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Review List of つよしくん 

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  • 7 people agree with this review
     2010/09/11

    メンデルスゾーンの無言歌集は、親しみやすい旋律に満ち溢れたロマン派を代表するピアノによる小品集である。これに比肩できるには、グリーグの抒情小曲集であると考えるが、メンデルスゾーンの無言歌集にせよ、グリーグの抒情小曲集であるにせよ、いずれもあまり名演に恵まれているとは言えないという点においては不思議と共通しているものがある。そもそも、両者ともに全曲を録音したアルバムというのがほとんどないというのも、作品の質を考えると、実に不思議。クラシック音楽界の七不思議のひとつとも言えるだろう。そのような中で、無言歌集に、抜粋ではあるが、田部京子による名演アルバムが登場したのは、何と言う幸せであろうか。田部京子は、特色ある各曲を女流ピアニストならではの繊細さで、巧みに描き分けていく。しかも、このような曲を甘美に演奏すると、一種のムード音楽に陥ってしまう危険性もあるが、田部京子の場合はそのような心配は御無用。高踏的な芸術性を決して失うことがなく、しかも、技巧面や力強さにおいてもいささかの不足はない。本盤については、これまで高音質化されたCDは発売されていなかったが、今回のBlu-spec-CD盤の登場によって、実に鮮明な音質に生まれ変わった。田部京子の力強くも繊細なタッチを鮮明な音質で味わうことができることを大いに喜びたい。

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  • 6 people agree with this review
     2010/09/11

    本盤の第9の登場を持って、ジンマンのマーラーの交響曲全集も、歌曲集を除くと、あとは大地の歌と第10を残すのみとなった。そして、この第9であるが、これが意外にも純音楽的なアプローチなのだ。例えば、死への恐怖と闘いを描いたと言われる第1楽章。ここでのジンマンは決して荒れ狂ったりせず、どこまでも美しい音楽が紡ぎだされていく。バーンスタインやテンシュテットなどの演奏に顕著な劇的な要素は影を潜めているが、だからと言って、物足りなさなどをいささかも感じさせないのは、ジンマンの類まれなる音楽性の賜物ではないかと思われる。第2楽章のレントラー舞曲や第3楽章のブルレスケも、踏み外しはなく、ただただ透徹した美しい音楽が描き出されていく。このような純音楽的アプローチは、終楽章の生への妄執に至って、ついに抜群の効果を発揮する。ここでのジンマンの演奏は、至高・至純の美しさを湛えており、ある意味では、数年にわたって作り上げてきたジンマンによるマーラーチクルスの頂点とも言える高みに達していると言える。このように劇的要素をおさえた演奏だけに、好き嫌いが分かれるとは思うが、私としては、ジンマンの音楽性の豊かさがあらわれた名演と評価したい。SACDマルチチャンネルによる高音質録音も、本盤の価値を一層高めることに貢献している。

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  • 6 people agree with this review
     2010/09/11

    演奏は、世紀の大指揮者であるカラヤンと世紀のプロデューサーであるカルショウが初めてコンビを組んで英デッカに録音した超名演であり、R・シュトラウスについては他の追随を許さない名演の数々を遺してきたカラヤンとしても、本盤は、最上位に位置づけられるものと高く評価したい。壮年期のカラヤンの生命力に満ち溢れた圧倒的な指揮ぶりと、古き良き時代の音色をいまだ遺していた当時のウィーン・フィルとの組み合わせが、至高・至純の名演を成し遂げたと言える。これだけの名演だけに、SHM−CD盤やSACDハイブリッド盤など、これまで様々な高音質化への取組がなされてきたが、ついに、決定盤とも言うべき究極の高音質盤が発売された。本盤は、もはやこの世のものとは思えないような極上の超高音質であると言える。冒頭のオルガンの音色からして、大地の奥底から響いてくるような重厚な迫力に満ち溢れているし、それらを土台とした金管楽器によるブリリアントな美しい響き。ヴァイオリンソロのつややかな美しさもとろけるような艶やかさ。ティルやドン・ファンにおけるウィンナ・ホルンの魅力も素晴らしさの限りだ。これまで発売された高音質盤とは一線を画しており、正に、演奏、録音のすべてにおいて最高水準の超名演盤と言えるだろう。

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  • 5 people agree with this review
     2010/09/11

