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Review List of 一人のクラシックオールドファン 

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     2010/05/11

    S.マイヤーがカラヤン/BPO騒動から身を引いてもう随分年月が経ちました。自らアンサンブルグループを立ち上げたり音楽祭に関与した彼女ももう50歳・・・やはり若い頃の演奏盤が残って来ているようですね。私もモーツアルトとブラームスのクラリネット五重奏曲セットの盤でかつては聴いておりました。定番名曲セット盤で彼女の演奏の方向感が分かるような気がしたものです。本盤にはそのモーツァルトのクラリネット五重奏曲が含まれており、彼女の随分若い頃・・・1982年にPQBとのこの曲の共演盤もあるようですが本盤のものは1981年に結成したWSSとの共演の1988年録音で演奏タイムは@9’20A6’28B7’31C9’22であり中々分り易い演奏となっております。モーツアルトのふと見せる表情までどうかと言われれば私などはそこまで言及する自信はありませんがクラリネットを使った初期の重要作品であるこの曲の品位というかよく保った演奏と思いました。本盤の大半は未聴ですのでOKランクとしておきます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2010/05/11

    以前「デニス・ブレインの芸術」(以下「芸術」)というタイトルでCD13枚を四セットの組に分けたシリーズものがありましたが本盤はそのシリーズものから更に曲目というか演奏者をデニスに限定セレクトし新仕様で仕上げた物であります。事故により亡くなったデニス・ブレインという不世出のホルン奏者をキーにした演奏記録で様々な解説(「上記「芸術」添付分ではNHKSOのホルン奏者であった故 千葉氏等も含む)メモもバラエティに富み飽きさせません。以下「芸術」盤と横睨みしながら逐次収録内容中心に進めていきます。CD1では1940年代録音のモーツァルトのホルン協奏曲第2番、第4番に注目・・・後述のCD2の1953年カラヤン/PHO伴奏分との比較をファンならずともしたくなりますね。本盤前者の方はW.ジェスキント/PHO伴奏でタイムは1946年録音でタイムは@6’26A3’20B3’19、カラヤン伴奏分とそんなに差はありませんが何となく荒削りな感じもします。一方第4番は1943年録音、タイムは@8’38A4’39B3’28でこれもタイム的に差は無視するとして伴奏HOで第1楽章と第2,3楽章の指揮者が異なっているという変則物。次にホルン吹きの父に捧げたR.シュトラウスのホルン協奏曲第1番(1947年録音、タイム@5’04A4’55B4’58)はこの作曲家のスタイルがまだ確立されていない頃の作品ですが明るくロマン性溢れる分り易い曲でガリエラ/PHOの伴奏も素晴らしいです。後年CD3にもあるサヴァリッシュ/PHOでの同曲は独奏とともに振幅が大きくなりソフトにもなっている様です。残りの収録分はどれも小品ですが城壁の詰め小石の役割どころかちゃんとそのステイタスを果たしております・・・ベートーヴェンのホルン・ソナタ(1944年録音、タイム14’27)、ワーグナーのジークフリートのホルン・コール(1947年録音、タイム1’25)そしてシューマン「アダージョとアレグロ変イ長調 Op.70」でムーアがピアノを受け持っています(1952年録音、タイム8’15)。CD2では本アルバム中核であるW.レッゲのプロデュース、カラヤン/PHOバックによるモーツァルトのホルン協奏曲集で1953年(ブレイン当時推定32歳)の録音です。余りにも有名評価高い名盤なので逐一コメントは避けます。ただ演奏タイムだけメモしておき本アルバムに含まれている他の演奏やその他のホルン奏者分との比較にでも参考にして下さい。何れにしてもスンナリ入ってくる演奏には間違いありません。第1番@4’38A3’38、第2番@6’33A3’31B3’35、第3番@6’59A4’54B3’44、第4番@8’07A4’31B3’36・・・(カラヤン/BPOの後年ザイフェルトとの録音は第1番@4’57A3’14、第2番@6’48A3’29B3’39、第3番@7’33A5’19B3’40、第4番@8’38A4’47B3’26)。カラヤンのフォローの上手さも新旧とも大したものです。「芸術」ではホルン協奏曲第3番をデニスの父親であるオーブリーの演奏したものもあり四曲の中で一番優美で美しい!・・・この曲を父子でどう違って演奏するのかが注目筋でした。1940年ボールト指揮BBCSOのバックで録られたもので演奏タイムは@6’52A4’14B3’29と前掲D2のデニス分とまぁ強いて言えば第2,3楽章が短めといった感じで伴奏がカラヤンのなだらかさと違う少し性急さも見せる武骨さとの対比や録音の違いが大きいのではないでしょうか。決してデニスに遜色ない演奏と私は思うのですが・・・。「芸術」では同じくW.レッゲのプロデュースによるカラヤン/PHPのモーッアルトが更にありその一つ協奏交響曲は1953年収録された演奏タイム@13’34A10’12B9’21のものでした。柔らかい響きで滑りの良い演奏で第1楽章は若干テンポが速め?第2楽章はブレイン他各名手の腕前が楽しめます、終楽章も楽しさに満ち溢れた演奏であります(私はカラヤンのモーッアルトは大好きでBPO時代のLPをよく集めたものです)。さて、本盤に戻ってモーツァルトの「ピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調 K452」(1954年録音、タイム@10’00A7’03B5’43)はC.ホースレイ(ピアノ)、デニスブレイン管楽器合奏団で私はこの曲をそんなに聴いた事がなかったのですが「芸術」ではこの曲を翌年録音したものでギーゼキング(ピアノ)、PHWE(タイム@8’19A7’07B5’50)も収録されていたので二種類演奏を(勿論ホルンは両方デニス・ブレイン)続けて聴くと頭に入った様です。CD3は先に書いたサヴァリッシュ指揮PHOバックで1956年収録されたR.シュトラウスのホルン協奏曲二曲です。第1番はCD1で違った演奏がありましたがこちらの方はもう少しマイルドな感じです、演奏タイムは@5’16A4’59B4’54とそう差はありません。少し雑な?作品第2番のタイムは@7’48A5’15B5’06となっております。デニス・ブレインに捧げられたヒンデミットのホルン協奏曲は第1楽章、印象的な主題で分り易いですが最終楽章はやや長く正直退屈しました(1956年録音、勿論指揮は初演同様ヒンデミット/PHO、演奏タイム@3’17A1’52B9’40)。本アルバムではバークレイとジェイコブという現代作曲家による戦後の作品も含まれております。CD3バークレイの三重奏曲は1954年録音、演奏タイム@5’25A6’45B14’07で最終楽章が主題及び変奏の長い楽章となっています(パリキアン(ヴァイオリン)、ホースリー(ピアノ))、CD4のジェイコブ管楽六重奏曲は1957年録音、タイムが@3’59A2’33B5’15C3’57D4’49で、演奏はデニスの兄であるレナード(オーボエ担当)も参加したデニス・ブレイン管楽器合奏団です。まぁレパートリバラエティというかテクニックバラエティを我々に認識させる項目ではありましょう。カンテルリがPHOを振ってモーツァルトを演奏した「音楽の冗談」は1955年の録音(演奏タイム@2’46A6’04B6’11C4’08)。不協和音等皮肉っぽい作品で最後も意表を突かれます。L.モーツァルトのゴムホース・弦楽器の協奏曲抜粋(1956年録音、タイム1’33)でマウス・ピースとブレスを工夫して水道ホースを使用した演奏?はユーモラスでライブらしく聴衆の談笑雰囲気が伝わります。クレッキー/PHOで1954年収録のメンデルスゾーンの夜想曲(6’55)が入っておりメルヘンチックな演奏であります。その他K.ハースにより結成された団体LBEのメンバー一員としてデニス・ブレインが加わった演奏でディッタースドルフ/ハース編曲のパルティータ ニ長調〜メヌエットとトリオ(1953年録音、トータルタイム11’34)、ハイドン交響曲第31番ニ長調「ホルン信号より」(1952年録音、3’36)、イベール「三つの小品」(1957年録音、トータル6’57)、デュカス「ヴィラネル」(1952年録音、6’09)、モーツァルトのディヴェルティメント第14番変ロ長調 K270は同じように作曲された六曲の内の一つでデニス管楽器合奏団の演奏(1957年、トータルタイム8’41)など正直曲目については初めて接するものばかりでこういうのがクラシックなのかと今更ながら認識した次第であります。「芸術」ではブランデンブルグ協奏曲第1番(1935年、@4’33A4’40B4’30C7’53)は昔LP(SPから転写)でエンジェルGRシリーズにもあったブッシュ室内楽団を聴くべきもので今となってはさすが古い感じは否定出来ませんがロマン性を強く打ち出し以降他演奏に影響を及ぼす出発点でもあったわけです。1933年?録音のブラームスのホルン三重奏はブッシュのヴァイオリン、ゼルキンのピアノとの演奏で実にブラームスの内省的な濃淡を上手く提示した素晴らしい演奏(タイム@8’02A6’54B8’17C5’53)と思いました。以上長くなりましたが後輩に伝える気持ちで書き込みましたのでよろしく。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/10

