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「ボヴァリー夫人」拾遺

蓮実重彦

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784904702499
ISBN 10 : 4904702492
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2014
Japan

Content Description

文学批評の金字塔『「ボヴァリー夫人」論』の刊行前後の講演および著者による『ボヴァリー夫人』の要約を収める。

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • かんやん

    『「ボヴァリー」夫人論』刊行前後の講演、鼎談、テクスト要約を収める。一冊の小説(任意のものでは絶対にない)を窮め尽したあの大著を読んで、いかに自分が読めていないか、呆れるというか、一種爽快であった。あの本の面白さを語るには具体的に分析を辿ってゆくしかない。それは、拾遺と題された本書も同様で、理論家や哲学者がいかに読めていないのか、読み落としているのか、フィクションのテクスト的現実に基づいて舌鋒鋭く批判してゆく、その小気味よさ。或いは又、室内描写に現れる小道具への徹底的なこだわりに舌を巻く。

  • コニコ@共楽

    映画評論家の蓮実氏が「ボヴァリー夫人」の評論を出していたのを知りました。いくつかの講演と鼎談を掲載したものです。多くの論文批評を分析、原書をくまなく読んだ分析には、難解でしたが、驚かされました。冒頭の「ーフィクションのテクスト的現実について」の中で、エンマがシャルルを模倣し、終わりにはシャルルの方がエンマを反復するという見方には説得力がありました。こうみると、シャルルとエンマの関係性も全然違ったものに思えてきます。語り手についての言及も面白い示唆があり、細部を読み込むことの大事さを感じました。

  • hitotoseno

    「渡部 (……)一人称からはじまって、いつの間にか三人称になるという書き方が、いま、少なからぬ作家たちに共有される。小野正嗣、岡田利規、磯崎憲一郎、藤野可織、柴崎友香、奥泉光、保坂和志。みんな人称を自由に動かして、かなり「融通無碍な」語り手を設定しています。ただし、蓮實さんは、フローベールでそれを「事件」として扱うわけですが、現代作家の場合は、単なる「流行」に近い。描写との葛藤関係がなくて、構造だけが似ている。

  • FA743

    ボヴァリー夫人のような名作は、1回読んだだけでは到底理解できるようなものではないことがよく分かる。何度も読まないとダメだな。かなり詳しく読書メモをしたような体裁の要約が思いのほか役立つ。このなかにヒントが詰まっている。

  • OjohmbonX

    こんな講演、実際に聴講してたらめちゃめちゃ興奮しただろうな。シャルルを反復していたはずのエンマが最後に追い越してシャルルが反復する構造になってるとか、鉄道があるのにあたかもないように振る舞う作品/あたかも自殺などしていないかのように振る舞う村人達といった指摘なんかされたら、いったい自分は「ボヴァリー夫人」の何を読んでたんだ? って呆然とする。以前映画の座談会で著者を見たことあるけど、相当複雑なことも信じられないくらいクリアーに口で語れる人なので、それと合わせても実際に聞いたらものすごい快楽だろうなと思う。

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