Books

「空気」の構造 日本人はなぜ決められないのか

池田信夫

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560082829
ISBN 10 : 4560082820
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

原発事故で再び脚光を浴びることになった「失敗の本質」とは? 日本人を規定してきた「空気」とは? 丸山眞男、山本七平の営為を踏まえ、「日本」を語る新たな地平を模索する渾身の書き下ろし


「空気」という言葉は学術用語ではない。山本七平の使った比喩で、厳密な定義があるわけでもないが、最近でも「空気読め」とかKY(空気を読めない)とか、日常語でもよく使われる。山本は「ムード」とも言い換えているが、「空気」はそういう雰囲気だけではなく、まわりの人々の暗黙の同調圧力をさすことが多い。(第二章「空気」の支配 より)


社員は優秀なのに経営者が無能!?
「空気」をどう読むか―。さまざまな次元の絆/共同性のなかで、われわれ「日本人」は、絶えずこの問題にぶち当たる。会社組織や組合活動は言うまでもない。帝国陸軍のインパール作戦から東電福島第一原発の事故対応に至るまで、いったんこの「空気」の構造が発動すると、そこに待っているのは「思考停止」と組織の崩壊である。
本書は、著名なブロガーで、ブログ論壇「アゴラ」を主宰して財界人や起業家、ビジネスマンに絶大な影響力を誇る池田信夫氏の渾身の書き下ろしである。経済学をベースに生物学や人類学、民俗学の最新の知見を援用しながら、従来の日本論に「空気」という視角でメスを入れてゆく。
日本論というと、徳川の泰平意識と「国学」、バブル経済と「日本的経営」というように、ブームは日本が調子のいい時代に訪れている。本書はこうしたものにとどまらず、丸山眞男、梅棹忠夫、山本七平、『失敗の本質』共同研究、網野善彦、與那覇潤ら、戦後の言説を振り返りながら、低成長下日本の現在を踏まえて展開してゆくのが最大の特長となる。
そもそも「空気」とは何か? また「空気」はいつ、いかなる形で醸成されるのか? そして、そこから脱出することは果たして可能なのか? 閉塞した今を乗り越えるための一冊!


[目次]
はじめに──日本人は特殊か
序章 「空気」が原発を止めた
首相からの突然の「お願い」/玄海原発の失敗/「空気」が法律より重い国


第一章 日本人論の系譜
罪の文化と恥の文化/講座派と労農派/敗戦と悔恨共同体/文明の生態史観/唯物史観と「水利社会」/タテ社会とヨコ社会/人と人の間/安心社会と信頼社会/「水社会」の同調圧力/灌漑農業のボトムアップ構造
日本人の肖像──福沢諭吉


第二章 「空気」の支配
「日本教」の特殊性/自転する組織/日本軍を動かした「空気」/公害反対運動と臨在感/アニミズムから一神教へ/一揆と下克上/動機の純粋性
日本人の肖像──北一輝


第三章 日本人の「古層」
超国家主義の構造/無責任の体系/国体という空気/フィクションとしての制度/つぎつぎになりゆくいきほひ/永遠の今と「世間」/キヨキココロの倫理/「まつりごと」の構造/天皇制というデモクラシー/全員一致とアンチコモンズ/ボトムアップの意思決定/「古層」とポストモダン/近代化なき成長の終わり
日本人の肖像──南方熊楠


第四章 武士のエートス
日本のコモンロー/徳川の平和/自然から作為へ/尊王攘夷の起源/開国のインパクト/惑溺と自尊
日本人の肖像──岸信介


第五章 日本軍の「失敗の本質」
目的なき組織/曖昧な戦略/短期決戦と補給の軽視/縦割りで属人的な組織/心情が戦略に先立つ/心やさしき独裁者/両論併記と非決定/大日本帝国の密教と顕教
日本人の肖像──石原莞爾


第六章 日本的経営の神話
外国人の見た日本企業/日本的経営の黄金時代/勤勉革命の伝統/日本的労使関係の起源/日本企業は町工場の集合体/協力と長期的関係/共有知識としての「空気」/村から会社へ/日本的雇用がデフレを生んだ/年功序列の終焉/グローバル資本主義の試練
日本人の肖像──中内功


