TOP > My page > Review List of 一人のクラシックオールドファン

Review List of 一人のクラシックオールドファン 

Showing 31 - 45 of 2357 items

%%header%%

%%message%%

  • 0 people agree with this review
     2013/11/03

    C.ハスキルやL.クラウス等に続く女流モーツァルト弾きとしてI.ヘブラーはモーツァルト作品の独奏曲、協奏曲集を録音完結しております。ここではピアノソナタ集について触れますが周知の通り彼女は二度全集を収録するという偉業を達成しており旧は1963〜1967年37〜41歳(生年1926年説による年齢、1929年説も有るそうです)そして新は1986〜1991年60〜65歳(前記同様)の頃のものです。先輩ハスキルの時に零す脆さ、クラウスの躍動感と比べてヘブラーの演奏は一音一音丁寧で柔らかく暖かい音色からもたらされるその演奏はやはり先輩が東欧系でありウィーン出身の彼女との違いが多分にあると思います。その穏やかな演奏というか大体容姿からしてセカセカしない感じがして演奏そのものにも反映している様な気にさせてくれたものです。モーツァルトの曲自体に深さを視る向きには彼女の演奏にそこまで接点を見出せるかは別として、彼女は1952年のジュネーブ国際音楽コンクールで田中希代子(懐かしいピアニストです・・・)と賞を分かち合ったとかで・・・概ねそんな世代の演奏家だということです。私は旧盤時代は何故か彼女の優雅なロココ調な演奏スタイルに反発を覚えていました。本盤は新録音1986年第8番K310(タイム@6’11A9’37B3’20)、第11番K331(同@14’25A6’33B3’32)、1987年第15番K545(同@3’20A5’50B1’43)であります。なお、旧録音(フィリップス)データは1963年第8番K310(同@6’49A8’54B3’18)、第11番K331(同@15’05A6’33B3’36)、1965年第15番K545(同@3’20A4’47B1’48)といった処です。現在新録音ではHMVカタログには全集以外に単品では本盤「トルコ行進曲付き」ソナタを含んだCDしかないのは各レコード会社が過去の演奏家の録音分は何枚かのセット物で売り出し商品価値余命を図っている感じがし価格はともかくちょっとこうした何でもセット企画物に私自身は余程の特定ファンアーティストでないと収録同演奏家の聴き飽きも懸念される処でもあります。さて、本盤は両端楽章は概ね旧より若干速く、中間楽章を逆に遅めに採った演奏で楷書的な運びの中にも演奏する方も聴く方も年齢を経ただけ「味わい」が出て来たのかなと自己満足しております。本盤リリース会社からは別にピリス演奏盤もほぼ併行した形となってそれだけに「トルコ行進曲」などももうちょっと面白み?も期待したいのですが正統な彼女の持ち味を崩すわけには行きませんね。録音はまぁこれだけのレベルであればオーケーでしょう。一般的にはしばらく聴き伝えるべき最高ランクの演奏と思われます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/11/02

    シベリウスの管弦楽はBPOを振って1976年録音の交響詩「フィンランディア」(タイム9’46)、交響詩「エン・サガ(伝説)」(同18’24)、交響詩「タピオラ」(同19’24)、「トゥオネラの白鳥」(同8’33)、1980年録音「悲しきワルツ」(同6’00)といった内容で何れも北欧情緒とは異なりますが昔からシベリウスを得意として来ただけあって多少外面的ではあっても素晴らしい各演奏であります。夫々シベリウス世界をたっぷり堪能出来特にカラヤンの語り上手は小難しい事抜きにすればこういった類いの曲へもドイツ色からは抜ききれなくても汎用的な適性を示せた指揮者であった事をつくづく思いました。他のレビュー書き込みにあります通りたっぷり時間をかけた本盤「フィンランディア」演奏はBPOの威力も素敵です。カラヤンによるこれらの曲の他演奏も各曲かなりありますがHMVレビューにも載っている代表としてその「フィンランディア」について見ますと1952年PHO(モノラル、同8’59)、1953年トリノRSO(ライブ、モノラル、同8’28)、1959年PHO(同8’59)、1964年BPO(同9’33)、1984年BPO(同9’30)等が挙げられましょう。本盤最高ランクにさせて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。 

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 2 people agree with this review
     2013/11/01

