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Review List of うーつん 

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     2021/01/15

      世界中がコロナに覆われる直前に完成したワールドツアーのライブ録音。これがライブかと疑いたくなるほどの完成度、ライブだからこその緊迫感が加わり、ヒリヒリするほどベートーヴェンが迫ってくる。

      この演奏を聴いていてふと「ベートーヴェンはこれらの曲を果たして聴衆に聴いてもらうつもりで作ったのだろうか」と考えてしまった。あまりにも厳しく、孤高の境地を目指し、一般聴衆の耳に心地よい要素を削ぎ落し隔絶した世界の中に在る気がしたのだ。作曲者にとってこの弦楽四重奏曲とは「心地よく聴いてもらうもの」でなく「自分自身のため、精神世界を分け入るための哲学」ではなかろうかと思ってしまった。少なくとも私はエベーヌSQの演奏でまずそれを想像してしまった。どのレビュアーからもきかれる音の良さと演奏技術はもちろんだが、そこから更にふみ込んで作品の内奥に迫ろうというエベーヌSQの姿勢と意気込みを痛切に感じる。

      私が特に感動したのは7枚目、第15番 Op.132の第3楽章。冒頭から4人の奏者は「(ヴィブラートなど多用し)歌うこと」をせず、教会旋法を使いひたすら瞑想もしくは瞑目して祈るような厳粛な時間を創造する。やがて新たに沸いた力への喜びと感謝を表出させるまでの長い道のりはこの全集の白眉と思っている。よく聴いていると演奏者の息遣いも聞こえてくる。そこに集中する演奏者の気迫を感じ鳥肌が立ってしまう。 おそらく他の演奏と比較すれば特異な演奏になるかもしれないが20分以上の長い祈りと感謝を聴けばエベーヌSQがワールドツアーをしてまで奏し続けた想いと一体になれるのではないだろうか。  このコロナウイルス禍(2020〜2021年、またはもっと?)の現在にこれを聴くと胸が熱く、そして痛くなる。

      他の曲も圧倒的な表現と演奏、そしてスピーカーいっぱいに拡がる豊かな音と強烈な音の圧。  第12番冒頭の荘厳で神々しい重い扉が開かれていくような出だしももっと聴いていくべきだし、第16番の第3楽章の彼岸の音楽もおすすめしたい。大フーガ Op.133に吹き荒れる嵐も体験してほしい… どの曲もおすすめ、いや、おすすめを通り越して「聴くべき」と言っておきたいくらいの全集だと思う。

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     2020/12/28

      1回目とは比較にならぬほど更に深く豊かで自由になった出来ばえ。ここまで大きく変わるとは思わなかったので非常にうれしく思う。楽器の豊潤な響きやまろやかなコクが素直に録られていて聴いていると実に嬉しくなる。

      今年はコロナ禍で彼女のベートーヴェン・ソナタ全集リサイタルも中止になる回もあり、残念な年となってしまった。チケットはとっていたが聴けなかった自分としてはその渇きを癒すに余りあるリリース。

      日本の茶道や芸の世界で「守破離」という言われ方があるそうだが、メジューエワの当全集はまさに守破離の境地ではないだろうか。オーバーなと思われるかもしれないが伝統と楽譜の言いたいことを守りつつ、その殻を破り、さらに高みへと離れていくように思えてならない。

      音に厚みと余裕がある。解釈に見据えるべき点が定まっているからこそ演奏に自負が生まれ、1922年製スタインウェイの楽器演への愛着と相性があるからこそ音の出し方に自信が生まれ結果として堂々とした演奏になっているのではと私は思っている。

      おりしも同じ時期に同じ全集をD.バレンボイムがドイツ・グラモフォンからリリースしている。こちらも愛聴しているが、興味深いことにそれぞれの個性がきちんと出て、それゆえにベートーヴェンのソナタが面白くなっていることも付記しておきたい。バレンボイムのそれは、バレンボイムという大作家がベートーヴェンの一生を大河小説に著したような大きな流れをなしていると思う。ワーグナーの楽劇のごとき大きな流れに聴こえるのもバレンボイムならではと思う。 それに対しメジューエワの当全集はベートーヴェンの一生を追いかけてはいるが、大河小説というよりはその時々の彼の心に浮かんだ思想や人生の「スナップショット」を撮影しているかのよう。いろいろな時期や激動の時代を激動的に生きたベートーヴェンを生々しく、フレッシュな感情表現をもって32枚続けて観る個展に参加しているような印象を持っている。

