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TOP > My page > Review List of 風信子
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1 people agree with this review 2018/06/04
もう30年以上も前になるのか 優れた指揮者だったスイトナーを懐かしむ 晩年になって立て続けに録音したブルックナーを久々に聴き直した 不惑を過ぎて完成した第1交響曲はブルックナーの”青春の旅だち”だった 学びに学び充分な筆力を得て機運を読み立ち上がった ワーグナー張りのブラス・セクションが前面に出るシンフォニーは新鮮な輝きを放った 否 そう易々と世間に受け入れられることはないと分かっていた 自然力が入った ブルックナーに限ったことではない ブラームスの1番だって当に喧嘩腰だ やはり中年になってようやく完成した もう交響曲を若書きして成功できる時代は過ぎ去っていた スイトナーはブルックナーのその”若さ”を見事に捉えている 挑戦と自己肯定へ向かう意欲が溢れて逸る心を清新な輝きで表現している 清々しい美しい演奏だ ブルックナー指揮者はいない 向き不向きもない スコアと正面で向き合い愛することができるか否かだ 音楽は常に新しい 朋に知らせよう あなたも如何
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5 people agree with this review 2018/06/03
既に全集を完成し ”第9”のシャラー自身による完成版まで録音してブルックナーは了ったのかと思っていたら ”第3番”の異版が登場した 全集に収録された”第3”はキャラガン校訂の1874年版だった これは後にエーザー版の元になった所謂第二版ではない 前年にワーグナーに献呈した初版の一部修正版である 今回の1890年シャルク版は”第8番”完成後に改訂された第三版をレティヒ社が出版したスコアだ 第三版改訂時に理由は諸説あれどシャルク兄弟が関わって一悶着あったようだ これを後に精査してノヴァーク版が作られ流布する 校訂の翌年レティヒ社が出版する運びになった時肝煎のフランツ・シャルクの意が大きく反映されたことが分かっている しかしハースやノヴァークの校訂譜が出るまではこのシャルク版がスタンダードとして演奏に用いられていた 逆に現在ではほとんど聞かれなくなった それを敢えてか否か知らないがシャラーは世に問おうというのだ さて聴いてみれば これはこれで立派なブルックナーに成っている わたしは面白く聴いた さてあなたは如何
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2 people agree with this review 2018/06/02
ルネッサンス晩期(=バロック初期)の歌をコルネットで吹く コルネットといってもピストン式の金管楽器ではない 管は木製でマウスピースに唇を当てて吹奏するから 音色は発音形態からも金管楽器と言える ただ演奏は至難で音量が少なく バロック期の木管楽器・金管楽器の発達に伍していけなかった リコーダーのように七つの音孔を持つから自然倍音以外の音が演奏可能であり音階的なフレーズも十分にこなす ここではオルガンやヴィオラ・ダ・ガンバそしてハープの伴奏を伴ってブルース・ディッキーが見事な演奏を展開する 録音ということもあり音量の脆弱さやバランスの不均衡は解消されている 時代の趣味を反映して華麗な装飾音が随所に散りばめられている 音色を愉しむも好し アンサンブルに身をまかせるも好し 手仕事の供に聞くとも無しに聞くも好く 孰れにしても改まって面と向かい鑑賞するような音楽ではないような気がする ここにはロマン主義や表現主義は萌芽の前兆すらない わたしはただコルネット(ツィンク)の音色が好きなだけだ
