Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• たまきら

  読了日：2025/10/22

  読むべきタイミングで読めたーそんな気持ちです。自民党と日本維新の会の連立政権合意書に憲法9条改正が盛り込まれ、高市早苗新首相が誕生しました。国民が戦争を推進する政権を支持する時代がきたのです。私個人はこれからも戦争に反対し続けるでしょう。けれども同時に、愛する甥や教え子、近所の男の子たちが戦死する可能性があること、若い女性が「少国民を増やすこと」を押し付けられる未来があるであろうことに目を背けてはいけないと思うのです。戦死を禁断の問いにしてはいけません。戦争とセットになっている現実なのですから。

• おさむ

  読了日：2019/09/06

  朝日新聞の書評で取り上げられていた。一番驚いたのは、特攻隊の基地だった鹿児島県の知覧が一大自己啓発スポット（カツ入れの場）になっていること。合宿や社員研修などで使われているんだそうな。これは単純な右傾化ではなく、戦後74年が過ぎて歴史認識が脱文脈化したため。知識と感情の乖離だというのが著者の主張。たしかに説得力はある。ますます戦争を知る世代が少なくなっていく中で、いかに記憶を継承していくのか。遺志を冷静に受容できるか。その難しさの一端のように感じます。

• 清水勇

  読了日：2025/06/06

  未来の戦死という衝撃的な題名だが、非常に丁寧で著者の問いかけも読者が誤解しないようかつ著者の思いが確実に伝わるよう配慮され読み応え(考え応え)があった。日本人は(自分も)戦後「過去の戦死者」を如何に悼むのか思考停止してきた。著者は、自衛隊の海外派遣で正に「戦死」の可能性が大きい現在だからこそ、戦死を自衛隊員に結果的に命じてしまう国民として、未来の戦死を「想定内」に織り込み向き合う為の問題提起をする。著者の知覧での特攻受容変化研究では、これまでの平和教育で感じた違和感の原因に気付かされ考えされられた。

• Toska

  読了日：2022/07/27

  日本人が戦死する／させられる可能性を論じておくべき、という主張には同意できる。ただその背景として、戦後の日本が戦死について考えることを「抑圧してきた」かのような前提が引っかかってしまい、どうにも入り込めなかった。文字通り目の前で無残な戦死の実態を見せつけられたからこそ、戦後日本では平和運動が一定の広まりを見せたのではなかったか。これを十把一絡げに「思考停止」「向き合わなかった」云々と決めつけるのは、それこそ日本史上最大の自虐ではないのかと疑ってしまう。

• itchie

  読了日：2024/08/16

  早田ひな選手の「特攻資料館に行きたい」発言を考える。「生きていること、そして、卓球ができることが当たり前ではないということを感じたい」といった自己啓発的な理由で知覧を訪れるスポーツ選手はほかにも多数いて、知覧で自己啓発セミナーの開催も相次いでいる。「感謝・利他・継承のセットを、論理的一貫性をもって体得させる」特攻隊員の物語は「自己啓発の有効成分を濃縮した超強力カプセル」だから。分析は的を射ているが、特攻ばかりがフォーカスされることで先の戦争の加害の側面が見過ごされることに対し、著者の警戒心が低すぎる。

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