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TOP > My page > Review List of つよしくん
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7 people agree with this review 2010/09/21
まずは、このように美しいピアノ作品集を作曲した吉松隆氏に感謝の気持ちを捧げたい。どの楽曲も、現代の作曲家とも思えないような美しい旋律に満ち溢れた名作であり、各楽曲につけられた題名もセンス抜群である。私も、本CDではじめて、吉松隆氏の作品に接することになったが、そのあまりのセンス抜群の美しさにすっかりと感動してしまった。演奏であるが、このような美しい作品に、田部京子はぴったりであると言えよう。田部京子は、この同じBlu-spec-CDシリーズの中で、メンデルスゾーンの無言歌集(吉松隆氏の作品と同様の美しい小品集)でも名演を遺しているが、アプローチはメンデルスゾーンの場合と同じ。女流ピアニストならではの繊細なタッチと、ここぞと言う時の力強い打鍵がバランスよくマッチングしており、吉松隆氏の素晴らしい音楽を更なる高みに持ち上げている。ただでさえ美しい35曲にものぼる各楽曲が、同CDの宣伝文句にも記述されているように、あたかも宝石のような35の神秘的な小宇宙を紡ぎだしていっている。Blu-spec-CD盤によって、音質は非常に鮮明になり、田部京子の繊細なタッチがよりクリアに表現されている点も、本CDの価値を大いに高めるのに貢献している。
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5 people agree with this review 2010/09/21
これは掛け値なしに同曲の演奏史上、最高の超名演である。弦楽四重奏団の名として掲げられた作曲家ということもあるが、祖国の偉大な作曲家に対する深い畏敬の念に満ち溢れている。これだけでも、演奏が悪いわけがないのであるが、それに加えて、スメタナ四重奏団のアンサンブルの見事さ。見事と言っても、単にアンサンブルが揃っているだけではない。2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの各音色が完全に融合しているのである。そうした音色の完全な融合が、スメタナの美しくも悲しい音楽を完璧に表現し尽くしていると言える。しかも、曲の内容からすれば慟哭にも近い響きがあってもしかるべきであるが、スメタナ四重奏団は、悲しみはあっても、いささかも感傷的にはならない。どのような局面に差し掛かっても、高踏的な美しさを湛えており、スメタナへの深い畏敬の念も相まって、同四重奏団だけが描出し得る至高・至純の音楽を奏でている。本盤の名演が、レコード・アカデミー賞を受賞したのも当然のことであるとともに、今後とも、本盤を凌駕する名演があらわれるのは相当に困難だと考える。音質は、かつて発売されたSACDマルチチャンネル盤がベストであったが、本Blu-spec-CD盤も相当に鮮明な音質となっており、費用対効果を考えると、十分に推薦に値する。
5 people agree with this review
べロフは、天性のドビュッシー演奏家だと思う。本盤も、そうしたドビュッシー演奏家としての面目躍如たる素晴らしい名演と高く評価したい。べロフのドビュッシーは、例えばギーゼキングのような即物的なアプローチをしているわけではない。フランソワのように、個性的なアプローチを示してくれるわけでもない。あるいは、ミケランジェリのように、切れ味鋭いタッチを披露してくれるわけでもない。こうしたドビュッシーを得意とした個性的な先人たちと比較すると、オーソドックスとも言えるアプローチを行っていると言える。それでいて、これぞドビュッシーとも言うべき独特の深みのある芸術を構築してくれるのだから、現代におけるべロフのドビュッシー演奏家としての確固たる位置づけが十分に伺い知ることができる。オーソドックスと表現したが、それは没個性という意味ではない。有名な月の光や夢などにおける情感溢れる抒情的表情や、舞曲におけるリズミカルな力強い打鍵など、表現の幅の広さも見事であり、随所に漂うフランス風のエスプリは、全体的な音楽の深みと相まって、正に、べロフだけが描出できる至高・至純の境地に達していると言えるだろう。録音も、もともと鮮明な音質であったが、今般のBlu-spec-CD化によって、さらに鮮明な音質に蘇った。べロフの芸術的なピアノをこのように鮮明な音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
