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TOP > My page > Review List of つよしくん
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7 people agree with this review 2010/07/04
ついに理想が実現した。これまでSHM−CDとXRCDとの組み合わせはあったが、理論的には可能なSACDとの組み合わせをなぜ行わないのか疑問を感じていただけに、今回のユニバーサルによるSACD&SHM−CDの発売は、大変喜ばしいことである。しかも、SACDが、一般的なハイブリッドではなくシングルレイヤーであることも、SACDの潜在能力を最大限に活かすものとして素晴らしい。ガラスCDはともかくとして、コストパフォーマンスを考慮すれば、現在望み得る最高の高音質の可能性を秘めた、正に理想のディスクということが言えるだろう。配信がこれだけ普及し、CDがすたれていく傾向にある中で、しかも一度SACDを撤退したユニバーサルが、このような理想のSACDを発売したことは快挙であり、大いに歓迎したいと考える。そして、実際に聴いてみたところ、そうした期待を裏切らないような別次元の音質であった。今から40年前の録音であるが、そのような音質の古さなどいささかも感じさせず、眼前でピアノが演奏されているのではないかとの錯覚を起こさせるような、クリアで重量感溢れる音質が再現されている。今後とも、ユニバーサルには、こうしたSACD&SHM−CDをシリーズで発売していただくことを心よりお願いしたい。演奏は、既に定評ある超名演であるが、これだけの鮮明な音質を聴くと、もちろん超名演との評価はいささかも変わることがないものの、これまで聴いていたのとは異なる別の演奏を聴いているような気がしたが、そう感じたのはおそらくは私だけではあるまい。
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3 people agree with this review 2010/07/03
シューマンの第4は、あらゆる同曲の名演中随一の超名演。冒頭の焦燥感溢れるものの言い方からして、すっかりと引き込まれてしまうが、テンポの絶妙な変化といい、表情づけの巧みさといい、他の指揮者が束になってもかなわない至高・至純の境地に達した名演だと考える。既に、グランドスラム盤による復刻も行われているし、SHM−CD化もされているが、本オーパス盤の売りは重量感あふれる低音の魅力ということになるのではないか。低音をこれほどまでに再現した復刻は他にも例がなく、これを聴くだけでも本盤の価値は大きいと言わざるを得ないだろう。フルトヴェングラーは、チャイコフスキーの後期三大交響曲をいずれも演奏し、それぞれ録音を遺しているが、第5は凡演で問題外。第6は名演を2つ遺しており、特に、両者の中でもやや落ちると言われたスタジオ録音盤について、グランドスラムによる見事な復刻が行われたのも記憶に新しい。そして、本盤の第4であるが、これが意外にも唯一の録音。しかし、そのようなことが信じられないような名演だと思う。シューマンのように、随一の名演とは言えないが、ムラヴィンスキーやカラヤン(71年盤)に肉薄する名演と高く評価したい。この名演で特に私が評価したいのは終楽章。他の演奏ではハイスピードであっさり演奏する傾向が強い同楽章を、フルトヴェングラーは緩急自在のテンポを駆使して実にコクのある演奏を行っている。本盤も、既にグランドスラムによる素晴らしい復刻が行われているが、本盤の売りは、やはり重量感溢れる低音を再現したオーパスならではの名復刻と言うことができるのではないか。
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5 people agree with this review 2010/07/03
これはハンガリーの民族色を全面に打ち出した素晴らしい名演だ。先ずは、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽であるが、この曲には、同じハンガリー人指揮者によるライナー&シカゴ交響楽団の超名演があった。同じ境遇に置かれた同郷の指揮者による演奏ということで、説得力においても抜群のものがあり、この超名演のみがあらゆる同曲の名演の中で一つ抜けている存在と言えるかもしれない。しかしながら、本演奏は、尖鋭的なブーレーズや、音質はいささか古いものの超凝縮型のムラヴィンスキー、聞かせどころのコツを心得たカラヤンやショルティの名演などと比較しても、十分に対抗し得るだけの名演と高く評価したい。