    珍しいチェリビダケのシベリウス交響曲について以前DGCDで第2番と第5番を聴いていましたのでコメントする次第です。チェリビダケは1960年代以降主に各国放送局の楽団を渡っていたようでこのシベリウスは1960年代首席指揮者を務めたSRSOを振ってのライブ(彼のは勿論!)録音であります。前者第2番は1965年モノラル録音で特に幾分長めに取った第2楽章での時々挟む「間」はダルく感じるのとギリギリの線でせめぎ合っている様でした。第3楽章は詩情豊かな感じで最終楽章へもって行く過程で例のチェリビダケの叫びが聞こえます。堂々の第1主題から最期の詰めである第2主題へ比較的早いテンポで高揚していく有様は絶妙ですが最期の凱歌・・・管楽器全奏での幕は若干尻切れの感もしました、なお、録音は聴き易かったです(タイム@10’16A16’03B5’49C14’21)。1971年録音・・・これはステレオの第5番の方はタイムは@15’27A9’21B9’53で第1楽章冷々感から厳しい自然を思わせる不気味な管楽器ソロから弦の忍び寄る様な応酬がやがて高潮しスケルツォ調から突然切れる様に終わるこの楽章は印象的です。ゆったりとした管とピチカート弦でメロディ風な第2楽章を経てあの焦らす弦に続いてやや抑え気味の管の繰り返しで対比させつつバックの通奏伴奏は反復「ドス」を効かせて演出充分です。やがて美しい歌うような弦から管楽器中心のクライマックスに入り又あの「叫び」?も混ぜつつ最期少し長めの「間」で切れ切れの終幕・・・ここは難しい処でどの演奏にも私は迷いとなります。そう言えばこの頃のチェリビダケは当時今のように彼の演奏盤が溢れているわけでもなく何かBPOから去ったとか追われたとか言う幻の指揮者というのがうたい文句で偶に出るLP盤タスキにありましたね。結局このシベリウス両曲ともチェリビダケならもっと「アレッ」と思うシーンも期待はしましたが意外とマトモと言えばマトモではある演奏でした。本アルバム(現在は販売されておりません)での他の曲を聴いておりませんのでOK以上としておきますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/10

