1 people agree with this review
　2013/04/22

８０年代のＣＤを聞いてきたので、ＬＰ初出ミックスを今回初めて聴いた。これほど別モノとは思ってなかった。
とにかく最初のＬＰのミックスが圧倒的に素晴らしいです。

２０１０年最新リミックスは以前のものよりずっとよいが、いいとか悪いの問題じゃなくて最初から「７４年オリジナル」以外いらないじゃん、と思う。

「チューブラー・べルズ」の後にすぐこれを作る才能が怖い。
そういえば昔のリミックスは「チューブラー・べルズ」と似ないように変えてあったけど、オリジナルは構成がとても似ているのが分かる。

遠い過去からの時間の流れを感じさせる次作「オマドーン」に対して、「ハージェスト・リッジ」は空間の広がりを感じる。
少年の日の夏休みの思い出のように、ひたすらナイーブで憧れに満ちた世界が胸の奥にどこまでもどこまでも広がる。

「呪文」でもう一度空間表現に挑むときに、この青春のセンチメンタルはもうない。
どれほどマイクが天才でも青春はやはり人生一度きりだ。

まさにその生涯一度のハートの痙攣のような身振りが、オリジナルにはこれっきゃないほどはっきり刻印されているのに、最新リミックスではすっかり失われる。

ちょっとお高いですが最初のミックスとそれ以外はあまりに別物なので、安く済ませようという誘惑に負けないでデラックス・エディションがお薦めです。

もちろん傑作です。