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あの夏の日が、消えたとしても 集英社オレンジ文庫

櫻いいよ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784086805636
ISBN 10 : 4086805634
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「千鶴のことが好きだよ」。夏休み直前、海で花火をした日に、高2の千鶴は律に告白される。けれど、一年前、千鶴は律に振られていた。実は、律は、その日の記憶を失っていて――!? 一方、千鶴と同級生の華美は、海が見えるビルの屋上で月村と出会う。過干渉な母親と過ごしてきた華美と、人の死にトラウマを抱えている月村。毎日会ううちに、お互い、人には話せない痛みを共有する関係に。そして、一年後に花火をする約束を交わすけれど…。
消えた夏の日をめぐる、高校生の恋と青春物語!

(本文より)
思い出の重さは、ひとぞれぞれちがう。
「おれはさ、千鶴のことが好きだよ」
となりにいる律が、あたしをまっすぐに見据えて言った。
――かつて、あたしを振ったことを忘れてしまっているかのように。
遠くで花火が弾ける音がした。砂浜で友だちが花火を楽しんでいる。去年は夏休みのお盆明けだったけれど、今年は夏休みに入る直前で、それでも再現感があるな、と思った。
あたしの気持ちは、去年の夏からなにもかわっていない。
胸にはまだ、律への想いと、去年のあの夏の日の記憶が、痛みが、はっきりと刻まれている。

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • よっち

    1年前、ずっと片想いしていた律に好きな人ができたと振られた千鶴。しかし彼はその期間の記憶を取り戻すこともないまま、夏休み直前の海で花火をした日に告白される青春小説。過干渉な母親と過ごしてきた華美と、人の死にトラウマを抱える月村の運命的な出会い。想いを交わした華美の転校と1年後の再会の約束。直後に階段から落ちて記憶を失い、それを思い出せないまま千鶴と付き合った経緯を思えば、千鶴の複雑な想いも華美のショックも分かる再会でしたけど、でもなるようにしかならない事態にそれぞれが向き合った結末は思いの外良かったです。

  • なみ

    高校生の千鶴は仲の良い男子、律に抱いていた恋心を本人に悟られてしまう。その上、彼女ができたからと振られ、苦い失恋を経験する。 しかし1年後、律の方から告白されて──。 物語の中盤で、ある事実に気づいた瞬間、切なさが一気に押し寄せてきました。 千鶴も律も華美も、他人からは見えない悩みや苦しみを抱えていて、それでも必死で生きて、恋をして。 物語を通して強く成長した姿を見せてくれて本当に良かったです。 苦しいシーンもたくさんありましたが、読み終わったあとに前向きになれる、素敵な1冊です。

  • 栗山いなり

    夏の「記憶」をめぐる3人の高校生の青春物語。レーベルのせいなのか結構胸に迫るビターテイストな物語だった。こういうタイプの青春劇も悪くないよな

  • 色素薄い系

    3人それぞれに抱えているものがあり、それをどこまで相手に打ち明けるのか。律と華美はあの時あの場所あのタイミングであったからこそ惹かれる物があったんだと思うが、その記憶を無くした事で千鶴が好きだと気付くのはまぁ何とも皮肉な話ですね。華美と関わらなければ千鶴の事が好きと気付くのが遅くなっただけかもしれない。千鶴がもう少し早く律にアピールしていれば華美との関係は進展しなかったかもしれない。タイミングを逃すと交わるはずだった相手と交わらず、交わらないはずの相手と交差する事もあるんだなと感じた作品だった。

  • その時の姿を好きになり、その時の姿ではなくなれば違う人なりになるか。青春の日々、その恋心、三者三様の思いがあり、時に揺さぶられ、またある時には切なさを得る。そうした刹那的なものこそが、まさしく青春なのだろう。少し男の子の背景が強引だなあと思うこともないけれども、しかしながらだからこその物語でもあるかな。まあ、まあ。

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