ヴェロニカ・オキーン

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記憶は実在するか ナラティブの脳科学

ヴェロニカ・オキーン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480843296
ISBN 10 : 4480843299
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

本書には、さまざまな幻視、幻聴、幻覚に翻弄される人々が登場する。妄想は薬によって消散してしまうが、現実にはなかったはずの出来事の記憶が、時にありありとよみがえって彼らを苦しめる。それは単なる脳の誤作動なのだろうか?記憶は“私が私である”という意識を支える柱だ。けれども、その記憶が幻覚ではなかったと本当に言い切れるだろうか。同じ出来事の記憶が人によって異なるのだとしたら、記憶とは何だろうか?いったい記憶はどのようにつくられるのか。記憶がいかにして“私”という意識につながるのか。多くの症例を診ながら記憶の謎を問い続けてきた精神科医が、脳・意識・心の織りなす不可思議な物語をときほぐす。

目次 : 1 私たちは記憶をどのようにつくるか(始まり/ 感覚―記憶の原材料/ メイキング・センス/ 海馬の話/ 第六の感覚―隠れた皮質/ 場所の感覚/ 時間と継続性の経験/ ストレス―思い出すことと“忘れること”)/ 2 記憶は私たちをどのようにつくるか(自己認知―自伝的記憶の始まり/ 生命の木―樹枝状成長と刈り込み/ 自己意識/ 性ホルモンとムクドリ/ 変わる人生のナラティブ/ 虚偽か事実か/ いちばん古い記憶)

【著者紹介】
ヴェロニカ・オキーン : ダブリン大学トリニティ・カレッジ教授。三〇年以上の臨床経験を有する精神科医。うつ病研究から幼児期の体験が脳に及ぼす影響まで、幅広く研究論文を発表している

渡会圭子 : 1963年生まれ。翻訳家。上智大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 佐倉

    一時的に記憶を蓄える海馬、感情の点火プラグとなる扁桃体、感情と内蔵感覚を結び付ける皮質である島。脳神経学の発達で人間の脳の働きが器質的に理解できるようになった現在、健常な脳で起こることと精神障害で起こることを比較することが出来るようになってきた。精神障害が引き起こす感覚や記憶障害、妄想は器質的なものが引き起こすもの。各部位に問題が起きれば誰でも同じことが起こりうる…という視点で様々な症例を紹介していく。民話と症例を結び付けた話が興味深く、チェンジリングとカプグラ症候群の関係はもっと調べてみたくなった。

  • bapaksejahtera

    著者は女性臨床精神科医。精神疾患が脳内部位機能の把握という脳科学の発展により、脳神経医学という形で新たな治療方向が明らかになってきた。著者は特に女性患者の症例を基に、その病理の把握と治療の実例を述べる。その中で現在の精神病医学がフロイト流の明らかに女性嫌悪的な解釈と無為な対処方から大きく改善している事を報告する。記憶が視覚を中心とする感覚刺激を基礎に、海馬扁桃体島皮質を経て、情動との強いセットで前頭葉皮質に埋め込まれ、これらは常に引き出されつつ更新。それがナラティブとして物語記憶を構成する。かく理解した。

  • 花梨

    専門的な部分になると難しい。けれど、患者のナラティブ(語り)から精神科医としての見解を読むのは興味深い体験だった。記憶というものの不思議さを改めて考えた。「記憶は本物」であり経験である(p269)。

  • Dヨッシー

    どのように記憶がなされるのかを自分の臨床の経験を交えて語っているのが興味深かったです。前半部分の専門的な話はこんがらがりました。それでも、主観的な記憶に焦点を当てて、どのように記憶されるのかの構造は新しい発見でした。感覚や時間、出来事による解釈の部分を読んでいる際には自分の過去を振り返りながら読んでみました。著者の文学好きな側面や記憶の構造のみならず、科学の変遷にも触れられるのでかなりボリューミーだと思います。

  • Keisuke

    再読。記憶に関して興味が広がる。

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