    満身創痍の岩城宏之とNHKSOが2004年の大晦日ベートーヴェン交響曲全九曲を連続演奏した所謂マラソンコンサート(CDもあります、運命交響曲だけタイムを書いておきますと@7’37A9’25B4’55C9’08)は当時話題になったのですが彼のベートーヴェン交響曲の録音盤は意外と少なく若い頃1966年「未完成」交響曲とセットの「運命」交響曲録音盤(タイム@7’41A9’51B5’01C8’57)、2002年OEKを振っての第5,7番交響曲(運命タイム@7’21A8’45B4’52C8’37)そして本盤1968〜1969年セッション録音の交響曲全曲集であります。まだ岩城(岩城自身は第8番が好きな様でした)が36〜37歳の血気盛んな頃、私などもTVでNHKSOと言えば岩城の指揮と結びつけて観ていた頃の録音です。日本のオーケストラという気持ちで聴くためかどうしても値引きして考えてしまい今聴くと経年録音のせいもあり時にはその薄さが気にかかりはしますがドイツ風のどっしりした、しかし指揮者も若いのかキビキビした演奏が当時の演奏レベルに連動し懐かしく思いました。全体に意外と流麗な演奏部分もあるものの正直一本調子な処からの「飽き」も否定出来ません、しかしこれらの演奏記録は岩城/NHKSOが私たちと生きた証しのような存在で確かに老練大指揮者によるこれ以上の深い演奏や刺激的な演奏そして最近トレンディの古楽器、古奏法によるもの等々多々他にありはしても左記の「証し」には決して成り得ないのであり大事にしておきたいアルバムです。録音会場が都内の我々関西人も知っているホールで親近感がわきリハーサル風景CD(第4,8,9番トータルタイム39’00)も雰囲気をよく伝えております。1968年年末録音の第九の第4楽章歌唱部などは楷書風に終始しスケール感は今ひとつですがそれはそれとして独唱者陣の各名前も今となっては大変懐かしい面々であります。演奏は私の個人的好みからすれば奇数番曲が何となく合っているようですが聴く側の気持ち次第でしょう。打楽器出身の岩城らしくティンパニーの扱いは中々冴えてハッとさせる場合が多くどうしても耳をそばだててしまいます。偶数番曲「田園」交響曲の嵐の楽章や第九の第2楽章なども聴き応えあります。全体的には演奏タイムは一部の曲を除いて各曲やや全体短めなのかなぁというイメージですが逐次他の演奏と比較したわけではありません。参考までに各曲のタイムをメモしておきます。第1番@9’15A6’17B3’33C5’50,第2番@9’55A10’45B3’52C8’45,第3番@14’05A15’58B5’49C1146,第4番@9’38A9’28B6’10C5’36,第5番@7’23A8’55B4’56C8’26,第6番@9’27A11’46B3’13C4’05D9’26,第7番@12’00A8’16B7’25C6’54,第8番@9’55A3’56B5’43C7’47,第9番@15’44A10’42B14’47C23’48であります。我々の世代には素晴らしいアルバムと言えましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/09

    ヤナーチェクSQ・・・このSQは1947年設立で本盤収録時期には来日しており我々の世代には馴染み深いですね。私は本盤収録曲の内、1963年に録音されたドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番OP96「アメリカ」(タイム@7’07A8’13B3’56C5’59)と同第9番OP34(同@8’48A5’41B8’27C5’53)のLP盤を聴いておりました。本盤に入っている有名な前者ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」はしつこさというか妙な荒削りがなく品を保ちかつ余分なものの無い演奏かと思います。第1楽章そういった感じでやや大人しいかなとも思ったのですが最後の方はこの演奏雰囲気からすれば大きく見え切るのも面白いです。郷愁を誘う第2楽章もどぎつくなくしっとり感さえあります。最終楽章はアメリカらしい節々が決して大袈裟ではなく後半「表情」を見せますながらの落ち着いた運びは「飽き」を呼びません。本盤他の曲を聴いてはおりませんので素晴らしいランクの確保ということにさせて下さい、すみません。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/09

    ヤナーチェクSQ・・・このSQは1947年設立で後述の曲収録時期には来日して我々の世代には馴染み深いですね。本盤は当SQ演奏集で私はこの内DECCAで1960年代前半に収録されたドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番OP96「アメリカ」(タイム@7’07A8’13B3’56C5’59)と同第9番OP34(同@8’48A5’41B8’27C5’53)のLP盤を聴いておりました。有名な前者はしつこさというか妙な荒削りがなく品を保った余分なものの無い演奏かと思います。第1楽章そういった感じでやや大人しいかなとも思ったのですが最後の方はこの演奏雰囲気からすれば大きく見え切るのも面白いです。郷愁を誘う第2楽章もどぎつくなくしっとり感さえあります。最終楽章はアメリカらしい節々が決して大袈裟ではなく後半「表情」を見せますながらの落ち着いた運びは「飽き」を呼びません。後者は私自身あまり他の演奏を聴いてはいないので比較的視点には立てないのですが印象的テーマを絡ませながら静かにそして時には激しさを孕ませ進む第1楽章での最期の先のテーマの高潮は聴き物ですね。第3楽章歌謡風がピチカートを縫うような絶妙さはこのSQの上手さで静かに聴かせます。本アルバムで・・・現在のところ廃盤状態ですが・・・大半の他の演奏を聴いてはおりませんので素晴らしいランク確保ということにさせてください、すみません。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/09

