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Review List of つよしくん 

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  • 2 people agree with this review
     2010/04/11

    一昨年に発売され、名演の誉れ高かったスタジオ録音の直後に行われたライブ録音の待望の発売だ。スタジオ録音と比べて基本的な解釈には変更はないが、終楽章を除いてテンポが早くなっており、いかにもライブにおいて燃えまくる「炎のコバケン」の面目躍如たる劇的な名演と高く評価したい。第1楽章冒頭は、ドヴォルザークの指示どおりゆったりとしたテンポで開始するが、主部に入ると小林節が全開。テンポはめまぐるしく変化し、うねるような音楽が連続する。それでいて全体の造型にいささかの狂いもないのは、小林が新世界よりの本質をしっかりと掴んでいるからにほかならない。第2楽章は深沈たるテンポで情感溢れる指揮ぶりであるが、中間部の終結部分での対旋律の活かし方は実にユニークな解釈。第3楽章は決然とした開始で力強い解釈であるが、特に、終結部の盛り上がりはいかにも小林ならではのド迫力だ。終楽章も小林ならではの熱狂的な指揮ぶりで、小林のうなり声もついに頂点に達する。演奏終了後の聴衆の熱狂、そしてスタンディングオベーションも当然のことのように思われる。それにしても、これだけ個性的な解釈を示した小林に、ぴたりと付いていったチェコ・フィルの好演も特筆すべきである。むしろ、チェコ・フィルの小林への絶大なる信頼感がこれだけの名演を成し遂げることに繋がったと言えるのではないか。録音は、マルチチャンネルはないもののSACDによる極上の音質であり、エクストンとしてもかなりの成功例と言える名録音であると考える。

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     2010/04/11

    カラヤンによるフィガロの結婚は、約30年前の録音に次いで2度目の録音ということになる。旧盤は、豪華な歌手陣や壮年期のカラヤンならではのフレッシュな指揮ぶりやウィーン・フィルの美演が素晴らしく、名演の誉れ高い名盤であるが、残念ながらモノラル録音という音質面でのハンディがあった。それに対して、本盤はステレオ録音ということもあり、カラヤンによるフィガロの結婚ということになれば、私としてはやはり本盤の方を上位に置きたいと考える。先ずは、カラヤンの指揮が豪華絢爛にして豪奢だ。確かに、モーツァルトにしてはいささかどうかという批判も一部にあるのは承知しているが、モーツァルトの音楽をこれほどまでに壮麗に音化した例はほかにはなく、これだけその音楽の魅力を堪能させてくれれば文句は言えまい。歌手陣も、伯爵夫人役のトモワ・シントウが、旧盤のシュヴァルツコップにやや劣る以外は、旧盤と殆ど遜色のない豪華歌手陣を揃えていると言えよう。特に、フィガロ役のファン・ダムとスザンナ役のコトルバスは、むしろ旧盤よりも優れていると言ってもいいぐらいの絶美の歌唱を行っており最高だ。特筆すべきはウィーン・フィルの美演であり、どんなに最強奏を行っても、高貴な美感を失わないのはさすがというほかはない。

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     2010/04/11

    現在では既に引退してしまったブレンデルによる、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集中、最高の名演は、やはりラトル&ウィーン・フィルと組んだ4度目の全集であると考える。レヴァイン&シカゴ交響楽団との全集を掲げる者もいるが、指揮者やオーケストラの芸格を考えると、私としては4度目の全集の方を上位に置きたい。4度目の全集は、いずれの楽曲も名演の名に値するが、やはり、最高峰の名演に君臨するのは、本盤におさめられた第5番「皇帝」であると考える。とにかく、ブレンデルのピアノが実に堂々たるピアニズムであり、正に皇帝の風格を兼ね備えているのが素晴らしい。どこをとっても、力強い打鍵、自信に満ち溢れた堂々たるインテンポで一環しており、それでいて、緩徐楽章の抒情豊かな演奏も、格調の高さを決して失うことはない。ラトルの指揮も、ブレンデルの巨匠風の表現に一歩も引けを取っていない。本盤の録音当時は、未だベルリン・フィルの芸術監督就任前であるが、こうした堂々たる指揮ぶりに、その後のラトルの前途洋々たる豊かな将来性が感じられる。ウィーン・フィルの好演も特筆すべきである。併録の熱情ソナタは、特に中間楽章において、いかにもブレンデルならではの思索的(悪く言えば理屈っぽい)な表現が散見されるが、全体としては円熟の表現であり、佳演というのにやぶさかではない。