    シベリウスの管弦楽はBPOを振って1976年録音の交響詩「フィンランディア」(タイム9’46)、交響詩「エン・サガ(伝説)」(同18’24)、交響詩「タピオラ」(同19’24)、「トゥオネラの白鳥」(同8’33)、1980年録音「悲しきワルツ」(同6’00)といった内容で何れも北欧情緒とは異なりますが昔からシベリウスを得意として来ただけあって多少外面的ではあっても素晴らしい各演奏であります。夫々シベリウス世界をたっぷり堪能出来特にカラヤンの語り上手は小難しい事抜きにすればこういった類いの曲へもドイツ色からは抜ききれなくても汎用的な適性を示せた指揮者であった事をつくづく思いました。他のレビュー書き込みにあります通りたっぷり時間をかけた本盤「フィンランディア」演奏はBPOの威力も素敵です。カラヤンによるこれらの曲の他演奏も各曲かなりありますがHMVレビューにも載っている代表としてその「フィンランディア」について見ますと1952年PHO(モノラル、同8’59)、1953年トリノRSO(ライブ、モノラル、同8’28)、1959年PHO(同8’59)、1964年BPO(同9’33)、1984年BPO(同9’30)等が挙げられましょう。本盤最高ランクにさせて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。 

    2 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2013/10/31

    バルトークの名曲「管弦楽のための協奏曲」と「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」はこの作曲家独特の厳しい作風に触れるべく演奏盤もどうしてもそれなりの気風のある指揮者演奏のものを求めがちになりそれはそれである程度・・・いや殆どそれで正解としてハンガリー系指揮者とかブーレーズ、アーノンクール等ちょっと小うるさい指揮者のものを聴いておりました。そこへこのカラヤン/BPOの「弦打チェレ」1960年収録分(タイム@7’16A7’06B7’00C6’42)を偶々聴いて本盤へのレビュー書き込みに到りました。兎に角今まで私が経験していたバルトーク世界ではありません。第1楽章からまぁカラヤンムード一杯と言うかスタートからマイルドソフトな感じであのクール感がありません。実にムーディで次第に高揚して行く過程でのボリューム感もBPOの特性を上手く引き出して華麗ですら感じさせます。第2楽章では特に各楽器群の配置具合を明確に押し出しカラヤンスタイルの徹底を描き第3楽章では例の拍子木が不安を煽る場面でやがてチェレスタも入って来るわけですが静と動の対比具合・精妙さはカラヤンならではといったところですね。他のカラヤン盤レビューでも絶えず触れているのですが彼の独墺系以外の作品に対する巧さは他の独墺系指揮者ではその才能たるや及ばない処でしょう。最終楽章は走りは舞曲風に活発な動きでテンポアップしますが後段第1楽章のテーマを重く引っ掛けチェロソロを経てチェレスタもゆっくり動員して綺麗に仕上げられます。カラヤンの旋律の扱い方にもよるのでしょう、大変分かり易い演奏でありました。彼にはこの「弦打チェレ」録音が他にもありそれは1948年PHO(モノラル、タイム@7’47A6’52B6’41C6’53)及び1969年BPO(同@8’20A7’13B8’11C7’34)であります。なお、本盤併録のBPOとの1974年収録「管弦楽のための協奏曲」(同@9’51A6’50B8’08C4’21D9’22)は聴いておりませんがカラヤンの緻密で彫りの深い表現とBPOの壮絶ともいえる響きからも中々評判は良いようです。本盤未聴曲がありますので★一つ保留させて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。 

    1 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/30

    バルトークの名曲「管弦楽のための協奏曲」と「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」はこの作曲家独特の厳しい作風に触れるべく演奏盤もどうしてもそれなりの気風のある指揮者演奏のものを求めがちになりそれはそれである程度・・・いや殆どそれで正解としてハンガリー系指揮者とかブーレーズ、アーノンクール等ちょっと小うるさい指揮者のものを聴いておりました。そこへこのカラヤン/BPOの「弦打チェレ」1960年収録分(タイム@7’16A7’06B7’00C6’42)を偶々聴いて本盤へのレビュー書き込みに到りました。兎に角今まで私が経験していたバルトーク世界ではありません。第1楽章からまぁカラヤンムード一杯と言うかスタートからマイルドソフトな感じであのクール感がありません。実にムーディで次第に高揚して行く過程でのボリューム感もBPOの特性を上手く引き出して華麗ですら感じさせます。第2楽章では特に各楽器群の配置具合を明確に押し出しカラヤンスタイルの徹底を描き第3楽章では例の拍子木が不安を煽る場面でやがてチェレスタも入って来るわけですが静と動の対比具合・精妙さはカラヤンならではといったところですね。他のカラヤン盤レビューでも絶えず触れているのですが彼の独墺系以外の作品に対する巧さは他の独墺系指揮者ではその才能たるや及ばない処でしょう。最終楽章は走りは舞曲風に活発な動きでテンポアップしますが後段第1楽章のテーマを重く引っ掛けチェロソロを経てチェレスタもゆっくり動員して綺麗に仕上げられます。カラヤンの旋律の扱い方にもよるのでしょう、大変分かり易い演奏でありました。彼にはこの「弦打チェレ」録音が他にもありそれは1948年PHO(モノラル、タイム@7’47A6’52B6’41C6’53)及び1969年BPO(同@8’20A7’13B8’11C7’34)であります。なお、本盤併録のBPOとの1974年収録「管弦楽のための協奏曲」(同@9’51A6’50B8’08C4’21D9’22)は聴いておりませんがカラヤンの緻密で彫りの深い表現とBPOの壮絶ともいえる響きからも中々評判は良いようです。シベリウスの管弦楽は1976年録音の「トゥオネラの白鳥」(同8’33)、交響詩「エン・サガ(伝説)」(同18’24)、交響詩「タピオラ」(同19’24)、交響詩「フィンランディア」(同9’46)、1980年録音「悲しきワルツ」(同6’00)、1981年録音「カレリア」組曲(同4’02+7’29+5’01)といった内容で何れも北欧情緒とは異なりますが昔からシベリウスを得意として来ただけあって多少外面的ではあっても素晴らしい各演奏であります。夫々シベリウス世界をたっぷり堪能出来特にカラヤンの語り上手は小難しい事抜きにすればこういった類いの曲へもドイツ色からは抜ききれなくても汎用的な適性を示せた指揮者であった事をつくづく思いました。カラヤンによる他演奏も各曲かなりありますが代表として「フィンランディア」について見ますと1952年PHO(モノラル、同8’59)、1953年トリノRSO(ライブ、モノラル、同8’28)、1959年PHO(同8’59)、1964年BPO(同9’33)、1984年BPO(同9’30)等が挙げられましょう。本盤一部未聴曲がありますので★一つ保留させて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。 

