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2010/05/23
朝比奈隆の指揮するブルックナー交響曲第7番もその演奏盤が数多く残されております。私の手元資料からは以下のとおりであります。・・・1968年日フィル@20’47A22’03B9’34C12’44,1975年大フィル(本盤)@22’49A25’01B9’34C15’23,1976年大フィル@20’50A23’10B9’34C13’10,1983年大フィル@19’59A22’28B9’16C13’31,1992年大フィル@20’58A21’20B8’10C12’42,1992年新日本フィル@22’04A23’53B8’52C13’23,1994年都響@22’21A22’10B9’38C14’53,,1997年都響@23’18A23’55B9’35C14’08,2001年都響@21’39A20’16B8’51C13’59,2001年大フィル@21’18A20’40B8’35C13’21・・・。さて、本盤はその中でも海外演奏旅行ライブ盤、しかもその会場はブルックナー縁りの聖フローリアン寺院マリモアザールで否が応でも注目せざるを得ない盤であります。一連のこの曲の演奏盤でも比較的朝比奈がまだ若い?頃のもので1908年あのカラヤンと同じ年生まれなので1975年本演奏時推定67歳・・・これから益々充実していく頃です。会場の残響を考慮して朝比奈は少しゆっくり目に曲を運んで行きます。管楽器も幾分抑え気味です。第2楽章などハース版使用のため打楽器が排除されているのもある意味結果論的には会場と合った感じがします。独特のやや霧がかった雰囲気の充分時間をかけて前半二楽章が終わり次の第3楽章にかかる前に寺院の午後5時を知らせる鐘がチーン、チーンと遠くで聞こえます。この間約30秒・・・朝比奈はその鐘の鳴り終わりを待ってスケルツォ第3楽章の棒を下ろします。ここでは少し厳しさが加わり決然と進んで行きます。タイム的にはこの楽章は遅さが感じられません。最終楽章は又雰囲気的には戻っておりゆったり感が味わえます。健闘したオーケストラの力不足はあったとしてもそれを補うこの全体の雰囲気は一度聴くべきでしょう。時々寺院の扉らしいものの開閉音とかが入っていますが最後少し余韻を待って静かに始まる拍手もライブらしいです。全体インテンポで進めて後年変化して見せる朝比奈の武骨さとは少し違ったニュアンスの演奏ですが最高かと思います。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)