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ダンス・ミュージックの人ヨハン・シュトラウスを歌う音楽にすると切ない 胸だけでなく全身がむずむずし出す 疼きではない快感に痺れそうだ 男声六重唱キングス・シンガースの美声と技巧とウィットに魅せられ参ってしまう ワルツ5曲 ポルカ4曲 オペレッタから3曲 そして”無窮動”の全13曲 本来歌でないものを歌うのだから詞が要る そこに見立てが生まれる 物語というかエピソードを想像(創造)して”ことば”を着けていく ユーモアはキングス・シンガーズにはお手のもの 全く客を飽きさせない アカペラは勿論 半分は簡素な伴奏付きで歌われる クラリネット ギター コントラバスだけだが実に効果的に生かされている 毎度のことだが愉しいひと時が手に入った 贅沢なことだ あなたも如何
3 people agree with this review 2018/06/01
六年前に出版されるも誰も触れようとしない ヴィットはポーランドから出ない人なものだから巷間で話題にもならない 名前や顔を売って宣伝されるタレントでマーケットは賄われているのだろう 知識人も大衆もヴィットになど関わらずに時計は回っている 本当に残念なことだ 美しい花が咲いても それが野や道端であれば雑草として気にも留めない そこに今生命の輝きがあるのに 永遠にはない消え去る美があるのに見過ごすなんてわたしにはできない 踏みつけられないだけ有難いと思えというのか そういう心は音楽を日々糧としている人間にはない そうした人は力や金に目の色を変えて生きているのだろうか 貧しいブラームスが若い時に書きかけながら自信もなく弛んでいた曲 後年母の死によって発起して完成した曲 半分だけの初演にこぎ着けたものの不評に晒された曲 24歳で書き始めて36歳で全曲初演に至るまで12年間を費やした苦心の作 雑草のように痛みを知る者が書いたレクイエムは優しい心に満ちている あなたも如何
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1 people agree with this review 2018/06/01
エルガーの人生が見えたようではないか それはエルガー独りを超えてわたしたちひとり一人の日常と重なる 果ては人間というものの証明でもある エルガーが暮らしたウスターの大聖堂での全曲演奏が素晴らしい 堂内の採光が移り変わっていくのも好ましい A.デイヴィス&BBC響の共感と愛に満ちた演奏に胸打たれる 音楽の流れを損なわないBBCのカメラワークも手伝って情感を醸す 後半A.デイヴィスがナレーションを務める楽曲解説がまた素晴らしい 要所を外さない構成に引き込まれる イメージ映像には好悪の別も出るがそう気を削ぐこともないだろう 日本語字幕はないが英語字幕で補いながら見た 必要に足る理解はできるだろう あなたも如何
0 people agree with this review 2018/05/31
プロコフィエフのピアノ・ソナタに♯の調を掲げているものはない ここにあるのは♭3つと4つのハ短調とへ短調そして何もないイ短調 このイ短調”第3番”はVol.3の仲間に入るべきだったが 単一楽章の縁で”第1番”と並んだ 伝統的なソナタの形に問題提起をしたのはベートーヴェンだ 最後の3つのソナタが未来へ光を放っていた プロコフィエフも単一楽章を持ってソナタと名乗るには アバンギャルドとは一つ立ち位置は違うが 彼の内的欲求から発した意思と決意があったものと思う やはり立ち向かう音楽になっている しかしそれだけでは表出しきれない”自分”にも気づいたのだろう 多楽章へ転換して行く グレムザーの明晰な演奏が聴ける だがこのディスクの真の聞き物は”ロメオとジュリエット”だ わずか10曲で構成されているが充足している さらにプロコフィエフの音楽の骨格が見える透視図法を覗く愉しみは他では得られない お聴きとは思うが あなたも如何