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/29

    ザンデルリンク指揮の独墺古典派曲に関しては私はLP時代1970年代初め収録のハイドン交響曲を数曲聴いて結構その恰幅の良さに好印象を持っていました。レパートリー的には比較的その広さを有していたにも拘わらずザンデルリンクは録音にはそう恵まれた方ではなく東西ドイツ統一時期前後1991年コンサートライブの本盤モーツァルトについても如何にも珍しい感じで聴いて見て先のハイドン演奏の延長線上の感触を得ております。交響曲第39番の演奏タイムは@11’18A9’12B4’10C5’55で(クーベリックとかカラヤンと各楽章タイムがほぼ同じ)堂々とした運びは曲自体の割と押しの強い要素とマッチング寄与しているようです。更に続いてのベートーヴェン交響曲第6番「田園」(タイム@11’12A13’46B6’05C4’18D12’02)もゆったり悠然たるスタイルで各楽章を描いております。第1楽章「田舎に到着したときの晴れやかな気分」やんわりスタートしてから一呼吸一呼吸分解する様にがっしり進めクロージングではたっぷりと歌い上げます。第2楽章「小川のほとりの情景」での流れのなだらかさは気持ち良いし鳥の囀りの丁寧なフルートも美しいですね。第3楽章「農民達の楽しい集い」は舞踏等で若干重くは感じましたが大した事ではありません。第4楽章「雷雨、嵐」ではそんなに大層な音鳴らしはせずその落ち着いた運びが特徴的と申せましょう。従って最終楽章「牧人の歌。嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」でもすんなりと移って行き得てして演奏でよく聴かれる豊かな感謝旋律は決して誇張はされてませんがドラマチックさに欠けているとは思われません・・・まぁ、風格と言うのでしょうか、ザンデルリンクこのコンサートの時既に79歳・・・引退宣言まであと十年(引退は息子達の音楽家としての独立目途がついた為かも知れません・・・)。「田園」交響曲にはザンデルリンクの他演奏分として1981年PHO(タイム@11’12A13’20B5’57C3’53D10’37)、1986年ケルンRSO(ライブ、タイム@11’20A14’04B〜D21’53)、1990年バイエルンRSO(ライブ、タイム未確認)、1991年フランス国立放送O(ライブ、タイム未確認)等があるようで特に東西ドイツ統一後いろいろな音源がオープンにされている様で本盤は生前にリリース許諾を得たモーツァルトの第39番とベートーヴェン「田園」の登場となったものでオーケストラは設立後フリッチャイやマゼールがしばらく手がけた旧RIASOで本盤演奏の頃はベルリン・ドイツSOと呼ばれていました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2013/10/28

