TOP > My page > Review List of ほんず内閣総理大臣

Review List of ほんず内閣総理大臣 

Showing 451 - 465 of 1081 items

%%header%%

%%message%%

  • 5 people agree with this review
     2012/10/08

    聴き終えて言葉が出ない。これはもう、大変な演奏です。全体のつかまえ方は確かなもの。流れの見通しと、ペース配分と、ともに申し分なし。そして、各楽章各部分の描き方の何と見事なこと。豪壮な盛り上がりも、落ち着いた抒情も、この上なく鮮やかに演奏されます。スコアの細部もしっかりと再現したその出来栄えは、聴き進めるほどに驚きを増して、感嘆するばかり。もちろん、もっと豪快にとか拡がりをもって華やかにとか、人によっては期待するのでしょうけれど、それはそれらを追求したほかのディスクに任せましょう。オーケストラの充実ぶりもすばらしい。カラーとしてはいささか地味ですが、それはブルックナーでは何のハンデにもならない。ゲヴァントハウスのオーケストラ、超一流の腕前を見せつけております。でも万事が万事、ブロムシュテットさんの実力と薫陶によるものであること、疑いありません。この曲の一つの究極の演奏、大いにお薦めいたしましょう。録音は優秀。ホントはもう少し鮮明さやつやが欲しい気はしますけど。

    5 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2012/10/08

    まずは録音について。まるで期待しなかったのですが、ノイズもなく、霞がかったところもない、細部までよく聴き取れる大変に良好なもの。HMVさんによればロートヴァイスロートの録音とのこと(ライナーノートには何にも書いてないけどね)。Altusでいくつかその音源のディスクが出ていますがいずれも驚異的な高音質でしたから、大いに納得。フルトヴェングラーには劣悪な音質のものが多いですけれど、これは期待して結構です。ただ、レンジは少し狭いかな。さて、演奏。5年前のベルリンフィルのものとはまるで違うタイプで、正直驚きました。ベルリンフィルとの演奏は勢いのあるその熱中ぶりが特徴でしたが、ここではそうではない。周囲を振り返り目をやりながらゆっくりじっくり歩み、流れの中に想いをこめてゆくような、そういう感じですかな。特に第1〜2楽章にその傾向が強く、第3楽章も途中までは同様。後半から想いが乗ってきて第4楽章はいかにもフルトヴェングラーらしい調子になります。先入観かもしれませんが、やっぱりその最晩年という状況を想起せざるを得ませんね。ちょっと不思議な印象。だから名演とかいうのではなく、この日この時のフルトヴェングラーの心象風景の表れた演奏というように受け止めましょうか。なお、フルトヴェングラーは録音がいいディスクほどなぜか演奏傾向はこういう調子になる気がします(ウィーンフィルとのフランクとか)。彼の演奏の奥義は本当はどこにあったのでしょう?なかなか、わかりません。

    1 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2012/10/07

    全編どこをとっても、いわゆる「ロシア風」のかけらもない、至極真っ当なヨーロッパ的演奏。そして爆演風のところもなく、ま、期待を若干はぐらかされたかなという感はあります。白状すれば、私も、テミルカーノフ先生が何かやらかしてくれるのではないかと期待しました。実演ではホントにいろいろ魅せてくれますのでねぇ〜。でも、これはそんなところはありません。やや遠めの音像のせいもあるのかな、全般的に迫力がなんとなく欠けている気もします。といふことで、妙な期待さえしなければ、意外に端正な名演ということになりましょうな。なお、ライナーノートには「ライヴ」とは明記されていないように思われます(隅々まで見たわけじゃないけど)。そのせいもあるのかな。