その名演の性格を一言で言えば、前述にようにハンガリーの民族色を全面に打ち出した明快なアプローチということだと思う。オーケストラに手兵のハンガリー国立フィルを採用したことも大きな要素であると言える。併録のディヴェルティメントやハンガリーの風景は、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽におけるアプローチを更に追及したものであり、民謡採取に熱心だったバルトークの研究成果が如実にわかるような見事な名演に仕上がっている。録音は、SACDマルチチャンネルによる極上の高音質であり、本盤の価値をより一層高めることに大きく貢献している。
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同じR・シュトラウス作曲によるアルプス交響曲は凡演であっただけに、英雄の生涯の出来を心配したが、それは杞憂であった。いかにも晩年のハイティンクならではの大変美しい名演であると高く評価したい。英雄の生涯と言えば、カラヤンの豪演のイメージがあまりにも強く、かの超名演と比較するとどの演奏を持ってきても物足りなく感じるが、それはあまりにも不幸。私としても、カラヤンの演奏を名演と評価するににやぶさかではないが、カラヤンのアプローチだけが必ずしも正しいわけではない。ハイティンクのような、決してわめくことはない穏やかで美しいアプローチも十分に説得力があると考える。もちろん、中間部の戦闘の箇所における力強さにも、いささかの物足りなさを感じることはなく、硬軟併せ持つバランスのとれた名演と言える。そして、何よりも素晴らしいのはシカゴ交響楽団の卓抜した技量と、それを完璧に捉えきったSACDマルチチャンネルによる極上の高音質。こうした録音面をも加味すれば、過去の英雄の生涯の名盤の中でも上位に置かれると言っても過言ではないだろう。併録のヴェーベルンの「夏風のなかで」も、各場面の描き分けを巧みに行った秀演。録音も素晴らしく、こちらについては、過去の様々な名盤の中でも最上位におかれる名盤ということができるのではないか。
5 people agree with this review 2010/07/02
ノリントンならではの個性的な名演だ。手兵のシュトゥットガルト放送交響楽団を指揮しているが、ハイドンが作曲時に想定した40名程度という、かなり人数を絞った編成で演奏しており、いわゆる古楽器奏法を旨としている。しかしながら、そこはさすがはノリントン。四角四面の学術的な演奏には陥らず、緩急自在のテンポを駆使して、奔放とも言うべき変幻自在の演奏を行っている。そこには、いささかのあざとさは感じられず、高踏的な芸術性を失うことがない点を高く評価したい。いずれも名演であるが、印象的な楽曲をいくつか掲げると、先ずは第94番の第2楽章の超快速テンポ。本来は打楽器による最強奏が驚愕であるが、ノリントンの演奏ではこの超快速テンポが驚愕だ。第101番の第2楽章のいわゆる時計の超快速テンポ。これは、クラシカルなぼんぼん時計ではなく、現代のアラーム時計とも言える面白さ。第103番の冒頭のいわゆる太鼓連打のド迫力は、我々の度肝を抜くのに十分だ。そして、何よりも名演は第104番。特に、第1楽章の威風堂々たる楽曲の進め方は、ハイドンの最高傑作にふさわしい威容を兼ね備えていると言える。第2楽章の快速テンポや思い切ったゲネラルパウゼの活用は、第1楽章との見事な対比もあって最高の面白さであるし、終楽章の中庸のテンポによる確かな歩みも、全曲を締めくくるのに相応しい素晴らしさだ。
4 people agree with this review 2010/06/27
今をときめくP・ヤルヴィが、ついにマーラーチクルスを開始したのは大いに歓迎である。その実質上の第1弾となった本盤のマーラーの第2の登場だ。フランクフルト放送交響楽団は、マーラー指揮者として名声を既に確立しているインバルと、マーラーの交響曲全集を完成しているが、P・ヤルヴィの演奏とは全く異なる演奏に仕上がっていると言える。インバルは、燃えるような熱いパッションを胸に秘めつつ、表面上は、可能な限り抑制的な表現を行うというアプローチであったが、P・ヤルヴィの演奏は、緻密な制度設計を旨とする演奏と言えるのではないか。私も、これまで様々な指揮者でマーラーの第2を聴いてきたが、これほどまでに精緻な演奏にはお目にかかったことがない。ダイナミックレンジも、例えば、第2楽章や終楽章の合唱導入部の殆ど聴き取れないような最弱音から、第3楽章や終楽章の終結部のような大音響に至るまで非常に幅広いが、割れた音や無機的な音はいささかも聴かれない。要は、どんなに最強奏しても、優美さを失うことはないのである。テンポもアンサンブルも、一糸乱れぬ正確さであり、私は、ここにP・ヤルヴィの類まれなる統率力と抜群の音楽性を感じるのである。確かに、テンシュテットやバーンスタインの劇的な名演に慣れた耳からすると、いささか静的に過ぎ、やや迫力不足を感じさせるのも否めないが、本演奏は、そうした20世紀の後半に主流となった激しい動的なマーラー像へのアンチテーゼとして、21世紀における新しいマーラー像を打ち立てたと言う意味において、将来的にも大変意義のある名演と高く評価したいと考える。今後のP・ヤルヴィのマーラーチクルスの動きには目を離すことができない。
