Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• 水紗枝荒葉

  読了日：2024/03/06

  当たり前を突き詰めるとここまでモノが言えるのか、というタイプのフォークナー論。その突き詰め方は読書体験としてときにしんどくも感じるが。本書の精神的後継として『響きと怒り』以後のフォークナーを扱った諏訪部浩一『ウィ編む・フォークナーの詩学』が存在する。

• ra0_0in

  読了日：2013/01/31

  詩人として出発したフォークナーがモダニズムの、いや文学の極北である『響きと怒り』を著すまでの成熟過程を、南部という環境に生れ、偉大な祖父とロマンティックな文学趣味に挟まれた作家の自我の生成過程として読み解いた労作。その根本には、作品を作家自身の精神的葛藤の発露ないし昇華と見做す、極めて素朴な作家主義がある。とはいえ、フォークナーほど「作家であること」や「小説を書く行為」の孕む問題が作品内部に胚胎する作家はいないのだし、それは20世紀初頭にあって「芸術」が何を成しうるのかという根源的問いとも無縁ではない。

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