ワシーリー・グロスマン

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人生と運命 3 新装版

ワシーリー・グロスマン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622095408
ISBN 10 : 4622095408
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2022
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

1942年11月、スターリングラードのドイツ第六軍を包囲する赤軍の大攻勢は、百時間で決着した。戦争の帰趨を決する戦闘が終わった。反ファシズムの希望、世界の目をくぎ付けにした都市は廃墟になった。その瞬間からスターリンは、ユダヤ人殲滅の剣をヒトラーからもぎとり、やがて国内のユダヤ人にふり降ろす。戦後の自由な暮らしを夢みて戦った国民に、一国社会主義の独裁者はたがをはめ直した。物理学者ヴィクトルは、核反応を数学的に説明する論文を観念論的と批判される。彼は懺悔をしなかった。失職して逮捕される不安に怯えながら、良心を守ったことで心は澄んでいた。ところが突然、スターリンからヴィクトルに電話がかかってくる。状況は一変し、彼は称賛に包まれるが、原子爆弾開発への協力をもはや拒否できない。困難の中で守った自由を、栄誉の後で失う人もいれば、幸せな記憶ゆえに苦難に耐える人もいる。栄光、孤独、絶望と貧窮、ラーゲリと処刑。いかなる運命が待っているにせよ、ひとは人間として生き、人間として死ぬ。この小説は、個人が全体主義の圧力に耐えるのがどれほど困難だったかを描いている。全三部完結。

【著者紹介】
ワシーリー・グロスマン : 1905‐1964。ウクライナ・ベルディーチェフのユダヤ人家庭に生まれる。モスクワ大学で化学を専攻。炭鉱で化学技師として働いたのち、小説を発表。独ソ戦中は従軍記者として前線から兵士に肉薄した記事を書いて全土に名を馳せる。43年、生まれ故郷の町で起きた独軍占領下のユダヤ人大虐殺により母を失う。44年、トレブリンカ絶滅収容所を取材。ホロコーストの実態を世界で最初に報道する。次第にナチとソ連の全体主義体制が本質において大差ないとの認識に達し、50年代後半から大作『人生と運命』を執筆。60年に完成。「雪どけ」期に刊行をめざすが、KGBの家宅捜索を受けて原稿は没収。「今後2〜300年、発売は不可」と宣告される。「外国でもよいから出版してほしい」と遺言し、死去。80年、友人が秘匿していた原稿の写しがマイクロフィルムに収められて国外に持ち出され、スイスで出版された

齋藤紘一 : 1943年群馬県生まれ。東京大学理学部化学科卒。在学中に米川哲夫氏にロシア語を学ぶ。通産省入省後、課長・審議官を務める。93年退官後、ISO(国際標準化機構)日本代表委員、独立行政法人理事長等をへて現在、翻訳家。99年、通訳案内業免許(ロシア語)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • twinsun

    赤軍に敗れた兵士に食料を与え共産党から迫害を受けるユダヤ人をかくまう優しさが自由な討論や労働争議を封ずるエリート官僚・新興労働者階級に隷属する基盤であり、豊かな道徳的特性が恣意的な適応の許にある法律と人命軽視を改善することはないことを告発。科学者が研究を続けるために人間を看過することは隷属し耐え続ける忍耐強さの意趣返しのような支配する側の独裁者には見透かされていることの冷酷な指摘も本国で浮沈を経験し脱出したロシア系ユダヤ人の実体験に基づくものであろうか。

  • かんちゃん

    壮絶な戦争描写と、ヴィクトルの凋落と栄光そして後悔。これまで物語の前面に出てこなかったアレクサンドラが廃墟となったスターリングラードに立った場面で、長い家族の物語の終わりに感無量。世界の運命の中にあって、人間として生きて人間として死ぬことの尊さと、人間として生きる根底には自由が必要だということを切々と訴えている。唯一心残りなのは、主要登場人物のストーリーにそれぞれ終わりらしいエピソードがある中で、セリョージャとカーチャがどうなったのか、もう少し読みたかった(もしかしたら読み落としかもしれない)。

  • Э0!P!

    チェプイジンはその署名を拒否していた・罪悪感に苛まれる・善良で高潔な人間であるための戦いを覚悟する、クルイモフ:尋問者は肉体を追い詰めることで精神を追い詰める、カツェレルンボーゲン:頭のないものが学識のあるものを虐げるのはラーゲリの内外で同じ構造・境界をなくすことができるはず、クルイモフの元にジェーニャからの差し入れが届き感謝する、スピリドーノフ:1日早く逃げたことで更迭されかけたが恩赦で留任・クルイモフとの関係のために周囲は助けるのを渋った

  • takeakisky

    その死まで人間であることを失わない者がいるが、クルイモフはルビャンカで持ち堪えられるのか。まさに圧政の象徴。字面を見ただけで心が縮こまる。他方、スターリングラードの攻防は、拍子抜けするくらい呆気なく帰趨が決まる。生涯の大半を党に捧げた者がルビャンカで、それでも党を恨まず。スターリンに批判的な科学者は、彼から目をかけられると忽ち靡く。不思議なことに、どちらも人間というものが愛おしくなる話。転ばない誇らしさと転ぶことの恐ろしさ。バブーシュカが一族を総括し、ベリョースキンが奥さんの元へ。よかったね一種の大団円。

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