    ケンプは教会音楽関係の家庭で育った事もあってその演奏スタイルは時には禁欲的と言うか思索的な面を強調して聴く側はとらえる傾向があります。事実彼はオルガンも弾き作曲〜編曲上でバッハ等を取り上げる回数も多かったと聞いております。私なども彼の編曲でのバッハ小品集のLPを何度繰り返して聴いた事でしょう。その汲めども尽きぬ味わいと言うのでしょうか技術をそんなに華麗に誇張しないので何故かホッとした雰囲気を醸し出す演奏でその特徴点があげられております。本盤シューマン「子供の情景」(13曲トータルタイム18’02)はケンプ80歳に近い1973年の収録(この演奏については1971年録音表示のものもありどちらが正しいのか小生には判断つきません。たかが録音年であっても「事実」表示等扱いについては各商品販売関係部署は慎重に対応してもらいたいと思いました、殊に演奏「記録」商品なのでそれが重要なポイントとなる可能性を抱えているわけですから・・・)なのですが先ず曲自体がそんなにテクニックを要するものでもない為かシューマンの子供時代の回想に当てたものなのか大上段に構えた処は皆無であります。ただ一曲一曲に込める気持ちはケンプの優しさに転化しての出来上がりになっている様です。ファンタジー溢れる優しいアプローチというコメントで片付けても良いしさりとて年齢から来る衰え又は退屈さを加味したい衝動も過ぎったりはしました。決して満点ではありませんがそうした事も前提で有名な第7曲「トロイメライ」のゆったりした〆での滋味溢れる素朴さにしばらく聴き入りました。それと意外だったのはドイツ・ピアニストでシューマン・スペシャリストとなっているケンプの「子供の情景」演奏録音は本盤演奏しか当面見つからないことでした(ひょっとしたら残されているかもしれませんが・・・)。1973年収録の「森の情景」(9曲トータルタイム22’57)は曲作りで元々因っているロマン文学で「森」というのが静寂・活気、神秘、憧憬、といった象徴を持つものらしく方向性としては物思いに耽るケンプにマッチしたイメージ曲で抒情性を内包しつつ曲を進めており私にはよりスンナリ受け入れられました。「蝶々」はシューマンの若い頃書かれた12の小曲からなるロマンチックな作品で本盤演奏は1967年収録(トータルタイム13’13)であります。ちょっと小生などの及ばない感覚世界でありました。ケンプにはこの「蝶々」録音が他に残っているようで1951年モノラル録音(同12’17)や1969年ライブ録音(同12’52)等があげられます。1973年収録の「3つのロマンス」(3’52+3’51+7’46)は情熱的な第1曲から穏やかな第2曲そして歯切れ良い活発な第3曲と変化があり三曲共長調ではあるのに憂いテイストもあり少しソファに深く腰掛けたい気分をケンプは温かく出しているみたいです。全体として最高ランクに近いと思いました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

    1 people agree with this review

    Agree with this review

  • 3 people agree with this review
     2013/10/27

    ケンプは教会音楽関係の家庭で育った事もあってその演奏スタイルは時には禁欲的と言うか思索的な面を強調して聴く側はとらえる傾向があります。事実彼はオルガンも弾き作曲〜編曲上でバッハ等を取り上げる回数も多かったと聞いております。私なども彼の編曲でのバッハ小品集のLPを何度繰り返して聴いた事でしょう。その汲めども尽きぬ味わいと言うのでしょうか技術をそんなに華麗に誇張しないので何故かホッとした雰囲気を醸し出す演奏でその特徴点があげられております。本盤シューマン「子供の情景」(13曲トータルタイム18’02)はケンプ80歳に近い1973年の収録(この演奏については1971年録音表示のものもありどちらが正しいのか小生には判断つきません。たかが録音年であっても「事実」表示等扱いについては各商品販売関係部署は慎重に対応してもらいたいと思いました、殊に演奏「記録」商品なのでそれが重要なポイントとなる可能性を抱えているわけですから・・・)なのですが先ず曲自体がそんなにテクニックを要するものでもない為かシューマンの子供時代の回想に当てたものなのか大上段に構えた処は皆無であります。ただ一曲一曲に込める気持ちはケンプの優しさに転化しての出来上がりになっている様です。ファンタジー溢れる優しいアプローチというコメントで片付けても良いしさりとて年齢から来る衰え又は退屈さを加味したい衝動も過ぎったりはしました。決して満点ではありませんがそうした事も前提で有名な第7曲「トロイメライ」のゆったりした〆での滋味溢れる素朴さにしばらく聴き入りました。それと意外だったのはドイツ・ピアニストでシューマン・スペシャリストとなっているケンプの「子供の情景」演奏録音は本盤演奏しか当面見つからないことでした(ひょっとしたら残されているかもしれませんが・・・)。1973年収録の「森の情景」(9曲トータルタイム22’57)は曲作りで元々因っているロマン文学で「森」というのが静寂・活気、神秘、憧憬、といった象徴を持つものらしく方向性としては物思いに耽るケンプにマッチしたイメージ曲で抒情性を内包しつつ曲を進めており私にはよりスンナリ受け入れられました。私はこの演奏の「子供の情景」及び「森の情景」を別盤で聴いており本盤併録の1972年録音演奏の」クライスレリアーナ」(8曲トータルタイム31’31)は未聴であります。従って素晴らしいランク止まりで・・・。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