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プロコフィエフの”ハ長調”を初めて知った 16年も前の演奏録音を初めてはないだろう と誰もが訝しむ 何しろ縁がなかった まずピアニスト全般と肌が合わない 自ずとピアノ曲と疎遠になる プロコフィエフのピアノ・ソナタ全曲を聴いたことはあるにも拘わらず印象に残っていない 何を血迷ったか”積ん読棚”にこれがあったのだ 聴いて驚いた 20世紀に堂々と”ハ長調”で二曲もソナタを書いている ”イ短調”も含めると9曲中4曲(no.3,5,6&9)が♯も♭もつかない 無調や複調が横行した世紀に調性音楽の基本調で創作が可能なのだと見せつける ここで聴く”第5番”と”第9番”の清明で簡潔なソノリティに魅入られてしまった クロマティックな処理もほとんど見られないのに単調になったり倦怠を催させる風もない プロコフィエフの真価はここにある 古典交響曲と青春交響曲を書いたプロコフィエフがここにいる 夏の薄明(夕暮れと夜明け)に聴きたくなる音楽 色のイメージは灰と緑 さてあなたは如何かな
1 people agree with this review 2018/05/29
これは素晴らしい 先日ウィスペルウェイのバッハ無伴奏組曲を聴き直して途中で止めた 表現に歌おうとする意思が浮き出てきて嫌になった もうバッハにはそぐわない奏者になったのが悲しかった グァダニーニを弾くようになって変質した あの無名のバロックチェロをこそ朋としていた頃が好かった と言うわけで縁が薄れかけていたウィウペルエェイのディスクを”積んどく棚”に見つけて驚いた シューベルト! の名に惹かれて求めていたようだ シューベルトにチェロ曲はないに等しいから 他楽器の曲をチェロで弾くと言うもの Vnの曲”幻想曲”と”ソナチネ第3番”だ これは今のウィスペルウェイに相応しいなと思わせる快演爽演だ 古くからの相棒ジャコメッティも快調 大いに愉しめた ブラームスの”クラリネット・ソナタ=ヴィオラ・ソナタ第2番”が聴けたのも嬉しかった 途中レーガーの無伴奏の断章が挟まるのも面白い ここではウィスペルウェイの技量がいかに高いかを知る さてチェリスト一匹これからどちらへ
2 people agree with this review 2018/05/29
怖るべき空間表現に舌を巻く それはバルトークの作曲技法であり またこの演奏と録音を指す ”2つの肖像”だと思ったものが”第1Vnコンチェルトだった その第1楽章の冒頭から聴き入ってしまう オーケストラがソロVnと比肩する雄弁さで絡んでくる様は壮大な宇宙を行く星々の航跡が描く綾模様のようで それはそれは目眩がするほど美しい 表現主義を跨いで主情横溢どころか心の深奥の繊細な影まで抒情する趣きなのだ 民族性も超現実性も霧消して無感情な機械の体が滔々と語り出した無際限に自由な言葉のようだ 何ものにも囚われない新しい情緒と存在の意味を告げているように新鮮だ 麻薬のような演奏とも言える 聴き出したら止められない また聴かずにはいられない音楽と演奏がここにある 永遠に古びずまた祭り上げられない実存がある こいつ何を言っているんだと思ったあなた 如何
1 people agree with this review 2018/05/28
WARNER CLASSICSのinsp!rationシリーズはわたしの大のお気に入りだ 録音から随分と時間を経たがまだまだ新鮮な感動を失っていない演奏を編集して極めて安価に提供してくれる ここではバーンスタインのミュージカルとバレエから代表曲を届けてくれた 一曲目「ウエストサイド・ストーリー」〜”シンフォニック・ダンス”から惹きつけられてしまう デ・ワールト&ミネソタO.の決然とした歌い回しとサウンドの魅力にゾクゾクするほどだ 続く”オン・ザ・タウン”のジャズ色の強さも生きがいい 後半はリットン&ボーンマスSOに交代して”ファンシー・フリー” 節約された音数と音色でミニマムな構図を描いていく 最後は”キャンディード”序曲 最もメロディックで引き締まった構成を持つクラシックだ 作曲家バーンスタインの魅力は何と言ってもミュージカルにあると告げている いつまでも愛される音楽を残して去った人の笑顔を思い出さずにいられない あなたも如何
