれるお店です。 色遣いがとてもきれいで、出てくるケーキ全てにうっとりします。 ある日、匿名で誕生日ケーキの依頼が舞い込み、誰の姿を模して作ればいいのか、いたちさんはあれこれ試行錯誤します。 このシリーズは、他の作品もミステリー要素があるのが面白いポイントの一つでもあります。 一体誰がケーキを依頼したのか? 素敵なラストが待っています。 お子さんへの誕生日の贈り物としてもおすすめの絵本です。
ブログが面白かったので、本が出てすぐに買いました。 現役の皮膚科医の女性「デルぽん」の日々の診察を題材にした4コママンガ集です。 どのページも本当に面白いです。 デルぽんが日々真摯に患者さんと向き合っている姿が垣間見られ、 かと言って真面目一方ではなく笑いのセンスも秀逸なのです。 デルぽんがなぜ皮膚科を選んだのかについてを描いたマンガもリーフレットとして挟み込まれています。 楽しい気分の時に読めばますます楽しい気持ちになりますし、逆に、なんか疲れた、変に明るい話も読みたくないし…という時でもすんなり読めます。 老若男女問わず、自信を持っておすすめできる一冊です。
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