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2012/10/07

    最初にブラームスで、後半が「悲愴」という妙なカップリングのディスクで、計81分を越える長時間収録です。いずれも、曲に正面から向かい合って曲の本質をえぐり出すというタイプではなく、これらの曲にバシュメット風味付けを施すという方向性です。ブラームスはそれが面白いと言えば面白い結果となりました。第1楽章から金管が喨々と鳴り響き、元気いっぱいで、ライヴならではの感興に満ちた進行です。ただねぇ、面白いという次元にとどまるのですね。この曲の美しさとか味わいがないんだなあ。それらと引き換えにしてしまったのだね。一方、「悲愴」は同じような姿勢でもずっと効果的に音楽が活きていて、こちらは傑作と言えるかもしれません。とはいえ、やはり少し指揮者が一人で面白がりすぎという気はします。総じて、どこか楽天的なテイストを持った演奏でした。オケは優秀。録音はいま一つ音が冴えず、減点。ま、オケの音そのものはよくとらえられていますが。

    1 people agree with this review

    Agree with this review

  • 3 people agree with this review
     2012/10/06

    山田一雄先生、マーラーの実演は2回ほど聞きました。オケを叱咤激励する感じで、気合いのこもった指揮をされていたのを想い出します。四半世紀を経てようやく陽の目を見たこの録音、生前に山田先生の演奏に馴染んだ方にとっては特別な想いで聴くことでしょう。絶賛のレビューと多くの共感の方がいらっしゃいます。そのお気持ちに水を差す気はないのですけれど、ディスクとして発売された、まさにここに聴く音のところだけで勝負するところでは、やはりいささかツライ点は多いかと思います。第1楽章からとにかく揺れて不安定感が気になって仕方ありません。縦の線のズレ、到る所にあり、気になる方には気になるでしょう。ゆったり目のテンポがやっぱり原因で、スコア上もきっちりした拍節で進む音楽ではないので、このテンポ感に乗りそこなうともう落ち着きなく不安定になってしまいます。そうなると情感のこもり方とか全てに不十分になってしまうんだなあ。こりゃ危ないっ、と思った瞬間にそこはうまく建て直しているので、崩壊したりはしませんが、聴き手としては安心して身を委ねのめり込めないところはあります。オケの個人技も不十分で、時々素人っぽいナマの音が聞こえるのは興ざめ。否定的なことばかり書いて恐縮なのですけれど、もし今後このディスクに手を伸ばそうとする方には、この辺のところはご承知おきの上で、と老婆心ながら申し上げます。山田先生の貴重な遺産ということではもうかけがえのないものですし、特に生前から聴いていて思い入れのある方にとっては大切なディスクですが、戦後の日本の楽団で際立った個性的活躍をされた山田先生のよすがをしのぶ、そういう一種のヒストリカル、アーカイブス的な意味が大きいディスクというように評価しておきたい、と考えます。妄言多謝。

    3 people agree with this review

    Agree with this review

  • 2 people agree with this review
     2012/10/05

    まだディスクの多くない大野さんの交響曲演奏。珍しいオケとの演奏ですし、興味津々。演奏は、無理のない、オーソドックスなものです。オーケストラをきちんと鳴らし(チャイコフスキーはこれが大事)、適切なテンポで自然に流れてゆく好演だと思います。本音を言えば、もう一歩の踏み込み、例えばクライマックスでのさらなる爆発、いっそうの纏綿たるメランコリーとか、そういうところがあってもいいなあ(若いし、ライヴだし)とは思うのですけれど、ま、いいのかな。「名演」として数多のディスクの中に高い位置を占めるというほどではありませんが、好演には違いありません。フィルアップのグバイドリーナは、これはもう当方にはお手上げ、どこがいいのか、何を表現したいのか、さっぱりわかりません。トータル、録音は良好。大野さんのお仕事に興味のある方は、ぜひお聞きを。