    先日書き込んだスターンのブラームスV協奏曲に続いて偶々ベートーヴェンの同じくV協奏曲盤が手元にありましたので久しぶりに聴いた上少しコメントを書く次第です。本盤は1975年スターン推定55歳の頃バレンボイム/NYPをバックに録ったもので演奏タイムは@24’06A〜B18’31で特に過不足感はなく、タイム的にはあの名盤オイストラフ、クリュイタンス/FROと各楽章と大差はなく私の世代では受け容れられる盤となっています。自ずとその円熟味、風格の滲み出たスターンの演奏で幾分緩やかなバレンボイム/NYPの伴奏と軌は一にはしていると思います。第1楽章やや抑制的なバックで始まるのですが残響が少し気になりつつヴァイオリンがきっちりした造形で切り込みししつつ入って来ます。暑苦しさはないのですが大変何かブラームスの時と同じように脂ぎった感じもしないわけではありません。バックオーケストラはテンポを揺らし時には妙なくらい急ぐ場面に出くわします。カデンツァは堂々としたもので聴き物ではあります。第2楽章はゆっくり序奏の後健康的なヴァイオリンがお出ましでそりも一しきり終わると伴奏は少し個性的になります。続いては充分引っ張ってロンド主題での舞曲調・・・短いカデンツァは烈しくもあり印象的です。やがてその激しさと対比するように優しい運びでエンドに向かいます。スターンは1959年バーンスタイン/NYPバックでこの曲を録っています(タイム@23’50A〜B20’03)がその演奏は壮大なバックに対して若さというか柔軟性あるヴァイオリンだったのが本盤では弾き慣れたこの曲を更に入念に手を入れ込んだイメージがありマァそれがベテランの味→風格というものになって来るのでしょうか。なお、以前同演奏盤CDで2009/5にコメントを入れたカタログ番号SRCR2638でのベートーヴェンV協奏曲収録年を「1978年」としていたのですが冒頭書いた「1975年」と仕様向上の本盤では解説書に載っていますのでそのように扱いました。ロマンスの方は1980年小澤/BSOのバックで録ったもので第1番が8’06、第2番が9’58の演奏となつております。ロマンスの二曲はちょっとこじんまりさというかニュアンスの意気込みが淡々レベルになってしまった感があります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/08

    1985年インバル50歳手前での当時音楽監督をしていたFRSOを振ってのマーラーでこの第4番が比較的分り易い穏やかなメルヘンに溢れた作品である処をインバルはユダヤの血が多分入ってを承知で・・・マーラーへの理解を咀嚼した上で・・・過剰な思い入れをしない・・・すっきりした、粘つかない演奏を展開しております。演奏タイムとしては@16’26A10’06B20’53C9’10と特に特徴的なものはありません。第1楽章終わりの方、ホルンが入る辺りの美しさは素晴らしくそして畳み掛けるわけではなく終わるその仕方が気に入りました。第2楽章不安なヴァイオリンのソロに先導されるこの楽章でも決してきつくはなく音の独立性を保ちながらのバランスが絶妙。第3楽章はこの曲の重要な雰囲気を醸しだす角笛も深みに陥らず引きずり込まず破綻せず終わりの美しい「歓び」へと繋ぎます、最終楽章は米国出身のソプラノH.ドナートがクラリネットに誘われて何気なく登場・・・あっさり感が素敵ですね。全体に所謂ユダヤ色というのでしょうか、そういったものは薄く、それはフィルターにかかってきた演奏でインバルの持ち味でもあると思います。好きな演奏盤であります。なお、インバルの同曲演奏盤は2009年都響を振ってのライブ盤も出ましたね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/08

