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ガラパゴスを歩いた男 朝枝利男の太平洋探検記

丹羽典生

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784866241104
ISBN 10 : 4866241101
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

朝枝利男は何者か。「ガラパゴス探検の日本人のパイオニア」でありながら、ほぼ無名の人物である朝枝利男の生涯とガラパゴス諸島への探検などを軸に、彼の残した膨大な写真・スケッチを交えながら紹介する試みである

――本書「序章」の紹介――

 「博物館の収蔵庫には、そこで日々働いている者にとってさえ思いがけない事物が保存されている。仕事の机から離れ階段を降りて扉を開けるだけの距離に予想外の出会いが待っているのだ。本書の主人公朝枝利男と筆者との出会いもそうであった。短いエッセイの執筆に必要な太平洋地域の写真の原本を確認するために、業務の隙間をぬって映像音響資料室に足を運んだ時である。

 事前に保存を担当していた方に電話で確認すると、朝枝利男という見知らぬ人物によって撮影された写真には、補足資料が併せてあるという。そこでバックヤードに赴くと、そこでは彼の日記、水彩画が何箱も保管されていた。彼の水彩画の美しさにみせられ、日記の証言に胸を躍らされ、時間はあっという間に過ぎていった。この偉業をなした朝枝利男とはいったい誰なのだろうか。

 このバックヤードでの偶然の出会いが、本書の執筆に至るきっかけである。本書では、探検家・朝枝利男の生涯についてガラパゴス諸島への探検を軸として紹介する。朝枝利男はいまでは無名といってよかろう。しかるにダーウィンに進化論の着想をもたらした聖地とされるガラパゴス諸島と日本とのかかわりの歴史を考えるときには、欠かすことができない人物である。たとえば、日本ガラパゴスの会の『日本・ガラパゴス50年史』の序章である「前史/朝枝利男物語」は、次のように書き出されている。

 朝枝利男(1893-1968)はガラパゴス探検の日本人パイオニアである。本書の日本ガラパゴス交流50年史の枠のなかに入らない1930年代の探検であるが日本ガラパゴス史の中で外す事が出来ない存在である。彼のガラパゴス探検が日本または日本人に与えた影響は、ほとんど皆無と云っていいが、ここに50年史の序章として記録しておく(伊藤・西原 二〇一六)

 日本のガラパゴス史における朝枝の重要性と位置づけの難しさは、この手短な紹介から明瞭に伝わる。別言すれば、日本人のガラパゴス研究の草分けであることは確かながら、後世に残る実績とは何かと問われると説明しがたいわけである。先に引用した文章のタイトルに「前史」とあるように歴史の前に属するわけである。日本におけるガラパゴス研究を牽引し、生前の朝枝と会ったことのある伊藤秀三が、朝枝をこのように見立てているのは傾聴に値する。実際のところ伊藤秀三は、朝枝利男の数少ない紹介者である。
(序章より)

【著者紹介】
丹羽典生 : 国立民族学博物館グローバル現象研究部教授、専門は社会人類学、オセアニア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • chuji

    久喜市立中央図書館の本。2025年1月初版。書き下ろし。副題から朝枝氏は探検家と思い読み始めたら、探検隊に参加し、写真・動画の撮影、水彩画・剥製や標本の制作と整理が主な職務を行った方でした。とても興味深く読了しました。カバー写真はカッコいい!

  • 於千代

    日本人として初めてガラパゴス諸島を探検した男、朝枝利男の生涯を追う一冊。 アメリカの探検隊に所属し、数々のスケッチや写真を残し、発見されたヒラメには彼の名が学名として残る。さらに、現在でもアメリカ自然史博物館のモアイ像は朝枝による型が使用されているという。 こうした「忘れられた日本人」の姿に光を当てる本を読むと、世界で活躍しながらも、日本ではあまり知られていない人物が、他にもまだ多くいるのだろうと思わされる。

  • Go Extreme

    朝枝利男: 経歴ー日本の博物学者・魚類研究に貢献 ガラパゴス探検ー 1932年・クロッカー探検隊の一員として諸島訪問→動植物の標本収集 諸島の活動: 標本収集ー100枚以上の魚類水彩画・多数の標本収集 記録と報告ー『新青年』に発表 成果: 生物多様性観察ー独自の生態系記録→学術的理解深める 展示活動ーカリフォルニア科学アカデミーで標本と水彩画展示 戦後: トパーズ収容所ー収容所に入れられながら地理学講師 アート活動ー収容所内で水彩画を制作・展示 探検意義: 文化的遺産 影響力ーオセアニアの生物学的研究発展

  • el_desvios

    面白かった。最初はどんな人かと思っていたら、凄い研究者というか、博物学者だったのか。素晴らしい着眼点と多彩な能力をもっていたんだろうな。あまり素性がわからないのも、研究一筋だった現れかと思う。

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