ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ

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忘却についての一般論(仮)エクス・リブリス

ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560090633
ISBN 10 : 4560090637
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ポルトガル生まれのルドヴィカ(ルド)は空や広い場所を恐れている。両親を相次いで亡くし、唯一の家族である姉オデッテの結婚とともに、ダイヤモンド会社に勤める鉱山技師である義兄オルランドがアンゴラの首都ルアンダに所有する豪奢なマンションの最上階に移り住む。長年にわたりポルトガルの支配下にあったアンゴラでは、本国で起きた革命の余波を受けて解放闘争が激化し、1975年ついに独立を宣言。動乱のさなか、次々に出国する同国人の送別会のひとつに出かけた姉夫妻が消息不明となる。恐慌をきたし、外部からの襲撃を恐れたルドは、マンション内の部屋の入口をセメントで固めて、犬とともに自ら孤立し、自給自足の生活が始まる。その後、アンゴラは27年間にわたる泥沼の内戦状態に陥る。その間、屋上テラスのある最上階の部屋で、誰からも忘れられて一人で暮らすルドは、飢えと隣り合わせの日々のなか、自己と対話し、ありとあらゆる紙に、紙が尽きると今度は壁に、言葉を綴りつづける。一方、外の世界では、独立の動乱を乗り越えたさまざまな人間が、運命に手繰り寄せられるようにしてルドのもとへと引き寄せられていく。2013年度フェルナンド・ナモーラ文芸賞。2017年度国際ダブリン文学賞受賞作。

【著者紹介】
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ : 1960年、アンゴラのノヴァ・リスボア(現ウアンボ)でポルトガル・ブラジル系の両親のもとに生まれる。大学はリスボンに渡り、農学を専攻するが、文学に目覚め、ジャーナリストを経て作家となる。1989年にConjura(『まじない』)でデビューして以来、精力的に作品を発表。2004年に刊行されたO Vendedor de Passados(『過去を売る男』)の英訳The Book of Chameleonsが2007年度インディペンデント紙外国文学賞を受賞。2012年に刊行された『忘却についての一般論』は、ポルトガル国内で翌2013年のフェルナンド・ナモーラ文芸賞を受賞。英訳A General Theory of Oblivionは2016年度国際ブッカー賞の最終候補作に選ばれ、2017年度国際ダブリン文学賞を受賞した。現代アンゴラのみならず、ポルトガル語圏諸国を代表する作家と目されている。作品はこれまで25の言語に翻訳されている

木下眞穂訳 : 上智大学ポルトガル語学科卒業。2019年、ジョゼ・ルイス・ペイショット『ガルヴェイアスの犬』(新潮クレスト・ブックス)で第5回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • buchipanda3

    アンゴラ出身作家による小説。ポルトガル文学というのだろうか。それ自体これまで馴染みが無かったが、この物語は構成も内容も独特な味わいがあり、加えて文章表現そのものにとても惹き付けられた。乾いた文章、いや渇いた文章で切なる思いが深く内面に込められているような。さらに心から吐き出される心情が韻文の形で綴られる。植民地としての歴史、内紛による混乱が登場人物たち、特にルドの人生に作用し、弱さと共に思い掛けない強さを炙り出していた。交差する人生、忘却の意義の問い、「夢にも収まりきらないような不思議な話」を堪能した。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    今年のベスト10冊に入れたい!こんな面白い作家の作品がこれが初訳!?ルドの申し訳なさを抱えながらも、特定の誰か(姉)に縋らなければ生きていけない。その気持ちは私の中にもあるからこそ、どこか、自己嫌悪めいたものを感じていた。籠城の結果、彼女は飢えと渇きと恐怖、目を徐々に悪くしながらも自分と向き合う。だけど唯一の秘密だったルドが広場恐怖症になった理由が明かされる、ある依頼から一転していく。ダイヤを呑み込んだ鳩が縁を繋ぐ。そして秘密警察として憎まれたモンテが妻、マリアに愛し、義父が彼の死を悼んだ事実に安堵した。

  • (C17H26O4)

    映像的だと思った。頻繁に場面が入れ替わるのが効果的で、ドキュメンタリーを観ているような印象も受けた。ポルトガルからルアンダに姉夫婦と移り住んだルド。動乱時にマンションの最上階に一人残され、長い年月を飢えと孤独に耐えながら言葉を綴って生きる。一方、外界で繰り広げられる内戦と時代の変遷。終盤、様々なことが集約されていく。忘れることが必要だというルドの言葉に対し、忘却は死と同じであり降伏することだ、という言葉がタイトルの意味を考えさせる。ルドを救った人々がルドによって救われるのが素敵だ。アンゴラについて調べる。

  • nobi

    「忘却についての一般論」という哲学書めいたタイトルとは、およそかけ離れた三十年近く激しい内戦が続いたアフリカ中西部アンゴラのシーンが乾いたタッチで描かれていく。直前に読んでいた須賀敦子さんの内省を伴った柔らかな描写とは対照的。そんな盗み暴行殺人騒乱が日常となった中、豪奢な〈羨望館〉という建物の一室で外界との接触を絶ったルドもまた、自らと愛犬を生かし続けるため普段ならありえない行動を取る。そんな中、彼女が壁一面に炭で書き綴ったという言葉には荒んで見える状況から生まれたのが奇跡のような張り詰めた詩情を感じる。

  • ヘラジカ

    初のアンゴラ文学。厳めしいタイトルと歴史的背景から、手に取るのを躊躇いそうになるほどの物々しさを感じたが、読み始めたらユニークな舞台設定、賑々しいストーリーに心を鷲掴みにされた。マンションで立て籠りのサバイバル生活を送るルドの少しコミカルな物語に、外の世界(擾乱から平時のアンゴラ、そこに生きる人々)が入り混じり、ラストに向かって収束していく様は鮮やか。合間に挟まれる詩も物悲しさと味わい深さを備えていてとても良い。訳文も非常に読みやすくページを捲る手が止まらなかった。琴線に触れた傑作。

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