5 people agree with this review 2010/09/20
インバルは80年代に、当時の手兵であるフランクフルト放送交響楽団とともにマーラーの交響曲全集を録音した。いずれも、名演揃いだと思うが、その中でも随一の名演はこの第7ではないかと考える。レコードアカデミー賞を受賞したのも、確かこの第7だけであったはずである。第7は、最近ではそのようなこともないと思うが、80年代は、マーラーの交響曲の中では不人気の部類に属していた。クレンペラーによる超スローテンポのスケール雄大な名演や、バーンスタイン、テンシュテットによる劇的な名演もあったが、いずれも指揮者の個性の方が際立った演奏であり、第7の曲自体の魅力をストレートに表現してくれる演奏はほとんどなかったと記憶する。そのような中で登場したインバル盤は、マーラーの第7の真価を知らしめたはじめての名演と言えるものであり、更には、そうした評価は現代においても十分に通用するものと言える。インバルの解釈は、内なるパッションや個性をできるだけ抑制して、マーラーの音楽を純音楽的に響かせようとするものであり、名演ではあるものの、例えば第9など、いささか物足りなさを感じさせるものもあった。しかしながら、第7については、そうしたアプローチがプラスに働いていると言える。第7は、終楽章は別にして、第1〜第4楽章には、マーラーの交響曲の中でも特に繊細な抒情や巧みな管弦楽法が際立っており、こうした箇所において、インバルはあらゆる音符に光を当てて、実に精密な演奏を心がけている。もちろん、終楽章の迫力は、インバルとしても、自己抑制を超えたパッションの爆発があり、いい意味でのバランスのとれた名演と高く評価できる。録音ももともと素晴らしいが、Blu-spec-CD化によって、さらに音場に奥行きが広がり、臨場感溢れる音質になったことも、本盤の価値を大いに高めることに貢献している。
1 people agree with this review 2010/09/20
涅槃交響曲は凄い作品だと思う。日本の仏教の根源的な音色の一つである梵鐘の音色を徹底的に追究し、作曲後も、天下のNHK交響楽団を活用して実験を繰り返したというのだから、その拘り方は尋常ではないと言える。梵鐘の音色を西洋の楽器で表現するという、非常に困難な所為だけに、黛敏郎としても、作曲上、大変な苦労があったと思うが、合唱の絡み方も含め、実に良く出来た完成度の高い傑作と高く評価されるべきである。形式的には交響曲と称しているが、かのフランスの現代を代表する作曲家、メシアンのトゥーランガリーラ交響曲を彷彿とさせるところであり、私見では、作曲技法等において一部共通するものがあるとも考えたい。同曲は、サラウンドを前提として作曲されたというが、録音も実に臨場感のある素晴らしいものである。本来は、SACDで聴くのが最高であると思うが、今回のBlu-spec-CD盤の登場は、費用対効果をも加味すると、同曲を高音質で味わうのに相当な成果だと考える。この曲が含有する深遠な精神性は、やはりこのような高音質CDで聴きたい。なお、本CDには、奈良の薬師寺の聲明が収録されている。私も、このCDではじめて聴いたが、西洋のグレゴリオ聖歌に匹敵するような音楽が、我が国においても存在し、しかも今日まで脈々と受け継がれてきたことに深く感動した。
1 people agree with this review
5 people agree with this review 2010/09/19
前作の後期ピアノ作品集は、おそらくは過去のブラームスのピアノ作品集のCD中最高の超名演(私見ではグールドより上)であったが、本盤も、前作ほどではないものの、素晴らしい名演である。特に、作品117の7つの幻想曲は、ブラームスの最晩年の作品だけに、前作の深みのある鋭い名演に繋がるアプローチを行っている。同曲は、複数のカプリチオと間奏曲で構成されているが、各曲ごとに大きく異なる楽想を、アファナシエフならではのゆったりとしたテンポで、ブラームスの心底の深淵を覗き込むような深遠なアプローチを行っている。その深みのある情感豊かさは、同曲の過去のいかなる演奏をも凌駕するような至高・至純の高みに達していると言える。4つのバラードは、ブラームスの若書きの作品ではあるが、アファナシエフの解釈は、晩年の諸作品へのアプローチと何ら変わることがない。要は、同曲を、最晩年の作品に繋がっていく道程と位置づけており、各バラードの解釈は、はじめて耳にするような深みを湛えていると言える。2つのラプソディーは、ブラームスとしては比較的めまぐるしく表情が変転する楽曲であるが、アファナシエフは、ここでも単なるお祭りさわぎに終始することなく、次元の高い深みのある音楽が紡ぎだされていく。Blu-spec-CD化によって、アファナシエフのタッチをより鮮明に味わうことができるようになったことを大いに喜びたい。