    ドヴォルザークの新世界よりとモーツァルトのプラハの組み合わせは、クーベリックにとっても最も得意とするベストプログラムと言えるが、本盤の演奏は、いずれも必ずしもクーベリックのベストフォームとは言い難い。新世界よりならば、ベルリン・フィルとの72年盤が最も条件の整った名演と言えるし、ライブ録音ならば、手兵バイエルン放送交響楽団との65年盤(来日時)や77年盤の方がより力感に満ち溢れた名演と言える。他方、プラハも、バイエルン放送交響楽団との80年盤こそ、至高の名演と言える。にもかかわらず、本盤の演奏には大いに惹き込まれる魅力がある。それは、ビロード革命を経て漸く念願の自由を勝ち取った喜びを分かち合うクーベリック、チェコ・フィル、そして会場に居合わせた聴衆の熱き心である。この熱き心が、必ずしもベストフォームとは言い難い演奏を、聴き手の心の琴線に触れる感動的な名演に仕立て上げているものと言える。ここには、演奏することの喜びが満ち溢れており、随所から感じられる熱気や生命力においては、前述したクーベリックの過去のいずれの名演をも凌駕するものと高く評価したい。録音はもともとイマイチであり、Blu-spec-CD化されても、あまり音質の改善が見られないのだけはいささか残念だ。

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  • 6 people agree with this review
     2010/09/10

    平均律クラヴィーァ曲集の第2巻は、第1巻よりもさらに技巧的にも内容においても高度な内容を内包しているが、アファナシエフのアプローチは、第1巻の演奏といささかの変化はない。シューベルトの後期3大ピアノソナタで見せたような極端なスローテンポによるあくの強いアプローチはとらず、ピアノ曲の旧約聖書とも称される同曲への深い畏敬の念を胸に抱きつつ、構成される全24曲(前奏曲とフーガを別の曲と考えると48曲)を一曲一曲、あたかも骨董品を扱うような丁寧さで、精緻に描き出していく。全体として静けささえ感じられるほどであり、これぞバッハの音楽とも言うべき底知れぬ深みを湛えた演奏と言うべきである。鬼才とも言われたアファナシエフにしては、少々物足りないとも思われるが、それだけ同曲に対しての強い愛着とこだわりを感じさせると言える。同じロシアの先輩ピアニストであるリヒテルの鋭角的なアプローチとは対照的であると考えるが、演奏から受ける感動においては、いささかの不足もなく、リヒテルの名演とは別次元の名演と高く評価したい。Blu-spec-CD化によって、音質は著しく向上しており、本名演の価値を高めるのに大きく貢献していると言える。

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  • 5 people agree with this review
     2010/09/08

    平均律クラヴィーア曲集は、ピアノ音楽の旧約聖書と言われているだけに、古今東西の多くのピアニストにとっては、新約聖書たるベートーヴェンのピアノソナタと並んで、弾きこなすのは大いなる目標とされてきた。かつては、グールドの超個性的な名演もあったが、グールドと並んで鬼才と称されるアファナシェフが、同曲に対してどのようなアプローチをしているのか、聴く前は大変興味津々であった。同じロシアのピアニストであるリヒテルも、同曲に素晴らしい名演を遺しているが、アファナシェフのアプローチは、リヒテルの研ぎ澄まされた鋭利なピアニズムとは対照的で、ゆったりとしたテンポをベースとしたきわめて静的で精緻なものだ。シューベルトのピアニストで見せたような、超スローテンポのやり過ぎとも言えるアプローチはここではいささかも見られない。その分、肩すかしを喰わされたきらいがないわけではないが、バッハがスコアに記した音符を透徹した表現で完璧に描き出したという点においては、さすがは鬼才アファナシェフならではの個性的アプローチと言える。最後のフーガを2バージョンおさめているのも、アファナシェフの同曲への深い愛着とこだわりを感じさせる。Blu-spec-CD化によって、アファナシェフの透徹したピアノのタッチが鮮明な音質で味わえる点も、本盤の価値を大いに高めている。

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  • 8 people agree with this review
     2010/09/05

