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「もう一度歩ける」に挑む 救命救急センター「チーム井口」の覚悟

高梨ゆき子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065412190
ISBN 10 : 4065412196
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2025
Japan

Content Description

一年に百数十人、最重症に限っても7年間で94人もの脊髄損傷患者を引き受けた、川越の埼玉医大高度救命救急センター。
その中核となってセンターを率いるのが、井口浩一医師だ。
深夜でも未明でもその電話の呼び出し音は1、2回で鳴りやみ、30分もすれば手術室のドア口に現れる。
「井口先生にはクローンがいる」と言われるほど常に、いつどんなときも手術に対応できるよう準備している。
脊髄損傷は、それまで健康だった人が、ある日突然身体の自由を奪われ、大きな障害の残ることも多い過酷な病気である。患者自身もさることながら、それを介護する家族や周囲の人たちの負担も大きい。
自民党幹事長だった谷垣禎一氏は2016年、多忙な公務の合間に趣味のサイクリングをしていて転倒、政界引退を余儀なくされた。
大相撲の元大関・琴風の尾車親方は2012年に巡業先で転倒し、頚髄を痛める大けがを負った。
ラグビー選手のケガも多い。
練習中や試合でしのぎを削るなかで、脊髄を損傷した高校生、大学生のラグビー部員もいる。
自転車で転倒したり、トランポリンの練習中の落下など、アッと思った瞬間に大きなケガを負ってしまう。
そうした重度の脊髄損傷の治療はきわめて難しい。
リハビリを続けても状況が劇的に改善することがないうえ、生涯車椅子というケースもままある。
この困難な病気に立ち向かう井口医師と、そのチームの信念は、「早く手術すればするほど、予後はよくなる」である。
脊髄損傷が疑われる患者を、ときにはドクターヘリを使って緊急搬送し、6時間以内を目標として早期に手術することで、腫れによる圧迫で起こる「二次損傷」を軽減できる可能性があるという。
ケガによる直接的な打撃である一次損傷は避けられなくても、二次損傷の程度を緩和することによって、予後はかなり良くなるはずだ――。
実際、その成果は現れ始めている。
「脊髄損傷早期治療」に挑む熱き医師たちと、患者に取材を重ねた医療ノンフィクション。

【著者紹介】
高梨ゆき子 : 読売新聞論説委員。1992年、お茶の水女子大学卒業後、読売新聞社入社。山形支局、東京本社社会部、医療部などに勤務。編集委員を経て現職。群馬大学病院の腹腔鏡手術を巡る一連のスクープにより2015年度新聞協会賞受賞。2017年刊行の『大学病院の奈落』(現・講談社文庫)で日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • やすらぎ

    突然の事故、脊髄損傷は不治の病なのか。本当に急性期に手術しても改善しない絶望的な怪我なのか。谷垣禎一、琴風、星野富弘。数多の人々が救命救急に運び込まれる。たとえ、スーパードクターがここにいたとしても、仕組みを変えなければ全国の患者のほとんどは助けられない現実。救急医療に整形外科がいない状況を変え専門医師がリレーするチーム作りが必要である。絶対に見捨てない。僅かな改善だとしても、命だけでなく機能も救いたい。活発な意見が安全性の向上につながっていく。医師の信念に敬服する。読んでよかった。意義深い内容であった。

  • モモ

    交通事故やラグビーなどの事故で脊髄損傷してしまい、首から下が動かくなる恐怖は計り知れない。首の骨を脱臼し、頸椎損傷した完全マヒの患者に脱臼整復・頭を引っ張って、ずれた骨をはめ直したら、全く動かなかった患者の足が少し動き始めたのだ。今までは数日様子を見るだけだった脊髄損傷が数時間の勝負だということが分かった。ただ、できる医師・病院が限られている恐怖がある。井口浩一医師が在籍する川越の埼玉医大高度救命救急センターのような病院が増えてほしい。ちゃんと治療できる病院に脊椎損傷の患者を連れて行ってほしいと切に願う。

  • こっこ

    脊髄損傷、頸髄損傷どちらもある日突然に事故などで受傷となる事がほとんど。その事実を知ったときの衝撃は相当な物で受け入れて難いものだと思う。  そんな患者のために少しでも良くなる未来のために命懸けで手術に取り組む井口先生。本当に強い使命感を持ち実行していく姿は素晴らしい。でも一人では出来ず周りも同じ志を持つことももっと大事なんですね。

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