2 people agree with this review 2018/05/27
1830年の宗教改革300年祭に演奏するために書いた第5交響曲(実際は14番目の交響曲)は第一楽章に”ドレスデン・アーメン”の主題が 第四楽章にルターのコラール”我らが神は固き砦”の主題が用いられているのは有名な話だ 今回宗教改革500年祭に演奏するために原曲の歌詞を交響曲に当てはめて歌ったのがこの演奏 第三楽章には詩篇”我らが神は難を避ける場”が歌われている 指揮はゲヴァントハウスChoの常任マイヤー オーケストラは宗教音楽が専門のカメラータ・リプシエンシスで両者の息も揃って 実に闊達な演奏を繰り広げている わたしには馴染みのないゲーゼの第3シンフォニーも聴けて愉しめた 一体に早めのテンポでサクサクと音楽を進めていくが美しい響きが耳に心地よい 五月の風に吹かれる爽やかさにも似て心が軽くなるようだ あなたも如何
0 people agree with this review 2018/05/26
第一交響曲の美しさに耳が洗われるようだ 既に12曲の弦楽交響曲を書きながらそのどれをも”第1番”として発表しなかったメンデルスゾーンが13番目に書いた交響曲だ これまでにも管楽器を加える試みはしていたからこれが初めてのフルオーケストラではないが メンデルスゾーンの前に交響曲への道が開けたのだろう ようやく学を志す15歳だった しかし 現代の反応は芳しくない 演奏頻度において第3番以降と比べると雲泥の差がある 勿体無い惜しいを超えて馬鹿げたことだ 第五交響曲は14番目だ まだ21歳だがスタイルは確立して個性豊かに花開いている 完成に手間取ったり出版社の判断で交響曲の番号は作曲順と大きく異なる 1-5-4-2-3番が作曲順だが 3番はずいぶん昔に書き始めているから最後の作品とも言い切れない 何はともあれメンデルスゾーンの交響曲が12曲の弦楽交響曲も含めてもっともっとコンサートで演奏されることを願う ノリントン&シュトゥットガルトRSOの演奏はは素晴らしい あなたも如何
2 people agree with this review 2018/05/25
バロックから始まったピリオド演奏は古典派からロマン派へと拡大して遂に20世紀のラヴェルやストラヴィンスキーにまで及んだ しかし”カルミナ・ブラーナ”とは盲点を突かれたようだ 下になっている詩歌がルネッサンス以前の俗謡であれば 原点回帰の色彩を帯びてくるではないか インマゼールとアニマ・エテルナそしてコレギウム・ヴォカーレには母の胎内で聞いていた律動と歌のごとき懐かしさを感じるのではないか 蓋しここに聴くカルミナ・ブラーナには不思議な大らかさと安堵感のような風が流れている 世に多く聞くグロテスクで歪をアクセントにしたカルミナ・ブラーナがここにはない 終始広がる大地と見晴るかす天空に抱かれた人間の人生謳歌が聴こえている 大きな口が歌いかけ合い喜びに輝く瞳が見つめ合う 鼻の奥がツンとした 皆と生きる歓びが溢れ出す 朋よこれがカルミナだ あなたも如何
0 people agree with this review 2018/05/25
新緑の中を駆け抜ける風情 それも晨に夕べに 夜に昼に ひねもす変転する光のグラデーションを身にまといあるいは切り裂き疾走する音楽は語らいの場でも精神は走っている 時は見せ掛けのスケールであっても生命の燃焼は転換の印 生きることは走ることあるいは歩くこと 感じる心は止まらない 動く実感がなくなることを死と呼ぶのだろう たとえ屍となっても変転している この世にあるものは止まることを知らない 感じて走り出した時わたしたちは生命を意識する だが万物流転の真実は厳然とあり わたしたちもその一要素であり 転がされ今を生かされている 不思議な演奏だ 音楽を超えて生きていることを実感させられる ピアノ・トリオという現在の楽器文化の中で究極にして完璧な合奏体は無限に想像を刺激する 自由な精神と共和の矜持を保つさすらい人たちに敬愛を あなたも如何
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