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     2010/04/10

    オールソップのバルトークは実にすばらしい。一昨年に発売されたバレエ音楽「木製の王子」も超名演であったが、本盤のバレエ音楽「中国の不思議な役人」も名演だ。何よりも、各場面の描き分けが実に巧みであり、バルトークの書いたバレエ音楽ではありながらシニカルな側面を併せ持つ同作品を、聴き手にわかりやすく、そして優しく語りかけてくれるような趣きがある。同曲のストーリーは、いかにも20世紀の現代音楽ならではのグロテスクなストーリーであるのだが、オールソップの手にかかると、そのようなストーリーを忘れて、ただただバルトークの音楽の素晴らしさのみに浸ることができるのだから、いかに本演奏が優れたものかがわかろうというものだ。他方、併録の舞踏組曲とハンガリーの風景は、中国の不思議な役人とは異なり、ハンガリー民謡風のきわめて親しみやすい音楽であるが、ここでもオールソップは、情感豊かな表現で、各楽曲を描きだしている。その緩急自在のテンポを駆使した巧みな表現力の豊かさは、オールソップのバルトーク指揮者としての適性を如実にあらわしていると言えよう。録音は、SACDマルチチャンネルによる極上の高音質。しかも、これだけの低価格、そして演奏の素晴らしさを考慮すれば、本CDほどお買い得の商品は他に類例を見ないのではなかろうか。

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     2010/04/10

    カラヤンはドボルザークの第8を何度も録音しているが、なぜかウィーン・フィルとの録音が多い。スタジオ録音では本盤と85年盤。それに、ライブでは74年のザルツブルク音楽祭での演奏(アンダンテ)。いずれ劣らぬ名演であるが、ライブならではの迫力なら74年盤、円熟の名演なら85年盤を採るべきであろうが、本盤には、ベルリン・フィルと国立歌劇場を手中におさめ、人生の上り坂にあった壮年期のカラヤンならではの圧倒的な勢いがある。オーケストラを存分に鳴らしつつ、テンポ設定は緩急自在。カラヤン得意の優美なレガートも絶好調であり、豪華絢爛にして豪奢な演奏になっている。もちろん、ウィーン・フィルの絶美の演奏が、この名演に潤いを与え、ボヘミア風の抒情にもいささかの不足がない点も特筆すべきであろう。併録のロメオとジュリエットも、カラヤンの18番であり幾度も録音を繰り返したが、ウィーン・フィルとの組み合わせにより、華麗さと繊細さのバランスが見事な名演に仕上がっている。SHM−CD化により、音質が向上しより鮮明になったことも評価したい。以上は、2009年9月6日に書いたレビューであるが、先日、ついに、ドヴォルザークの第8とブラームスの第3との組み合わせで、ESOTERICよりSACD盤が発売された。これはこの世のものとは思えないような極上の高音質であり、このSACD盤を持って、本名演の決定盤としたい。

