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0 people agree with this review 2026/08/19
このアルバム、録音状態は玉石混交ではある。しかし、とにかくミケランジェリというピアニストの偉大さがわかる。 なぜ彼だけが、こういう音を出すことができたのか。今となっては永遠の謎ではあるが、少なくともこのアルバムを聴けば、ミケランジェリというピアニストが存在してくれたことに、感謝せずにはいられなくなる。 しかも、ここに収められた音源はサブスクなどではなかなか聴くことができない。だから、買うしかないのである。 そして、買う価値は十二分にある。
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3 people agree with this review 2026/08/08
1990年のライヴ。小澤55歳。絶頂期ではないか。早速聴いたが、これは小澤のべストフォームかもしれない。まず運命は基本的にインテンポなれど、BRSOのしっかりした音がきちんと小澤のやりたいことを伝えてくる。小澤は、スコアを読み込んでこう鳴らしたい、ということをオケに伝えて、それを現実の音にする。ちょっと、オケとの間に「お見合い」的部分はあるものの、ボストン響とのディスクより余裕が違う。英雄の生涯は、あえて音を整理せず、書かれた音をそのまま描き出す。それが逆に新鮮だ。SKDとのブラームス1番と同じような良さがこのディスクからは聴ける。音を整理して、綺麗に鳴らす。それが小澤の真骨頂であり、それが結実しているのこのディスク。K教授、小澤のドイツ物、悪くないですよ。と私は思った。
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0 people agree with this review 2026/07/25
私はこの演奏を(もちろんこの71年録音のこと)何種類持っているのか?これを機に数えてみた。1.オリジナルのアナログ3枚組。これはどうしても手放せない。2.通常CDいつだか忘れたが、出てすぐに買った。3.DISKYのリマスター盤。あのイアン・マシューズがリマスターした爆音盤。イケイケ過ぎるが妙な魅力がある。4.アメリカのHDTracksから購入した96kHzのハイレゾ音源。ちょっとスッキリした感じがした。5.ハイブリッドのSACD盤。プレイヤーがよくなかったのか、音質は4に軍配が上がった。6.2026年2月に出たワーナーレーベルの96kHzハイレゾ音源。これは原点に戻ったような、迫力と分離が聞けた。7.本盤。6がますますブラッシュアップされたような音。ヴィオラとか楽器の実在感がすごい。ということで現時点ではカラヤンの71年録音の悲愴は、本盤にトドメを指す。一時期私はDGの76年盤の方がソリッドで良いと思っていたが、本盤を聞いて、そのスケール感に聞き惚れ、この71年盤がカラヤンの最高傑作だと思うに至った。ということは、世界の全ての悲愴のディスクの最高位は本盤であろう、と思う。
0 people agree with this review 2026/07/10
「期待通り」という言葉がある。このホーネックの新世界はその概念にドンピシャである。この曲、ドヴォルザークの渾身の一曲だと思うのだが、如何せん、いいとこ取り過ぎて俗っぽい印象となっている。そういう過去の因習をホーネックは洗い流す。スコアから純粋に音だけ取り出し、いつもの通りソリッドかつ透明な音響を作り出す。第一楽章はキレがいい。第二楽章はノンヴィブラートが、この曲の抒情性を真摯に伝えてくれる。第三楽章がある意味目から鱗で、この交響曲の中で最も民族的な曲だが、それを殊更強調することなく、でもしっかり鳴らし切ることでこの楽章の真価を伝えようとする意志を感じる。終楽章もいつも通り良い意味で尖っている。でも、最後に向けて、今までの主題が挨拶に来るところをしっかり描き出す。そして最後のロングトーンに夕焼けというか郷愁を感じる。この曲、スコアが細かく指定されており、流すことを許さないのだが、その意図をホーネックはしかと受け止めている。おそらくホーネックは初演版と出版の違いは当然理解しているのだろう。その意味から見ても、「新世界から」のファーストチョイスは現在間違いなくこのディスクである。なお、カップリングのサイモンはもちろん熟慮の上の選曲と思うが、その熟慮が私はイマイチ伝わらなかった。不明を恥じる。
0 people agree with this review 2026/05/27
ケラスも今年で59歳である。あのカッコ良さでもう還暦間近である。この録音は56歳にして二度目のバッハ全曲録音。ケラスには再録音の必然性があったのだろう。それは何かと推測するに・・元々ケラスは均質な音作りで、かつ良い意味で軽やかに演奏する奏者で、旧盤(2007)もその路線だった。実演を聴いたが、その傾向は変わらず、でも流す感じは一切しない真摯さが信条と思った。その中での今回の新盤、やはり彼の美質をそのまま受け継ぎ、ますます良い意味での端正さと軽やかさが増した。力むところなどない。まさに自然体のバッハである。特に6番の冒頭を聞けば、ケラスの目指すところがわかると思う。端正と自由さの両立が今回の新録音の特徴だろう。ただし、フランスの奏者のような洒脱なところはないし、そんなものは元来ケラス自身が目指していない。 多分ケラスは、旧録音の頃に比して、自分の進化がわかったのだろう。旧盤も新盤もともにharmonia mundiからのリリースである。ケラス自身が再録音を頼んだのか、プロデューサーの意向なのかは分からないが、ここには間違いなく、ケラスが望み、研鑽し、成し遂げたものがある。また旧盤に比して、録音が相当良くなっており、これがまたケラスの意図をしっかり伝えてくれる。 ある意味HIPスタイルを取り入れているのは間違いないが、この伸びやかさ、自由さは他の演奏とは一線を画している。それ故に、心が洗われる気がする。ケラスの音は天上に伸びていくような、そんな気すらする。