    ノイマンは、ライナーノーツにも記されているように、ドヴォルザークの「新世界より」を160回も演奏したようである。チェコ出身の指揮者だけに、同曲はバイブルのような存在なのかもしれないが、それにしても、その演奏回数は尋常ではないと言えるのではないか。私がこれまでCDで聴いてきたノイマンの演奏では、73年の旧全集盤、82年の新全集盤、Nとの86年盤、ポニーキャノンに録音した95年盤、そして本盤の93年盤の5種であるが、いずれも、ノイマンの同曲への深い愛着を感じさせる名演であり、甲乙つけ難い高水準の演奏に仕上がっている。ただ、どれか一枚をあげろと言われれば、同曲の初演100周年を記念して録音された本盤ということになるのではないかと考える。個性を強調したり、やたら民族色を振りかざすアプローチではないが、どこをとっても人間的な温もりのあるふくよかな抒情に満ち溢れており、ノイマンの同曲への愛着も相まって、最もゆったりとした気持ちで同曲を満喫することができる点を高く評価したい。これだけの名演だけに、コロンビアは、DVD−audio盤、HQCD盤とこれまで高音質録音盤を発売してきたが、DVD−audio盤はイマイチ(最も、ここ3週間の間にオーディオ機器等を一新したので、もう一度今の機器で聴くと、もしかしたら高音質なのかもしれないが)。するとHQCD盤との比較になるが、臨場感という意味において、本盤のblu-spec-CD盤に一日の長があるのはないかと考える。

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  • 9 people agree with this review
     2010/09/05

    最近では健康状態が思わしくなく、ファンをやきもきさせている小澤による待望の新録音であるが、70歳を超えた指揮者ならではの完熟の名演と高く評価したい。メインのブラームスの前に、ラヴェルの小曲が2曲おさめられているが、フランス音楽は小澤が若い時代から得意としていただけに、ここでも至高の名演を成し遂げている。道化師の朝の歌は、とても健康状態が思わしくない70歳の指揮者とは思えないリズミカルな進行と、随所に感じられるフランス風のエスプリが満載の非のうちどころのない名演であるし、シェラザードも、同曲のもつ繊細な味わいがこの上もなく透徹して表現されている。グラハムのメゾソプラノの独唱との相性も抜群だ。ブラームスの第2は、いわゆる純音楽的な名演だ。小澤のドイツ音楽については、特に大御所とも称される音楽評論家には、薄味であるとか浅薄などとして著しく評判が悪いが、本盤の演奏に関しては、浅薄さは皆無。個性的と言える箇所は皆無ではあるが、その分、ブラームスの音楽を心行くまで深い呼吸で味わうことができる点を高く評価したい。そして、更に評価したいのは、SACDのシングルレイヤーによる超高音質録音だ。ユニバーサルが、SACDの発売を再開したのは、本年度最高のニュースであるが、これまで発売されたSACDは、いずれも既にSACDとして発売された再発売ものに限られていた。本盤は、ユニバーサルにとっても、久々のSACDの新録音ということになるが、それだけに、鮮明さ、ダイナミックレンジの広さなど、どれをとっても、最高水準の録音に仕上がっている。

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  • 5 people agree with this review
     2010/09/04

    ティルソン・トーマスによるマーラーの交響曲全集は、昨年発売の第8を持って終了したものと思っていた。その第8は至高の超名演であり、過去の第8の名演の中でもトップの座を争うものであっただけに、なおさらのこと、チクルスの有終の美を飾るものと考えたのであった。しかしながら、本盤も、第8に勝るとも劣らぬ名演であり、その意味では、本盤こそ正真正銘の、チクルスの有終の美を飾る至高・至純の超名演と言えるだろう。ティルソン・トーマスのマーラーは、オーケストラを無理なく鳴らし、いささかの嫌みもあざとさもなく、マーラーがスコアに記した音符を、いささかも無機的に陥らず、内容豊かに表現している点が素晴らしい。このように記すと、現在チクルスが進行中のマーツァルのアプローチと似通った点があるのかもしれない。両者の違いは、私見ではあるが、マーツァルが、マーラーをボヘミア出身の作曲家として捉え、チェコ・フィルとともにいささかローカルな味わいを見せることがあるのに対して、ティルソン・トーマスは、あくまでも21世紀の新しいマーラー像を指向している点にあるのではないかと考える。歌手陣もいずれも素晴らしく、SACDマルチチャンネルによる極上の高音質も、本盤の価値を大いに高めるのに貢献している。

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  • 4 people agree with this review
     2010/09/04