    本盤主体はヨッフムの「ロ短調ミサ曲」1957年ライブ録音盤でフィリップスの二枚CD廉価DUOシリーズものであります。ヨッフムは所謂後年大指揮者と呼ばれる様になった人でも比較的宗教曲を取り上げた演奏家で(彼は熱心なカソリック信者でブルックナーへの取り組みにもその辺り現れているようです)私はバッハの作品で彼の指揮によるものはこのロ短調ミサ曲とヨハネ受難曲そしてシュワルツコップの独唱によるカンタータを聴いております。さて、このミサ曲、全体特に「癖」の無い、「無理」の無い演奏運びが聴き様によっては次々歌われる各曲により変に宗教的頑迷さを強要するといった事がなくあくまで聴く者に対して余裕を与える感じがし更に昨今のトレンド演奏の如くの「したり顔」ではない点が私には受け入れ易いのです。本盤は演奏タイムとしてはトータル124’36(主な節毎概算タイム→KYRIE/22’41,GLORIA/39’44,CREDO/36’11,SANCTUS/16’57,AGNUS DEI/9’03)とマァマァでありマーシャル、テッパー、ピアーズ、ボルグといった声楽陣もそれに呼応しております。例えばこのミサ曲のブービー曲である第26曲目アルトによるアリア「アニュイスデイ」は5’53と因みにリヒター/MBOによる代表的名盤たる1961年同曲盤(トータルタイム121’40)での6’32より短いのですがちゃんと聴かせてくれる類いであります。本演奏でのデュエットを含むアリア部分でのタイムを本盤トラック曲毎で拾って見ますと、私が偶々共に聴いている先述のリヒター盤との比較だけで申し上げるのも誤解を招くかも知れませんがその辺りは判断して頂くとして参考までにサンプリングしましょう。第2曲目S/Aデュエット5’57(リヒター以下同様5’47)、第6曲目アルト・アリア5’14(4’29)、第8曲目S/Tデュエット5’56(不詳)、第10曲目アルト・アリア5’07(4’24)、第11曲目バス・アリア5’03(不詳)、第15曲目S/Aデュエット5’08(5’23)、第19曲目バス・アリア6’20(5’34)、第23,24曲目テノール・アリア7’57(7’46)・・・といった具合で一部カウント誤りもあるかも知れませんし「不詳」とした曲はコーラス部分とのセット曲の為フォロー出来ていない為であります。バックサポートはバイエルン放送合唱団、交響楽団でありコーラスの方は例としては先の第1曲目「キリエ」が12’47(12’11)・・・である如しで散漫にならないコーラス陣の健闘が汲み取れるし各独奏楽器の伴奏のある曲々も各々その趣旨が徹底されバッハの心底を見る様な感じに仕上がっています。本盤は録音の古いライブなのですがそんなにハンディを感じさせません。どうしてもカンタータ、パッション物の様に「語り」の無いミサは一本調子になり勝ちに聴いてしまい勝ちになるのを上手く回避もしている様で伝統あっての素晴らしい演奏かと思います。なお、ヨッフムは1980年にEMIで独唱陣こそ替わって同じバックサポートでこの「ロ短調ミサ曲」を収録しております(タイムは約122分)。本盤のもう一曲BWV233のミサ曲はレーデル指揮ミュンヘン・プロアルテ等によるもの(1965年録音、タイム27’07)でギーベルのソプラノはいつもながらバッハぴったりであります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2010/05/07

    ベートーヴェン序曲集を老ヨッフム、齢83歳の時バンベルクSOを振って1985年に録音した盤であります。じっくりと腰を据えた演奏でバンベルクSOの派手でないサウンドが何か「本物」志向を目指す聴く人にとっては一目置きたい存在盤であります。一曲目の「エグモント」序曲からして出だし大変スローでむしろ焦点ボケするのではないかと思われる程なのが展開部になるとピシッと決まってその対比感が面白いです。ただこの序曲も含めて一部他の曲では中々その緊張感を捉えられない場合もありその辺りが評価の分かれる処かと思います。又私の聴き違いとは思いますが縦線が怪しい箇所もあって弛緩しているという印象を持ってしまい勝ちにさせるのも・・・。個人的には勝負の早い「アテネの廃墟」序曲と「プロメテウスの創造物」序曲が気に入りました。演奏タイム的には何れの曲も先述の如く急がない演奏・・・これを風格ある演奏と言うのかも・・・であります。HMVレビューにも載っておりますがメモしておきますね。「エグモント」序曲9’18、「アテネの廃墟」序曲5’16、「プロメテウスの創造物」序曲5’38、「コリオラン」序曲9’06、「フィデリオ」序曲6’44、「レオノーレ」序曲第1番9’13、「レオノーレ」序曲第3番14’27・・・であります。なお、現在販売されておりません。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/06

    もう今まで他の同演奏盤で皆さんが書き込まれているように絶対的名演奏のあの1958年収録「マタイ受難曲」(タイム約197分)をはじめバッハの「ヨハネ受難曲」(1964年録音、タイム約129分)、「ロ短調ミサ曲」(1961年録音、タイム約122分)プラス復活節カンタータ11曲(1970年前後の録音)を十枚のCDに収めたアルバムでその価格が魅力的でもあります。多分解説書などが簡略化されているのでしょう(輸入盤なのであったとしても少なくとも語学に堪能な方以外はちょっと・・・)。充分これらの曲に精通されている方でリヒター盤を持っていない場合など特に魅力的なアルバムですね。欲を言えばカンタータ分を少し減らしてもやはり名演の声高い「クリスマス・オラトリオ」が入った方が四大宗教曲+αという納まりがついたのでは・・・。但しリヒターの四大宗教曲+αのアルバムは他に既にある様で(そのアルバム中「ロ短調ミサ」だけはHMVレビューによりますと1969年東京ライブということ?)。本盤はそれで「復活」テーマの切り口でのアルバム方針なのかも・・・。全体としては後年DVDを含め録り直しされたものとは異なり初期元々のリヒターのロマン性を塗しつつ厳しく緊張感溢れた演奏で時として息が詰まりそうに感じた各曲で私は時々LPベースでも聴いております。以下かつて各曲のリヒター演奏盤に感想を述べたものを「切り紙細工」で本欄に転写しておきますね。「マタイパッション」は言わずと知れた往時ではクレンペラー盤と並ぶ横綱級の名盤です。私自身はこの厳しい、息の抜きようのない演奏にある種の反発もありますが・・。「ヨハネパッション」でのヘフリガーのエヴァンゲリストは他の同曲盤でも務めていますが流石彼ならではと思うこと頻りです。リヒターは4大宗教曲のトップ収録「マタイ受難曲」に対するスタイルと勿論基本的には同じですが6年の年月の経過は先入観か読み取れる気もします。「ロ短調ミサ」、成る程、立派ないつものリヒター世界で緊張感溢れる演奏である。厳しい演奏と世間ではリヒターのバッハが評されていますが私自身はこのロ短調ミサに関しては何か違和感を覚えてしまいます。大体この旧教に係わるミサ曲自体(ロ短調だけではありませんが・・) バッハの新教に係わるカンタータ、受難曲等と異なり所謂レジタティーボ無しに次々繰り広げられる音の洪水にリヒターのアプローチが念を押し聴く者に八方塞がり・しんどくなり他の盤で気分修正することもあります。カンタータではHMVレビューにもある通りBWV4(1968年録音、演奏タイム21’57)が何と言っても秀逸です。こんな緊迫感ある始まりのBWV4は滅多にお目に・・・お耳にかかれません。BWV108は個人的には旧録音(1958年録音分、タイム20’03・・・1958年での録音(リヒター推定32歳頃)は先の「マタイ・・」や初回「ロ短調・・」がありリヒターの本当の初期の溌剌さが凄い!)が好きですが・・・。とにかく本盤アルバム、各演奏は「間違いなし!」の一言です。最高ランクでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/05