    2 people agree with this review

    Agree with this review

  • 3 people agree with this review
     2012/10/05

    ヴァント先生、最晩年の境地、最終的到達点、というところでしょう。やはりその点を抜きにしては語れないディスクです。さて、演奏。シューベルトは、いかにも従来通りの大きなオーケストラによる演奏で、奏法がどうのとか妙な理屈にこだわらなくても、音楽を信じてそれに正面から向かい合えばもうそれで立派な成果が出るのだという模範ではないですかな。手ごたえを感じる演奏です。但し、いささか「いかめしい」気はしますね。個人的にはもうちょっと「伸びやかさ」を感じさせてくれるとうれしいのですが。そして、ブルックナー。これはもう、「ロマンティック」ではなくて、交響曲第4番。これまでのヴァント先生の演奏と基本は同じで、開放するのではなく、むしろギュッと詰まった凝縮性をめざし、緊張感と節度とが売り物です。それがこの曲には、いささか過ぎているのではないか、という印象を受けました。つまり、ここでも何か姿勢は「いかめしく」、妙に武装してしまったような感じを受け、クライマックスでの拡がりと抒情での伸びやかさの魅力を少し失っているように感じます。立派な演奏ですけれど、魅力的ではない、というと言い過ぎかなあ。あるいは絶世の美男・美女だけど雰囲気的には近寄りがたいとか、そんな感じかな。ま、ヴァント先生ならではの演奏として高い価値と大きな意味を持つことには疑いありません。

    3 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2012/10/02

    優秀なオーケストラをドライブして、バルシャイ先生、きりっとまとめあげた傑作です。プロコフィエフでよく言われる「モダン」とかいう方向性よりは、ごく普通の交響曲レパートリーとして正面から取り上げたというところかな。切れ味とか軽妙さとか皮肉っぽさとかではもっと別な人の演奏が上回るでしょうけれど、オーソドックスに曲に対峙したということでは、しっかりした手ごたえを持った立派な演奏であります。ロシア(ソ連)の指揮者には何かとてつもない音楽的想念を開陳される方が多いですけど、そういう中ではバルシャイ先生は至極真っ当な気がするなあ。と言いながら、一度聴いた実演(マーラーの交響曲第6番)は超ハイパー激演だったけどなあ。それはともかく、録音も優秀。お薦めいたしましょう。

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 5 people agree with this review
     2012/10/01

    みなさま絶賛の通り、これは実にすばらしいアルバムだなあ。なんたってメインの「英雄の生涯」がすばらしい。力強く覇気に満ち、指揮者がまさに英雄そのもの。ただそれでいて作為的なところとか無理やりなところとかが全くないのがいいんです。オーケストラも充実の限りで、みんな揃ってこの音楽(難曲ですがね)を余裕を持って楽しんでいるかのよう。大した演奏だなあ。ケンペさんとDSKの最高に幸せなコラボです。録音はちょっと変。うそくさい残響もあり、あとなぜかソロヴァイオリンが真ん中から右チャンネルに位置しています。でも音の鮮度もあり、迫力も十分。良好な音です。他も名演。「牧神」も実に美しい。いわゆる印象派的な「霞み方」はなく、旋律線は明確ですが、それが実にデリケートな扱いを受けていて美しさの限り。聞き惚れました。シューマンはちょっと普通っぽいかもしれませんが、やや遅めのテンポで、無理をしない篤実な演奏ではないかな。トータル、大いに満足した実にいいアルバム。すばらしさの限り。お薦めいたします。

    5 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2012/09/30

    まずはブルックナー。金管が明るい音色で鳴り響く、青天白日といった趣。この曲に付きまとう森とか霧とかいうような「もやっ」としたイメージは一切なし。もちろんそうしたイメージとか「ロマンティック」という表題とかに縛られる必要はまるでありませんから、それ自体は別にマイナスではありません。但し、フルオーケストラの総体的な響きの薄さ(編成が小さいのかな)の中で妙に晴れやかな金管が目立つのは、やや違和感があったり、あるいは不満につながるのも事実。穏やかな抒情の流れの上に、どこか場違いな華やぎがのっかってしまい、気分が一つにならないなあ。この曲の名演云々とかではなく、晩年のワルターの演奏表現として受け止めることとしましょう。もう一枚のワーグナー。こちらは大変に結構だと思います。ワルターも当時の指揮者の恒例通り、歌劇場の出身でありますから、全曲を振った経験が豊かであるはずで、それが感じられるような気がします(ホントに気のせい?)。独立した管弦楽曲としていたずらにへヴィーに演奏してしまう人もいるわけですが(典型はカラヤン)、ワルターはもっと軽く柔軟に、しかし劇への期待を振りまくような高揚があって(バルビローリの演奏もそうでした)、そこがとても心地よい印象です。こちらはとても満足しました。録音は時代を考えれば超優秀。時代制約を抜きにしても文句なく優秀。

