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Review List of mymastersvoice 

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     2023/03/06

     何も考えずに音楽に身を委ねる愉悦、ガーディナーとウィーンフィルの音楽はまさにその境地に我々を誘ってくれます。名演です。しかも個性的です。このCDの主役はツィータを演じるプリン・ターフェルです。その気高さは第一声からただモノではない雰囲気を醸し出します。ツィータの造形によって色合いがかなり変わる作品なのですか、この演奏ではヴァランシエンヌとカミーユとはあくまでラブゲーム、彼女がツィータから離れることはあり得ないことがよく分かります。逆にカミーユ役のトロストが立派過ぎないのが良いバランスです。
     残念なのはハンナのシュトゥーダー。80年代後半から90年代初頭はまさに彼女の時代で、「女ドミンゴ」と称せられたりもしましたが、意外なほど活躍は短く、90年代後半にはベストフォームからほど遠くなってしまいました。このCDも残念な出来で、シュヴァルツコップの芳醇な香気にはとても及びません。サヴァリッシュの「影のない女」の皇后と同一人物とは思えないほどです。
     ダニロがツィータに及ばないこともあり、主役コンビよりツィータ夫婦を軸に物語が進んでいくというこの上なく個性的な展開です。これもアリです。ターフェルにツィータを振ってくれたプロデューサーに感謝です。もちろんニェーグシュのツェドニクも絶品です。
     このCDは省略されることの多い第5曲にあたるヴァランシエンヌとカミーニの二重唱「Ja Was?」も収められています。シュヴァルツコップのアッカーマン版にあって、マタチッチ版になかったあの曲です。この曲がよく省略される理由、ご存知の方がおられたらご教示ください。

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     2022/12/17

     メンデルスゾーンの世俗合唱曲はまさな青春の音楽である。将来に対する憂いも無く、輝かしい薔薇色の未来のみを信じる若者の不遜さ、もろさ、そして何より美しさに溢れている。私にとっても学生の頃からの愛唱曲であり、未だに色褪せない宝物である。世俗無伴奏合唱曲全集は当盤のほかにRIASやオランダ室内などの世界的な実力派合唱団によるものもあり、愛好家にとっては有り難いのだが、ユング盤の魅力は独特である。まずテンポ感が絶妙。op.48の秋の歌など理想的な流れである。
     ところで遥か昔、ドイツ統一前、ペーターズ版の楽譜が東西に分かれて出版されていたとき、op.88の第5曲ガイベルの詩による「Deutschland」は東独のライプツィヒ版には採録されていなかった。当時、大学生であった私はフランクフルト版購入以前、その未知の曲を色々と妄想していたのだが、当盤にはしっかり採録されている。ドイツ皇帝賛美の歌詞になるほど、と納得したものの、オランダのGLOBEからリリースされているオランダ室内合唱団版には採録されなかったのは、たとえばナチスなどにつながる歴史的背景が影響しているのか、単にライプツィヒ版の楽譜に拠っているのか定かではないものの、このあたりの事情に詳しい方に是非ともご教示いただきたい。
     少し脱線したが、当盤の演奏は素晴らしく、過不足ない表現が楽しめる。ドイツロマン派の声楽曲がお好きな方廃盤になる前に是非ご購入を。

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     2022/08/16

    かなりレベルの高い演奏だと思うものの、適切なレビューがないため、参考になれば。2021年3月に世を去ったレヴァインの指揮でオケはBPh、合唱がRIAS、不味いはずがありません。重要なソロはポストK.バトルとして活躍したマクネアーを筆頭に、優れたドイツの男声歌手が支えます。意外に活躍時期の短かったマクネアーのベストフォームの一つがこの録音だと思います。ソリストの中ではアルトのツィーグラーが弱いのが残念。ここはオッターあたりに登板してほしかった。演奏はKammermusiksaalでのライブ録音とのことですが、高揚感と行き届いた冷静さが高い次元で止揚しており理想的なバランスです。とくに「戦時のミサ」冒頭のマクネアーのソロ、素晴らしい透明感と技巧で、期待を高めます。オケは盤石。聞かせ所は戴冠ミサのクレドの弦でしょうか。音楽における自発性の重要さを伝えてくれます。まさに手本ともいうべき音作りで、作曲家が聴いたら小躍りしたことでしょう。レヴァインはDGにおける声楽曲録音で常に優れた合唱団を登用してくれました。90年代のレベルが正しく記憶されることに感謝しきりです。
     戴冠ミサといえばカラヤンの新旧版、戦時のミサといえばバーンスタインに言及されることが多いと思います。それぞれにモニュメンタルな演奏ですが、CD文化の熟した90年代初頭に純粋に音楽的な達成・成果を記録したものとして貴重な存在だと思います。
     レヴァインは複雑な事情を抱えつつMETを去り、亡くなりました。事情は全く分かりませんが、この音楽が埋もれることは本当に惜しく思います。