      どちらが良い、ということではない。それぞれがベートーヴェンの心に近づこうと、それぞれの「視点」でフォーカスを当てているだけ。二つとも収録時期もほぼ同じ、コロナ禍のさなかである。当然思うところがあって収録に向かったであろう。 その「思うところ」への所信表明や、コロナ禍で苦しむ中でその苦難に立ち向かっていこうという気概など、聴く我々へのメッセージが濃密に込められていると思う。そしてベートーヴェンの作品はをういった「気概」や「想い」を付託することができる大きな器である。だからこそバレンボイムも当盤のメジューエワもベートヴェンのピアノ・ソナタ全集収録に臨んだのであろう。 そこに想いを寄せて聴いてみることが「2020年」を体験し、生きてきた我々の課題であり、「その後」について歩いていく励みとなると確信している。

      聴くべき全集です。お勧めします。

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     2020/12/19

      シュタイアーによってディアベッリ変奏曲がこんなにも面白くなるのか、とびっくりさせられた。やりたい放題だが、それがうまく曲の内容にはまっており愉しさ満載のディスクである。

      2020年、某音楽雑誌の中で取り上げられていた記事で興味を持ち、遅ればせながら聴いてみたわけだが楽器の響きのすばらしさと奇想&イマジネーションの限界を行くような愉しさがあふれている。 50の変奏曲集からの抜粋(各作曲家の個性や特徴が出ていて面白い。50の変奏を全部聴けと言われたら疲れるだろうが… )を指慣らしにし、シュタイアー自身の「イントロダクション、あるいは前説」を経てからベートーヴェンに一気になだれ込むというアイディアも奇抜で新鮮。

      実際聴いてみればベートーヴェンが1/50になることを断り、自身だけで変奏曲を書き上げたかが理解できる気がする。彼の頭には変奏曲の一部になるより、主題から変奏を積み上げるべく、湧き上がるアイディアと(1/50に数えられるようなことをしたくない)プライドがあったのだろう。そしてそれにふさわしい大曲となったわけだ。とはいえ、普通に聴いていたら途中で退屈になりそうなところだが、シュタイアーの「演奏技法の変奏」により適度に目を覚まされることになることだろう。「え! 何だこの演奏は!」と思うところは多数。どこにどんな創意があるのかは実際聴かれて頷いてもらえたら何より。

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     2020/12/17

     本物、または真実は虚飾を排したところに存在する。ペレーニの当盤はまさにその一言に尽きると思う。私は正直いってチェロ演奏にも素人だが、この深みと軽みを併せ持った音色、ごく自然に発せられたような響きの清らかさ、包み込まれるような音楽の広がりには感動を通り越して、その音楽に浸ることしかできないでいる。  惹きこまれて感動する、または感心する演奏は多いが、感動を通り越してしまうような演奏はなかなか出会えない。ペレーニの当盤はその希少な体験ができるものとしてお勧めしたい。おそらくチェロに詳しい方、実際に演奏されている方ならばもっと多様な意見が出るのではないだろうか。このディスクをもっと多くの方に知ってもらうためにも、私のつたない感想なぞより、そういった方々にぜひレビューしていただきたい。

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     2020/12/12

      T.アデスとの「冬の旅」に続く「水車屋の娘」。2018年収録のあの盤の続編ゆえ早速聴いたが、期待にたがわぬ濃い内容に満足。内田光子と共演した2番目のディスクでは内田のピアノに触発され(ボストリッジの歌唱に内田が引き込まれていった相乗効果もあろう)、息をすることも憚れるような緊迫したそして劇的な水車屋が展開されていた。そこから比較すれば穏当な表現に聴こえる。しかし今回の水車屋は以前の2回のディスクより「語り」に近い孤独な若者の心象への切りこみがされていると思う。持ち前の美声を多少犠牲にしてでも若者の「変化」を語りつくそうとしているボストリッジの執念を感じてしまう。

       G.ジョンソンとの1回目が若者の繊細さ、内田光子との2回目が激的な心象表現を特徴とすると、S.ジョルジーニとの3回目である当盤は若者の内面に同一化した物語性と、冷徹に若者が「壊れていく」情景を客観的に追跡するような詩の朗読が混在した、いわば矛盾を内包したようなアンバランスな危うさを感じてしまう。そこがこのディスクを聴く醍醐味になっていると考えている。