    3 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/26

    マリア・ジョアン・ピリスの演奏CDには彼女の若き頃・・・と言ってももう30歳にはなっていたであろう1974年頃モーツァルトのピアノ・ソナタ集を収録した盤のジャケットの彼女のボーイッシュなルックスフォトに何となく印象として残ってしまいましたがそのマァ可愛いと言う範囲止まりであったのが正直な処でした。その後彼女は病いの為演奏活動に少しブランクがあり私が彼女の演奏に再会したのはやはりモーツァルトのヴァイオリン・ソナタをオーギュスタン・デュメイと組んだDG盤で自分なりに得心の行くCDで彼女のモーツァルトへの定着イメージを確認したものです。本盤は多分その少し前・・・彼女が43歳の1987年、先の病いも癒えそれなりに年齢も重ね知性丸出しな容貌での写真でジャケット表紙を飾ったシューベルトのビアノ・ソナタ第18番op78「幻想的」(タイム@19’44A8’12B4’08C7’31)、即興曲op90-1(同10’21)、即興曲op90-2(同4’19)を収録したものであります。先ず即興曲の方はどちらも親しみ易い曲で誰でも小学生の頃には一度は聴いている曲で彼女の演奏は特別仕掛けをしてやろうとか言ったものでなくごく自然な運びが聴き飽きない仕上がりになっているようです。なお、ピリスはこれら即興曲を1996年再録・・・即興曲op90-1(同11’05)、即興曲op90-2(同4’46)・・・しております。次にあまり聴き込んだ経験がないピアノ・ソナタの方は何と言っても第1楽章からピリスに・・・この頃の彼女の心境に近い感じで優しいテーマをさりげなく展開スタートします。この比較的タイムとしては長い楽章ではシューベルトの秘める陰を過ぎらせつつ彼女の進め具合を味わう事がポイントなのでしょう。気負う必要は無いと思います。2000年代に入って円熟期を迎えた彼女については確かTVでのピアノレッスンのプログラムでの教えぶりがいまだに目に浮かんで来ます。音楽への真摯な姿勢を通して実に・・・喋っている事は特に力まず自然体でしかも何故か普遍的な示唆に富んだ「域」に達したものに感じられそれ相応に円く枯れた彼女の姿に女性故美貌で売っていた若き頃からの年数の積重ねを考えてしまいました・・・人は老いる、何をしていても・・・(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/25

    カラヤン演奏の「悲愴」交響曲はCDではライブも含めて9種類の演奏があるようです。トップは1939年BPOを振ったもの・・・そうメンゲルベルクの「悲愴」交響曲録音と同じような時期・・・からラストは1988年やはりBPOとの東京ライブで実に50年の長きにわたりカラヤンのパーフォーマンスよろしく沢山残されております。勿論私は全てを聴いているわけではありませんがここで私の手元データから演奏タイムを参考までに書いておきますね。1939年BPOモノラル@18’09A8’14B8’10C9’49、1948年VPOモノラル@18’46A8’55B8’08C9’54、1954年NHKSOモノラルライブ@19’17A8’51B8’41C10’09、1955年PHO@18’54A8’14B9’02C9’24、1964年BPO@18’53A7’59B8’44C9’19 、1971年BPO@18’11A8’56B8’12C10’10、1976年BPO@18’22A9’01B8’24C9’50、1984年BPO@18’19A8’47B8’29C9’43、 1988年BPOライブ@19’18A9’13B9’14C11’42・・・といった具合で特に計算はしていないのですが最後のライブがタイムの計り方を考慮しても一番演奏時間が長いのではと感じた次第でカラヤン・ファンは是非聴き比べなどにチャレンジされてはとも思います。さて、この1955年カラヤン47歳PHOとの演奏は名プロデューサーとの一連の録音らしく私はLPモノラル盤でしか聴いていないのですが演奏自体は整然としてあまりテンポをいじらないで・・・そう意識にあった大先輩フルトヴェングラーとは全く方向が異なる演奏で・・・・第1楽章からPHOながら後年のカラヤンがBPOから行なった様にしなやかな音色を引き出し時には管楽器の鳴らしにアクセントを入れています。落ち着いた聴き飽きしない第2楽章から第3楽章では繰り返しある歯切れの良いマーチ風の処で初めの方のマーチでやや演奏をしゃくり躍らせたり最終楽章は比較的テンポは速めではあっても最後ドラの前のクライマックスでの低音弦等全奏に近い抉りは他の演奏部分との効果よろしく凄い入れ込みです。ややすぅっーと進みがちなのと録音が古いのは仕方ありませんが中々のものかと思います。1959年PHOとの「白鳥の湖」組曲(タイム・・・情景2’43、ワルツ7’18、小さな白鳥達の踊り1’35、情景と白鳥のお王の踊り6’17、ハンガリー舞曲3’33)は聴いておりませんのでOK以上としましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/24

