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柿本人麻呂

高松寿夫

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784305706010
ISBN 10 : 4305706016
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2011
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

日本の歌の歴史に大きな足跡を残した代表的歌人の秀歌を、堪能できるように編んだ初めてのアンソロジー。本書は7世紀末の歌人・柿本人麻呂の歌41首を掲載。作品の性格理解に重点を置いた。

【著者紹介】
高松寿夫 : 1966年長野県上田市生。早稲田大学大学院中退。現在、早稲田大学教授。博士(文学)(早稲田大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ヴェネツィア

    「東の野にかぎろひのたつ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」(このテクストでは「野には炎たつ見えて」)ー中学3年生の時の国語の教科書にあった、この歌が私にとっての人麻呂との出会いであった。なんと雄大な景であることかとの印象は今も変わらない。本書では12首の長歌を収めている。巻1−29「近江荒都歌」や同38「吉野賛歌」などを久しぶりに読むと、長歌の持つ格調とリズムが漢詩文にも通じるものがあるようで、思わず朗誦したくなる。その一方で、これまで愛唱していた巻2−207の挽歌「泣血哀働歌」に対しては、⇒

  • クラムボン

    柿本人麻呂との出会いが梅原猛や井沢元彦の著作だった為に、未だに彼らの持つ強烈な人麻呂のイメージが、幻影として私の心の裡に棲みついている。人麻呂の活躍したのは持統天皇の御世で690年頃からの約10年間。宮廷歌人として公式の行事で歌を詠んでいる。天皇の御世を寿ぐ歌、草壁皇子や高市皇子などの死を悼んだ挽歌、天智朝の都であった近江大津京の荒廃を嘆いた歌など。その天智朝の宮廷歌人であった額田王の歌ぶりと比べると、呪術も言霊の力も信じていないようで、国詠みの歌としては弱い。何やらドライに感じてしまう。

  • はちめ

    読み直してみると、白川静が前期万葉論で指摘していた叙景歌の解釈のあり方について記述があるのに気がついた。叙景歌として解釈するだけでは十分ではないという視点が現代のアカデミズムにもあることが分かってほっとした。 今回心に残ったのは、「葦原の瑞穂の国は言挙げしない」ということ。例外的に相手を誉めるときには言挙げするけど、それ以外は言挙げしないということがこの国の根源的なあり方だと思う。

  • 糸くず

    柿本人麻呂は持統天皇の時代に活躍した歌人である。つまり、彼は壬申の乱の戦中戦後世代にあたる人だった。ゆえに、「古代的呪術の世界から覚醒していた」(佐佐木幸綱)、いや、そうせざるを得なかった。天智天皇が築いた大津宮の荒廃、天智・天武が推し進めた律令体制。神頼みでは解決できない現実と向き合うためには、呪術の世界から一歩外に出て考えることが必要不可欠だった。天皇即位の礼に際して皇居の上空に現れた虹を見てはしゃぐような呪術的感性から距離を置くにはどうすればよいか。「古代人」人麻呂の問題意識はそこにあったのだろう。

  • モリータ

    ◆2011年笠間書院刊。万葉集を少しずつ齧っていく。◆長歌「狭岑島石中死人歌(万葉集・巻二・二二〇)」はリアリズムで、胸を打つものがある。「…波の音の/しげき浜辺を/しき妙の/枕になして/荒床に/ころ伏す君が/家知らば/行きても告げむ/妻知らば/来も問はましを/玉鉾の/道だに知らず/待ちか恋ふらむ/はしき妻らは ◆「天の海に雲の波たち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ」(万葉集・巻七・一〇六八)和語・二拍の名詞による比喩をつめこんでいる。

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