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     2020/12/04

      コロナ禍で世界中が活動の制限をかけられる中で、その時間をいかに有意義に使うかがとりざたされてきた。そう考えるとバレンボイムの当全集は、その究極の活用となるのだろうか。

      全曲を聴いてきてまず感じたのは「ベートーヴェンの大河小説」。徳川家康や宮本武蔵、坂本龍馬などの数巻〜十数巻におよぶ小説を読むかのようにベートーヴェンの一生を俯瞰したような印象で聴いた。というのもある曲だけとみに力が入った演奏にならず、初期から後期まで(良い意味で)平均的な力で弾きとおしているように思えるのだ。もちろん力が抜けたということではない。有名曲に極度に力を入れすぎず32曲をひとつの塊として各曲に均等に役割とメッセージを持たせているように思えるのだ。小説でもある一部分だけ力が入りすぎていると他が色褪せてつまらなく感じることがある。逆に各時代それぞれの生きざまをきちんと辿るように書いてあると全体を読み通せるのと似ている気がする。

      演奏のスタイルとしては「時代考証第一」の考え方には捉われず、かと言って「往年の巨匠風」のやりたい放題とも距離を置く。神経質に細かくテンポや強弱や揺らしをかけず、自身の道を歩む、1本の太い柱のようなどっしりした安定感をもって、あくまで「バレンボイム節で丹念に語る」といった感想を持った。  ベートーヴェンの交響曲も協奏曲もオペラも室内楽も全て演ったり振ってきた彼だからこそ掴んだ「ベートーヴェンの道程」を一気呵成に、しかし雑にならぬように弾きこんだバレンボイムの「回答」が聴けるディスクだと思う。そこに「ディアベリ変奏曲」が付き、若き日の演奏がオマケで付くのだから恐れ入る。これだけ入って(輸入盤の会員価格で)7000円前後!  STAY HOMEでコロナ禍から身を守るときにこれだけのディスクがあれば困ることはなかろう。 おすすめです。

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     2020/11/02

      再度投稿させてもらいました。


      前のレビュアーのレビューにうなずかされる部分が多く勉強になりました。が、それでも私は第2番の最終楽章でのリピートはあってほしいと考えてます。時間間隔について言うと確かに昔と今では隔たりはあることでしょう。しかし私は時間の問題でリピートが冗長とするより、「シューベルトの心象風景のドラマ」という意味合いでリピートはあってほしいと考えています。


      あくまで個人的な感覚ですが最終楽章次のようなドラマが書かれていると考えています。まず冒頭非常に気軽で楽し気な歌から始まるものの、そこから雲行きが怪しくなり、自分の置かれた境遇への焦りや失意に加えて、病気への、そしてそれがもたらす死への不安や絶望で精神がバラバラに壊れていくような感覚があると思います。第2楽章でも突然舞台が暗転し何かを叫ぶような曲調に変わる場面がありますが、最終楽章ではそれが「再発」し、叫ぶどころか泣き叫び、身もだえ、頭をかきむしるかのような絶望や苦悩や狂気が次々に待ち構えてシューベルトを襲っています。普通であればその絶望の苦しみは一度で終わるべきですが、シューベルトの「闇(死)への恐怖」はそれで終わってはくれません。堕ちても堕ちてもまだ底が見えない、そんな「地獄への転落」を私は感じてしまいます。人によってはシューベルトのある種の作品を「天国的な長さ」と形容します。D944の交響曲であれば納得しますが、この曲に関しては「地獄的な深さ」とでも言ったらよいような恐ろしさが潜んでいる・・・。これが私の感覚です。そして、その恐怖のドラマ(またはその夢)から覚めないうちにその余韻の震えを残す中で孤独を抱えながら奇妙な微笑みを浮かべながら曲が終わっていくように私は感じています。

      A.シフ、塩川悠子、M.ペレーニ(Teldec)や、T.デメンガ、 H.シュネーベルガー、J.E.デーラーら(ECM)のトリオのディスクではリピートがされています。時間的な整合性も一理ありますが、ドラマにはつきものの「非整合性」があると考えています。非整合性があるからこそ、流れが不自然に聴こえることがあると思います。 要するに、時間間隔や流れの整合性をとる方もいるでしょうし、そこに反対する気は全くなく、あくまで「シューベルトが伝えたかったもの、残したかった想い」を従容として受け入れ追体験する意味で聴いてみていただければと思います。逆説的ですが前のレビュアーの意見があったからこそ上記の部分により思いをはせることができたのでありがたく思います。