    本盤はカラヤン/BPOによるシベリウスの交響曲第4番と第6番とのカップリングになっていますが原盤がDGなのかEMIなのかちょっと不明なので大したレビューは出来ません(Penguin Rosetteレーベルなので多分DG?) 。データ的には前者ならば第4番は1965年収録(タイム@9’59A4’44B12’01C9’28)、第6番は1967年収録(同@9’16A6’20B3’31C9’43)であり後者ならば第4番は1976年収録(同@10’38A5’27B12’49C9’49)、第6番は1980年収録(同@8’34A6’05B3’20C9’18)となります。なおPHOを指揮したモノラル盤・・・第4番は1953年収録(同@9’43A4’56B12’00C9’20)、第6番は1955年収録(同@8’30A6’03B3’17C9’18)もあった様です。カラヤンは比較的早くからシベリウス交響曲と取り組んでおり今メモしたデータだけでも第4番を1953年カラヤン45歳の頃にはもう収録した事になります。私は1960年代のカラヤン/BPOの演奏盤から入っていったのですがカラヤンっていう指揮者は何とシベリウスの上手い指揮者なのだろう! 冷酷透徹に純粋美を追求し緊張感が満杯で張り詰めており更に当時のBPOの重量感ある完成度の高いアンサンブルは北欧ムードとは少し異なるもののそれなりの説得力があるように思えました。それに両曲共ベースが短調でありメロディより断片的なフレーズ優先の曲調はどうしても錯綜して管弦が繰り返して行く内に「本性」を聴き取る姿勢を強いられますがスケール感・・・闇の中を幻想的に作品を仕上げて行く・・・を伴ってのカラヤンの分かり易い語り口は印象的でありました。カラヤンはシベリウスに限らず後年レガートの多用?もあって益々華麗なスタイルを徹底して行きます。そうした特徴点はDG、EMIの録音特徴と相乗効果を夫々産んでいるかもしれません。いずれにしても間違いなく素晴らしいランクは当確でしょうね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/23

    カラヤンは悲愴交響曲の演奏を非常に得意?にしていましたので、録音状態に大きな問題点のない1960年代以降の録音分は、すべて安心?して聴ける様ではあります。カラヤンの年齢とオーケストラとの組み合わせで演奏の雰囲気は熱気ムンムンだったり整い過ぎて隙が無かったり夫々異なってはおりますが私にとっては比較的身近に聴き易かった1964年BPO録音分くらいからカラヤン悲愴交響曲に接していきました。その演奏は所謂カラヤンBPO黄金期にさしかかる頃で以降演奏映えするこのチャイコフスキー「悲愴交響曲」を何度も再録したようで1950年代以前の録音分も含めると現在CDベースで9種類もありカラヤン録音活動では最多に近い回数になっている曲であります。私見的にはこの悲愴交響曲がカラヤン資質にピタッと合っているのかどうかは異見を挟みたい処ではありますが本盤については1988年BPOを率いてのカラヤン最晩年80歳の来日時ライブ録音でしかも「カラヤンは帰国後この曲を演奏していないので、彼の最後の「悲愴」演奏である」という触れ込みもあって確かに記念的演奏ではありましょう。彼は翌年亡くなっているわけですから結果的にはこの演奏が「遺言」となったわけでそれだけ感傷に走ってしまいそうです。先ず例によって演奏タイムなのですが@19’18A9’13B9’14C11’42と後述する他の8種類の演奏と比して各楽章何れも長めになって・・・それでもそう大きなブレではない点はカラヤンらしいですね・・・今までのどの演奏より重く暗い雰囲気を劇的に表現し曲そのものに語らせる事に更に専念し仕上がった出来具合はライブ故のアンサンブルの若干の乱れはさておいて実にオーケストラ全体がよ〜く鳴った恰幅良いものとなりました。第1楽章で緊張感がもう一押し欲しいという贅沢を脇にやると壮大なドラマがこれまでのカラヤンスタンス通り展開しております。第2楽章もモタモタぶりは消えませんがしなやかで甘い弦が救い第3楽章は管のリードが目立ち弦が後塵を拝し勝ちになってもテンポを落としてBPO総力で迫力抜群そして詠嘆調の最終楽章は途中長めの間を入れつつピークへのめり込んで行きます・・・カラヤンの想いは如何?だったのでしょうか。全体録音良好である事もあって各セクションが明瞭に捉えられるしライブコンサートの意味をちゃんと伝えています。演奏家が年齢を重ねると一つの曲に対してその演奏の変化が顕著な場合とそうでない場合があり、一方聴く側での加齢に伴う聴くアンテナというかセンス・・・所謂演奏への「好み」や曲そのものへの「好み」が変化する程度との多くの組み合わせが特にクラシックでは楽しみの一つ・・・そしてこうした中で自分自身を知る事にもなる様であります。私自身一つの曲への演奏好みはどちらかと言えば最初に聴いた演奏の印象を良い方に捉えて引き摺る方なのかもしれませんが・・・。本盤演奏以外のカラヤン指揮の悲愴交響曲CDは次の通りです・・・1939年BPOモノラル@18’09A8’14B8’10C9’49、1948年VPOモノラル@18’46A8’55B8’08C9’54、1954年NHKSOライブモノラル@19’17A8’47B8’38C10’13、1955年PHO@18’54A8’14B9’02C9’24、1964年BPO@18’53A7’59B8’44C9’19 、1971年BPO@18’11A8’56B8’12C10’10、1976年BPO@18’22A9’01B8’24C9’50、1984年VPO@18’19A8’47B8’29C9’43。なお、併録のモーツァルト交響曲第29番(同@7’24A6’24B4’19C5’04)はまぁ大曲「悲愴交響曲」の前捌き的な位置づけになってしまいカラヤン/BPO位だったら可も無く不可も無いというのが正直な処ですね。素晴らしいランクで・・・(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2013/10/22