    スターンのブラームス・ヴァィオリン協奏曲は我々が接する事が出来る盤としては1959年オーマンディ/PPOによるもの(演奏タイム@22’17A10’12B7’50)と本盤に入っている1978年メータ/NYPによるもの(同@22’59A9’27B7’49)の何れもソニー盤です。私は後者単独盤で聴いていますので感じた点をメモします。この録音時推定スターンはもう58歳、何となくこの曲を弾くには年齢が行き過ぎ?の感がします。第1楽章ゆっくりと分厚いオーケストラの序奏からしばらくして深く食い込むヴァィオリンが開始されます。ふくよかさというかかなりグラマラスな風格に溢れ大きく振幅をとった演奏です。重心は低く片や伴奏も重たくなる傾向があります。時には抉りも見せカデンツァ前では充分鳴りきってそのカデンツァも太く長めな感じで・・・そしてゆっくり終盤に入るのですがどこかブラームスがこの曲で織り込んだ特有の若渋さには遠い演奏であります。第2楽章は誠に滑りの良い多弁な緩徐章で最終楽章も力強く伴奏もテインパニーの轟きを上手くミックスさせヴァイオリンも迷い無く進め堂々と終わります、少しジプシー的軽やかさも欲しい楽章ではありました。全体として押し出しの良さ・上手さは認めますがやや脂ぎった中年のスタイルの印象です。HMVカタログでは前者の演奏盤の方が数多くカタログに載っているようです。本盤他の収録曲は未聴ですのでOKランクに止めておきます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2010/05/04

    アシュケナージと言えばラフマニノフ、ショパン、モーツアルトのピアノ弾きから指揮活動を本格的に始めて約30年過ぎたわけですが昨今の個性強きより若い世代の指揮者群の台頭でどうも彼の印象が薄くなったのも否めません。シベリウスの交響曲の録音をPHOを振って取り上げだしたのもその本格的指揮活動を開始した頃からのスタートです。シベリウス交響曲全集を二つのアルバムに分けたものの一つであり本盤収録各曲簡単に見てみましょう。先ず1980年収録の交響曲第5番です。演奏タイムとしては@13’09A9’26B8’49で・・・。第1楽章出だし直接のティンパニーに含みがないものの鮮やかさが印象的です。後半焦らせる弦の吹雪模様と厚いアンサンブルなどで色んな仕掛けがなされ鳴らしを頑張り過ぎる為?主線が隠れて浮かんで来ない傾向があります。第2楽章も暫くただ鳴っているだけが終わりの方の大きな波のウネリで謳いあげてはいますが情感の伴いが不徹底。最終楽章で又ティンパニーを活かし最後主題を大きな息遣いで土俗的ではなく表現しています。少し全体暑苦しく感じる時もありますが健闘している事はよく分かります。1983年録音の第3番ですがシベリウスの作風が変化し出した頃の作品で自然志向的な感じであります。簡潔にして精妙と解説書にはその特徴をあげており三楽章とこれまた珍しいのでは?・・・。とにかく全体素朴で次々と曲想が奥へ奥へと展開されて行きます。それだけに全体スケール感があり余り聴かれないこの曲をアシャケナージの持ち前の統率力が活き分り易く再現しています。演奏タイムは@10’35A9’27B9’03とほぼ三等分、第1楽章・・・せわしい弦に管が交替で登場、やがてピチカートで一旦おさまり終わりはお決まりの全奏で先のスケール感が出ます。第2楽章はピチカートと管楽器が交差する内親しみ易い民謡風メロディがもの悲しげに管楽器から奏でられその変奏となりアシュケナージの清潔な美的センスが発揮されます。最終楽章短い序奏から力強い管楽器のファンファーレ的なものが続く・・といった具合です。短調の第6番(1984年録音)も有名な第5番と第7番にはさまれそんなに聴くといったものではないのですがアシュケナージは第3番他と同様のアプローチです。演奏タイムは@9’20A5’38B3’49C9’18で第1楽章は冷え冷えした高音弦から思索的に進み(作曲者周辺の親しい人の死の影響が見られます)やがて雄弁にピークに達して行きます。やや散文的な寂しさの第2楽章等を経て充実した活気に満ちる最終楽章に入りますがやっぱり何処か寂しさ・孤独感は消えずじまいであります。1982年録音の第7番・・・演奏タイムは単一楽章扱いの曲なのでトータル22’37なのですがその単一な中にややせわしさがあるもののグッと凝縮した冷たい情熱が迸る熱演かと思います。なお、以上これら交響曲については2006年中心にRSPOと再録がなされています。管弦楽曲については簡単にメモしておきますね。1981年録音のエン・サガは演奏タイムとしては19’20なのですが比較的分り易い演奏で大きな枠組みをきっちり押えています。終わりの方管楽器の語るような後余韻を残しての低音弦のつぶやきは素晴らしいです。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2010/05/03

