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大江健三郎の「義」

尾崎真理子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065284445
ISBN 10 : 4065284449
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2022
Japan

Content Description

『大江健三郎全小説』の解説執筆後、「まだ何かが秘められている」と感じながら丹念に読み直すうちに浮上した、謎の痕跡―「ギー兄さん」は柳田国男?島崎藤村『夜明け前』が手本?平田篤胤の「神」が「壊す人」?“西洋文学の申し子”大江健三郎の深淵に広がる日本文学の沃野を読み解き、西洋の知と真摯に格闘した四人の日本人をスリリングに追う、画期的な論考!

目次 : 第1部 柳田国男の「美しき村」(「ギー兄さん」とは誰か/ 『同時代ゲーム』から『懐かしい年への手紙』へ/ 「生まれ替わり」への祈り)/ 第2部 『万延元年のフットボール』のなかの『夜明け前』(時代に殉じた「父」/ 平田国学と「村=国家=小宇宙」)

【著者紹介】
尾崎真理子 : 1959年宮崎市生まれ。1982年読売新聞社へ入社。1992年から2019年にかけて読売新聞東京本社の文芸担当記者、編集委員。2016年度日本記者クラブ賞受賞。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • こまり

    難しかったがとても面白い読み物だった。「大江健三郎全小説」の解説執筆をした著者が大胆な仮説を立てそれを丹念に根拠付けていく作業は膨大な参考文献からみても気が遠くなる。柳田国男、島崎藤村、平田篤胤に相当な影響を受けたのではないかという筆者の考え方がとても興味深かった。大江健三郎を中心に多くの作家たちのことも語られていて、其々が影響しあっていることがよくわかる。大江健三郎の本を読んだら、またこの本を読みたくなると思う。

  • かふ

    二部構成で第一部で柳田民族学と大江健三郎作品の関係について述べている。「ギー兄さん」が柳田国男であるというのは面白い。ただ第二部になると島崎藤村から平田篤胤の国家神道の話になってオカルト的になってくる。それは根源性を求めるあまり何でも平田国学に結びつけて思考する悪い思考パターンだ。大江健三郎の文学は根源性を求めるよりも外部に開かれている文学なのだ。何より大江健三郎自身が哲学や宗教ではなく文学(フィクション)という自覚があった。根源性の中に閉じこもっている作家ではないはずだ。

  • hasegawa noboru

    <大江健三郎という巨大な作家の読書歴と引用を注意深く見ていけば><優に百年はかかる仕事となるかもしれない。それでもまず、時代を超えるひと筋の精神で繋がる三人について、知る必要があった。><柳田国男、島崎藤村、平田篤胤。><大江はこの三人をずっと、自身の創作を拡げる想像力の種、ジャンプ台とした>と結論づけるまでのその分析過程は、言われてみればのコロンブスの卵的なところが多々あって、圧倒的にスリリングな読書であった。後期大江作品に繰り返し登場するギ―兄さんは誰に由来するか。柳田国男!。<その復古神道が、大東亜

  • odrb

    大江をほとんど読んだことがなくあまり興味がなくても、柳田国男の評伝・作家論として、また島崎藤村論や平田篤胤論として、非常に丁寧かつ明瞭で勉強になった。これら3人の思想を理解する挿木として「大江健三郎」がいる、という読み方もできると思う。わたしは柳田国男きっかけで手に取ったが、満足できた。

  • belier

    著者は新聞の文芸記者として大江健三郎を長らく取材してきた。なのだが秘話などなく、大江がその影響をほとんど語ることがなかった柳田国男、島崎藤村、平田篤胤がどれほど深く大江文学に影響しているかという大胆な仮説を提示する。大胆すぎて著者の妄想じゃないかと思ったりするが、根拠を逐一示しているからすごい。評論の面白さとはこういうことかと感じ入った。大江を論ずるのに誰もが飛びつくだろう外国の作家にほとんど触れないのも、かなり独自性があると思う。柳田、藤村の魅力も伝えてくれている。こういう読みもあるのかと教えられた。

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