    以前レビューを入れた者で懲りずにデータ的なものを補完しておきたいと思って再度キーを叩いております。先ず本盤演奏では1956年6月シューリヒト76歳の頃VPOを指揮して収録したシューベルト交響曲第8番「未完成」(タイム@10’35A11’43)が表面的なさりげなさとは裏腹にその内部的に充分な密度の為なよなよせず言うべき事は言うというスタンス・・・そう有無を言わせぬ表現が早めのテンポの運びに巧まず活かされた同曲屈指の名演かと思われます。「あたり」がきついVPOのキリッとした姿勢も頼もしいですね。同年月収録のモーツァルト交響曲第35番「ハフナー」(同@5’56A4’42B3’10C4’07)は第1楽章スタート意外とソフトな橋渡しで聞耳を立てましたがその後の展開は第2楽章、第3楽章を含め結構腰重い感じです。そして最終楽章の最後の〆で冒頭見せたしなやかさを再現させました。ただこの曲への溌剌さに近いニュアンスをもう少し「未完成」交響曲の様に出して欲しいとも思いました。なお、本盤三曲目のベートーヴェン交響曲第2番(1952年5月モノラル録音、オーケストラはVPO、同@10’09A12’00B3’36C7’08)は未聴であります。本盤LPからの復刻版ということなのでそれなりのハンディ?があるのでしょうけれどとにかくシューリヒトの「未完成」・・これだけではないのでしょうが・・聴き物です。さて、いつもなら同指揮者の同曲の他演奏記録をメモするところなのですがシューリヒトに関してはあちこちのオーケストラ回りも長かった事もありかなりの数の同曲他演奏があるようで今回は本盤オーケストラVPOの演奏する同曲の他収録分等を書き出して整理資料に資したいと思います。モーツァルト交響曲第35番「ハフナー」→1956年1月(同@5’58A5’15B3’14C4’14)、1956年12月(ライブ、同@5’11A4’37B3’01C3’39)、1963年2月(同未確認)←結果的には「ハフナー」交響曲のみ他VPO演奏がありました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

    1 people agree with this review

    Agree with this review

  • 0 people agree with this review
     2013/10/21

    M.J.ピリスと言えば確かTVでのピアノレッスンのプログラムでの教えぶりがいまだに目に浮かんで来ます。彼女は年齢からすれば小生世代に属するのでしょうが(詳細な事は勿論覚えてはいないけれど)音楽への真摯な姿勢を通して実に・・・喋っている事は特に力まず自然体でしかも何故か普遍的な示唆に富んだ「域」に達したものに感じられ正直私達同世代の者でも阿吽では中々なのにあの番組での生徒にどこまで理解されたのか・・・。ゆっくり後になって噛み締めてみる感じなのでしょう。本盤はショパンの晩年心境期の作品を円熟したそのピリスが2008年64歳の頃・・・今述べた番組も概ねその頃だったと思います・・・とをラップさせる様な企画でもあるのか、私は偶々本CD収録曲中ピアノ・ソナタ第3番(タイム@13’41A2’43B10’23C5’57)を聴きメモを録った次第です。何とじっくりとした雰囲気の内にショパンの晩年心境を抑制を利かしてストイックなまでに表現して最早彼女の「私の究極の望みは、何も表現しないで表現すること」の領域ではないでしょうか。テンポ的にも御覧の様に各楽章ゆったりとした運び具合で決して技巧発露の作業ではなく正にあの番組で断片的に残っている言葉の領域の実証なのでしょう。若い頃はちょっと知性勝ちの彼女が大病を経た為なのか円く分り易い人柄になったようでもあるし、親日家の彼女が若き頃W.ケンプの薫陶も受けていたというのがケンプファンだった私の満足度を高めてもくれています。大人の演奏なのかも知れません。本盤二枚組で他の収録曲は次の様になっており聴き進めたいと思います(★一つ保留して・・・)→夜想曲・・・第17番(同7’24)、第18番(同6’30)、マズルカ・・・第36番(同3’22)、第37番(同2’42)、第38番(同3’35)、第39番(同2’05)、第40番(同2’08)、第41番(同2’08)、第45番(同1’38)、第47番(同2’32)、第51番(同2’31)、ポロネーズ第7番「幻想」(同14’13)、ワルツ・・・第6番(同1’57)、第7番(同3’16)、第8番(同3’33)、チェロ・ソナタ(チェロ・・・ゴムツィアコフ、タイム@17’10A5’36B3’56C7’17)(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

