ブルーノ・ラトゥール

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地球に降り立つ 新気候体制を生き抜くための政治

ブルーノ・ラトゥール

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784794811325
ISBN 10 : 4794811322
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

空気、海洋、氷河、気象、土壌、生命…地球上のあらゆる抗議者が声を上げている。人間‐自然、グローバル‐ローカル、右派‐左派…「近代」的二分法を問い直す。「テレストリアル」的政治の獲得に向けた思考実践。名著『虚構の「近代」』の著者による、覚醒的緊急アピール。

目次 : 政治的フィクションという仮説―規制緩和と格差の爆発的増大と気候変動の否認は同じ一つの現象である/ 米国がパリ協定の離脱表明を行ったおかげで、私たちはどのような戦争が幕を切って落とされたのかをはっきりと知るようになった/ 移民の問題はいまやすべての人にとっての問題となった。それが新たな邪悪な普遍性をもたらす。すなわち、誰もが足下の地面を失うということだ/ プラスのグローバリゼーションとマイナスのグローバリゼーションとを混同しないように心がけなければならない/ グローバル主義者の支配階級は連帯の重荷のすべてを少しずつ投げ捨てていくことに決めた。それはどのように決められたのか/ 共有世界の廃棄は認識論的譫妄状態を引き起こす/ 第3のアトラクターの登場が、ローカルとグローバルの二極に分断された近代の古典的組織を解体する/ トランプ主義が発明されたおかげで、第4のアトラクター「この世界の外側へ」の存在を知ることができた/ 私たちがテレストリアルと呼ぶアトラクターを見出したことは、新たな地理政治的組織を確認することにつながった/ なぜ政治的エコロジーの成功は、賭金に見合う成功に一度たりとも結びつかなかったのか/ なぜ政治的エコロジは、右派/左派の二分法から逃れることがそれほど難しかったのか/ 社会闘争とエコロジー闘争をうまくつなげるにはどうすればよいか/ 階級闘争が地理‐社会的立場間の闘争に変わる/ ある種の「自然」概念が政治的立場を凍結した。そのメカニズムの理解を、歴史を通る迂回路が可能にする/ 右派/左派を二分する近代的視点によって「自然」は固定されてきた。その呪縛を解かなければならない/ 「物理的対象からなる世界」は「エージェントからなる世界」が備える抵抗力を持ちえない/ クリティカルゾーンの科学は、それ以外の自然科学とは持っている政治的機能が異なる/ 生産システムと発生システムのあいだに生じる矛盾が増大している/ 居住場所を記述する新たな試み―フランスで実施された苦情の台帳づくりを一つのモデルとして/ 旧大陸を個人として弁護する

【著者紹介】
ブルーノ・ラトゥール : 1947年フランスのボーヌ生まれ。哲学者・人類学者。現在、パリ政治学院のメディアラボ並びに政治芸術プログラム(SPEAP)付きの名誉教授。2013年ホルベア賞受賞。専門は科学社会学、科学人類学。アクターネットワーク理論(ANT。人間と非人間をともに「行為するもの」として扱う新たな社会理論)に代表される独自の社会科学の構想やANTをベースにした独自の近代文明論で著名。代表作『虚構の「近代」』ではポストモダンではなくノンモダンへの転換の必要性を説き、近年は近代文明が生み出す地球環境破壊、圧倒的な経済格差の問題を正面から取り上げ、問題解決のための政治哲学的分析に力を注ぐ

川村久美子 : 上智大学卒業後、コーネル大学にて社会学修士号、東京都立大学にて心理学博士号を取得。東京都市大学メディア情報学部教授を経て、同大学名誉教授。専門は環境社会学、科学社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • たばかるB

    ラトゥール2018.気候変動とアメリカ政治(トランプ)を関連付け、「新気候体制」という軸から環境・政治を概観する。批判の対象はトランプら富裕層に対してのエリート。彼らは環境の限界を分かっているからこそ、人々を扇動しデマゴギーをあえて流し、自分たちは別の地で「近代化」=開発を続け生き延びる。その裏で生じている科学ー真実性の瓦解やグローバル化での(土地を奪われた)移民を問題視している。

  • 34

    台北ビエンナーレ2020で共同キュレーターを務め、コンセプトを「あなたと私は違う星に住んでいる」と設定したブルーノ・ラトゥールは、歴史家のアダム・トゥーズからその「シュミット主義」を批判された。地球からの脱出を目論む一部の超富裕層を敵と名指しするのはよいとして、その後に残る政治の多元的問題はどうなるのか。この批判はトランプ退陣後のバイデン政権と習近平の動向をみると正しかったようにもみえるが、他方シュミット的な政治理解と実在論の組み合わせは、気候危機の時代の知的枠組みとして今後魅力を増していきそうではある。

  • roughfractus02

    本書(2017刊)は、地球温暖化を否定した当時のトランプ政権に、温暖化と共に自然を分かち合う時代の終焉を見る「蒙昧主義的エリート」階層の認識を見出す。彼らは沈没船から逃げつつ他の階層にはこの状況に気づかせぬよう、耳障りのよい子守唄を歌うこの政権を利用している、と著者は批判する。ここから本書は、地球からの逃走とは逆の、「テレストリアル」(地上的、土壌的)な方向を示す。大地に「降り立つ」人(human)は、身体と環境を日々新たに生み出す腐植土(humus)となりうる、と。ここでは土からの建築こそが政治である。

  • スプリント

    言い回しや表現がなかなかに難解でじっくり腰を据えて読む必要がありました。

  • Sanchai

    ブルーノ・ラトゥールのことを知ったのはわりと最近。とりあえず1冊著書を読んでみようと思って手に取った。トランプが大統領だった時代の記述なのだが、トランプが大統領でなくなったとしても、第4のアトラクターは続いていってしまうのだろうかというのが疑問。ただ、SDGsには貧困削減も経済成長も目標にあるのに、多くの論者が気候変動対策のみを強調されているのに感じていた違和感が、本書を読んで少し解消されたような気はした。著者も、またかなり長い解題を寄稿した訳者も、SDGsには全く言及せず。立場が違うのかな。

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