8 people agree with this review 2010/09/19
これは凄い演奏だ。ブラームスのOP117〜119の3つのピアノ作品は、シェーンベルクの十二音技法にも通じるような深みを湛えた至純の名作であるが、アファナシエフの演奏は、正に、こうした近現代の音楽に繋がっていくような鋭さがあると言える。それでいて、晩年のブラームスの心の奥底を抉り出すような深みのある情感豊かさも、感傷的にはいささかも陥らず、あくまでも高踏的な次元において描き出している点も素晴らしい。テンポは、過去のいかなる演奏と比較しても、相当に(というか極端に)遅いと言わざるを得ないが、シューベルトの後期三大ピアノソナタの時のようなもたれるということはなく、こうした遅いテンポが、おそらくはアファナシエフにだけ可能な濃密な世界(小宇宙)を構築していると言える。研ぎ澄まされた鋭さ、深みのある情感、内容の濃密さという3つの要素が盛り込まれたこの演奏は、聴き手にもとてつもない集中力を要求する。同曲には、おなじく鬼才であったグールドの超名演があったが、内容の深みや鋭さにおいて、アファナシエフに軍配があがると言っても過言ではないかもしれない。HQCD盤が、これまでのところ最高の音質を誇っていたが、Blu-spec-CDは、さらに鮮明さが加わったところであり、この歴史的な超名演の価値をより高めることになった点も高く評価したい。
8 people agree with this review
3 people agree with this review 2010/09/19
第7がマタチッチの本領が発揮された名演であるのに対して、この第5は、マタチッチにしてははっきり言ってイマイチの出来と言わざるを得ない。第2楽章の終結部や終楽章の厚手のオーケストレーション、大幅なカットなど、シャルクによる悪名高い改訂版を使用しているというハンディもあるが、それ以上に、マタチッチの同曲へのアプローチが、ブルックナー演奏にしてはいささか芝居がかっていると言えるのではないか。第1楽章や第3楽章の極端な快速テンポなど、どうしてそんなに性急なのかと考えてしまう。特に、90年代に入ってからは、朝比奈やヴァントによる至高の名演が登場したこともあり、そうした名演に慣れた耳からすると、本盤の解釈はいかにもわざとらしい印象を受けることになる。第2楽章の中間部など、マタチッチならではの重厚にして美しい箇所も散見されるが、全体を俯瞰すればほとんど焼け石に水。改訂版の使用も相まって、あまりいい点数を与えることができない演奏と言うことができる。同演奏については、数年前にxrcd盤が発売され、素晴らしい音質を誇っていたが、値段がいかにも高い。Blu-spec-CD盤は、xrcd盤に迫る音質を誇っており、費用対効果を考えると十分に推薦に値する。
3 people agree with this review
7 people agree with this review 2010/09/18
パガニーニの24のカプリースは、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタと並んで、あらゆるヴァイオリニストの目標である。後者のバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタについては、精神的な面において、弾きこなすのに相当な自己研鑽が必要であるが、前者のパガニーニのカプリースについては、超絶的な技巧を要する難曲だけに、技量の面において、並みいる強豪ヴァイオリニストを寄せ付けない高峰に位置していると言える。ユリア・フィッシャーは、いまだ20代の若手女流ヴァイオリニストであるが、その超絶的な技量にはとてつもないものがあると思う。さすがは、様々なコンクールで優勝を成し遂げてきただけのことはある。同曲を構成する各楽曲を、これだけ表情豊かに完璧に弾きこなす演奏は、これまであったであろうか。技量だけを全面に打ち出した演奏ならば、これまでもいくつもあったと思うが、ユリア・フィッシャーの演奏は、そうした超絶的な技量をベースとしつつ、女流女ヴァイオリニストならではの繊細とも言える豊かな感性を発揮し、全体として、テクニックよりは情感の豊かさを聴き手に感じさせる点が素晴らしい。SHM−CD化によって、ユリア・フィッシャーの研ぎ澄まされた技量や情感豊かさが、より鮮明に味わえる点も高く評価したい。