      蛇足ながら、リピートがないからこのディスクが悪いとは思いません。その感想についてはすでに書いているので繰り返しませんが「聴くべきディスク」なのでおすすめしたいです。そもそも上にあるのは私個人の主張で、それが正しいとは言いません。ただ「こんな聴き方する奴もいるんだ」程度の参考として乱筆ながら述べさせていただきました。。。

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     2020/10/26

      おそらくラトルにしかできないプログラミングではなかろうか。しかも好きな物だけやったが聴衆にはうけなかった、という演奏にならず刺激性と知的好奇心、演奏のダイナミズムの3要素を満たしてくれる内容と思う。

      通常なら後半のストラヴィンスキーがハイライトとなるのだろうが、前半の3つのプログラムの流れが絶妙すぎる。ウェーベルンで厳格に始まり、ベルクで官能の花が開き、リゲティのハンニガンの独唱(ビジュアルも演技?も歌唱もキレッキレで絶品)でクライマックスを迎える。それらを前半でやってのけておいてのストラヴィンスキーなのだから興奮しないわけがない。

      じっくり鑑賞する雰囲気の演奏会ではないが、前述の3要素をもってして良く練られ、しかも聴きごたえ・見ごたえのある一晩の記録としておすすめしたい。

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     2020/10/22

      聴いていてとても幸福な気持ちになれた。大曲であるがゆえ、大きめのオケで力奏し、それに負けないようソロも大きな音やオケから浮き出るような美音を奏でることはしない。このディスクにはその種の心配はない。 ソロが一番良いバランスで音楽を作れるよう(ソロの音が聞こえやすくするためではない、五嶋みどりが作品に向き合う姿勢にふさわしい音作り・音楽作りに徹するため、という意味)、それに相応した大きさのオーケストラ。指揮者がいないのもプラスに働いているのだろうか。

      ベートーヴェンに挑むわけでもなく、無理に合わせようとするのでもない。奇抜なカデンツァで他の演奏と差別化したり、無理やりな変化をつけることで聴衆を驚かせる必要もない。大切なのは等身大で向き合うことでベートーヴェンの歌心に触れていくだけ…そんな雰囲気を私は感じる。

      オケとソロが自己主張をたたかわすことなく、落ち着いたたたずまいの中で幸せな音楽作りがなされていると思う。 五嶋みどり(MIDORI)は美しい音を奏でようとは考えていないと思う。あくまでベートーヴェンが作品に込めた「歌」をヴァイオリンにのせていくだけ、考えていると思う。それ以外の想念が入り込んでおらず、清らかな気持ちで音楽に身を任せることができる。

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     2020/10/20

     ボストリッジにとって2作目のCD。前作(レイフ・オヴェ・アンスネスのピアノ)は伴奏と歌がちぐはぐな感じがしてあまり聴かずにいたが、今回のアデスとのコンビでは間延びした感じがなくむしろ水を得た魚のごとくアデスの伴奏の中を自在に泳いでいる感がある。彼には「冬の旅」に関する著作がありこちらを読んでいた上で入手した。あの中に書き込んでいたもろもろの含蓄や解釈をどのように表現しているかが気になったのだ。歌曲集でありながら語りに近い節回しや叫びに近いような歌唱もあり、かなりドラマティック。さすらい人である主人公の主観的な歌とそれを客観的に眺めて語りによって描写するボストリッジの「一人二役の芝居」のような感覚を持った冬の旅。「おやすみ」からドラマが進み徐々に傷つきボロボロになっていく過程は壮絶。村を離れ彷徨するにつれ人間性も希薄になっていくもののやはり「心」は失えず、人間性と喪失の闇をいったりきたりしつつ、やがて老いたライアー回しに共感と一抹の慰めを感じて幕を閉じる一連のドラマ、人でありながら人でなくなっていくような感じはディスクカバーに描かれたボストリッジの奇妙な肖像に重なっていく。可能なら彼の著作(日本語版は2017年、アルテスパブリッシングより出版)と合わせて読みつつ聴きつつをおすすめしたい。

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     2020/10/14

     アンコール集と言っても他にありがちな「チェロ名曲集」と同じに考えない方がいいです。ロマンチックとか耽美的な要素は少ないから。チェロ名曲集の代表曲「白鳥」も甘さはなく、虚飾を排した歌い方がその好例となっています。外見的な美しさより内面の質に感じ入ることの多いディスクです。チェロが好きな方には示唆あふれる1枚となるはず。