4 people agree with this review
3 people agree with this review 2010/06/27
ホーネック&ピッツバーグ交響楽団は、既にマーラーの第1において超名演を成し遂げており、マーラーチクルス第2弾となる今回の演奏も、聴く前から大いなる期待をしていたが、その期待を決して裏切ることはない名演に仕上がっていると言える。本名演の売りを一言で言えば、尋常ならざる精緻なアンサンブルと言うことになるだろう。これほどまでに、各楽器がものを言う演奏というのは珍しいのではないだろうか。マーラーの第1でもそうだったが、そうした各楽器の細やかな演奏を完璧に捉えた名録音を褒めるべきかもしれない。しかしながら、必ずしも超一流のオーケストラとは言えないピッツバーク交響楽団の各奏者の名演奏を聴いていると、単に録音のせいだけではないのではないかと思われるのである。ホーネックはウィーン・フィルの楽員であっただけに、各楽器の響かせ方に独特の感性が備わっているのだろう。こうした独特のユニークな響かせ方は、精緻なアンサンブルと相まって、正に、管弦楽の室内楽的融合という至高・至純の美しさに達していると言える。終楽章のスンハエ・イムのソプラノも素晴らしい歌唱であり、ホーネック&ピッツバーグ交響楽団の精緻なアンサンブルに見事にフィットしている点を高く評価したい。録音は、前述にように、マーラーの第1と同様、これ以上は求められないような極上の鮮明な高音質に仕上がっている。
9 people agree with this review 2010/06/26
既に発売されたピアノ協奏曲第1、2、4番も名演であったが、本盤も類まれなる名演だ。何よりも、プロコフィエフを知り尽くしたアシュケナージがバックをつとめている点が大きい。ピアニストとして既にプロコフィエフのピアノ協奏曲全集を録音しているアシュケナージにしてみれば、同協奏曲は自家薬籠中の作品と言っても過言ではないのだろう。第3の冒頭の独特の開始部からして、他の演奏とは次元が異なるような抒情に満ち溢れている。このロシア的な抒情と20世紀的なモダニズムが高次元で融合した傑作を、アシュケナージは確かなタクトで精緻に描き出していく。この豪華なバックに支えられて、若き才能豊かな気鋭ピアニストのガヴリリュクは、最高のピアニズムを展開している。唖然とするようなテクニックの下、強靭な打鍵と情感溢れる優美さのコントラストが抜群である。正に、指揮者とピアニストの最高の競演がここにあると言えるだろう。第5も、第3に匹敵するような名演に仕上がっていると言える。SACDによる高音質録音も素晴らしい。シドニー・オペラハウスコンサートホールの録音ポイントを、トリトーンも漸く掌握したと言えるのではかなろうか。エルガーやラフマニノフの交響曲ではイマイチだった音質も、ここではいささかの不満を抱かせないようなハイレベルの高音質録音に仕上がっている。
9 people agree with this review
3 people agree with this review 2010/06/26
かつて発売された「ショパンの旅路」からの抜粋であるが、バラードもスケルツォも基本的にはいずれも名演だ。高橋多佳子は、いかにも女流ピアニストならではの繊細にして精緻なタッチで、ショパンの抒情溢れる名旋律をこれ以上は求めないような優美さで描き出していく。どの曲にも、彼女なりに解釈された詩情溢れるショパン像が息づいていると言える。それでいて、例えばスケルツォ第3番の強靭な打鍵による力強い迫力ある演奏には圧倒される。テクニックについても卓抜したものがあり、さすがはショパン国際コンクール入賞者の貫録十分である。惜しいのは有名なスケルツォの第2番。これは、高橋多佳子にしてはいささか平凡な演奏と言わざるを得ない。この有名曲には、ポゴレリチやアルゲリッチなどの超ド級の名演が存在しており、それらの横綱級の名演と比較すると分が悪いというのは致し方がないところであろう。これらの横綱にはかなわないとしても、高橋多佳子ならば、もう少し彫りの深い演奏が出来たのではないだろうか。SACDによる鮮明な高音質録音も見事であるが、録音場所がトリトーンがいつも使用している富山県の北アルプス文化センターではなく、ワルシャワ・フィルハーモニー大ホールであり、音質にかなりの違いがあるのは大変興味深い。