第七章 平和のテクノロジー
殺し合う人間/集団淘汰と平等主義/偏狭な利他主義/戦争が国家を生んだ/「無縁」とノマド/飛礫の暴力性/古層と最古層/なぜ「古層」は変わらないのか
日本人の肖像──昭和天皇


第八章 日本型デモクラシーの終わり
空虚な中心/多頭一身の怪物/霞が関のスパゲティ/「政治主導」の幻想/日本型経営者資本主義の挫折/約束を破るメカニズム/セーフティ・ネットが檻になるとき/閉じた社会から開かれた社会へ

人名索引


池田 信夫(いけだ のぶお)
1953年生。東京大学経済学部卒業後、NHKに入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。同局退職後、慶應義塾大学で博士(学術)取得。現在、株式会社アゴラ研究所所長。著書に『電波利権』(新潮新書)、『ハイエク 知識社会の自由主義』(PHP新書)、『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤との共著、PHP研究所)他。





【著者紹介】
池田信夫 : 1953年生。東京大学経済学部卒業後、NHKに入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。同局退職後、慶應義塾大学で博士(学術)取得。現在、株式会社アゴラ研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • mazda

    日本的システムは、平時はうまく進むが、緊急時には指揮命令がうまくいかずに混乱する、ということを、歴史、戦時を紐解きながら説明している。池田氏の話は、実際にセミナーを聞いたこともあるけど、結論に至る議論の部分がどうもはっきりしないというか、その話の流れでどうしてこの結論?、と感じてしまうのは、僕の理解力不足だろうか…?天皇の戦争責任について、いともあっさりと書いてくれてるな、というのが印象に残りました。

  • 金吾

    ○ 山本七平や丸山眞男の日本人論をベースにした日本人論でありよくまとまっていて面白かったです。はじめにを読むと日本人が近代世界において特異な存在であり理解されにくいことがよくわかります。また原発の話(政治家はお願いだけして責任はとらない)は今のコロナ対策と一緒だなと感じました。目的意識がないため「後ろ向き推論」が出来ないや「両論併記と非決定」はまさにその通りだと思いました。

  • ほよじー

    ★★★★決められない日本の政治と、グローバル資本主義の中で大胆な事業再構築のできない日本企業。両者に共通する欠陥は、いずれも中枢機能が弱く、小さな問題は決められるが、利害の対立する大きな問題は決められず、先送りすること。役所も日本企業もタコツボ的な自律性が強い。人々がまわりの空気を読んで行動するため、責任の所在が曖昧で、中枢機能が弱い。平和な時はうまく行くが、有事の時には日本の意思決定の遅さでは犠牲者を増産してしまう。

  • 1.3manen

    役所や企業のタコツボ(10頁)。コーポレートカルチャーなのだろうが。日本人論の古典を丁寧に解きほぐしながら、日本人の国民性、精神性を解明しようとされる。水利システムのピラミッド型構造(49頁)。共同体のトップダウン的な感じを受ける。それが、国の中央集権型命令系統につながっていったのだろうか? だが、一揆と下剋上があったではないか(70頁)。これは下から上へのボトムアップで反発する庶民の姿が垣間見える。無責任構造が温存している歴史は恥部ではないか。TPPで日本社会は原発事故と同様、取り返しがつかないと思う。

  • ジョンノレン

    丸山眞男を始めとする彼我の日本人論を軸に、日本独特の「空気」が支配する社会が如何に形成されて来たかを思想や社会・権力構造を踏まえ、しっかり深掘りして解き明かしてくれる。 しかしながら著者は、日本は困難な問題は意思決定を先送りし、両論併記でお茶を濁すと批判し、「空気」を否定的に述べるのみで、改善策は尻つぼみ。 個人的には日本人が今も同調圧力に弱かったり、長いものに巻かれ易いのは、教育の要素が大きい様な気がしている。小学校から相変わらずの画一教育。攻守交代ディベートの時間導入等で自己発見と思考力醸成が必要だ。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items

この商品が登録されてる公開中の欲しい物リスト