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     2020/10/12

     明晰な音運びと、(録音した教会に由来するのか)豊かな音響でやわらかく包み込んでくれる演奏。「眠りに導く」というコンセプトにしては音楽がクリアで音も前に出すぎるため眠る気持ちに音が勝ってしまっている気もする。まぁ、音はボリュームを調節すればいいわけで、枕元に音源を置くより少し離れた場所からそこはかとなく流れてくるくらいがちょうどよいように思う。照明を落とした湯船につかりながらゆったり聴くのもなかなか良かった(注:湯船で寝てはいけません。寝落ちしないよう各自の責任で十分気を付けてください!)。曲の中ではリストとラッヘンマン、アルカンの曲に惹かれた。あのラッヘンマンでこの優しい調べ…とびっくりした。眠りを愛する人々に向けたやさしさに溢れた愛すべきディスクと思う。眠りに限らず、肩の力を抜いてリラックスしたいときにもおすすめしたい。

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     2020/10/08

      実に味わい深いディスクと感じた。あまり前のめりにならないように落ち着いたバランスと、ゆったりした滋味深いシフのピアノが心に沁み込む感覚を味わいながら、ヴィトマンの彫りの深い豊かなクラリネットの響きがいろどりを加えていく。

      それにしてもヴィトマンのクラリネット、最弱音の表現の素晴らしさに参ってしまった。そっと息を吹きかけただけのような最弱奏の効果が特に際立つディスク。楽器のことはよく分からないが、最弱奏から強奏まで自在に吹き分けていく手練れは他の演奏ではなかなか聴けないと思う。ほんのり息を吹きかけるようなそっとした繊細な音が最晩年のブラームスの心のひだを表すかのよう。音楽の骨格はシフのピアノが盤石の支えとして作られ、そこにヴィトマンのクラリネットが(ヨアヒムのモットーではないが)”自由に、しかし孤独に”歌いあげていく。

      ヴィトマンの「ピアノのための間奏曲」は聴きやすい小品集。私は聴いていて、なんとなくブラームスとヤナーチェクを足して2で割ったような雰囲気に似ているように感じた。個人的なイメージだが「心の迷宮に迷い込んだ」ような不思議なさすらいの感じを持っていると感じた。

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     2020/09/26

     ロマン派が成熟し完熟を迎え、そこから新しい文化の芽が出現してゆく過程の作品が品よく揃えられている。どれも濃厚な色付けはなく、かといって素っ気ないわけでもない。どの曲も「良い趣味」で奏されていると感じた。普通に食べたらこってりしていそうな熟成した(完熟した)素材を、さっぱりと味付けしたコース料理を提供されている感じといったらよいだろうか。ある文化の端境期の室内楽を良質な演奏で愉しみたい方におすすめ。

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     2020/09/21

      受難曲というとキリスト教信者かその文化に詳しい人でないと立ち入れないのでは、と昔は思っていた。だが、人間が永遠に繰り返すであろう弱さや不安そして望みを、イエス・キリストという「仲介者」によって客観的にあぶり出し、エヴァンゲリストによって進行されるドラマと考えると実に示唆あふれる作品なのだと最近は考えている。

      その意味でこの「ヨハネ受難曲」は劇的この上なく「人間の業」を描き出していると思う。折しも、コロナ禍のギリギリの状況で収録されたという当盤はその状況ゆえか高いテンションでドラマが展開していく。 冒頭の「Herr, unser Herrscher, dessen Ruhm」からして、幕が開くなり眼前に悲劇が飛び込んでくるような緊迫感があり、聴き進めるごとに哀しみが積もっていく。「マタイ受難曲」と比して今まであまり聴いてこなかったが、このディスクによってもっと勉強できそうだ。独唱のアリアはそれぞれ登場人物の心境を真摯に描き出して聴き入ってしまうが、私がもっとも惹かれたのは合唱部分。コラールであれ聖書場面であれメッセージが前面に出てきてドラマに没入している。この受難曲が特定の個人でなく、「我々人間たち」のドラマであることを表しているかのようだ。聖書内のストーリーでなく、今の我々にも十分に適用されるドラマなのだろう。

      ちょうど礒山雅氏の遺作「ヨハネ受難曲」(2020年)も読んでおり、これによってもヨハネ受難曲の精髄を学べるので、当盤を「参考ディスク」として聴きながら礒山氏の著作を読み進めることも併せておすすめしてみたい。

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