    アシュケナージと言えばラフマニノフ、ショパン、モーツアルトのピアノ弾きから指揮活動を本格的に始めて約30年過ぎたわけですが昨今の個性強きより若い世代の指揮者群の台頭でどうも彼の印象が薄くなったのも否めません。シベリウスの交響曲の録音をPHOを振って取り上げだしたのもその本格的指揮活動を開始した頃からのスタートです。シベリウス交響曲全集を二つのアルバムに分けたものの一つであり本盤収録各曲簡単に見てみましょう。第1番(1984年録音)ではその出だし第1楽章何か情的だったのがいつの間にかやや散漫に何もかも盛り込み過ぎた感がします、終わりの方の管楽器、ティンパニーの扱いは印象的。第2楽章私の聴き違いか一部瞬間弦の勇み足?があるものの燃えつかないジレンマも抱え一方室内楽的美しさを見せます。リズミカルな第3楽章、ティンパニーの思い切った扱いや管楽器の粘りに前二楽章には薄かった民族的雰囲気を湛えます。最終楽章はもう少し冷えひえした感じが欲しく考えすぎる処もあります。しかし高音弦のひっぱる処や遅くテーマが流れる処は中々聴かせます。演奏タイムは@11’00A10’13B5’32C12’43となり元々ふっくらした感性を持ち合わせているアシュケナージの味わいは保っています。1981年録音の交響曲第4番(タイム@9’38A4’32B9’23C9’13)はシベリウスの作曲方向を示した傑作と言われているものでその内省的深淵の静けさをどう表現するかで演奏が決まってくるものです。アシュケナーシ゛は余分な物をカットしたモノトーン的というよりやや水彩画的イメージで曲を進めそれはそれで私には他のシベリウス交響曲演奏より分り易くはありました。第1楽章チェロ誘導の低音弦からスタートしシベリウス独特の世界へ透き通った交替管弦で導きます。第2楽章は明るい踊るような管がスタートを切り暫くして癖のある動機で雰囲気が一転、やや中途半端な終わり方が面白いです。第3楽章は今度は弦中心に進み終わりは静かにテーマをばらまきながら終わる絶妙さは上手い! 最終楽章活発な弦の遣り取りから次第にあの第5交響曲にも現れたような焦らす弦の過程があり次第に静寂の中に曲が閉じられます。アシュケナージの真面目さが出た演奏かと聴きました。最後になりましたが有名な第2番について、アシュケナージ・・・本演奏録音時推定42歳・・・は本盤PHO演奏(タイム@10’32A14’54B6’16C14’25)を1979年録音をしています。彼のこの曲については1992年BSOとの盤(同@10’20A14’35B5’58C13’59)や更に直近ではRSPOとの2006年収録盤(同@10’21A14’02B6’18C14’03)があり段々とその語り口は上手くなって来ているようです。有名曲だけに関連盤タイムをメモしました。このメモのようにタイム的には彼自身ではそんなにブレが無く演奏表情に変化というか指揮練達の程が示されていっているようです。大体北欧系の音楽に強いイギリスオーケストラで中でも特に対応力の強いPHOなので指揮活動開始のアシュケナージの意図の汲み取りも見事で第1楽章の自然描写とも言える楽章を進めております。テンポを適当に揺らせながら「間」も大事にして行きます。続く楽章の管楽器のバランス良さそして後半楽章やや前のめりながら流れるようにクライマックスに突入して行く様はこの全集への意気込みを伝える様で手練手管の演奏ではないけれど好感が持てました。なお、以上これら交響曲については2006年中心にRSPOと再録がなされています。管弦楽曲については簡単にメモしておきますね。1981年録音のフィンランディア(7’56)は比較的テンポ速く曲進めが行なわれて時にはせわしさも覚えます。所謂劇的要素は薄い感じですが最後はティンパニーを効果的に使って収支が合うようでした。1985年録音のカレワラ組曲は最初の間奏曲(3’52)はピンと来ませんが続くバラード(8’21)のしんみりさと入れ込む情感のたっぷりさと「間」の絶妙さが素晴らしく続く行進曲(4’38)の爽快さも印象的。素晴らしい盤と総括しておきますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2010/05/03