1 people agree with this review 2026/05/10
このディスクは画期的であり、素晴らしい。イブラギモヴァは、類稀なる「柔らかい」音色の持ち主だが、彼女の特性を活かし、この演奏は極めて良い意味で「抒情的」な演奏である。特にラズモフスキーの1番は従来堂々としたエロイカの延長線上で語られてきたが、この演奏は冒頭から優しさを全面に出す。ああ、こう言う方法があったんだな、と目から鱗である。とにかく随所で考え抜いた音色を駆使し、穏やかな雰囲気をあえて醸し、この曲の持つ別の面に光を当てた。このように考え抜いた演奏がここにはある。ラズモフスキーの演奏史に残る名演と思う。このような演奏はクラシックの可能性を広げるものであり ぜひ皆様にも聞いてもらいたい、と心から願う。
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0 people agree with this review 2026/04/06
このメンデルスゾーンの交響曲全集は令和の現段階における「とりあえず」のファーストチョイスかもしれない。なにせ、綻びはほとんどなく、癖もない。優秀録音でメンデルスゾーンの本拠地であるライプツィヒ・ゲヴァントハウスの演奏だし。かつ新ベーレンライター版など見向きもせず、従来パターンで押し通す。それがネルソンスの楽天的な部分と相まって、「とりあえず」の全集が完成した。これが彼らの「伝統」なのかもしれない。加えて本盤の最大の功績はエリヤとパウロという巨大オラトリオをセットで録音したことであり、DGはやはりネルソンスを別格扱いしているのが良くわかる。しかし、それ故に入手のハードルが上がり、ファーストチョイスとして厳しくなったのは皮肉とも言える。
0 people agree with this review 2026/03/08
もう20年も前の演奏だが、ダウスゴーの譜読みが結実した素晴らしい演奏である。この後、幾つものシューマンの全集は出ているが、例えば、旧タイプのバレンボイムにしても、ノンヴィブラートのエラス=カサドにしても、このダウスゴーの演奏を前にすると、いささか輝きが減る。ダウスゴーの場合、どう響かせると一番効果がああるか、をしっかり計算し、表現を突き詰める。突き詰めるとかえって硬くなることがあるが、この演奏はその読みが生気をもらすことに成功している。ホリガーの全集も良いが、やはり、シューマンから生気を引き出すという観点からするとこの演奏に一日の長がある。特に傑作である2番が良い。シューマンの全集を一つ選べと言われたら、私は躊躇いなくこの全集と答える。一聴をお勧めしたい。
2 people agree with this review 2026/02/11
私はブレハッチは現在「ショパンの美」を表現できる第一人者であり、大変失礼だが過小評価されているのではないか、とすら思う。彼の場合ショパンの存在自体がもう体に染み付いている。だからノクターンだからとかソナタだからとか、ショパンの様式について余計な労力を費やさない。その意味でもショパン自身が様式と離れ、良い意味での単純さと美を追求したのがマズルカだから、ブレハッチの演奏が悪かろうはずがない。ブレハッチはこのマズルカからまずはショパンならではの美しさを表現するために、音のバランスに最大限意を配っている。それだけでも凄いのだが、最後にショパンがマズルカに込めた寂寥感を鮮やかに乗せてくる。だから表現に深みが出る。マズルカはショパンにとっては祖国との魂の回廊だったというのがブレハッチの演奏を聴くとよくわかる。私はショパンのマズルカはフー・ツォンとかルイサダのようなコスモポリタンの演奏を好んでいたが、ここにきてやはりブレハッチ、本命が堂々と登場した。「名盤」である。DGもブレハッチの新盤出すとはやるじゃないの。引き続き第2巻が出るだろう。全集完結期待してます!
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2 people agree with this review 2025/12/03
発売前のレヴューは慎まないといけないが、このディスクについてはどうしても言いたい。アンデルシェフスキは稀代のピアニストなので演奏が悪いはずがない。となると、問題は一つだけ。これは皆様も同じ感想をお持ちだろうが「なんで全部引いてくれないの」である。特に117-1とかは、アンデルシェフスキのあの浮遊するような音にピッタリなのに・・。ということで私は根拠なく予測しよう。今回収録されなかった曲を含めた、ブラームスピアノ曲集Part2が再来年あたり発売になるであろう。作品79とかバラードとかもよろしくお願いします!
