『ele-king』『remix』でシーンをリードしてきた著者による音楽時評集。
『EYESCREAM』誌のコラムより2004年から2010年夏までの連載分を収録。
「ムーヴメントなき時代」であったゼロ年代の音楽シーンの様々な様相を描き出す。
●序文 「だいいち小説なんかじゃ踊れない」・・・
●Part1
パンク・バンドが通俗的なディスコをカヴァーするとき――!!!『ラウデン・アップ・ナウ』は素晴らしい
私には、あんたをぶっぱなす爆弾がある――M.I.A.登場!
「それらは残酷な人生を送っている人たちによる日常生活の年代記なのよ」と彼女は語った――バイリ・ファンクの時代
音楽が時代への反抗心を内包するものであり、少数派の意見を反映するものであること――コールドカット『サウンド・ミラーズ』の挑戦
それが毎週末さまざまな場所で繰り返されるとなると、週末その街の繁華街から若者が消えてしまうのである。――ニュー・レイヴなるトレンド
夏だ、「それは究極のバカ騒ぎよ」、MCのマリナは語っている。——リオのホンヂ・ドー・ホレに注目
僕は夜が来るのを待つ。夏の終わりを待つ。外が暗くなるのを待つ――ダブステップのネクスト・ステップ
彼はいま、なんとしてでも人生を誉めてみたかったのだろう──ザ・ストリーツの最後から二番目の新作について
彼のなかの“彼女”が歌うとき――アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズを聴け
もしもパンクがなかったら……――ザ・キング・ブルースは素晴らしい!
それは大胆で口汚く、淫らでバカなスリム・シェイディを演じた彼にしては弱々しい言葉に思える――エミネムのカムバック作『リラプス』
・・・ほか
●Part2
「だけどさ、嘘でもいいからメール欲しいよな? 嘘でもいいからメールをくれよ」――こだま和文『In The Studio』
公園通りには「チケット、売ってください」などと書かれたプラカードを持った若いファンが何人もいた。――フィッシュマンズの七年ぶりのライヴ
彼らは一日を楽しく生きるために、くだらない冗談を言い合い、熱く語り、笑い、そして大声で歌う――泉谷しげるとギターウルフ
こんなご時世、信じるに値するのは愛の悦楽のみ――曽我部恵一『ラヴ・シティ』を聴きながら
世のなかはもう変わらないと諦めてしまっては、人は家畜みたいになってしまう――一九八〇年からのロックンロール・ショー
彼はバースデー・パーティのソニーズ・バーニング≠「坊やは燃えている」と歌った――石野卓球とWIRE
この夏が終わったとしても……――やけのはらの『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』
・・・ほか
●Part3
「奴らを殺せ/おかまは死ななければならない/奴らの頭を撃ち抜け/おまえらも連中には死んで欲しいだろ」――ダンスホールとゲイ差別
ブラジルの生んだフットボールの王様は、現役時代に五百曲以上の曲を書いているというのだ――ペレ『ジンガ』
その場にいた二百人は明日が月曜日であることを考えもせずに、雄叫びをあげ、激しく踊った――デリック・メイが静岡にやって来た!
遅刻したかのように私たちは駆け込む、秘密のレイヴ、内緒にしておいて、よろしくね――一九九二年のレイヴ・カルチャー
ぶっ飛んだままトイレに入って、山状に盛り上がった大便の海に財布を落とし、そしてどうしたと思う?――グラストンベリー・フェスティヴァルの思い出
悲しい日なのに、そのとんでもない状況にみんなから微笑みがこぼれた――渋谷のシスコ閉店
それもまた、スマイリーをめぐる冒険のアイロニカルな通過点だった――再刊されたコミック『ウォッチメン』を読みながら
・・・ほか
●Part4
狂人ではなく、人はそれを何故並はずれた感受性≠ニ言えなかったのだろう――シド・バレットに捧ぐ
音楽は現世的な愉楽、幸福、微笑みの化け皮をひっぺがす力を持っている――ロバート・ワイアット『コミックオペラ』、ゆらゆら帝国『空洞です』、七尾旅人『911FANTASIA』
セックス・ピストルズにもザ・クラッシュにも言うことができなかったメッセージを彼女は言った――初来日したザ・スリッツ
激しく燃え尽きるように、狂気を友としながら十代を生き急いだその人生に――シド・ヴィシャス三〇回忌
彼女たちはショービジネスの世界で女性がありのままの普通でいることが、どれだけ異様に見えるかを証明した――ザ・レインコーツの初来日
・・・ほか
●後書きにかえて
■著者プロフィール
野田努
静岡市生まれ。著書に『ブラック・マシン・ミュージック』『ジャンク・ファンク・パンク』『ロッカーズ・ノー・クラッカーズ』。石野卓球との共著に『テクノボン』、編著に『クラブ・ミュージックの文化誌』、『ゼロ年代の音楽――壊れた10年』、『ゼロ年代の音楽 ――ビッチフォーク編』など。2009年11月より、DUMMUNE傘下のウェブ・マガジン、ele-king編集長。
ゼロ年代後半、「ムーヴメントなき時代」の音楽シーンのレポート。
目次 : 序文 「だいいち小説なんかじゃ踊れない」/ !!!『ラウデン・アップ・ナウ』は素晴らしい/ グライムという新しいムーヴメント/ LCDサウンドシステムの快進撃/ 来日したマッド・マイクとUR/ M.I.A.登場!/ 拡大するレゲトン・ブーム/ フリー・フォークなる新しいアンダーグラウンド/ バイリ・ファンクの時代/ コールドカット『サウンド・ミラーズ』の挑戦〔ほか〕
【著者紹介】
野田努 : 静岡市生まれ。2009年11月より、DOMMUNE傘下のウェブ・マガジン、ele‐king編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(「BOOK」データベースより)