1 people agree with this review




2010/05/10
満身創痍の岩城宏之とNHKSOが2004年の大晦日ベートーヴェン交響曲全九曲を連続演奏した所謂マラソンコンサート(CDもあります、運命交響曲だけタイムを書いておきますと@7’37A9’25B4’55C9’08)は当時話題になったのですが彼のベートーヴェン交響曲の録音盤は意外と少なく若い頃1966年「未完成」交響曲とセットの「運命」交響曲録音盤(タイム@7’41A9’51B5’01C8’57)、2002年OEKを振っての第5,7番交響曲(運命タイム@7’21A8’45B4’52C8’37)そして本盤1968〜1969年セッション録音の交響曲全曲集であります。まだ岩城(岩城自身は第8番が好きな様でした)が36〜37歳の血気盛んな頃、私などもTVでNHKSOと言えば岩城の指揮と結びつけて観ていた頃の録音です。日本のオーケストラという気持ちで聴くためかどうしても値引きして考えてしまい今聴くと経年録音のせいもあり時にはその薄さが気にかかりはしますがドイツ風のどっしりした、しかし指揮者も若いのかキビキビした演奏が当時の演奏レベルに連動し懐かしく思いました。全体に意外と流麗な演奏部分もあるものの正直一本調子な処からの「飽き」も否定出来ません、しかしこれらの演奏記録は岩城/NHKSOが私たちと生きた証しのような存在で確かに老練大指揮者によるこれ以上の深い演奏や刺激的な演奏そして最近トレンディの古楽器、古奏法によるもの等々多々他にありはしても左記の「証し」には決して成り得ないのであり大事にしておきたいアルバムです。録音会場が都内の我々関西人も知っているホールで親近感がわきリハーサル風景CD(第4,8,9番トータルタイム39’00)も雰囲気をよく伝えております。1968年年末録音の第九の第4楽章歌唱部などは楷書風に終始しスケール感は今ひとつですがそれはそれとして独唱者陣の各名前も今となっては大変懐かしい面々であります。演奏は私の個人的好みからすれば奇数番曲が何となく合っているようですが聴く側の気持ち次第でしょう。打楽器出身の岩城らしくティンパニーの扱いは中々冴えてハッとさせる場合が多くどうしても耳をそばだててしまいます。偶数番曲「田園」交響曲の嵐の楽章や第九の第2楽章なども聴き応えあります。全体的には演奏タイムは一部の曲を除いて各曲やや全体短めなのかなぁというイメージですが逐次他の演奏と比較したわけではありません。参考までに各曲のタイムをメモしておきます。第1番@9’15A6’17B3’33C5’50,第2番@9’55A10’45B3’52C8’45,第3番@14’05A15’58B5’49C1146,第4番@9’38A9’28B6’10C5’36,第5番@7’23A8’55B4’56C8’26,第6番@9’27A11’46B3’13C4’05D9’26,第7番@12’00A8’16B7’25C6’54,第8番@9’55A3’56B5’43C7’47,第9番@15’44A10’42B14’47C23’48であります。我々の世代には素晴らしいアルバムと言えましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)