6 people agree with this review 2010/09/18
次代を担う若手指揮者のホープ、ハーディングによるDGへの2枚目のレコーディングアルバムであるが、そうした期待を裏切らない名演だ。カルミナ・ブラーナは、最近ではすっかりポピュラーな名曲になった。かつては、初演者のヨッフムやケーゲルなど、独墺系の指揮者が演奏するローカルな作品との位置づけだっただけに、近年の傾向は隔世の感がある。しかしながら、近年の演奏がすべて名演かと言うと、必ずしもそうとは言い切れない面がある。プレヴィン&ウィーン・フィル(特にSACD盤が最高!)などの名演との評価に相応しいものも散見されるが、特に、録音の面で、いささか不満が残るものが多々あったと言わざるを得ない。大編成の合唱を伴うだけに、なかなかバランスのとれた録音が難しいのかもしれないが、本盤は、まずはその録音が素晴らしい。ライブ録音という大変難しい状況であるにもかかわらず、オーケストラも、合唱も、非常に鮮明な音質でとらえられており、その点だけでも、相当なアドバンテージだ。それに加えて、ハーディングの指揮の見事さ。ハーディングのアプローチは奇をてらうと言うことはいささかもなく、あくまでもオーソドックスなものであるが、比較的ゆったりとしたテンポをとることにより、全体をスケール雄大に纏め上げている点が素晴らしい。こうした巨匠風の演奏をする点を見ても、ハーディングの将来性を大いに感じる。合唱やゲアハーヘルをはじめとする独唱陣も完璧であり、指揮者、オーケストラ、合唱を含む歌手陣、録音の4拍子揃った稀有の名盤として、過去の同曲の名盤の中でもトップの座を争うものと高く評価したい。
6 people agree with this review
8 people agree with this review 2010/09/14
モーツァルトの6曲ある弦楽五重奏曲の中で、最も人気のある第3番と第4番をカプリングしたものであるが、演奏や録音も含めすべての面で次元の高い名盤と高く評価したい。何よりも、スメタナ四重奏団の自然体の演奏が、これらの楽曲の楽想に見事にマッチング。ゆったりとした気持ちで、モーツァルトの素晴らしい音楽の魅力をダイレクトに味わうことができるのが素晴らしい。もちろん、スメタナ四重奏団の演奏には、例えば最近解散したアルバン・ベルク四重奏団や今をときめくカルミナ四重奏団のような強烈な個性などは感じられないが、各奏者のハーモニーの調和においては、他のいかなる四重奏団をも凌駕し、第1ヴィオラを弾いたスークの名演奏も含め、極上の美演を披露していると言える。弦楽五重奏曲を演奏する喜びが、これほどまでに音化されている例はほかにもあまりなく、これぞ室内楽曲の至高・至純の芸術美と言えよう。本盤がレコードアカデミー賞を受賞したのも当然のことであると考える。録音も、通常盤でもかなりの高音質を誇っていたが、Blu-spec-CD化によって、より一層鮮明な音質に生まれ変わった。このような名演を極上の高音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
1 people agree with this review 2010/09/12
実に美しい名演だ。美しいと言うのは、いささか月並みな言い方ではあるが、本盤のような演奏を耳にしては、これ以上の形容詞が思い浮かばない。それほどまでに、清澄な美しさに満ち溢れた至高・至純の名演と言える。スメタナ四重奏団は、最近まで世界をリードしてきたアルバン・ベルク四重奏団や今をときめくカルミナ四重奏団のような鋭さや個性的な響きはない。かつてのカペー四重奏団などの瀟洒な独特の雰囲気があるわけでもない。そうした特筆するような個性があるわけではないが、他方、各楽器の高い次元での調和や、音色の清澄な美しさにおいては、他のいかなる四重奏団と言えども、スメタナ四重奏団にはかなわないのではないかと考える。そうしたスメタナ四重奏団にあっては、お国ものの音楽を除けば、最も符号する楽曲はモーツァルトということになるのではないだろうか。チェコの名ヴァイオリニストであるスークが加わったモーツァルトの弦楽五重奏曲ということになれば、演奏が悪かろうはずがない。前述のように、至高・至純の美しさを湛えた名演が仕上がることになる。特に、モーツァルト最晩年の第6の演奏には静謐ささえ漂っており、おそらくは同曲最高の名演。本盤がレコードアカデミー賞を受賞したのも当然のことであると考える。Blu-spec-CD化によって、より鮮明な音質に生まれ変わっており、本盤の価値を大いに高めることになっている。
