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キリストと性 西洋美術の想像力と多様性 岩波新書

岡田温司

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004319924
ISBN 10 : 4004319927
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2023
Japan

Content Description

キリスト教は性にたいして厳格で保守的であるといわれる。しかし中世からルネサンスにかけて、人々は、時にジェンダーの境界をさまよい、時に「クィア」と呼ばれる性的嗜好を先取りしたキリストを描いた。正統と異端のあいだで揺れる神の子のさまざまな姿に、図像と言説から迫る。民衆の豊かな想像力を伝える西洋美術史。

目次 : 1 クィアなキリスト(キリストとヨハネ/ イスカリオテのユダとキリスト/ マリアとキリスト)/ 2 交差するジェンダー(もしもキリストが女性だったら/ 「傷(ウルヌス)」、「子宮(ウルウァ)」、「乳首(ウベル)」/ 「スピリット」とは何か)

【著者紹介】
岡田温司 : 1954(昭和29)年、広島県に生まれる。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。現在、京都精華大学大学院特任教授。専門は西洋美術史、思想史。著書―『モランディとその時代』(人文書院、2003年、吉田秀和賞受賞)『フロイトのイタリア』(平凡社、2008年、読売文学賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    キリスト教の歴史において、性に関する考え方が時代ごとに変遷する様子を西洋美術史から見ていく。ヨハネとペテロの師への愛は同性愛の匂いが強く、母子であるマリアとイエスが結婚する近親相姦的な姿がマリア信仰と共に広まった。十字架上のキリストの傷が女性器のイメージで描かれたり、巡礼者向けバッジのデザインに用いられた。厳格な信仰を強要された中世欧州ですら、現代人も思いつかない多様性に満ちた想像力が存在したのだ。確かに異端的かもしれないが、支配者に認められたきれいごとよりも民衆の下世話な本音がポロリと漏れてしまったか。

  • trazom

    西洋美術史学者でキリスト教徒ではない岡田先生の視点は、いつもとてもユニーク。イエスとヨハネ、イエスとユダがクィアな関係にあったとする作品が紹介される。更に、両性具有としてのキリスト、キリストの女性形であるクリスタ、女教皇ヨハンナ、聖霊は男性か女性かなど、絵画作品には、キリスト教における多様な性が表現されている。多くが外典に依拠しており、キリスト教の正統ではないが、逆に言えば、こういう多様なジェンダーを異端として排除し、男性中心でミソジミーの教理に純化してきたのがヴァチカンの歴史だったのだと思えてくる。

  • rico

    ダビンチの「最後の晩餐」、どう見てもヨハネが女性に見えるんだけど・・・、と思ってたら、そんな事例はマイナーながらも美術品として結構残っているようで。他にもユダのこととか、男性中心主義にもかかわらずマリアの位置付けがどんどん重くなっていくこととか、大ぴらには語れない、ちょっと生々しいものが、「異端」として排除されつつも、人の想像力がそちらに向かっていくのを阻止できなかったんだなあ・・・、と妙に感心してしまう。頭が三つついた「三位一体」像のインパクト!楽しい、と言ったら語弊があるけど・・・。

  • Nobuko Hashimoto

    『西洋美術とレイシズム』『アダムとイヴ』がすごく面白かったので。本書は、キリスト、マリア、弟子たちがどう描かれていたか図版を示しながら解説する。基本、キリスト教は男性中心主義、性には厳しいとみなされるが、中世からルネサンスあたりの絵画や彫刻などを見ると、なかなかに際どい性的な表現が多いことがわかる。イエスと弟子が密着しすぎだったり、母と息子が逆転したような構成だったり、イエスの負った傷の形に別の意味を持たせたり。いやいや今回も面白かった!!

  • ラウリスタ〜

    これは面白い!男性中心的で性に厳格というイメージのキリスト教だが、その中に隠れて?性のモチーフは絵画などで描かれてきた。最後の晩餐で横に座るヨハネはキリストに最も愛された弟子と自称し、女性疑惑(ダンブラウン)や同性愛っぽさもある。もっと面白いのはユダ。兵士に引き渡す時のイエスへの接吻をめぐって、ユダは裏切り者ではなくイエスを十字架に送ることで使命を果たしたと言った再評価も。後半はずっと聖母マリア、ここが白眉。父と子と精霊の三位一体というホモソーシャルに、マリアが精霊と同一視されることで割り込み凌駕していく

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