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 8 people agree with this review
     2012/09/28

    ヒストリカルをまとめた全集。個別に書きましょう。第1番はクーベリックのセッション録音。録音は良好。演奏はさしたる特徴のないもので、魅力薄。第10番アダージョはシェルヒェンで、妙に悠然とした、抒情的演奏。第2番はクレンペラー&ACOのライヴ。これが気迫十分の名演、すばらしい。クレンペラーの「復活」は、あと4種はありましょうけれど、他はみな分析が先に立ったような乾いた姿勢でよいと思いませんでした。ところがこれは曲にずいぶんとのめり込んで、深い共感を示します。「原光」がすばらしい歌で感心したら、じつはフェリアーだったのですな。録音も意外に良好で、これは傑作。第3番はボールトのライヴ。これは録音が貧しくて、何だか受話器を通して聴くようなひどい音。これでは演奏の良否をとやかく言えるレベルではありません。しかし、それでもこの演奏が、現場ではとてつもない名演として鳴り響いていたことは想像できます。ボールトのアプローチは剛毅で揺るがぬもの。ホーレンシュタインの名演を想起させます。第4番はライナーのセッション録音で、これだけステレオ。演奏はあまり良くない。他の曲でもそうですが、ライナーは歌がない、あるいは歌わせ方がうまくない。そのためこの曲としてはどうにも魅力のないものとなっています。残念。第5番はワルターのセッション録音。60分で駆け抜ける快速演奏で、オケの編成が小さいのか、どのパートもなんだか貧弱な音で、しかも楽想の表現としては不十分。これも魅力の薄い演奏。なお、板起こし的な妙なノイズもあって録音もダメ。第6番はミトロプーロスのライヴ。大変な熱演で、これは大いに結構。気迫のこもった振幅の激しい表現であります。録音はまあまあでしょうか。もっと良ければいいですけど、とりあえずこの演奏のすごみは伝わります。第7番はロスバウトのライヴ。陰翳にこだわるとか抒情に傾くとかいう姿勢のない、力強い演奏。オーケストラのショウピースに徹したかのようなしっかりしたまとめで、これまた大変に結構です。録音もまずまず。マンドリンもちゃんと聞こえます。第8番はストコフスキーのライヴ。オケやコーラスの乱れが結構目立ちますね。総じて抒情的な部分にひたすら没入したような、ちょっとデレッとした演奏。第2部での女性ソロが続く場面が典型ですね。同時期の録音であるツィーリヒの演奏とも似ています。特に名演とかそういう感じではないな。録音は当時としてはこんなもんか、というところ。期待はしてはいけません。第9番はまたもロスバウト。速めのテンポで、こちらもダイナミックに演奏しきりました。「曲に没入して嫋嫋と」というスタイルとは正反対ですが、一種毅然とした曲の再現で、作曲者を励ましながら進んでいく感じ。これはこれでよいと思います。曲を対象として客観化していますが、しかしいたずらに乾いてはいない、一種の懐の深さを感じます。ロスバウトさん、初めて聴いた気がするけれど、なかなかの人とお見受けしました。のちに後継者っぽい位置の指揮者が何人かいますけど(ブールとかツェンダーとか)、芸の大きさは段違いだな。「大地の歌」は有名なワルターのデッカ録音。昔から、ここでのフェリアーの歌は私には違和感あり。丸々太いアルトの声が異様になまなましくて興ざめで(録音バランスも大きめ)、また高い音がつらそうだね。パツァークもちょっと粗いかな。歴史的名演ですけれど、現在これを押し戴く必要はそんなにないですぜ。これで全部。お薦めできるものは第2番と第6番。それに次ぐのは第7番・第9番・「大地の歌」。あとは特別な魅力なし。どうしても興味のあるマニア向けといふところです。ま、安いからね、おためしは大いに結構でしょう。特に、演奏スタイルの変化とか、マーラーの受容史を考えるならばいろいろとヒントの多い、ためになるボックスです。

