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TOP > My page > Review List of つよしくん
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0 people agree with this review 2010/09/28
モーツァルトが作曲した6曲の弦楽五重奏曲のうち、最初期と最晩年の作品をおさめたものであるが、いずれも素晴らしい名演だ。スメタナ四重奏団の演奏は、いつものとおり自然体のアプローチである。それは、特に最近の弦楽四重奏団に顕著に見られる個性的な鋭さなどとは無縁であるが、情感豊かな人間的なぬくもりのある演奏と言うことでは、スメタナ四重奏団の右に出るものはいないのではないかと思われる。そうした最高のアンサンブルを誇る四重奏団に、名手スークを加えた演奏は、我々聴き手に、ゆったりとした気持ちでモーツアルトの音楽を味わうことを可能にする。どの楽器が突出するということはなく、5つの楽器が最美のハーモニーを奏でていくという態様は、正に弦楽五重奏曲の醍醐味の至高・至純の具現化とも言えるだろう。名作でありながら、モーツァルトの弦楽五重奏曲集には名演が少ないが、そのような中で、本盤は、まぎれもなく、最高峰に位置づけてもいい名演と高く評価したい。音質も従来盤からして、素晴らしい高音質を誇っていたが、今般のBlu-spec-CD化によって、さらに鮮明な音質に生まれ変わった。スメタナ四重奏団&スークの名演を望み得る最高音質で味わうことができるこを大いに喜びたい。
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5 people agree with this review 2010/09/26
ラトルは、マーラーを現在でも得意のレパートリーとしているが、これは、EMIへの鮮烈的なデビューを飾った記念碑的な名演だ。ラトルは、現在の手兵ベルリン・フィルとも、マーラーの第10のクック版を録音している。同曲については、マーラーが作曲した第1楽章のアダージョしか演奏しない指揮者も数多くいる中で、二度にもわたりクック版を録音したというのは、ラトルの同曲、特にクック版への深い愛着の賜物と言っても過言ではあるまい。ベルリン・フィルとの演奏も名演ではあったが、本盤も、現在でも十分に通用する名演と高く評価したい。第1楽章のアダージョからして、比較的ゆったりとしたテンポで、マーラーの美しい名旋律を情感豊かに歌い抜いて行く。その堂々たる指揮ぶりには、今日のラトルを予見させるのに十分な才能に満ち溢れていると言える。終楽章の、ハンマーが何度も鳴り響き、曲想がめまぐるしく変化する箇所も、全体の造型をいささかも損なうことなく、実に巧みに表現し尽くしている。決して一流とは言えないボーンマス交響楽団も、ラトルの見事な統率の下、可能な限りのパフォーマンスを示していると言える。HQCD化によって、音場に奥行きが加わった点は高く評価したい。
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ドヴォルザークのチェロ協奏曲をコントラバスで弾くという、一歩間違えるとゲテモノ扱いされかねない企画ではあるが、そのような懸念を一挙に吹き飛ばしてしまうような素晴らしい、そして感動的な名演だ。まずは、朝比奈の指揮が見事。冒頭からして深沈としたテンポがいかにも巨匠的表現であるし、第2楽章の抒情的表現も、溢れんばかりの情感の豊かさだ。終楽章の終結部に向けた盛り上がりも、さすがは朝比奈と言うべき重量感溢れる迫力に満ち溢れている。その朝比奈の重厚な伴奏の下、ゲリー・カーは実に感動的な演奏を繰り広げている。チェロパートをコントラバスで弾いたのに感動したわけではない。もちろん、そうしたカーの技量は十分に感服には値するとは思うが、そのようなことは二の次。何よりも、カーが奏でる情感豊かな演奏、表現に感動を覚えるのだ。特に、第2楽章の抒情的表現は、チェロによる過去の様々な名演でも、果たして太刀打ちできるかどうかというほどのハイレベルな次元の演奏を繰り広げている。録音も素晴らしいの一言。SHM−CDとXRCDの組み合わせは、さすがに、SHM−CDとSACDの組み合わせには勝てないが、十分に鮮明なハイレベルの高音質に仕上がっていると言える。