    アシュケナージと言えばラフマニノフ、ショパン、モーツアルトのピアノ弾きから指揮活動を本格的に始めて約30年過ぎたわけですが昨今の個性強きより若い世代の指揮者群の台頭でどうも彼の印象が薄くなったのも否めません。シベリウスの交響曲の録音をPHOを振って取り上げだしたのもその本格的指揮活動を開始した頃からのスタートです。各曲簡単に見てみましょう。第1番(1984年録音)ではその出だし第1楽章何か情的だったのがいつの間にかやや散漫に何もかも盛り込み過ぎた感がします、終わりの方の管楽器、ティンパニーの扱いは印象的。第2楽章私の聴き違いか一部瞬間弦の勇み足?があるものの燃えつかないジレンマも抱え一方室内楽的美しさを見せます。リズミカルな第3楽章、ティンパニーの思い切った扱いや管楽器の粘りに前二楽章には薄かった民族的雰囲気を湛えます。最終楽章はもう少し冷えひえした感じが欲しく考えすぎる処もあります。しかし高音弦のひっぱる処や遅くテーマが流れる処は中々聴かせます。演奏タイムは@11’00A10’13B5’32C12’43となり元々ふっくらした感性を持ち合わせているアシュケナージの味わいは保っています。1981年録音の交響曲第4番(タイム@9’38A4’32B9’23C9’13)はシベリウスの作曲方向を示した傑作と言われているものでその内省的深淵の静けさをどう表現するかで演奏が決まってくるものです。アシュケナーシ゛は余分な物をカットしたモノトーン的というよりやや水彩画的イメージで曲を進めそれはそれで私には他のシベリウス交響曲演奏より分り易くはありました。第1楽章チェロ誘導の低音弦からスタートしシベリウス独特の世界へ透き通った交替管弦で導きます。第2楽章は明るい踊るような管がスタートを切り暫くして癖のある動機で雰囲気が一転、やや中途半端な終わり方が面白いです。第3楽章は今度は弦中心に進み終わりは静かにテーマをばらまきながら終わる絶妙さは上手い! 最終楽章活発な弦の遣り取りから次第にあの第5交響曲にも現れたような焦らす弦の過程があり次第に静寂の中に曲が閉じられます。アシュケナージの真面目さが出た演奏かと聴きました。次に1980年収録の交響曲第5番です。演奏タイムとしては@13’09A9’26B8’49で・・・。第1楽章出だし直接のティンパニーに含みがないものの鮮やかさが印象的です。後半焦らせる弦の吹雪模様と厚いアンサンブルなどで色んな仕掛けがなされ鳴らしを頑張り過ぎる為?主線が隠れて浮かんで来ない傾向があります。第2楽章も暫くただ鳴っているだけが終わりの方の大きな波のウネリで謳いあげてはいますが情感の伴いが不徹底。最終楽章で又ティンパニーを活かし最後主題を大きな息遣いで土俗的ではなく表現しています。少し全体暑苦しく感じる時もありますが健闘している事はよく分かります。1983年録音の第3番ですがシベリウスの作風が変化し出した頃の作品で自然志向的な感じであります。簡潔にして精妙と解説書にはその特徴をあげており三楽章とこれまた珍しいのでは?・・・。とにかく全体素朴で次々と曲想が奥へ奥へと展開されて行きます。それだけに全体スケール感があり余り聴かれないこの曲をアシャケナージの持ち前の統率力が活き分り易く再現しています。演奏タイムは@10’35A9’27B9’03とほぼ三等分、第1楽章・・・せわしい弦に管が交替で登場、やがてピチカートで一旦おさまり終わりはお決まりの全奏で先のスケール感が出ます。第2楽章はピチカートと管楽器が交差する内親しみ易い民謡風メロディがもの悲しげに管楽器から奏でられその変奏となりアシュケナージの清潔な美的センスが発揮されます。最終楽章短い序奏から力強い管楽器のファンファーレ的なものが続く・・といった具合です。短調の第6番(1984年録音)も有名な第5番と第7番にはさまれそんなに聴くといったものではないのですがアシュケナージは第3番他と同様のアプローチです。演奏タイムは@9’20A5’38B3’49C9’18で第1楽章は冷え冷えした高音弦から思索的に進み(作曲者周辺の親しい人の死の影響が見られます)やがて雄弁にピークに達して行きます。やや散文的な寂しさの第2楽章等を経て充実した活気に満ちる最終楽章に入りますがやっぱり何処か寂しさ・孤独感は消えずじまいであります。1982年録音の第7番・・・演奏タイムは単一楽章扱いの曲なのでトータル22’37なのですがその単一な中にややせわしさがあるもののグッと凝縮した冷たい情熱が迸る熱演かと思います。最後になりましたが有名な第2番について、アシュケナージ・・・本演奏録音時推定42歳・・・は本盤PHO演奏(タイム@10’32A14’54B6’16C14’25)を1979年録音をしています。彼のこの曲については1992年BSOとの盤(同@10’20A14’35B5’58C13’59)や更に直近ではRSPOとの2006年収録盤(同@10’21A14’02B6’18C14’03)があり段々とその語り口は上手くなって来ているようです。有名曲だけに関連盤タイムをメモしました。このメモのようにタイム的には彼自身ではそんなにブレが無く演奏表情に変化というか指揮練達の程が示されていっているようです。大体北欧系の音楽に強いイギリスオーケストラで中でも特に対応力の強いPHOなので指揮活動開始のアシュケナージの意図の汲み取りも見事で第1楽章の自然描写とも言える楽章を進めております。テンポを適当に揺らせながら「間」も大事にして行きます。続く楽章の管楽器のバランス良さそして後半楽章やや前のめりながら流れるようにクライマックスに突入して行く様はこの全集への意気込みを伝える様で手練手管の演奏ではないけれど好感が持てました。なお、以上これら交響曲については2006年中心にRSPOと再録がなされています。管弦楽曲については簡単にメモしておきますね。1981年録音のエン・サガは演奏タイムとしては19’20なのですが比較的分り易い演奏で大きな枠組みをきっちり押えています。終わりの方管楽器の語るような後余韻を残しての低音弦のつぶやきは素晴らしいです。同じく1981年録音のフィンランディア(7’56)は比較的テンポ速く曲進めが行なわれて時にはせわしさも覚えます。所謂劇的要素は薄い感じですが最後はティンパニーを効果的に使って収支が合うようでした。1985年録音のカレワラ組曲は最初の間奏曲(3’52)はピンと来ませんが続くバラード(8’21)のしんみりさと入れ込む情感のたっぷりさと「間」の絶妙さが素晴らしく続く行進曲(4’38)の爽快さも印象的。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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