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     2010/04/10

    ゲルギエフ&ロンドン交響楽団によるマーラーの交響曲全集もいよいよ佳境に入ってきた。残すは第5、第9及び大地の歌のみである。ゲルギエフのマーラーは、一言で言えば緻密で繊細な表現ということが出来る。録音の加減もあるのかもしれないが、例えばストラヴィンスキーの春の祭典などで発揮した野性的とも言うべき土俗的な迫力をあまり聴くことができない。私としては、ゲルギエフのマーラーには、精緻さも決して不要とは言わないが、こうした土俗的な劇的表現を期待しており、そのような点からすれば、いささか物足りない演奏に終始することが多々あった。しかしながら、この第4について言うと、ゲルギエフの緻密で繊細な表現が楽想に見事にマッチ。玉石混交とも言うべきゲルギエフのマーラーの交響曲の演奏中、おそらくは第1位、第2位を争う名演となった。特に感動したのは、第4の中で最も長大な第3楽章。長大さ故に、ここをいかに乗り越えるかどうかで演奏の評価は定まってくるものと言えるが、ゲルギエフは精緻とも言うべき繊細な表現で、実に感動的な名演を成し遂げている。終楽章のクレイコムの独唱はいささか線が細い気もするが、ゲルギエフのアプローチを考えると、あながち不十分とは言い難い。録音はSACDマルチチャンネルによる極上の高音質であり、特に第3楽章終結部のティンパニの立体音響の迫力は、驚くべき鮮明さである。

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     2010/04/10

    バルトークは、盟友であるコダーイとともに、民謡採集の旅を行い、数々の民謡(あるいはその語法)を、自己の作品の中に取り入れていったことはよく知られているところである。中期から晩年の作品になると、民謡の使用の仕方もかなり抽象度を増していくことになるが、本盤におさめられた最初期の作品である組曲第1番や2つの映像は、いかにもハンガリーの民謡風の旋律が随所にちりばめらるなど、バルトークの作品としては、非常に親しみやすい作品となっていると言える。また、中期に差し掛かろうという時期の作品であるトランシルヴァニア舞曲やハンガリー農民の歌も、初期の2曲ほどではないにしても、比較的親しみやすい旋律に満ち溢れた傑作である。このような民族色豊かな作品を指揮して、コチシュの右に出る者が果たしているのであろうか。それくらいコチシュの指揮は、これらの各楽曲に込めれているハンガリーのいわば血であり、肉でもあるいわゆるハンガリー魂と言ったものを、これ以上は望めないような情感溢れる指揮によって、見事に描出していると言える。ハンガリー国立フィルも、コチシュのタクトの下、最高のパフォーマンスを示している。録音は、SACDマルチチャンネルによる高音質であり、本盤の価値を高めることに貢献している。

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     2010/04/09

    ブレンデル4度目のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集であるが、当時、心境著しかったラトル&ウィーン・フィルという豪華なバックを伴って、ブレンデルによる全集中、最高の名演を成し遂げることになった。一部の批評家の中には、一つ前のレヴァイン&シカゴ交響楽団との全集を評価する者もいるが、指揮者とオーケストラの芸格を考慮すれば、やはり、この最新の全集を最上位に置きたいと考える。ブレンデルのピアノは実に模範的だ。4度目の全集ということもあるのだろう。どこをとっても曖昧模糊な箇所はなく、堂々たるピアニズムで、威風堂々たるベートーヴェンを描いて行く。このピアニストに特有の理屈っぽさは微塵もなく、楽曲の魅力だけが我々聴き手にダイレクトに伝わってくる。ラトルの指揮も、ブレンデルのピアノともども重厚さの極みであり、このような巨匠風の表現を聴いていると、ベルリン・フィルの芸術監督として大活躍する現在において大きく開花している偉大な才能の萌芽を随所に感じることが可能である。ウィーン・フィルの美しい演奏も特筆すべきであり、ブレンデルのピアノやラトルの指揮に、独特の潤いを付加していることを見逃してはなるまい。録音も通常CDでありながら、鮮明な音質であり、本盤の名演の価値を更に高める結果となっている。
    ※ピアノ協奏曲第1&第4のレビューにおいて、ブレンデル2度目のピアノ協奏曲全集と記したが、4度目の全集であり、この場を借りて修正したい。