12 people agree with this review 2010/09/26
いかにも近年の内田光子ならではの深みのある名演だ。シューマンのピアノ曲は、いずれも名作揃いだとは思うが、同時代のショパンなどとは異なり、アプローチの仕方によってはやたら理屈っぽい演奏になりがちである。いずれも詩情に満ち溢れた作品ではあるのだが、組曲やソナタなど、比較的規模の大きい作品が多いだけに、全体の統一性など、どうしてもそれに捕われて、詩情を失ってしまいがちなことがその要因と言えるのかもしれない。しかしながら、内田光子にはそのような心配は御無用。全体として、前述のように曲の本質を深彫していくような深遠な表現をこころがけてはいるが、シューマン特有の詩情豊かさにもいささかの不足はない。特に、ダヴィッド同盟舞曲集にような作品集では、各曲の性格を巧みに描き分け、緩急自在のテンポを駆使して、これ以上は求められないような高次元の表現を成し遂げている。幻想曲ハ長調は、正に内田光子の独壇場。これほど深みがあって、しかも情感豊かな演奏は、今や大ピアニストとなった内田光子にしかできない至高・至純の境地に達していると言える。本盤は、内田光子にとっても、15年ぶりのシューマンとのことであるが、他のシューマンのピアノ曲も、内田光子の演奏で是非とも聴きたいものだ。
12 people agree with this review
6 people agree with this review 2010/09/26
ラトルは、他のイギリス出身の指揮者と同様に、若き時代にはシベリウスを得意のレパートリーとしていた。当時の手兵のバーミンガム市交響楽団と全集を録音するとともに、フィルハーモニア管弦楽団との交響曲第5番や、昨年テスタメントから発売されたイダ・ヘンデルと組んだヴァイオリン協奏曲など、録音の点数も相当数存在している。本盤は、そうした交響曲全集からの一枚であるが、いかにも新進気鋭の指揮者らしい快演と高く評価したい。いわゆる北欧の雰囲気を彷彿とさせる演奏というよりも、むしろ勢いに溢れた力強い演奏といった表現が相応しいと思うが、シベリウスの個性が全開になる前の、他の国民楽派の作曲家の影響が強く見られる作品であるだけに、こうしたラトルのアプローチも、いささかの違和感を感じさせない。前述のように、勢いに溢れたと表現したが、だからといって、繊細な抒情的表現にも不足はない。併録の鶴のいる情景も、あまり演奏されない曲だけに貴重な録音であるが、演奏内容もなかなかのものがある。ラトルは、最近ではシベリウスをほとんど演奏していないように思うが、是非ともベルリン・フィルと組んで二度目の全集を完成してほしいと思っている聴き手は私だけではあるまい。
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6 people agree with this review 2010/09/25
演奏について評価する前に、まずは録音にして言及しておきたい。ユニバーサルは、本年になってSACDの発売を再開するという快挙を成し遂げたが、これまでのところ、何年か前に既に発売されたSACD盤のより高音質化での再発売が中心となっている。そのような中で、小澤&サイトウキネンのブラームスの第2ほかをおさめた盤と本盤は、ユニバーサルが満を持して発売したSACDの新録音だ。ブラームスの第2の録音は見事であったが、本盤も極上の高音質だ。しかも、本盤は、マルチチャンネル付きのシングルレイヤーである。このような仕様は、SACD草創期にエクストンが何枚か発売していたくらいしか記憶がないが、おそらくは、ガラスCDは別として、現在望み得る最高の高音質と言えるだろう。戦争レクイエムのように、静謐な合唱を中心とする作品には、このような仕様は抜群の効果を発揮しており、いささか大げさではあるが、戦争レクイエムの最も理想とする録音がついに現れたと言っても過言ではないのではなかろうか。演奏内容も素晴らしい名演。最近、健康が悪化するなどファンを大変心配させている小澤であるが、ここではオーケストラや合唱団を抜群のバトンテクニックで統率し、実に清澄なレクイエムの世界を構築している。今や大指揮者となった小澤には、今後とも健康に留意していただいて、本盤のような名演を一つでも多くのこしていただきたいと思う聴き手は私だけではないはずである。