    8 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2012/09/26

    1953年のスタジオ録音。みなさまご指摘の通り、音はいいとは言えません。例のソ連録音によくあったいかにも独特な硬質な音色、レンジの狭さ、はやはりこの曲にはなかなかにツライところです。でもこの年代、思えばフルトヴェングラーやトスカニーニ最晩年のディスクと重なる時ではありますな。そう考えると、こんなもんかな、といふ気もします。さて、演奏はいかにもムラヴィンスキーらしい、ひたすら硬骨の演奏。ドラマティックではありませんが、音響的にも感情的にも恐るべき高揚を見せる第1楽章はさすがにすごいなあ。それは第4楽章もそうで、「立ち上がる人間の強い意志」を感じました。曲への共感うんぬんということはさておき、ムラヴィンスキーが演奏すればこの曲はこうなるなというイメージどおりかもしれません。録音が悪いのは惜しいね。あるいはもう少し後の時代の録音だったらなと残念です(ま、ソ連は最後まで録音は下手だったから同じかな)。オケはなんだかあんまりうまくない。特にソロが今一つ。どうしたのかな。スタジオ録音とは言え、ほぼライヴに近い一発ものだったのかな。ま、興味のある方にだけお薦めいたしましょう。この曲の名演とかいう持ち上げ方はしないでおきます。

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 18 people agree with this review
     2012/09/26

    いかにもバーンスタインならではの大演奏で、個人的には、ベルリンフィルやコンセルトヘボウとのディスクよりも感銘深く聴きました。バーンスタインの陶酔・没入ぶりは同じですが、それにオケが同調し表現しきっていることではこちらの方がはるかに上であります。ライヴならではのミスはありますけれど、それも表現意欲の積極性から生じたもので、不勉強不熟練ややる気のなさではありませんから、決して大きなマイナスに評価すべきではないと思います。テンポの変化(急なドライヴ)、音色へのこだわり、ダイナミクスのコントラスト、とあらゆるところで思う存分表現を突き詰めた、バーンスタインとしてもこの時期にようやく到達し得た、そしてイスラエルフィルとのコンビによってようやく成就し得た、希有の演奏ではないかと思います。マーラーの交響曲第9番の、極めて感銘深い、しかし大変特別なディスクの登場です。この曲を愛する方にはぜひともお聴きになるよう、お薦めいたしましょう。但し、やはり、この曲によほどよく馴染んだ上で聴くのがよいかと拝察します。理由を記しましょう。@名曲は、人生の友として長く付き合うことで大いに楽しみを得ます。その間、実演でもディスクで多くの演奏を耳にして曲の魅力をあらゆる角度から味わう、これぞ音楽を聴く楽しみであり喜びです。A最初に聴いた際の演奏は、一つのスタンダードとして曲のイメージを形作り、言わば「刷り込み」がなされます。テンポや強弱のバランスなどは、特に影響を受けやすいものです。Bしたがって、名演と評価されていようとも個性的な演奏によって初めて聴いてしまうと、曲のイメージも「個性的」なものに刷り込まれてしまう恐れがあります。たとえば次の組み合わせ、初めて聴く人に勧められましょうか?「ローマの松」(スヴェトラーノフ)、ブルックナー交響曲第8番(チェリビダッケ&ミュンヘンフィル)、ベートーヴェン交響曲第9番(フルトヴェングラー&バイロイト)。いずれもある意味「究極の演奏」ですけれど、上記の@に関してはいささか不幸な影響を与えるかもしれません。要はこのディスクに聴くバーンスタインという千両役者の一世一代の大演奏もその部類に入ろうかと思います。逆にこの曲に馴染んでいる者には、ここでバーンスタインが行っている独特な処理が大変によくわかり、感心したり、驚かされたりと、発見も感動もひとしおです。さて、録音は優秀。大オーケストラをよくとらえ、不自然さのない、いい感じの音像が形成されています。レンジはやや狭いかもしれませんが、別に問題はありません。最後に一言。この直後の来日公演を私も実は聴いております(NHKホール)。魂がジャワの向こうに吹っ飛ぶような物凄い感銘を受け、おかげでこの年は何も手につかず留年してしまったくらいですが、今回のこのディスクは、その記憶とほとんどシンクロせず、独立したものとして聴き終えました。もちろんよく似ているのですけれど、別物という気がしました。このディスク、かつての大感激の記憶と齟齬してしまうかもしれないと、ホントは聴くのが少し怖かったのですが、それは杞憂でありました。自分も立ち会った、あの現場での感動は「記憶の博物館」の中でもう揺るがぬ位置に鎮座し、何があっても動かないところに昇華してしまったようです。人生上における音楽体験の意味についても、やや考えた次第です。

