テッサ・モーリス・スズキ

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批判的想像力のために グローバル化時代の日本 平凡社ライブラリー

テッサ・モーリス・スズキ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784582767810
ISBN 10 : 4582767818
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「歴史教科書論争」と「歴史主体論争」に介入し、この問題が、グローバリゼーションのなかで世界的に現出している状況の一類型にほかならないことを、鮮やかに示した現状診断。危機に瀕した批判的想像力を活性化させ、歴史を修正し、閉じた「われわれ」を立ち上げる欲望―虚無的ナショナリズムに抗すべく、粘り強くかさねられた思考。その思考と認識がいま、切実度を増して呼びかける。

目次 : 1 誰が語るのか―著者へのインタヴュー/ 2 開かれた日本のために(批判的想像力の危機/ 東アジアにおける歴史をめぐる戦い―「歴史への真摯さ」をめぐる考察/ 不穏な墓標/「悼み」の政治学と「対抗」記念碑―加藤典洋『敗戦後論』を読む/ 新たな市場に出荷された古い偏見―オーストラリアに見えてくる石原現象の素性/ 無害な君主制として天皇制は生き延びられるか―英国君主制との比較から/ 現代日本における移民と市民権―「コスメティック・マルチカルチャリズム」を克服するために)/ 3 グローバリゼーションとデモクラシー(平和への準備のために―原理主義と多元主義との衝突/ グローバルな記憶・ナショナルな記述/ 文化・多様性・デモクラシー―「内なる多文化主義」とデモクラシーの新たな可能性)

【著者紹介】
テッサ・モーリス=スズキ : 1951‐。イギリス生まれ。現在、オーストラリア国立大学教授。専攻、日本経済史、日本思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ハチアカデミー

    A 現在を現在たらしめているものとして歴史を捉えた論考を所収。己の自明を疑うことからしか対話は生まれない。ナショナリズムは国家に輪郭を与えるものにすぎず、それは治世者が必要とするものにすぎない。政治的正しさや歴史的正しさではなく、「歴史に対する真摯さ」が必要である、などを論じる。歴史を物語として捉えるだけでなく、その背後の大きな物語に目を向ける必要を説く「東アジアにおける歴史をめぐる戦い」、歴史と記憶の問題を世界的な研究状況から論じる「グローバルな歴史・ナショナルな歴史」の二本が特に印象に残った。

  • nuno

    この本ではグローバル社会における「文化」や「歴史」という言葉の意味そのものを検証し、境界線の曖昧な社会を奨励している。興味深い考え方だが、少なくとも日本に関する言及では、当事者感覚の欠如(当事者ではないので仕方無いが)が気になった。天皇をアイドルと比べて人気がどうこう言ったりね。つまり、著者の理想とする多様な文化を包含するフォーラムの完成は、著者の視点を全て受け入れると挫折するということだ。よしんば有り得ても、果たして魅力的なのかどうか。軽薄な国粋主義を打ち崩すための一つの視点としては興味深い本。

  • ハンギ

    90年代末期の多文化主義についての論文集。歴史や文化への批判を欠いてはいけないという著者の意識は伝わると思う。ただ日本の複雑な問題について見れていない印象を持った。表面的かも。日本だってアメリカと同様歴史の浅い国だと思う。ただアメリカはインディアンの歴史を組み込んだ歴史を作れないだけなんだよね。天皇制の問題も語っているけど、イギリス王室との比較などはまあまあ面白かった。著者は日本に来てから共和制支持者になったらしい。それは良いと思う。多国籍企業も肯定的に見ているところは左翼言説には乏しかったので斬新。

  • りり課長

    95P 岩崎稔氏の「解説に代えて」にもあるように、本書の初出から既に10年を経過してしまい、我々は尖閣や竹島問題で愚昧なナショナリズムの圧力を放置し、寧ろ当時に比べ圧倒的な諦念の時にいる。 「私たちはコミュニケーションを欠いてはいないのであって、反対に、コミュニケーションをもちすぎている。だが、私たちには想像が欠けている。私たちには現在に対する抵抗が欠けているのである」というドゥルーズ+ガタリの言葉。

  • Sakura Uchikoshi

    9.11の後など時間的に前のようでいて、今もなお、いや今一層読まれるべき本。 ナショナリズム、歴史修正主義、排外主義…。抗いながら、別の陥穽も避ける賢明さがほしい。そのための手がかりを無数に得られる。

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