3 people agree with this review 2010/09/24
リスト弾きのベルマンの面目躍如たる素晴らしい名演だ。特に、ピアノ協奏曲については、シフラなどの名演と並んで最上位にランクされる名演と言える。リストのピアノ協奏曲は形式も独特で、演奏にも超絶的な技巧が要求され、纏めるのが非常に難しい作品とされている。ベルマンは、超絶的な技量は当然のこととして、表情がめまぐるしく変化する各楽章を非常に巧みに描き分けている。それでいて、各楽章がバラバラになることを割け、全体の造形にも十分に配慮していると言える。もちろん、全体の確固たる造型美には、指揮者のジュリーニの貢献も大きいと言わざるを得ない。イタリアオペラだけではなく、ドイツ音楽をも得意とした巨匠は、ここでも全体の造型を意識した演奏を行っており、第1番の第2楽章など、抒情的な箇所の歌い上げも、さすがはジュリーニとも言うべき歌謡性が豊かである。併録の巡礼の年は、ベルマンの独壇場だ。リストの標題音楽の傑作を、類まれなる技量をベースとして、実に巧みに各楽曲を情感豊かに描き出していく。本盤は、巡礼の年の有名曲のみがおさめられているが、あの長大な巡礼の年全体を聴くための準備としては、格好の選曲であると考える。
3 people agree with this review
0 people agree with this review 2010/09/24
非常に色彩感溢れる素晴らしい名演だ。正に、ラトルとかつての手兵バーミンガム市交響楽団の最高の結実の一つと言えるのではないか。ダフニスとクロエでは、ラトルは、各場面毎の描き分けを巧みに行い、ラヴェルが作曲した魔法のような華麗な管弦楽の世界を、これ以上は求め得ないような色彩感で描き出していく。音の強弱や緩急自在のテンポ設定も思い切って行っているが、この当時はまだまだ若手指揮者に過ぎなかったにもかかわらず、勢いに任せたいわゆる青臭さなど微塵も感じられない。このあたりは、さすがはラトルのその後の成長・発展を予見させる類まれなる才能の証左と言えるだろう。ダフニスとクロエでは、合唱も重要な働きを示すが、バーミンガム市交響楽団合唱団も、最高のパフォーマンスを示していると言える。ボレロも名演。こちらの方は、比較的ゆったりとしたテンポで、おなじみの旋律をじっくりと豊かに歌いあげていく。こうした落ち着きさえ見せるような堂々たる指揮は、既に若くして未来の大指揮者の貫録十分である。音質は、従来のCDでもかなりの満足できる音質であったが、HQCD化によって、音場の奥行きが広くなり、音質にも若干ではあるが鮮明さを増した点は素晴らしい。
ラトルとハイドンの交響曲との相性は抜群だ。数年前に発売された、ベルリン・フィルと組んで録音した第88〜92番のCDも名演であったが、本盤も素晴らしい名演である。ラトルは、ベルリン・フィルとの名演でもそうであったが、現代楽器に古楽器的な奏法をさせている。そうすることによって、全体として非常にきびきびした軽快な装いを示すことになる。その上で、ラトルは、極端とも言えるようなテンポの変化や音の強弱を付すことによって、かつてのハイドンの交響曲でも主流であった重厚な演奏とは一線を画し、非常にリズミカルな21世紀の新しいハイドン像を創設した点が素晴らしい。古楽器奏法やピリオド楽器を活用したハイドンの交響曲の演奏ならば、近年ではいくらでもあるが、ラトルの演奏は、前述のように、テンポや強弱の変化に極端とも言えるような濃厚な味付けを施すことによって、学者の研究素材のレベルではなく、一流の芸術作品に高めている点が、他の指揮者とは大きく異なる長所だと考える。本盤は、カプリングのセンスも見事。それぞれにユーモアの仕掛けのある交響曲を、演出豊かに描き出していく点は、若き日にも既に才能が全開であったラトルの前途洋々たる将来性を感じさせる。HQCD化によって、音場がより豊かになった点も高く評価できる。
1 people agree with this review 2010/09/24
