生誕200周年にふさわしい充実解釈の歌曲全集、クリストヤニス&コーエンの快挙!
1822年12月10日、当時オランダ領だったフランス語圏ベルギーの大都市リエージュで生まれ、後年フランスに渡り1890年に亡くなるまで、同国の近代音楽の躍進に大きく貢献したセザール・フランク。天才児としてデビューし音楽家としての活動歴も長く作品も多岐にわたりながら、作曲家としての業績はごく限られた後期の管弦楽曲や合唱曲の他、彼自身が得意としたオルガン音楽の数々とヴァイオリン・ソナタ以外はなかなか顧みられる機会に恵まれません。
生誕200周年となる2022年はその再評価の絶好の機会と言えるでしょう。生涯にわたり作曲し続けた歌曲の全てを、磨き抜かれた演奏解釈で味わえる「Bru Zane」レーベルの新録音は、まさに時宜を得た待望のリリースと言ってよい内容。演奏は近現代音楽と歌曲伴奏で敏腕を発揮してきたピアニストのジェフ・コーエンと共に、有名・無名にかかわらず19世紀フランスの重要な作曲家たちの歌曲やオペラを録音しているギリシャ出身の俊才バリトン歌手タシス・クリストヤニス。さらに、7曲ある二重唱曲ではフランス語圏の歌劇界と古楽シーンで圧倒的な存在感を放ち続けるヴェロニク・ジャンスが加わる豪華布陣。原典が消失した『犠牲者たちに』や唯一の手稿譜でのみ伝わる『この地では、人は〜』など珍しい作品も漏らさず収録している点も見逃せません。このレーベルの常通り充実の極みにあるブックレット解説の読み応えもさることながら、複数異稿も参照しつつ隅々まで丁寧な解釈を聴かせるクリストヤニス&コーエンは近年の録音歴からの期待値を満たして余りある頼もしさ。普仏戦争を経てフランスという国が成立してゆく中、ドイツ音楽にも親しんできたフランクがフランス語歌曲という分野に果たした貢献をじっくり聴き確かめられるアルバムです。(輸入元情報)
【収録情報】
フランク:歌曲、二重唱曲全集
Disc1
1. 夕暮れの鐘(1889)
2. 夜想曲(1884)
3. 壊された花瓶(1879)
4. 薔薇と蝶(c.1860)
5. 薔薇の結婚(c.1873)
6. バンガドールの首長(c.1847)
7. ニノン(1851)
8. リート(c.1874)
9. ロビン・グレイ(1843)
10. もしそれが美しい芝生なら(第1作)(1847?)
11. もしそれが美しい芝生なら(第2作)(1857)
12. 愛する(1849)
13. 6つの二重唱曲(1888)
籠編みの歌(第6曲)
守護天使(第1曲)
小さな子らに(第2曲)
飼葉桶に寄り沿う聖母(第3曲)
ロルモンの踊り(第4曲)
太陽(第5曲)
Disc2
14. 天子と幼き子(1846)
15. 過ぎゆくがいい、いつも通り!(c.1860)
16. 回想(1846)
17. 犠牲者たちに(1887)
18. パリ(1870)
19. 祖国(1871)
20. 3人の追放者(1848)
21. この地では、人は夕暮れに天幕を畳む(1847)
22. シルフ(大気の精)(1843)
23. 聖なる行列(1889)
タシス・クリストヤニス(バリトン)
ヴェロニク・ジャンス(ソプラノ:10,13)
エンリーコ・グラツィアーニ(チェロ:22)
ジェフ・コーエン(ピアノ)
録音時期:2021年4月16-19日、10月4-5日
録音場所:ヴェネツィア、パラツェット・ブリュ・ザーネ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)