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     2019/12/29

    こんな音源があったとは!と驚かされました。この数年後のDGでのブラームス全集企画の折にはベリーに代わってディースカウが登用されましたから、比較ポイントの第一はそのあたりでしょうか。もちろん名バス・ベリーが悪い訳ありません。緊密なアンサンブルが展開されます。マティス・ファスベンダーはこちらの方が好調、先日逝去したシュライヤーは両盤ともに絶好調です。ではなぜ満点ではないか。問題はエリック・ヴェルバのピアノです。ヴェルバは同時期にEMIでモーザー・シュヴァルツ・ゲッダそして同じくベリーらどシューマンのスペインもの2作、op.74と138を録音しています。最近、モーザーの全集版に収められたそちらと聴き比べても明らかに不調です。特にシューマンの第8曲「福音」は全く弾き熟せていません。感動をピアノに阻害される感じです。DGシューマン全集版のエッシェンバッハと比べるのは酷としても、残念な出来です。サヴッリッシュは無理だったとしても、ゲージやパーソンズ、ボールドヴィンあたりでしっかり支えてほしかったです。ただ歌手たちの感興は素晴らしく、実演の場にいることができたら、どんなに幸福だったでしょう。
     ディースカウやプライ、シュライヤーが去り、名歌手が我々の蒙を啓かせてくれたドイツ歌曲の世界、その沃野が無限に広がっているように感じられた黄金の70年代の音源発掘、今後も楽しみにしています。

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     2018/08/16

     精密というより濃密な重唱の世界を堪能できます。DGのブラームス全集の一環として録音された贅沢な企画です。4人の歌手の中ではマティスが少し不調でしょうか。高音がキツそうな部分もありますが、それでも端正な歌唱です。個人的にはシューベルトの重唱曲集と同じくアメリングがよかったかなぁ、と思ったりしましたが、レーベルの契約の関係で難しかったのでしょう。ただ、マティスは同企画のドイツ民謡集ではシュライヤーとともに素晴らしい歌唱を聴かせてくれています。このセッションの時が少し不調だったのでしょう。
     「愛の歌」はチャーミングな曲集です。特にテナーソロから始まる第6曲はソリストの技量やアンサンブル精度の差が出やすいのですが、シュライヤーは完璧です。おそらくCD全体の頂点と言っても良い一曲でしょう。他の歌手、ファンベンダーとディースカウは可もなく不可もなく、もちろん高いレベルでの評価ですよ。あるいは最高殊勲賞はサヴァリッシュのピアノかもしれません。ディースカウとの73年録音のブラームス、シュライヤーとのヴォルフ歌曲集などと同様、冴えわたった「歌」を聞かせてくれます。歌曲のピアノパート(単なる伴奏ではなく)という点では歴代最高なのがサヴァリッシュでしょう。リヒテルより、ポリーにより、バレンボイムより大好きです。
     伴奏が連弾ということもあり、ハードルは高いものの、大学合唱団などでも取り上げてほしい作品群です。伴奏の工夫は可能です。
     個人的には埋め草はop.65よりop.92の方がありがたかったです。特に一曲目は素晴らしい歌唱でしたから。

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     2018/01/07

     日本ではあまり知名度の高くないウィーンの名テナー、クメントのライブ集です。彼より少し年少のヴンダーリッヒやシュライヤーの活躍に押されて、評価もあまり高くないようですが、いやいやどうして、素直で癖のない発声、低音から高音までののびやかで艶やかな声質など、ドイツ系テノールの理想形と言ってもよいと思います。先輩であるデルモータなどの声と比べると、いきなり時代を飛び越え、技巧的にも現代的嗜好に近く、是非とも実演に接したかったと思わされます。特にフィデリオのヤキーノなど、相手役のゼーフリートの古色蒼然とした発声と比較すると、その素晴らしさに愕然としてしまいます。私はサヴァリッシュのメンデルスゾーンの交響曲第2番の旧録音のテナーソロで驚嘆して以来のファンで、それ以来、モーツァルトオペラの諸役やマーラー「大地の歌」、R.シュトラウス「サロメ」などを聞いてきましたが、そうしたキャリアを埋めるファン垂涎のラインナップです。1996年のアリアドネでの伝説の執事長役も収められています。この公演、ベニャチコヴァーのアリアドネ、グルベローヴァのツェルビネッタで好評を博した舞台です。指揮は日本でも馴染みのホルスト・シュタイン、これ以外にも名指揮者・共演者勢ぞろい、古くて新しいウィーンの歌劇場を満喫できます。お薦めです。

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