11 people agree with this review 2010/06/24
いずれも様々なレーベルから何度もプレスを繰り返して発売されてきた定評ある名演が収録されているが、本ボックスの売りは信じられないような音質の良さということになるであろう。いずれの演奏も、音質の向上が目覚ましいが、とりわけ、CD1のフルトヴェングラー復帰コンサートのベートーヴェンの第5と、CD12の、フルトヴェングラーの死の年のベートーヴェンの第6と第5が著しい。フルトヴェングラー復帰コンサートの第5は、これまで名演と高く評価されてきた、その2日後の演奏がどうにもならないような劣悪な音質だっだだけに、本盤は比較にもならないような信じがたいような高音質で、こうなってくると、本演奏こそ、まぎれもなく、あらゆるフルトヴェングラーのベートーヴェンの第5の演奏中、最高の名演と高く評価しなくてはなるまい。それと比較すると、死の年の第5は、いわゆるフルトヴェングラーならではの踏み外しは少ないが、深沈たる深みにおいては、こちらの方にむしろ軍配をあげたい。第6も、フルトヴェングラー向きの楽曲とは言えないと思っていたが、これだけ音質がいいと、そうしたこれまでの考え方を是正したくもなってくる。その他の演奏では、シューベルトの第9が、フルトヴェングラーならではの熱気に溢れた名演で、音質向上効果も抜群のものがある。その他の演奏も、いずれ劣らぬ名演が繰り広げられており、音質が悪いが故に、フルトヴェングラーを敬遠してきた者の認識をあらためさせるのに十分な、素晴らしいボックスであると高く評価したい。
11 people agree with this review
0 people agree with this review 2010/06/20
最晩年のワルターが、ブルックナーの最も深みのある第9の録音を遺してくれたのは何と言う幸せであろうか。第4や第7もなかなかの名演であったが、この第9も名演の名に相応しい出来であると考える。第4や第7では、テンポの動かし方やとりわけスケルツォ楽章におけるトリオでの超スローテンポなど、ブルックナー演奏の定石からするといささか異質な後期ロマン派的解釈も散見されたが、この第9に限っていうと、そのような箇所は殆どなく、インテンポによる確かな足取りで、この深遠な交響曲を重厚に、そして荘重に描き出していく。優美な第7と比較すると、ワルターの芸風に必ずしもマッチする交響曲とは言えないと思うが、これほどの深みのある名演に仕立てあげた点はさすがは巨匠ワルターというほかはない。残念なのは、コロンビア交響楽団の演奏の拙劣さ。金管楽器は、録音のせいも多少はあるのではないかと思うが、無機的な力づくの吹奏を行っている点が散見される。特に、最悪なのは終楽章のワーグナーチューバの品のなさ。ここは何とかならないものであろうか。終結部のホルンもイマイチだ。しかしながら、演奏全体としては、名演との評価を揺るがすほどのものではないと考えておきたい。DSDリマスタリングは、例によって、ややきつめの硬い音質が少々気になった。
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3 people agree with this review 2010/06/20
ワルターが手兵コロンビア交響楽団と最晩年に録音したブルックナーの交響曲は、いずれも優れた名演であると言えるが、その中でも最も素晴らしいのは本盤の第7ではないだろうか。というのも、第7は、ブルックナーの交響曲の中で、最も優美なものであるが、それが最晩年のワルターのヒューマニティ溢れる情感豊かな指揮と見事にマッチしていると言えるのではないかと考えられるからである。第3楽章の中間部におけるスローテンポや、特に終楽章におけるテンポの変化など、ブルックナー演奏の定石とはいささか異なる後期ロマン派的解釈も散見されるが、特に第1楽章と第2楽章は他の指揮者の追随を許さないほどの美しさに満ち溢れていると言える。第4や第9で見られたコロンビア交響楽団の技量の拙劣さも、この第7では殆ど見られない点も、本名演の価値をより一層高めていると言える。併録の「ローエングリン」第1幕への前奏曲やジークフリート牧歌はさらに超名演。いずれもゆったりしたテンポの下、深沈たる深みのある抒情的な表現が見事。コロンビア交響楽団も最高のパフォーマンスを示していると言える。DSDリマスタリングも、他の盤だとややきつめの硬い音質が気になる例も散見されるが、本盤には、そのような欠点もなく、非常に鮮明な音質に仕上がっている。