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     2010/04/08

    ブレンデルとアバド&ベルリン・フィルには、1986年に録音したブラームスのピアノ協奏曲第1番があり、同曲史上最高峰の一つに位置づけられる名演であった。第1は、カラヤンが一度も録音しなかった協奏曲でもあって、カラヤン在任中のベルリン・フィルでも録音が可能であったと考えるが、当時のカラヤンとベルリン・フィルの関係は最悪。それだけに、ブレンデルのピアノやアバドの指揮もさることながら、ベルリン・フィルの壮絶な演奏が光った名演でもあった。本盤の第2の録音は1991年。既にカラヤンは鬼籍に入り、アバドが芸術監督に就任後の演奏である。それだけに、楽曲の性格にもよるとは思うが、ここには第1の時のような壮絶さはない。演奏の特徴を一言で言えば、ブラームスのピアノ協奏曲第2という楽曲の魅力をゆったりとした安定した気持ちで満喫することができる名演と言うことができるだろう。つまりは、指揮者や独奏者、オーケストラの個性よりも、曲自体の美しさが全面に出た演奏ということだ。例えば、冒頭のホルンの何と言う美しさ。同曲最高の名演とされるバックハウスとベーム&ウィーン・フィルの名演冒頭のウィンナ・ホルンの美しさとは異なった魅力のあるジャーマン・ホルンの粋と言える。その後のテンポも実にゆったりとした自然体のものであり、曲自体の魅力がダイレクトに我々聴き手に伝わってくる。ブレンデルのピアノも、巷間言われるような理屈っぽさは微塵もなく、ブラームスがスコアに記した音符を力強く、そして情感豊かに弾き抜いて行く。録音も鮮明であり、本名演に華を添えている。

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  • 7 people agree with this review
     2010/04/04

    こうもりの名演としては、カラヤン&ウィーン・フィルと本盤のクライバー&バイエルン国立管が2大双璧であると言っても過言ではないのでなかろうか。私としてはカラヤン盤が、豪華絢爛にして豪奢な名演であるのに対して、クライバー盤は、生命力溢れる若武者の快演と評価したい。冒頭の有名な序曲からして、湧き立つような生命力の迸りにただただ圧倒のみである。随所に見られるセリフのみの箇所も、もたれることは決してなく、終始クライバーの華麗な棒の下、実にテンポ良く筋書きが展開していく。第2幕のポルカ「雷鳴と電光」など、切れば血が吹き出てくるような熱い演奏を繰り広げており、合唱陣の巧みな扱い方もカラヤンに一歩も引けを取っていない。そして、歌手陣はカラヤン盤に勝るとも劣らない豪華さ。主役のアイゼンシュタイン役のプライ、アルフレート役にルネ・コロ、そしてアデーレ役にルチア・ホップを配しており、ロザリンデ役のヴァラディや、ファルケ役のヴァイクル、そしてオルロフスキー役のレプロフなども、クライバーの卓越した統率の下、最高のパフォーマンスを示していると言えよう。録音は、通常CDでもかなりの高音質を誇っていたが、SHM−CD化によって更に迫力が増した。これで私は十分に満足していたが、最近になってついに、ESOTERICからSACD盤が発売された。これは、SHM−CD盤を大きく凌駕する究極の高音質であり、クライバーの名演を望み得る最高音質で味わうことの幸せを大いに噛みしめたい。