    0 people agree with this review

    Agree with this review

  • 1 people agree with this review
     2013/10/20

    ブラームス「ドイツ・レクイエム」はドイツ語によるレクイエムでプロテスタントだったブラームスが新旧訳聖書から歌詞をピックアップしたものらしいです。「ドイツ・レクイエム」は他のレクイエムにもあるように7楽章から成り真ん中の第4楽章を中心に対称的になって人生への肯定的な明るさと力強さを謳いあげます。作曲時期としてはあの第一交響曲より以前というからブラームスも意気軒昂な頃で「レクイエム」というタイトルとは趣きを異とする大変進取的な曲で小生勝手に判断するにカラヤンの資質にマッチした曲の一つでカラヤン自身も何とはなしにある「こだわり」を持っていたのでしょうか、収録回数が多くCDだけでも本盤1964年BPO,SVを振って独唱陣にはグゥンドラ・ヤノヴィッツ(ドイツ出身のS、当時27歳)、エーベルハルト・ヴェヒター(オーストリア出身のB、同35歳)を従えての演奏(タイム@11’35A14’46B11’47C5’43D8’15E12’34F12’15)をはじめをはじめ1947年VPO,SV,シュヴァルツコップ(S),ホッター(B)(モノラル、タイム@11’40A14’54B11’16C6’07D7’16E12’39F11’39)、1957年VPO,SV,デラ・カーザ(S),フィッシャー=ディースカウ(B)(モノラルライブ、同@11’31A14’46B10’45C5’30D8’01E12’45F12’13)、1976年BPO,SV,トモワ=シントウ(S)、ヴァン・ダム(B)(同@11’10A14’48B11’13C5’28D7’48E13’15F11’34)、1983年VPO,SV,ヘンドリックス(S),ダム(B)(同@11’15A15’07B11’07C5’29D7’31E13’11F11’31)等が販売されております。演奏傾向はオーケストラBPOの磨きぬかれた鋼鉄感と合唱のウィーン楽友協会CO(SV)の練れた合唱とのブレンドがこの曲の訴求力を否が応でも高めて行ってカラヤンのこの曲への自信の程らしきものを提示している様であります。第1曲序奏に乗って薄めの美しい合唱「悩める者は幸せ」からカラヤンのレガート臭い節々はブラームスのまだ若いロマン性を安らかに表現します。ここでのテーマが後の曲でも何回か現れます。第2曲「人はみな草のごとく」では第1曲とは対照的に低めの力強く響きあう詰めの厳しい合唱とバックサポートのティンパニーでその躍動感というか壮麗感に唖然 ! ・・・つい惹き込まれ気味になります。 第3曲はバリトン歌手ヴェヒターが求心力のある落ち着きぶりを朗々と発揮します。勿論大フーガが本命でそのコントロールぶりは見事でオルガンを伴って堂々と閉じます。続いてピチカート風な弦をバックに平穏に流れ中程での軽いフーガの後は又平穏に戻って充分引っ張って第4曲を経て第5曲・・・。第6曲はそのバリトンが彷徨う様な合唱に取っ掛かりを入れ全奏「怒り」へ・・・。区切る様にハ短調独特の押し強さをカラヤンは管楽器をアクセントとして強調します・・・この辺りは流石上手いものですね。最終曲「死に行く者は幸せ」は曲目自体ちょっと付け足し的な印象を私は持っているのですがやすらぎ気分の合唱からスタートし第1曲テーマを断片的に循環し最後は持ち上げる様にハープとともに終わります。カラヤン時代幕開けBPOであるだけに私の先入観かも知れませんが中々カラヤン56歳充実した雄渾たる断片を聴いた様です。高品質盤も出ておりカラヤン・ドイツレクイエム代表演奏となって久しいですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

    1 people agree with this review

    Agree with this review

Showing 31 - 45 of 2357 items