1 people agree with this review 2010/06/19
ワルターは必ずしもブルックナー指揮者とは言えないと思うが、それでも、最晩年に、コロンビア交響楽団との間に、第4、第7及び第9の3曲の録音を遺した点に留意する必要があるだろう。そして、本盤の第4であるが、これは典型的な後期ロマン派的な演奏だ。冒頭の力強いトレモロからして指揮者の芸格の高さが如実に表れていると思うが、テンポのめまぐるしい変化も特筆すべきだ。特に、第3楽章の中間部の超スローテンポや、終楽章の開始部の快速のテンポなどは、他の演奏にもあまり見られない例であると言える。こうしたテンポの変化は、ブルックナー演奏の基本からするといささか逸脱していると言えるが、それでいて恣意的な解釈を感じさせないのは、巨匠ワルターだけがなし得た至芸と言えよう。抒情的な箇所のヒューマ二ティ溢れる情感の豊かさは実に感動的であり、総体として、名演と評価するのにやぶさかではない。ブルックナー以上に素晴らしいのが併録のタンホイザー序曲とヴェヌスベルクの音楽。ゆったりとしたインテンポでスケール雄大な音楽を構築しており、カレッジ・コンサート合唱団も最高のパフォーマンスを示している。惜しいのはDSDリマスタリングの音質がややきつい点。SACD化かBlu-spec-CD化するなどして、もう少し柔らかい音質に改善していただくことを大いに望みたい。
1 people agree with this review
7 people agree with this review 2010/06/19
これは素晴らしい名演の登場だ。マンフレッド交響曲は、チャイコフスキーの後期の作品であるにもかかわらず、後期3大交響曲(第4番〜第6番)と比較するとあまりにも評価が低いし、それに比例して、録音の点数も著しく少ない。チャイコフスキー自身がこの作品に満足していなかったということもあるが、作品の質を考えると残念な気がしないでもない。私見ではあるが、このような評価の低さは、演奏のせいではないかと考えている。チャイコフスキーの交響曲全集を完成させた過去の指揮者の中でも、マンフレッド交響曲を併せて録音した指揮者は限定的であるが、後期3大交響曲で示した水準の名演を成し遂げた例は殆どないのではないかと考えている。そのような中で、キタエンコによる名演が登場したのは何と言う幸せであろうか。この曲に不可欠の重心の低い演奏であり、そのド迫力(特に、第1楽章の終結部)は、ロシアの悠久の広大な大地を思わせるような強靭さだ。それでいて、第2楽章や第3楽章のメランコリックなロシア的抒情も美しさの極みであり、不当に評価が低いこの交響曲の偉大さを再認識させるに十分に足りる素晴らしい名演と高く評価したい。そして何よりも素晴らしいのはSACDマルチチャンネルによる極上の高音質録音で、この名演の価値を更に高めることに大きく貢献している。
3 people agree with this review 2010/06/18
「ホヴァンシチナ」は、未完成のままムソルグスキーが世を去ったこともあって、「ボリス・ゴドノフ」に比較して不当にも世評が低いと言わざるを得ない。しかしながら、R・コルサコフやショスタコーヴィチなどによる編曲によって、優れた完成版が生み出されており、その内容の深さにおいて、「ボリス・ゴドノフ」にも匹敵する傑作であると私としては考えているがいかがだろうか。R・コスサコフ版はイマイチの出来だと思うが、ショスタコーヴィチ版は、ムソルグスキーの草稿にまで踏み込んだ大変優れたものだと考える。本盤のゲルギエフによる演奏は、ショスタコーヴィチ版をベースとして、ゲルギエフならではの編曲を施したものであり、特に、終結部に大きな違いがある。私としては、ショスタコーヴィチ版のラストのモスクワ川の夜明けの主題の再現が効果的で素晴らしいと思うのだが、ゲルギエフ版のように、悲劇的な殉教で締めくくるのにも一理あるとは思う。演奏も、ロシア的なあくの強さと緻密さのバランスに優れたゲルギエフならではの超名演であり、独唱陣も合唱団も最高のパフォーマンスを示していると言える。それにしても、ムソルグスキーは偉大だ。同時代のチャイコフスキーは当然として、ロシア五人組のR・コスサコフやボロディンなども西欧の音楽を意識して作曲をした(だからと言って、これらの作曲家の偉大さに口を指しはさむつもりはない)が、ムソルグスキーはあくまでも西欧音楽に背を向け、ロシア音楽固有の様式を目指そうとした。その強烈な反骨精神には拍手を送りたいし、アル中による早世を深く惜しむものである。
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