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     2010/04/04

    現在では既に引退してしまったブレンデルによる2度目のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集からの分売であるが、ピアニストに指揮者やオーケストラと役者が揃った名演であると評価したい。14年前の旧録音も名演であり、その方を高く評価する者もいるが、指揮者やオーケストラの芸格や、ブレンデルの円熟を考慮すれば、私としては本盤の方をより上位に置きたいと考える。先ずは、ブレンデルのピアノを高く評価したい。この理論派のピアニストの理屈っぽさについては、一部の批評家の間で酷評されているのは承知しているが、本盤では、そのような短所を聴きとることは皆無。音楽は実にスムーズに流れている。それでいて、骨太のテクニックによる強靭にして重厚な打鍵は、怒れる獅子ベートーヴェンを見事なまでに体現しており、他方、緩徐楽章における抒情的表現にもいささかの不足もない。加えて、ラトル&ウィーン・フィルの演奏が実に素晴らしい。例えば、第4の第2楽章の重厚さ。他の演奏だと、緩徐楽章であることを意識して、やたら軟弱な表現に終始してしまうケースも散見されるが、さすがにラトルはそのような落とし穴に陥ることは全くない。終楽章における圧倒的な迫力もラトルならではのものであり、こういったところに、今日のラトルを予見させる才能があらわれていると言えよう。ウィーン・フィルは、いつものように美しい音色を奏でており、この名演の価値を更に高めることに大きく貢献している。

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  • 5 people agree with this review
     2010/04/04

    ベートーヴェンのチェロ・ソナタは、チェロ作品の新約聖書と称されている至高の傑作であるが、作曲年代がベートーヴェンの初期、中期、後期の広範に渡っている点も見逃すことができない。第1番と第2番はベートーヴェンの最初期。そして、最高傑作との呼び声の高い第3番は中期に差し掛かろうという時期。そして、第4番と第5番は後期の作品だ。チェロ作品の新約聖書だけに、これまで数多くのチェリスト&ピアニストによって演奏され、名演と評価すべき録音も数多く存在しているが、そのような数々の名演の中で、燦然と輝いてる名演の玉座には、やはり、本盤のロストロポーヴィチ&リヒテルの黄金コンビによる名演を配するのが適切と言えるのではなかろうか。フルニエ&ケンプを掲げる者も多いと思うが、私としては、演奏にかける気迫において、本盤の方をより上位に置きたい。ロストロポーヴィチのチェロは雄渾にして壮麗。我々聴き手の心を揺さぶる重厚な低音から、抒情的な箇所の熱い歌い方まで、どこをとっても切れば血が出てくるような力強い生命力に満ち溢れており、それらを駆使した超絶的な技巧も、精神性に裏打ちされて実に立派だ。リヒテルのピアノも、ロストロポーヴィチのチェロをしっかりとサポートしつつ、単なる伴奏にとどまらず、強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで、表現の幅の広さに圧倒される。これら両者のがぶり四つの横綱相撲は、時として地響きを立てるようなド迫力であり、我々聴き手の度肝を抜くのに十分である。おそらくは、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集の演奏史上最高の超名演であり、将来に渡っても、これを凌駕する名演があらわれる可能性は殆ど皆無ではないかと考える。

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     2010/04/04

    凄い超名演があらわれたものだ。テンシュテットは、マーラーを得意とした指揮者であり、70年代後半から80年代前半にかけて全集を録音した。その全集におさめられた録音はいずれも劇的な性格の名演揃いであった。テンシュテットは当時、ベルリン・フィルにも頻繁に客演して、マーラー以外の作品についても数々の名演を行っており、順風満帆に思われた矢先の1985年に癌が発見され、活動休止に追い込まれた。その後、闘病の末に何とか復帰するが、1993年に完全に指揮活動を停止してしまうまでの間は、癌との戦いの中での正に命がけの演奏が繰り広げられることになった。癌が発見されるまでのマーラー演奏すら劇的な性格のものであったのであり、復帰後の演奏は、更に輪をかけて、命を賭けたとてつもない強烈な名演を行うようになった。特に、EMIが発売した第5〜第7のライブ録音は、我々聴き手の肺腑を打つ凄まじい超名演であった。本盤の第2は1989年の演奏であるが、これも凄い。そもそもテンポが全集におさめられたスタジオ録音と比較して段違いに遅い。全体を約93分というのは、他の指揮者の演奏と比較してもかなり遅い部類のテンポ設定と言えるが、決してもたれるということはなく、全体的に緊張感漂う不思議な静謐さに覆われている。それはあたかも、迫りくる死に対する諦観の境地のようだ。それでいて、ここぞという時の悪魔的なフォルテシモは大地を揺るがすほどの迫力があり、時折見られる猛烈なアッチェレランドはもはやこの世のものとは言えない狂気に満ち溢れている。終楽章の合唱も圧倒的であり、演奏終了後の熱狂も当然のことであると思われる。マーラーの復活は、私としては、これまでバーンスタイン&ニューヨーク・フィルの新盤を最高の名演と考えてきたが、今後は、テンシュテット渾身の命がけの超名演である本盤の方を、更に上位に置きたいと考える。