    かつて発売されていた「ショパンの旅路」からエチュード集を抜粋し、SACD化したものであるが、演奏内容、音質ともに高水準のCDと高く評価したい。本年は、ショパンの生誕200年ということもあって、数々の新録音が発売されるとともに、既発売CDの再発売も数多く行われた。この秋には、ポリーニのSHM−CD盤も発売されるようである。それだけに、ショパンの数々の演奏を聴き比べる環境が整った恵まれた一年と言える。私も、予算とのにらみ合いの中で、できるだけ数多くのCDを拝聴してきたが、本盤の高橋のエチュード集も、それらの数多くのCDの中でも、十分に存在感を発揮しているように思う。エチュード集は、単なる練習曲ではなく、弾きこなすには相当な技量が必要であるが、高橋の演奏は、技術偏重の演奏ではない。もちろん、ショパン国際コンクール入賞者ならではの技量はベースにあるのだが、むしろ内容重視。どの曲をとっても、高橋の同曲にかける愛情と、女流ピアニストならではの繊細さに満ち溢れており、それでいて、一本芯の取った、何者にも揺るがされることにない力強さが漲っていると言える。いい意味でバランスの取れた名演と言えるのではないだろうか。SACD化による高音質も、本盤の価値を大いに高めることに貢献している。

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  • 6 people agree with this review
     2010/09/04

    20年前の録音であるが、小林の数少ないレパートリーの中でも得意の曲だけに、既に小林の個性が全開の名演と言うことができよう。小林のマーラーの第5の名演として第一に掲げるべきは、本盤の数年後にチェコ・フィルと録音された名演であると考えるが、当該名演と比較しても、本盤は決して勝るとも劣らぬ名演と高く評価したい。どこをとっても切れば血が出るような熱気が漲っており、テンポもめまぐるしく変化するが、いささかのあざとさも感じさせないのは、小林が、マーラーの第5を深く理解しているとともに、同曲への深い愛着にほかならないと言える。20年前の録音を本年になって再発売するのは、小林の生誕記念の年ということもあるが、かつての名演をSACD(高音質)化するという点でそれなりに意義のあることと考える。そして、その音質であるが、見事というほかはない。金管楽器は朗々と鳴り響き、低弦の厚みも重厚さの極み。各楽器の分離も、さすがはSACDならでは鮮明さであり、ダイナミックレンジの幅広さも、従来CDとは比較にはならない素晴らしさだ。音質が鮮明になった分、日本フィルの奏者のミスや小林のうなり声が目立つようにはなったが、本名演の評価を貶めるような結果にはいささかも陥っていない。

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  • 7 people agree with this review
     2010/08/15

    ティーレマン渾身の名演である。ティーレマンのブルックナーと言えば、ミュンヘン・フィルの芸術監督に就任した際の第5が脳裏に浮かぶが、それが名演だっただけに、第5に続く続編が長く待たれていたところであった。そのような中で、本盤の名演の登場は、これまでの渇きを癒すのに十分であると言えるだろう。そもそもハース版を使用したところに、ティーレマンの同曲への強いこだわりを感じさせる。ハース版の使用にこだわった指揮者としては、ヴァントや朝比奈が掲げられるが、ティーレマンはヴァントの数々の名演に示唆を受けたのではないかと思われる。というのも、ヴァントと同様に金管楽器を無機的になる寸前に至るまで最強奏させているからである。ただ、ヴァントと決定的に異なるのは、いわゆる凝縮型ではなく(ヴァント最晩年のベルリン・フィル盤はスケール雄大であったが)悠然としたスケールの大きさ。適時適切なゲネラルパウゼの活用も、そのような傾向を助長する結果に繋がっている。テンポの変化も最小限に抑えており、この辺りは、ブルックナー演奏の王道を行くアプローチであると言える。もっとも、個性的な解釈も散見される。例えば第2楽章。主部の強弱のユニークな付け方は、いささか芝居がかった演出のようなきらいもあるが、恣意的な解釈をとっているように感じられないのは、ティーレマンがブルックナーの第8の本質をしっかりと掴み取っているからにほかならない。SACDマルチチャンネルによる高音質録音も、本盤の価値を大いに高めることに貢献している。

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  • 7 people agree with this review
     2010/08/15