5 people agree with this review 2010/09/12
コチシュは、バルトークを得意とし、指揮者として、そしてピアニストとしても数々の演奏を行っており、CDも数多く発売されているが、本盤は、来日時に収録を行った若き日の名演である。バルトークは、盟友のコダーイとともに、ハンガリー(及びその周辺諸国)の民謡採集を行い、それを自分のものとして昇華したうえで、様々な自作に活かしていった。特に、バルトークの場合、ピアノ作品に、そうした作風が顕著にあらわれていると言える。コチシュの演奏は、決して個性をひけらかすようなものではなく、むしろ、正統派のアプローチと言える。もちろん、卓越した技量は持ち合わせているのだが、それをベースとして、バルトーク特有のハンガリーの民謡の語法が散見される各曲を、情感豊かに描き出していく。アプローチが正統的であるが故に、聴き手はゆったりとした気持ちで、バルトークの音楽の美しさ、素晴らしさをダイレクトに満喫することができる。特に、3つのハンガリー民謡や古い踊りの歌は、そうしたコチシュのアプローチが楽曲と見事に符合し、感動的で清澄な名演に仕上がっている。他方、組曲やピアノソナタは、若きコチシュならではの勢いのある生命力と卓越した技量が全面に出た豪演と言える。Blu-spec-CD化によって、音質が実に鮮明になったのも素晴らしい。
8 people agree with this review 2010/09/12
ディヴィスはベルリオーズを得意とし、数々の名演を遺してきた。特に、最高傑作と称される幻想交響曲は、何度も録音を繰り返しているが、その中でも、やはり第一に掲げるべき名演は、本盤の74年盤と言えるのではなかろうか。何よりも、オーケストラにアムステルダム・コンセルとへボウ管弦楽団を起用したのが大きい。管楽器も弦楽器もいずれも完璧なアンサンブルで、若きディヴィスの指揮についていっており、しかも、この当時にオーケストラに顕著に存在した北ヨーロッパならではのくすんだいぶし銀の音色が、演奏に潤いと深みを与えていることを見過ごしてはならない。原典にしたがって、コルネットを活用している点も、ディヴィスのベルリオーズへの傾倒ぶりをあらわしており、本盤は、数々の幻想交響曲の名演の中でも上位に位置づけられる名演と高く評価したい。そして、この名演の真価を究極の音質で味わうことができるシングルレイヤーのSACDがついに登場した。SHM−CD化や表面のコーティングなど、音質向上のための最善の努力がなされており、唖然とする超高音質に仕上がっている。コンセルトへボウ管弦楽団の各管楽器奏者の名技なども完璧に再現されており、弦楽器のつややかな響きも美しさの極み。眼前で演奏会が行われているような錯覚に陥るほどの臨場感溢れる極上の音質に仕上がっている。
11 people agree with this review 2010/09/12
クーベリックのわが祖国と言えば、ボストン交響楽団とスタジオ録音した71年盤や、手兵のバイエルン放送交響楽団とライブ録音した84年盤の世評が非常に高い。近年では、来日時にチェコ・フィルとライブ録音した91年盤の感動も忘れ難い。特に、バランスや解釈の普遍性に鑑みれば、71年盤こそ随一の名演と評価すべきであるが、本盤の演奏は格別の感動がある。それは、ビロード革命によりチェコが自由化された後の初の「プラハの春」音楽祭のオープニングコンサート、しかも、クーベリックが祖国を離れてから42年ぶりに、再び祖国に戻っての演奏会という、特別な事情があるからである。正に、歴史的な演奏会の記録と言うべきであり、ここには、自由を謳歌し、演奏する喜びに満ち溢れたクーベリック&チェコ・フィル、そして聴衆の熱気が大きく支配していると言える。特に、ターボルの力強いド迫力などは出色であり、ブラニーク冒頭の重量感ははじめて耳にするような力強さ。終曲部のヴィシェラフトの主題が再現される箇所は、あまりの迫力にただただ圧倒されるのみ。演奏終了後の聴衆の熱狂も当然のことのように思われる。Blu-spec-CD化によって音質が著しく向上しており、この歴史的名演の価値を大いに高めることに貢献している。
11 people agree with this review
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