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  • 3 people agree with this review
     2010/04/03

    エデルマンが満を持して録音に臨んだリストのピアノソナタロ短調である。カプリングに、対照的な性格のシューベルトのさすらい人幻想曲を配したのも、エデルマンの強いこだわりが感じられる。リストのピアノソナタは、とにかく凄い演奏だ。名演であるが、いわゆる凄演と言った表現が適切なのかもしれない。リストのピアノソナタは、強弱のダイナミズムや緩急自在のテンポが駆使され、しかも、超絶的な技巧を要することから、古今の著名なピアニストの目標とする楽曲の一つとされてきたが、エデルマンは、こうした過去の名演に引けを取っていない。冒頭の雷鳴のような重厚で力強い打鍵。その後に続く詩情豊かさ。これらを抜群のテクニックをベースにして、正に入魂の演奏を繰り広げている。切れば血が出るような生命力溢れる演奏と言うのは、正にこのような凄演のことを言うのだと思う。録音は、SACDであるが、マルチチャンネルは入っていない。にもかかわらず、これだけ臨場感溢れる音響がするのは、録音が素晴らしいだけでなく、エデルマンの演奏がそれだけ優れていることの証左であると考える。他方、シューベルトのさすらい人幻想曲も名演だ。この曲は、後年のピアノソナタの傑作群に繋がっていく作品であるが、エデルマンは、各楽章の描き分けなど実に巧みに行っており、シューベルト特有の豊かな抒情の歌い方にもいささかの不足はない。このような名演を聴いていると、エデルマンのシューベルトのピアノソナタの演奏も聴きたくなったのは私だけではあるまい。

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     2010/04/03

    ショパンは、スケルツォ、バラード、ポロネーズ、夜想曲、エチュード、前奏曲、ワルツなど、様々な曲集を作曲した。しかしながら、若い時代から最晩年に至るまで一環して作曲し続けてきた曲集はマズルカであり、それ故に、マズルカ集はショパンの心や魂の軌跡、変遷などと言った評され方をするのだと考える。そんなショパンの心底に踏み込んでいく深みのある作品集だけに、ナンバーによっては初心者でも弾くことができるようなテクニック的に難しくない曲も含まれているにもかかわらず、並みのピアニストの手には負えない難しさを秘めた曲であると言えるだろう。本盤は、ルイサダの2度目の録音とのことであるが、古今の様々なマズルカ全集の名演中、最高峰に位置づけられる超名演と評価したい。演奏の特徴は、何と言ってもセンス満点の詩情豊かなアプローチと言える。もちろん、旋律を抒情豊かに描いていくアプローチは他でも見られるが、ルイサダの場合は、うわべだけを取り繕ったなよなよさは皆無であり、どの曲にも一本芯の通った力強さを秘めていると言える。第1番から第41番に向けて、ショパンが若き時代から最晩年の高みに達していくことになるが、ルイサダは各楽曲を巧みに描き分けながら、晩年の至高・至純の高峰に登りつめていく。その変幻自在な絶妙の演奏は、前述のように詩情豊かさも相まって、もはや評価する言葉が追いつかないような高みに達していると言える。録音も、SACDマルチチャンネルによる望み得る最高の高音質であり、ルイサダの超名演に華を添える結果となっている。

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