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聖なる家族 ムハンマド一族

森本一夫

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784634474642
ISBN 10 : 4634474646
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2010
Japan

Content Description

「平等の宗教」イスラームの中に厳然と存在してきた「聖なる家族」。今も身近で特別な存在として崇敬される「ムハンマド一族」のあり方をとおして、イスラームという多様性を秘めた宗教伝統にふれる。

【著者紹介】
森本一夫 : 1970年生まれ。東京大学文学部卒業。テヘラン大学人文学部博士課程中退。博士(文学、東京大学)。専攻、イスラーム史、イラン史。現在、東京大学東洋文化研究所准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ゲオルギオ・ハーン

    『ムハンマド一族』というイスラム社会の独特な立場の人々についての研究をまとめた本。預言者の一族と書くと仰々しいが、特権階級というわけでもなく、町の相談役になっている人もいれば物乞いやバスの運転手をしている人もいて、どちらかといえばイスラムの町に必ずいる存在という印象。社会的な機能についてはなかなか掴みづらい。宗教的な面でいえば、彼らは死後天国行きが約束されている聖なる一族なので困っていたら助けてあげると良いとかいう程度でコミュニティの安定剤のような印象を持った。

  • ドウ

    ムスリムたちの中に数多くいるムハンマドの一族を名乗る人々についての概説書。ムハンマド一族を社会的に承認し、体制がお墨付きを与えるようになっていたことと、ムハンマド一族の「社会増」についての章で、本当にムハンマド一族なのかの裁定の際、物証より複数人の証言の方が重視されたことが面白い。ウンマの判断は無謬というハディースのためだったのだろうか。ちなみにこのテーマで研究している人はほぼこの著者だけなので、これを読めば世界最先端の研究が分かる、ということになります(笑)

  • うえ

    ムハンマド一族は「神によって罪という汚れから浄化された人びと…それでも罪を犯したムハンマド一族の者はどうなるのであろうか…たとえ罪を犯したにしても、彼らはあらかじめ赦されており、天国にはいることが約束されているという極端にもみえる議論がしばしば展開された」では現世での処罰は?「ハッド刑の執行はムハンマド一族にたいする「奉仕」であり…彼らが犯す罪が彼らの本性を汚すことはない」「ムハンマド一族の血統の主張はなにも王を名乗る人びとにかぎられた現象ではない…サッダーム・フサインもこの血統を主張していた」

  • ムハンマドの子孫の置かれた状況を、著者の現地フィールドワークから解き明かす。一口に子孫と言っても置かれた地位は様々で、一国の王や組織の幹部もいれば乞食や盗賊まで、ありとあらゆる階層の人間に「ムハンマドの子孫」がいると言ってよい。更にその「子孫」は血縁と家系図で表されるのは勿論、「ムハンマドに似た風貌」でも子孫と名乗れてしまう、非常に曖昧で興味深い風習がある。そうした「超科学」なことが平気で出来てしまうのが信仰の面白さ。著者の軽快な語り口もあり、中東文化の寛容さに触れられた気がします。

  • ムハンマド一族の血統に繋がる「聖なる家族」からイスラーム世界を紐解く。イスラーム権力者、スーフィー、ウラマー、各国王朝、イランのハメネイ師、かつてのサダムフセイン(後に取消された)も、アッバース朝だって、カーディリーもナクシュバンディーもみんなムハンマドの血統を主張している。男系血統でしか本来遡らないアラブ社会の伝統と、娘しか持たなかったムハンマドの血統の整合性に腐心する歴史、アリーの血統(シーア派含む)、奇蹟や聖者の歴史も横たわる。血統という視点でとても人間臭いイスラーム社会をあぶり出す不思議な作品。

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