故若杉弘による素晴らしい名演である。武満徹の弦楽のためのレクイエムやノヴェンバー・ステップスの名演としては小澤による名盤があるが、本盤の若杉盤は、小澤盤とは違った性格の名演と高く評価したい。小澤の名演は、武満徹が記した複雑なスコアを、独特の鋭い感性で描き出していくのに対して、若杉の名演は、ある種のドイツ音楽を指揮する時にように、厳しい造形美と重厚さが持ち味と言える。武満徹の立ち会いのもとで行われた録音ということもあり、作曲者としても、このようなアプローチを容認していたと言うことであろう。特に、弦楽のためのレクイエムは、曲の性格もあり、小澤の名演よりも、より心の琴線に訴えかける力強さに溢れて感動的だ。ノヴェンバー・ステップスは、小澤盤と同格と言えるが、ゆったりとした深みのある味わいを求める聴き手からすれば、本盤の方を選ぶのが適切とも考えられる。併録のヴィジョンズも名演であり、武満徹の代表的な作品を集めたCDとして、小澤盤と並んで、代表的名盤との地位は、今後とも揺るがないものと考える。Blu-spec-CD化によって、音質が非常に鮮明になっており、武満徹の精緻な音楽をより見通しよく味わうことができることを大いに喜びたい。
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4 people agree with this review 2010/09/23
ラトルの若き日の録音であるが、今日の世界的な大指揮者への成長を予見させるのに十分な素晴らしい名演と高く評価したい。ラフマニノフの交響曲第2番は、今でこそ多くの指揮者がレパートリーとする超有名曲であるが、本盤の録音当時は、知る人ぞ知るという地位に甘んじていた。当時、新進気鋭の指揮者であったラトルも、おそらくは未知の名曲に挑戦するような気持ちで、この曲の指揮に臨んだものと思われる。確かに、そうした意欲も相まって、若さ故の粗削りなところが随所に見られる。特に、第2楽章や終楽章のトゥッティのいささか力づくとも言える力奏は、無機的な響きで、浅薄な印象を与える危険性もはらんではいる。しかしながら、抒情的な箇所での情感豊かな表現は、そうした欠点を補って余りあるような、未来の巨匠を予見させるのに十分な堂々たる指揮ぶりであると言える。特に、第3楽章など、かのスヴェトラーノフや新盤でのプレヴィンのようなゆったりとしたテンポで、ラフマニノフ最高の名旋律を心を込めて歌い抜いて行く。ロスアンジェルス・フィルも、こうした若きラトルの指揮によくついていっており、正に快演とも言ってもいい名演であると言える。録音は、特に、トゥッティの箇所での音の分離がイマイチであるが、HQCD化によって、幾分音場に奥行きが加わった点は高く評価したい。
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9 people agree with this review 2010/09/22
ノイマンは、ドヴォルザークの交響曲全集を2度完成させるとともに、交響曲第7番〜第9番については、全集以外にも何度も録音している。いずれの演奏も、ノイマンの温厚篤実な性格があらわれた情感豊かな名演と考えるが、一般的には、2度目の交響曲全集や、ポニーキャノン(現在は、エクストンから発売)に録音した第7番〜第9番、そして、ドヴォルザーク生誕100年を記念した第9番あたりの評価が高い。それ故に、一度目の交響曲全集の旗色が悪いが、レコードアカデミー賞を受賞した名盤でもあり、忘れられた感があるのはいささか残念な気がする。本盤は、その旧全集から、第7番と第8番をおさめているが、私としては、後年の名演にも勝るとも劣らない名演と高く評価したい。全体的に格調の高い情感の豊かさを保っている点は、後年の名演と同様の傾向ではあるが、ここには、後年の名演には見られない若々しい生命力と引き締まった独特の造形美があると言える。手兵のチェコ・フィルも、そうしたノイマンとともに最高のパフォーマンスを示しており、録音も非常に鮮明である。本盤は、Blu-spec-CD盤であるが、従来盤と比較してさらに鮮明度がアップしており、ノイマンの若き日の名演を高音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
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5 people agree with this review 2010/09/22