    セルとオイストラフの両者の晩年の録音であるが、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の演奏史上、トップの座を争う名演だ。オイストラフは、本盤の数年前にクレンペラーとともに同曲を録音しているが、そちらの方は名演ではあるものの、どちらかと言えば老巨匠クレンペラーのゆったりとした巨像の歩みに、いささかではあるが、オイストラフとしても自由で伸びやかな演奏を妨げられた感があった。それに対して、本盤の演奏は、指揮者と独奏者が互角の演奏を行っていると言える。ただ、互角と言っても、火花が散るような、いわゆる競奏曲にはなっていない。セルが最晩年になって漸く到達した枯淡の境地と、オイストラフの伸びやかにして情感豊かなヴァイオリンが、至高・至純のハーモニーを奏でていると言える。今回、ここで敢えてレビューを記したのは、先日、ESOTERICから究極の高音質SACDが発売されたからである。本演奏については数年前にリマスタリング盤が発売されたが、全く問題にならない。リマスタリング盤では、ヴァイオリンやオーケストラの音色にやや硬いきつめの音質が目立ったが、ESOTERIC盤にはそのような音質の硬さやきつさは全く感じられない。オイストラフの晩年に顕著なヴァイオリンの柔和で情感豊かな音色が、これ以上は求められないような鮮明な音質で再現されており、セル&クリーヴランド管弦楽団の精緻なアンサンブルも透徹の極みと言うべき極上の高音質で再現されている。なお、ESOTERICは、クレンペラーの不朽の名盤であるマーラーの大地の歌も同時発売したが、こちらも、従来盤やHQCD盤とは全く次元の異なる超高音質。いずれのESOTERIC盤も、人類の遺産とも言うべき究極の名盤と高く評価したい。

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     2010/08/08

    素晴らしい名演の登場だ。エルガーのチェロ協奏曲は、ドヴォルザークのチェロ協奏曲と並んで、チェロ協奏曲の2大傑作と評価される不朽の名作である。ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、古くはカザルスに始まり、ロストロポーヴィチやフルニエ、女流ではデュ・プレ、現代ではマイスキーなど、名演には事欠かない。しかしながら、エルガーのチェロ協奏曲は、大傑作であるにもかかわらず、デュ・プレの名演だけが著しく突出しており、他の演奏は、デュ・プレの名演と比較すると、かなり落ちる状況にあると言わざるを得ない。ロストロポーヴィチなど、デュ・プレの名演に恐れをなして、生涯スタジオ録音を行わなかったほどである(ライブ録音が数年前に発売されたが出来はイマイチ)。そんなデュ・プレに肉薄する名演が、本盤の登場によって漸くあらわれたと言えるだろう。デュ・プレは、女流チェリストとは思えないような体当たりの凄みのあるアプローチを行っていたが、ガべッタは、むしろ女流チェリストの美点を十分に活かした情感の豊かさが持ち味と言える。それでいて、ここぞという時は、デュ・プレにも匹敵するような力強い表現を行っており、同曲が有する内なるパッションと秋雨にも似たほの暗い深い抒情性を、バランス良く透徹した表現で見事に描き切っている点を高く評価したい。併録の小品もいずれも名演だ。

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     2010/08/08

    昨年末のジルベスターコンサートに、一部スタジオ録音を加えたラトルによる新録音であるが、ラトル&ベルリン・フィルの現在最高の黄金コンビの深化を感じさせる名演と高く評価したい。全体としては実に軽やかな演奏を行っている印象を受ける。このあたりは、フルトヴェングラーやカラヤン時代のベルリン・フィルの凄みのある重厚な分厚い音色を知っている聴者からすれば、いささか軽妙浮薄の誹りを免れないとも考えられるが、現代の古楽器奏法などが全盛を誇っている演奏傾向にかんがみれば、私としては許容範囲ではないかと考える。むしろ、12時の鐘(これがいかにも弱すぎるが)の後のクララとくるみ割り人形、トレパーク、花のワルツ、パ・ド・ドゥの導入部などにおける重量感溢れる演奏は、現代においてもなおベルリン・フィルが底力を失っていないと感じさせるような重心の低い分厚い音色を出しており、その意味では、ラトルは、ベルリン・フィルにおいて、いかなる音色をも自在に引き出すことができる色彩感豊かな音のパレットを会得したと言えるだろう。ベルリン・フィルの技量も卓抜したものがあり、スペインの踊りにおけるトランペットの妖しい音色など、幻惑されるような色彩美に満ち溢れている。HQCDによる鮮明な音質も、本盤の価値を高めることに大きく貢献している。

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