0 people agree with this review 2025/10/13
N響との実演を聴いたが、美音なれど線が細い、と言うのが感想。このディスクは確かに綺麗だが、少々盛っている、と思う。
2 people agree with this review 2025/10/08
ラトルはベルリンフィルの常任を辞してから、さらに深化している。良い意味でのメリハリが明確になったことと、じっくり歌い込む部分の対比が堪らない、と思っていたが、このチェコフィルとの初共演でもその美点が全開である。 まずは冒頭の第一曲を聴けばわかるが、リズム処理が鮮烈。2小節めにガツンと鳴らす、それが曲を締めている。全部良いのだが、とりわけ有名曲は外さない。Op.48-8とか音色の使い分けが見事。Op.72-2とかも痺れるが、なんと言っても白眉はOp.72-8、いわゆる終曲である。もう冒頭から心から歌い込み、涙腺を緩ませる。ラトルはこう言う表現ができる、人の心に届かせることができる指揮者なのである。チェコフィルとしても、ラトルの解釈、凄さを目の当たりにして、自らの能力が伸びた感があると思う。指揮者とオケの理想的な関係が聴けるこのディスク。私にとって愛聴盤がまた増えた。
3 people agree with this review 2025/06/07
この演奏、「看板に偽り無し」である。あのリヒテルの震撼するような強力な打鍵はCDに収まり切らないが、このCDを聴けば、全てわかるとまでは言わないが、相当数想像できる。私の知る限り、リヒテルのCDで本盤が最もリヒテルの打鍵を伝えるものだと言える。もちろん打鍵だけはなく、それ故の表現の幅の広さ、読みの深さもキレの良さも、とにかく全て良い。当時の録音なので、もう少し広がりとか、ダイナミックレンジが欲しいが、それでも相当マスタリングしたのだろう。よくここまで音を整えて世に出してくれた。文句はいつも通り「THE LOST TAPES」というタイトルのダサさとリヒテルのジャケ写である。こんなコワモテの画像使われたら、本人もあまり嬉しくはあるまい。それはさておき、このディスクは本当に聴く価値がある。多くの方に20世紀の大巨人の素晴らしさを堪能して欲しい、と私は願う。
1 people agree with this review 2025/04/09
この演奏は、「暗い」。3番→2番の順で収録されているが、3番のツィメルマンの冒頭1音を聴けばわかる。高めのピッチながら、強靭なCではない。沈潜するような、深淵から覗き込むようなCである。当然その後の弦も重く引きずるような音で、主部に入っても3拍子の暗いアレグロ、を奏でる。あのブラームスらしい第2主題も仮初の明るさのようだ。このディスク、録音が2021年6月、2023年4月に分かれており、どこまでが2021年でどこからが2023年かどうか不明だが、この間にはコロナからウクライナ侵攻があり、岡本以外はポーランド出身メンバーらしいので、何かしらの影響を受けていないとは言い切れないと思う。3番の第3楽章も冒頭チェロの岡本のソロが、抑制とか内省と言えるような音楽で、切なさみたいなものを感じる。私にはツィメルマンが若手の奏者に「もっと考えろ。一つの音を大切にしろ、ここで演奏ができる意味を噛み締めろ」と背中で教えているような、そんなアルバムに思える。1番がないのが残念ではあるが、多分このメンバーは一期一会だろうし、ツィメルマンも言っているように1番には興味がないのだろう。岡本がエベーヌに入団した時には、私も勉強不足で、「岡本って誰?」と思っていたが、これを聴くと彼がしっかりキャリアを築いてきた事が分かり、嬉しくなった。
1 people agree with this review 2025/03/05
げたんはさんのレヴューを見て、気になり聴いてみた。いや、おっしゃる通り冒頭から異次元である、との評価に賛同する。この曲の出だしはなんとなく「おっかなビックリ」みたいな音が多いが、エーネスは、繊細さと力強さという相反する概念を一致させたような音である。また、高音があまりに冴えていて、録音いじったんじゃないか?とすら思ってしまう。とにかくこの演奏は、聴けばわかる。私はシベリウスの協奏曲は今でもオイストラフ(とロジェストヴェンスキーの1968年盤)が一番と思っていたが、これを聴いた後なら、シベリウスの協奏曲はジェームズ・エームスのこのディスクが最も優れている、と断言できる。協奏曲以外の曲については、同様に褒めるだけになるので省略する。それにしてもエーネス、以前どこかで聴いたベートーヴェンが少し神経質な気がして、敬遠していたが、私は間違っていた。このシベリウス同様の演奏を連発するようなら、大スターである。
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