    18 people agree with this review

    Agree with this review

  • 2 people agree with this review
     2012/09/25

    全曲で合計85分に及ぶ「レニングラード」は、まあ、そのタイミングからでも想像できる通りの大演奏。ただ、「遅い」という印象は受けません。ぎっちり中身を詰めて、必然的に導かれたテンポだからでしょうか。録音の加減なのか、乾いた音で、かつ中低域がやや響かず、量感に若干欠ける感じでして、そこが惜しいな。特に低音がもっとずしずしくると圧倒的なのですがね(週末にN響で聴いたばかりなもんで、実感あります)。そしてもう一つ想像を逞しくしますと、編集でずいぶん手を加えたんじゃないかなあ。突き抜けた迫力とか、一瞬で襲ってくるようなパワーが今一歩のような気がします。また、第3楽章の詠嘆ももう一歩かなあ。この曲はホントに深い「哀しみ」を背負った音楽で、そこが十分に奏でられないとただの大騒ぎになっちゃいます。「哀しみを背負った者が最強」という、北斗神拳伝承者みたいな感じですが(?)、結構泣ける音楽ですよ。だから、これはスゴイ大演奏なんですけれど、妙に平板な印象が出てきてもいます。それでもなんでも、立派な演奏には違いありません。シカゴ交響楽団はまさにスーパーオーケストラぶりをいかんなく発揮して、見事というべきでしょう。第1番は、作曲者の天才ぶりを世に知らしめた傑作とされますが、私個人はどうにも魅力を感じることができません。ま、それは私のせい。

    2 people agree with this review

    Agree with this review

  • 2 people agree with this review
     2012/09/18

    作品としてはワーグナー初期ながら、ワーグナーを歌い慣れたベテランをずらりと並べ、バレンボイム率いるオケと合唱も重厚な演奏を展開し、もうほんとに「オランダ人」が後期の楽劇のような大作品となりました。それはそれで、大いに堪能しました。聴きごたえ十分の「オランダ人」として、結構だと思います。ま、作品的にはやっぱりまとまりが悪いというか、流れがうまくないというか、ワーグナー的な個性がいささか薄いというか、弱点も確かに感じられますけど、こうしてワーグナー演奏のエキスパートが揃うと、弱点を乗り越えて充実感の方がはるかに勝って来るのも事実。お薦めしましょう。大変楽しめますよ。録音も超優秀。

    2 people agree with this review

    Agree with this review

Showing 451 - 465 of 1081 items