ヤナーチェクの2大管弦楽曲をおさめたCDは、最近発売された村上春樹氏の小説の影響もあって、かなりの点数が発売されている。両曲ともに、ヤナーチェクならではのモラヴィアの民俗音楽を高次元で昇華させた独特の美しい旋律に満ち溢れた傑作であるが、特に、シンフォニエッタの第1楽章の金管楽器によるファンファーレなど、技術的にも相当なものが求められることもあって、現代の名うてのオーケストラにとっても、演奏しがいのある楽曲と言える。それ故に、オーケストラの輝かしい音色や技量などが売りの演奏(それも重要な要素であるが)が多いが、このノイマン盤は、そうした音色や技量面を売りにした演奏ではない。いや、むしろ、オーケストラの技量からすれば、イマイチとさえ言える。シンフォニエッタ冒頭のファンファーレなど、何とたどたどしいのかとも思ってしまう。しかしながら、故国の大作曲家への畏敬の念を踏まえた全体を貫く情感の豊かさは、過去のどの演奏にも勝ると言える。したがって、本盤にオーケストラの技量や輝かしい音色などを期待する聴き手には、いささか物足りないという印象を与えることもあるとは思うが、同曲のモラヴィアの民俗音楽を土台とした本質的な魅力を味わいたいという聴き手には、底知れぬ感動を与える名演と高く評価したい。Blu-spec-CD化によって、さらに鮮明な音質になったことも大いに喜びたい。
1 people agree with this review 2010/09/21
ドヴォルザークの室内楽曲中、最も有名な弦楽四重奏曲である第12番「アメリカ」は、スメタナ四重奏団にとっても、演奏回数が非常に多い作品の一つと言えるだろう。録音も当然のことながら多く、本盤も、何と5回目の録音ということになる。スメタナ四重奏団の「アメリカ」としては、70年代の旧録音の方がよりベストフォームの名演だと思うが、本盤の演奏も、名演と評価したい。何度も演奏を繰り返すことによって、楽曲の隅々に至るまで知り尽くしているとは思うが、いわゆる惰性で演奏している箇所は皆無。どこをとっても、敬愛する楽曲を演奏するという喜びに満ち溢れており、そうした謙虚で真摯な姿勢が、聴き手にゆったりとした気持ちで同曲を味わうことができることに繋がるものと考える。4つの楽器が見事に融合する美しい響きは相変わらずであり、何度録音(演奏)してもスメタナ四重奏団の「アメリカ」は、常に名演との評価が揺らぐことはないものと考える。カプリングの弦楽六重奏曲は、あまり演奏されない楽曲ではあるが、スメタナ四重奏団や、チェコの誇るスークやフッフロの名演奏によって、非常に美しい楽曲であることを認識させられた。Blu-spec-CD化によって、音質は非常に鮮明になっており、これらの名演奏の価値をさらに高めることに繋がっている。
5 people agree with this review 2010/09/21
スクロヴァチェフスキは、ブルックナーを特に得意としているが、これまで発売されたCDでのカプリングでもわかるように、近現代の作曲家の作品も得意としている。本盤は、そのようなスクロヴァチェフスキの実力が存分に発揮された名演と高く評価したい。プロコフィエフのロメオとジュリエットは、近年では多くの指揮者による録音が相次いでいる有名曲であるが、そのような数々の演奏の中でも、最上位に掲げられる名演と言える。スクロヴァチェフスキの指揮は、ブルックナーを指揮する時のようなインテンポではなく、各場面ごとの描き分けを巧みに行い、テンポの大きい変化やダイナミックレンジを相当に幅広くとるなど(特に、有名なモンタギュー家とキャピュレット家で顕著)、ドラマティックな演奏を行っているが、それでいて各組曲全体の纏まり具合も完璧。オーケストラに、ドイツの名オーケストラであるケルン放送交響楽団を起用したのも大正解であり、重心の低い腰の据わった深みのある音質も大きな魅力だ。ロメオとジュリエットは、バレエ音楽ではあるが、本演奏では、あたかも一大交響曲のようなシンフォニックなスケールの大きさが全体を支配しているとも言える。Blu-spec-CD化によって、音質がさらに鮮明になったことも、本名演の価値を高めるのに大きく貢献している。
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